デート・ア・ペドー   作:ホワイト・ラム

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祝!UA10000突破!!
いやー、自分でもびっくりです。

よくもまぁ、定期的に主人公がおかしくなるだけの作品で此処までいったなと。
クロスでも、憑依でもなくただの性癖変換なのに……

けど、ご愛読には感謝ばかりです。
コレからもよろしくお願いしますね。


自分の心を騙せるか?

皆さんこんにちは。

 

今週の『ド変態大陸』は一代で自らの城を築き上げた男の物語です。

 

 

 

今、ひそかにブームが増えているランジェリーショップが有る。

その名はランジェリーショップ『シタギリアン』。

気の良い小太りのダンディな店長がこの店の社長だ。

 

「なんだこのデザインは!!舐めてるのか!!」

会議室にて、社長の怒声が響き渡る。

本来は温厚な老紳士。しかしそれが下着の事となると一変する。

『好きだからこそ、妥協してはならない』

それが彼の信条だ。

 

下着に込められたギミックやデザイン、更には材質まで一切の妥協を許さない所に社長のこだわりが見える。

 

Q社長が下着に拘りる様になったきっかけは?

 

A実は私、高校生物の円光動画を見るのが大好きでしてね?

スカートの中にどんなパンツが有るか、ずっと気に成っていたんですよ。

けど、それが萎えるデザインだとどうしても気分が良くなくて……

だから、決めたんです。自分が絶対に萎えないデザインの下着を作るって。

それで、試行錯誤していたら気が付いた時にはこうなってました。

 

Q視聴者に対して何かメッセージを頂けませんか?

 

Aそうですね……なら、皆さん。スカートを捲る事を躊躇しないでください。

初めての事にはすごくドキドキするハズです。

私はそのドキドキを大切にしたいと思っています。

きっとあなたの目の前のスカートの下には、素敵な下着との出会いが待っているハズです。

大切なのは、わずかな勇気なんですよ。

 

 

 

 

 

数か月前に取材されたTVの内容が社長の中で、リフレインする。

その社長の前には――

 

「はい、じゃ名前に間違いはないね?」

 

君の名は何だったっけ?忘れたくないもの、忘れちゃいけないもの――

街中で青い服を見つけると体が震える。

 

「君の名は?」

にっこり笑う彼は青い制服に身を包んだ国家権力の狗!!ポリスメン!!

 

「はい、君もね」

そして同じく捕まるのはペドー!!

ランジェリーショップでの社長の騒ぎ。

当然良識のある一般市民は通報する。俺だってそうする。

その結果やって来るのは国家権力の狗ことポォォリスメェェェェン!!

社長を逮捕!!さらにくるみ(幼女)に下着を選んでいたペドーも逮捕!!

 

史上初!?デート中に逮捕される主人公!!

 

 

 

「社長、どうします?」

 

「いやー、君はまだ若いから厳重注意で済むよ。

私なんてもう、前前前科があるからねー、はははは」

流石社長!!逮捕されるのももう慣れた模様!!

たどり着いたパトカーの中で犯罪者二人が、にこやかに会話する。

 

「黙ってろ!!俺は力のない者への理不尽な暴力が一番許せないんだ!!

高校生だろうと関係ない!!絶対に二人とも豚箱にぶち込んでやるからな!!」

そんな二人を見るのは厳しい目をした警察官。

正義とは違う私怨すら感じさせる目をペドーに向ける。

 

 

「つかれましたわ……」

街中を一人歩くくるみ。

まさかの初デートでペドーが逮捕され連れていかれるとは思っていなかった!!

 

「お疲れ様でしたわ。ペドーさんにうまく取り入れましたわね?」

後ろから聞きなれた声がする。

くるみはそちらに振り返ると時崎 狂三、高校生の姿の自分が居た。

 

「♪~~♪」

上機嫌で鼻歌を歌いながら歩く狂三。

今日はなかなか楽しめた様だった。

 

「はぁ、ペドーさん。一体あなたは、本当の私の事を知った時どんな顔をするのでしょうね?

最後に私の物にした時、どんな顔をするんでしょう?

今からと~~~~っても楽しみですわぁ……」

ニタリと嫌な笑みを浮かべ、狂三が帰りの道を歩いていく。

 

「……?」

道を歩く狂三が不快な声を耳にする。

上機嫌だった彼女の顔が少しだけ曇り、そのまま路地裏へと足を進める。

 

「あら、あら……何をしてますの?」

 

「ッ!?なんだ、脅かすなよ……」

たどり着いたのは路地裏の袋小路。

そこに3人のモデルガンを持った男達が並んでいる。

そしてその奥には、一匹のネコが足を引きずっている。

 

男の手にはモデルガン、そして傷ついたネコ。

安易なストレス発散か、それとも銃の試し打ちか。

 

いずれにしても狂三の胸の中に嫌な物が沸く。

 

「サ”ヨ”コ”!?」

突然話かけられて驚いたのか、奥のダイヤの意匠が付いた赤い銃を持った男が驚く。

 

「なに?どうしたの?」

それに気が付いた、牛の形をした紋章が刻まれた緑の銃を持つ男が話す。

 

「悪いけど、此処は使用中だ。何処か他所に行ってくれないかな?」

手前の男、此方は青いバーコードの付いた銃を構えている。

 

「まぁ、まぁ。そんなつれない事、おっしゃらずにわたくしも仲間に入れてくれません事?」

狂三の言葉に男達が話し出す。

 

「急きょ作ったシステムのせいで、オデの体はボドボドだ!!」

赤い銃をもった男が、銃を差し出して来る。

どうやら疲れたから、変わる。と言ってるらしい。

 

「ああ、自前の有るので問題は有りませんわ。けど少しルールを変えましょう?

