デート・ア・ペドー   作:ホワイト・ラム

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さて、今回も投稿。
そしてラストには――



デート前日

「――少し用がある」

 

「ええと、鳶一さんでしたわよね?」

お昼休みの時間、折紙が机で食事をしている狂三を睨みつける。

 

「来て」

そして有無を言わせずに、手を取り校舎裏まで連れて行く。

彼女は、昨日自身の同僚が()()()()()の相手だった。

こうして平然と、食事を取っているという行為ですら折紙にとってはありえない状況だった。

 

「あ、あの……なんの用ですの?」

 

「貴女は、何?」

射貫く様な折紙の視線。

一瞬きょとんとした狂三だが、ニターっとした笑みを浮かべ口角を吊り上げる。

 

「あらあら、貴女もあそこにいたんですわよね?」

 

「ッ!?コレは――」

突如として、無数の白い手によって折紙が拘束される!!

 

「私の正体を知っているのでしょう?少しばかり、警戒が甘すぎですわよ?」

動けない、折紙の足に無遠慮に自身の手を這わす狂三。

言われてみればそうだ、人の来ない校舎裏、そして相手は精霊。

折紙の行為は迂闊としか言いようがなかった。

 

「まだ、まぁだ貴女は殺しませんわよぉ?

とーっても美味しそうなのですけど……貴女は後、ですわ。

わたくし、好きな物は最後に食べるタイプなんですけど、今回はメインディッシュが先ですわ」

メインディッシュ。

その言葉と共に、狂三が舌舐めずりをした。

 

「何を、するつもり……なの?」

 

「士道いえ、ペドーさんと言うべきかしら?

私ね?貴女もだぁいすきなペドーさんを頂いちゃう積りですの。

うふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ……」

ひどく楽しそうに、まるで折紙の心を嬲って遊ぶ様に狂三は告げた。

 

「させ……ない!!」

折紙が抵抗した瞬間、更に手の数は増え地面に押し倒された。

狂三を見上げる様な形に成った。

 

「クヒ、クヒヒ……無様ですわねぇ?

そうだ!ペドーさんを食べる時は、貴女の目の前でこうして無力を噛みしめさせながら、頂きましょうかしら?」

 

「そんな事、ゆるさな――」

 

「はい、それでいいんですわよ?無力に打ちひしがれて、心にたぁっぷりと私に対する憎悪を持ったアナタをデザートに頂く……

ああッ!今から楽しみに成って来ましたわ。

そろそろ、お昼も終わりなので失礼しますわね」

二ヤリと笑い立ち去ろうとする狂三の折紙が言葉を投げた。

 

「ペドーは、年増になびかない!!」

 

「へぇ、参考にさせてもらいますわね、キヒ、キヒヒヒ」

笑いながら狂三はその場から去って行った。

 

 

 

 

 

くぅぅぅぅぅぅぅ……

十香のお腹が切なげに鳴る。

ペドーに先に昼食を食べていろと言われたが、どうしてもペドーと昼食を食べたい十香は空腹を必死で我慢してペドーの帰りを待っているのだった。

*ちなみにペドーが準備室でもう昼を食べています。

 

「あれ、どうしたの十香ちゃん?」

 

「ご飯食べて無いの?」

 

「もう授業始まっちゃうよ?」

 

「オーウ!ジャパンのガールはダイエットを気にしずぎデース!!

ミ~は少しポチャリンコしてる方が好きデース」

落ち込む十香に話しかける4つの影。

確か亜衣、麻衣、美衣、マインの四人が十香の前に現れる。

どうやらマインは3人と行動を共にする様だ。

 

「ペドーが、ペドーが帰ってこないのだ……

先に食べていいと言われたのだが、どうしてもそんな気に成れなくて……」

そう言うとまた十香のお腹が切なく鳴った。

 

「オオゥ……トーカ殿、YAMATONADESHIKOデスナ……

しかーし、待っているばかりデーワ、ダメデーズ」

 

「そうそう、マイン君の言う通りだよ!」

 

「作戦変更!!ガンガン行こうぜ!!」

 

「十香ちゃん、明日休みでしょ?コレ良かったら使って?」

次々話す仲間たち、その中の一人亜衣がカバンからチケットを2枚取り出した。

 

「あ、亜衣!?それは……」

 

「隣のクラスの黒崎君を誘うために――」

 

「いいのよ、私十香ちゃんが幸せになってくれれば」

 

「オオゥ!?まさか、コレは自己犠牲!?なんて美しきユウジョウ!!

