デート・ア・ペドー   作:ホワイト・ラム

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さて、少し手違いがありましたが、コレが正式な形です。
心配かけてすいません。


悪夢のB/熟女には向かないアプローチ

令音に待つように言われた部屋で、ペドーを見下ろす二つの影。

 

「くくく、ペドーよ。令音から聞いたぞ、風邪の様だな?

ははは、人はかくも弱き生き物よ」

 

「宣誓。夕弦に任せて下さい。心のこもった看病で、明日までに全快です」

八舞の二人だった。

令音の作戦は、こうだ。

風邪となったペドーを看病するという名目で合法的に、個室を用意させ精霊二人のペドーの心的距離を縮めるのが目的の様だ。

実はこの部屋、こっそりと隠しカメラが仕掛けられており、逐一令音に情報が流れているのだ。

 

「二人ともありがとな。助かるよ……ぐぅ!?

ごほっ!!ごっふ……!!!

はぁ、ロリのナースに……はぁ、看病されたいだけの……ゲッホ!!

人生だったぜ……」

風邪をひいているイメージで少し、大げさにリアクションするペドー。

そんなペドーを二人が、挟むように座る。

 

「おお、哀れよの。ペドーよ……

くく……夕弦よ。我を今までの耶倶矢と思うと怪我をするぞ?

我は新たな眷属を手に生まれ変わったのだ!」

 

「驚嘆。そのようですね。しかし、それは夕弦も同じです。

私の新たな力見せてあげましょう」

ペドーの寝ている布団の上、二人の精霊が静かに火花を散らす。

 

(……完全に看病<勝負の図だな……大丈夫か?)

心配になりながら、ぺドーが冷や汗を垂らす。

 

 

 

バサッ……

耶倶矢が寝ているペドーの布団をめくり、自身の体を滑り込ませようとする。

それを慌ててペドーが制止する!!

 

「お、おい?耶倶矢さん?何を考えているのですか?」

 

「決まっておろう?知っておるぞ、お主はおなごと同衾するのが大好きな様ではないか?我が特別にその相手をしてやろうと思ってな」

十香からもらった情報を元に、耶倶矢が得意げに話す。

そう、この情報は間違いではない。ペドーは女の子と一緒に寝るのが大好きだ!!

しかし!!それには、『幼女の』と言う非常に重要な枕詞が付くのだが……

 

「ハッ!ありえねぇ……俺が一緒に寝たいのはロリロリな幼女だけだぜ!!

狭いお布団の中!!体がくっつきお互いの体温が同じになっていく!!

ちっちゃなお手手に触れればそこはまさにユートピア!!

地上の楽園はお布団の中に有った!!あったのだ!!!

だけど、BBAに興味無し!!言っておくぜ、俺と一緒に寝ようなんて、()()()()()んだよ!!」

ペドーの言葉に、露骨に耶倶矢がショックを受ける。

 

「わ、私じゃ……ダメ?」

 

「年増の賞味期限切れはおかえりください」

 

チーン……

 

「と、年増……しょ、賞味期限切れ……」

部屋の隅で、真っ白に燃え尽きた耶倶矢が力なくつぶやく。

 

「ふぅ、コレで一旦は――うぉ!?」

安心しかかったその時!ペドーの布団が一気にめくられる!!

そして、夕弦がペドーの首筋に手を這わす。

 

「確認。発汗が見られます。汗は、気化することにより体温を奪います。

気化冷凍法です。

汗を拭くことを推奨します」

そしてそのまま、ペドーに顔を近づけ舌を出す。

 

「待て待て待て!何をする気だ?」

 

「説明。舌でペドーの汗を舐めとります」

 

「バッカじゃねーの!?幼女にされるならまだしも、むしろ嫌がらせだぞ!!

ああ、ちっきしょう!なんで、発情した年増しかいねーんだよ!!

この国は変態しかいねーのか!?HENTAIジャパンか!?」

ペドーが布団から抜け出すが、壁際に追いつめられる。

なんというか、乱暴されるヒロインの様だ。

 

「暗笑。さぁ大人しく私の人肌で温まってください」

 

「な、わ、私だって!!」

夕弦が服をはだけさせると、それに気が付いた耶倶矢まで浴衣を脱ぎ始める!!