簡単な事ですわ。ちょっと狙う相手を変えるだけですわ」

3人に向かってゆっくり笑みを浮かべて見せた。

 

 

 

 

 

「本当にそれでいいのか?」

 

「何!?」

パトカーの中、強面の警官がペドーと社長に対して鋭い眼光を向ける中、ゆっくりとペドーが口を開いた。

 

「本当は、幼女が好きなんじゃないのか?それをルールだからって閉じ込めてるんじゃないか?自分の心をさ」

優しく語り掛ける様に、ペドーが言う。

 

「ば、馬鹿にするな!!私は警官だ!!お前達犯罪者から、善良な市民を守るのが仕事だ!!貴様ら社会のクズと一緒にするな!!第一、子供に手を出すなど――」

 

「自分に嘘を吐くのか?」

 

「――ッ!」

底冷えする様な冷酷なペドーの言葉に、警官が動揺を見せた。

そこにペドーが畳みかける!!

 

「人は嘘をつくよ。絶対に嘘をつく、みんな嘘つきばっかりだ!!

他人を騙す為、自分を強く見せる為、ひょっとしたら相手を思いやる嘘もあるかもしれないな……けど!!けどなぁ!!

自分に嘘をついてどうするんだよ!!自分で自分を騙して、何に成るんだよ!!

自分にだけは嘘をつくなよ!!自分の好きな物に嘘を吐くんじゃねぇよ!!!」

何処までもまっすぐな声で、ペドーが警官に熱く語る。

そして、警官の心の奥。隠していた思い出が蘇る。

 

高校生の頃、近所の小学生の子に恋をした。

ヤバいと思いながらも本気で好きだった。

 

話しかけれず、見守るだけの毎日。鬱屈する性欲と歪む性癖。

社会のルールなど、他人の目など全てかなぐり捨ててしまいたい!!

だが、ダメだ、自分には夢が有る。社会的体勢がある。

 

ある日の帰宅時間、悪ガキのガキ大将がその子のスカートを捲っていた。

 

「いやぁ!!止めてぇ!!」

 

「うっせぇ!!パンツの中を見てやるぜ!!」

只の興味本位でやっているガキ大将のイタズラ。

良識ある一般人なら止めるべき。だが、その日は足が動かなかった。

 

千載一遇のチャンス!!ぐっと待ち、ひそかにガキ大将を応援しさえした。

 

「やれ!!そこだ!!!ひん剥け!!」何度も心の中で叫んだ!!

 

だが、遂に泣き出した幼女をみてガキ大将は帰って行ってしまった。

例えガキ大将が消えても、男の心に着いた火は消えない!!

 

だが、だが!!やはり手を出すことは出来なかった。

目の前のチャンスが消えるのをただひたすら見送ったのだった…………

 

「ああ、ダメだ……YesロリータNOタッチだろ……許されない……この気持ちは……」

ボロボロと泣きながら、警察官。いや、隠れロリコンが涙する。

壊れたレコードの様にYesロリータNOタッチを繰り返す。

 

「ポリスメェン……」

 

「今からでも遅くはないですよ?」

ペドー社長両人が、さっきより小さく成った気のする男の背中を撫でる。

社長が女児下着を取り出し警官の涙を拭いていく。

 

「ダメだ……YesロリータNOタッチ……YesロリータNOタッチ……」

ペドーが自身の胸ポケットからあられの無い姿の幼女のイラストを取り出す。

そして――

 

「その欲望、解放しろ!!」

イラストを、警官の顔に張り付ける。

 

「俺は……俺は、幼女の……幼女のスカートを捲りたい!!!捲りたいんだ!!

ウヒャひゃひゃひゃ!!」

狂った様に笑いながら、パトカーから走り出す!!

その顔にはすっきりした物、なにかから解放された表情が満ちていた。

 

「さて、行くか」

長い間、心の檻に閉ざされた男を解放したペドーはやり切った顔をする。

パトカーから降り、社長に軽く会釈してからペドーが何処へ行った仕舞ったくるみを探しに行く。

 

 

 

 

 

「う、うわぁああ!!!」

 

「もう嫌だぁ!!僕お家帰るぅ!!」

 

「恐怖心!!俺の心に恐怖心!!」

路地裏から、3人の男が死にそうになりながら走り抜けていった。

目の前の路地裏が気に成りペドーが顔を覗かせる。

 

「な、狂三!?」

そこに居たのは、高校生姿の狂三だった。

手に付いた赤い謎の液体を気にしていた。

反対の手には古式の短銃が握れられており、赤い液体が数滴かかっていた。

 

「あら、ペドーさん、ごきげんよう。おかしな所で会いますわね?」

何時もと同じ狂三。何時もと同じ笑顔。

そして、何時もと違う状況にペドーは恐怖を感じた。

 

『道!!逃げなさい!!士道!!』

はっと気が付くとインカムからは琴里の声。

一瞬遅れて、琴里が「逃げろ」と言ってるのが理解できた。

 

その言葉に従い足に力を入れようするが、固まってしまう!!

何時もの様に足が動かない!!まるで、重しでも付けられた様だった。

 

「ダァメ、ですわよ?」

次の瞬間、狂三の顔がペドーのすぐ近くに在った。

 

ガシィ!!と影から白い手が現れ、ペドーを拘束する!!

地面に押し付けられる様に、ペドーが倒れこむ!!

頭を打ったがそんな事、今感じている恐怖に比べたら些細な物でしかなかった。

 

「捕まえましたわぁ」

ニタリとした笑みを浮かべ、ペドーに覆いかぶさる様に狂三がしゃがむ。

 

喰われる本能がそう訴えた。

 

コレが、これこそが()()なのだ!!

人類を殺す災厄!!世界を壊す存在!!この世ならざる死を呼ぶ異物!!

狂三の牙がペドーの首筋に触れる瞬間!!

 

「ハイどーん!!」

 

「きゃ!?」

何者かの掛け声と共に、狂三が吹き飛んだ。

 

「真那……か?」

ペドーの視線の先、狂三を蹴り飛ばした真那が満足気に鼻を鳴らした。

 

「あ、どうも兄さま。実はこの恰好訳有りでして……」

真那の身に纏う服はASTが着ている様なワイヤリングスーツ。

寝転ぶペドーをまたぐ様に真那が体を動かす。

 

「コスプレか?レベルたけーな……」

 

「いえ、コスプレでは――って、なぜASTを――ああ、折紙殿ですね」

 

「あらあら……せっかくのペドーさんとの逢瀬を邪魔するなんて……少し野暮じゃありません事?」

さっきまでコンクリートに叩きつけられていた狂三が復活して、再びあの嫌な笑みを浮かべていた。

 

「ニーソマン……じゃなかった、にーさまに手を出そうなんて、どんな了見ですかい!?」

 

「あら、ペドーさんは御兄妹でしたの?」

 

「答える義理はねーです!!」

真那の着ているスーツの一部が可変して、レーザーを頬出する!!

狂三はそれをぎりぎりで回避して、装備した短銃で応戦する。

 

「うわぁ、すっげ」

目の前で、突如繰り広げられるSFチックな戦いにペドーが感心する。

尚も白い手に捕まれ、身動きできないペドーには出来る事が無いのだ。

 

ごそごそ……パッ!

 

「ん?ありがと」

腕の一本が、影の中からポップコーンを取り出す。

丁度退屈していたので、ありがたくもらう。

 

「背中痒い」

 

ポリポリ……

 

「あー、もうチョイ右……右……そう、そこそこ!!あー、きもちい……」

更に別の手が、背中の痒い部分を掻いてくれる。なかなかの好待遇だ。

 

 

 

「やりますわね!!さぁ!!何時もの様に私をその剣でズボズボしてくださいまし!!」

 

 

「てめーには、遅れは取らねぇです!!お望み通り、その顔面に穴開けてやります!!」

レーザーブレードと銃弾!!

二人の武器が、目の前で文字通り火花を散らす!!

 

「男子高校生舐めんなン!?」

 

グググ……

 

バンバン!!バンバン!!

 

退屈したペドーは腕の一本と腕相撲を始めた。

周りの腕が、地面を叩いて応援してくれている!!

そして遂に――

 

バタン!!

 

白い腕を地面に付かせる事に成功した!!

ペドーの勝利だ!!

 

「いいぇぇええええ!!ほっほう!!」

敗北した腕が、悔しそうに地面を叩いた。

周りの腕は応援してくれたらしく、拍手を送ってくれた。

その後腕が一斉に地面に引っ込んだ。

 

「何してるんですかい!?」

 

「いや、暇だったし……狂三は?」

そう尋ねる、ペドーの視界の向こう側に肉の塊が落ちていた。

おそらく狂三だろう。

 

「お前、慣れてるな。殺したの始めてじゃないだろ?」

ペドーの言葉に、真那が無言で肯定した。

 

「時崎 狂三は死なねーんです。だから私が殺さねーと……」

自分に言い聞かせる様に、自分自身を洗脳する様に、真那が淡々と言っていく。

 

「不毛だな……相手を始めて殺した時。どんな気分だ?嫌な気分じゃないか?

ずっと、これからも続ける気か?他人の為にって、自分の心を殺すのか?」

 

「にーさまにはわかんねーですよ……さ、今日はもう終いです」

真那の言葉と共に、ペドーは路地裏から締め出された。




その欲望、丁度いい!!

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