二人の半裸の精霊が、ペドーに滲み寄ってくる!!

 

「「さぁ、お前の体温を数えろ」」

一瞬の時間差を置いて、耶倶矢と夕弦がペドーに襲い掛かった!!

その時、後ろのドアが開く!!

 

ガチャ

 

「あ……」

 

「「あ……」」

 

「あ……」

ドアから、顔を出したのはシェリだった。

ゲドーに渡されたのか、3個入りのフルーツゼリーを持っている。

 

「な、何してんの?」

震えながら、シェリがペドーを指さす。

 

「分からんか?ペドーの調子が悪いから看病しているのだ!!」

 

「説明。今から人肌程度の温度でペドーを温めるのです」

精霊二人組はそう言うが……

 

「助けて、シェリちゃん!!痴女精霊に襲われる!!

無理やりパパにされちゃうよ~!!」

走って来て、シェリの背中にペドーが隠れる!!

 

 

 

 

 

「はぁ、なんでボクがこんなコトを……」

シェリが、布団で横になるペドーにスプーンですくったゼリーを食べさせる。

耶倶矢、夕弦の二人は第三者(シェリ)が入ってきたことで、自分がいかに異常な事をしていたか自覚したのか理解したのか、そそくさと逃げるように部屋から出ていってしまった。

 

「ああ……おいしいなぁ……」

枕に頭を置きながら、感動のあまりペドーが涙を流す。

 

「はぁ、精霊がどんなのか知らなかったけど……あんなのもいるのか」

あこがれでもあったのか、シェリが小さくため息をつく。

 

「それにしても、なんでまた此処に?」

 

「また、ゲドーだよ。

誰かから、ボクがお風呂で倒れて介抱してもらったって、聞いたみたいでさ。

『貸しを作りっぱなしにするな』っていって、コレを持たせたの」

そう言って、シェリはペドーに食べさせているゼリーを見せる。

 

「ふぅん。テレビでしか見たこと無かったけど、結構いい人じゃね?」

ペドーのイメージでは、高笑いをしてゲストでも容赦なく毒を吐く、いやな芸能人と言うイメージしかなかったが、良く聞くと違うみたいである。

 

「そうだよ!ゲドーはバカみたいにいい奴だよ!!

一週間位前かな?この島に流れ着いたボクを見つけたのが、ゲドーだったんだ。

その時は撮影の下見だったらしいけど、そんなのほっぽってボクの看病をしたくれたんだ……

知りもしないヤツの為にさ……

ほんっと、お人好しだよ」

シェリの脳裏に、ゲドーの姿が浮かぶ。

海水にまみれ、体の芯まで冷え切った自分はいつの間にか、温かいベットで寝かされていた。

敵と思い、瞬時に武器を構えたシェリを待っていたのは、怒号でも敵意でも卑劣な罠でもなかった。

 

「良かった……目が覚めたゲドね。

食欲は?ゼリーは食えるゲドか?半固形なら問題ないハズゲド」

暖かな言葉と、やさしさだった。

シェリのいた世界は血を血で洗う世界。弱った相手を見つけたのなら、即攻撃する。

ソレこそが当たり前で常識だった。

だが、今ゲドーによって向けられた感情は今までシェリが一度として向けられたことのない物だった。

 

 

 

「そっか、良かったじゃないか」

優しく微笑んで、ペドーがシェリの頭を撫でる。

 

「コラ!勝手になでるな!!」

 

「そんなことより、借りを返すなら返してくれよ!」

 

「は?ゼリー食わせてるじゃん」

シェリが嫌な予感と共に、スプーンを差し出す。

 

「足りないんだよ!!今、俺は風邪気味なんだよ?

看病するべきじゃない?ああくそ!ナースのコスプレ服を持ってこなかったのが致命的だな……

まぁいいか!さ、人肌で温めてくれ!!幼女特有の少し高い位の体温で冷め切った俺の体温を温めてくれよ!!ハリーハリー!ハリーアップ!!!」

布団に一人分のスペースを開け、ひどく興奮した様子でペドーがシェリを呼ぶ。

なんというか、美しい思い出の後に見るものとして非常に。非常に醜い!!

 

「あー、イイモノがあったぞー」

シェリが部屋の隅にあったものを見つけ、ペドーに近寄る。

 

 

 

「さぁ、温めてやろうなー?」

耶倶矢、弓弦の浴衣の帯で布団にす巻きにされたペドーをシェリが見下ろす。

 

「むーむー!!むーむ!!」

口までタオルを巻かれたペドーが()()()()にうごめく。

正直言って、かなりキモイ。

 

「出番だ――〈炎魔虚眼(セメクト)〉!

大丈夫、火力は抑えてるから、せいぜい()()()()()()だから。

さ、看病してあげようなー?」

シェリの熱線がペドーの顔面にヒットした!!

 

「むーむーむ!!あ、ありがとうございますぅ!!」

ペドーの感謝の言葉が、小さく部屋に響いた。

 

 

 

 

 

旅館の壁にくっつくように、様子を伺っていたエレンはターゲットである夜刀神 十香が部屋へ入っていくのを見て、右耳のインカムを小さく押さえた。

 

「こちらアデプタス1。ターゲットが部屋に入るのを目撃しました」

 

『アデプタス1?なんだそれ?そんな奴いたか?』

通信相手が、不審そうにこちらに聞き返す。

その言葉に、エレンが頭を押さえながら言い返した。

 

「はぁ……エレンママです」

 

『ああ!エレンママでしたか。これは失礼しました!!』

DEM社のウィザードにはコードネームが与えられている、エレンにも「アデプタス1」と言うネームが与えられているが、正直言って「エレンママ」の名の方が圧倒的に有名なのだ!!

 

「〈バンダースナッチ〉の配備を3体ほどお願いします。

まさかとは思いますが、折紙一槽も居るので、テリトリーの範囲には十分注意してください」

 

『了解。〈バンダースナッチ〉1号から3号まで配備します』

配備を聞き、エレンがさらに次の指示を出そうとした時――

 

「ヘヴン!?」

突如部屋が開き、何かがエレンの顔面にぶつかった!!

 

「い、一体何が――?」

鼻を抑えつつ、周囲を伺うと3つの影が自身の周囲をかこっていた。

 

「あ!カメラマンさんはっけーん!」

 

「確かエレンさんだっけ?」

 

「確保だぁ!!」

エレンは3つの影、亜衣、麻衣、美衣の腕によって部屋の中へと連れ去られた。

 

「カメラマンさんも参戦するって!」

言うや否や、エレンの顔に枕が飛んでくる。

 

「ぴ、ピロー?」

混乱しながらも、自分に飛んで来たものを改めて確認する。

 

「戦わなければ生き残れない!!」

亜衣の言葉に、部屋に集まっていた13人の枕所有者同士の戦いが始まった!!

 

「ちょ、ちょっと!?」

一人の女子が、全身に枕を装備した状態で立ち上がる!!

 

「こういう、ごちゃごちゃした戦いはスキじゃない……」

その言葉と共に、雨あられと全身の枕を投擲する!!

 

「ぐひぃん!?なにを……?」

突如誰かの盾にされたエレン。

 

「近くにいたお前が悪い……はぁ、本当に楽しいよな……マクラーってのはよ!!」

別の子が枕を手にして、直接相手を叩く!!

 

「ば、馬鹿な!?契約が……!」

 

「うぅぅぅぅ!!!」

協力関係にあったハズの仲間に裏切られるものたちも……

 

「ぐはぁ……き、君は……なぜ……」

 

「僕は、枕投げの英雄になるんです……そのためには、たとえ君でも倒さなきゃ……」

なぜかドラマチックに倒れるものも……

 

「うわぁぁぁ!……」

 

「おい!しっかりしろよ!!」

 

「これで、コレでいいんだ、本来俺の占いで次に当たるのはお前だった……

やっと、やっと俺の占いが外れる……」

 

「うあぁああああああ!!」

仲間の被弾を嘆くもの……

女子部屋はカオスを極めた!!

 

「だ、出して!!ここから出して!!

私は、行かなきゃいけない所があるんです!!

私は私はただ、仕事をこなしたかっただけなのに……」

エレンの無数の枕がヒットした!!




遅々として進まないなー
一部を省くべきなんでしょうが、出来れば削りたくないなー

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