乙女の麗しき友情デースね!!涙は恥ずかしくなんかナーイ、友情の証デース!!」

 

「マイン君、ウザいから」

キラリと流れる涙に、マインのボケと麻衣のツッコミがさえわたる。

 

「まぁ、念の為最後の策もあげましょうか」

 

「What?最後の策?」

 

「男なんて下半身でモノ考えてるのよ。

というか高校生とかヤりたい盛りで、性欲の塊でまともに制御できない棒と玉ぶら下げてるんだから、ちょっと誘惑すれば一発よ、一発」

 

「亜衣?なんでそこまで言うの?何かあったの?相談乗るよ?」

若干心配になる事を言いながら4人は去って行った。

十香の手には、2枚のチケットと秘策が書かれた紙が残った。

 

 

 

 

 

「さて、帰るか――の前に」

帰りの時間、ペドーが同じく帰りの用意をしていた狂三の所まで歩いていく。

 

「なぁ、狂三。明日ってひまか?

お前、こっち来たばっかだろ、俺、町案内するぜ?」

平然の言ってる様だが、内心ペドーの心の中はドキドキしっぱなしだった。

 

「まぁ!デートのお誘いですの?嬉しいですわ」

パァッと花が咲く様な笑顔を浮かべ、狂三が両手を合わせる。

見た目的には非常に上機嫌だ。

 

「じゃ、明日10時半に駅前の改札口集合で」

 

「ハイ、楽しみにしていますわね」

デートの約束を取り付けた狂三は鼻歌を歌いながら帰って行った。

 

「ふぅ、第一段階クリア」

 

「今、時崎 狂三と何を話していたの?」

ホッと一安心するペドーの後ろに折紙の鋭い言葉が投げかけられた。

 

「いや?別に?」

 

「うそ、何を話していたか言って。

コレは非常に重要な――」

 

「おおっと!家に予定があったんだ、十香ー、帰るぞ」

十香の手を取り走り出すペドー、流石に折紙に感付かれるのは不味いと思ったのだ。

まぁ、あの肉食獣が他の女とデートするなんて知ったら、一体どんな妨害を仕掛けてくるかは分からなかったというのも有るが。

兎に角ペドーが逃げる様に自分の家へと帰って行った。

 

 

 

「ふぅ、疲かれた……」

 

「ぺ、ペドー、その話が有るのだが……」

実家の扉を開け、カギをかけるペドー。

十香がおずおずと話し出した。

本来ならば十香は隣の精霊用マンションに帰るのだが、間違って連れてきてしまったのだ。

 

「ん?なんだ?」

 

「ちょ、ちょっとまて」

いそいそと十香が、ルーズリーフを取り出し内容を読み始めた。

ペドーの部屋のカーテンを閉めて深呼吸を始める。

しばらくして、顔を真っ赤にしながら自身のスカートに手を伸ばす。

 

くる、くるりとスカートの腰を丸め、丈を短くしていく。

次にブラウスに手を伸ばし、胸のボタンを1つ、2つ、更に3つそして4つ目を外し、その場でしゃがみ込む。いわゆる雌豹のポーズだ。

恥ずかしいのか顔はトマトの様に真っ赤に染まっている。

最後にチケットを口に咥えた。

 

「ぺ、ペドー!!私と明日水族館に――――」

 

「その不快な肉をしまえ!!」

ペドーの怒鳴り声で驚いた十香が口からチケットを落とす。

 

「ぺ、ペドー?」

 

「なんだ?俺を馬鹿にしてるのか?そんなもの誘惑にはならない!!

寧ろ不愉快なだけだ!!まぁ、話だけは聞いてやる。

何だ?」

怒りの形相を押さえたペドーが十香に聞く。

 

「明日私と水族館に行ってほしいのだ!」

そう言って見せるチケット、唾液で汚れててなんか汚い。

 

「ワリ、明日ラブキュア見るから無理」

 

「な!?だ、ダメなのか……?」

 

「ごめんなー、ラブキュア見終わった来週ならいいよ。

あー、ラブキュアさえなければなー、本当に残念だわー、けどラブキュアじゃしょうがないなー」

正直狂三とのデートなのだが、そんな事を言ったら十香がへそを曲げる事はわかり切っている、その為ペドーが嘘をついた。

まぁ、本来なら明日は実際にラブキュアを見る予定だったのだが……

 

「な、なら一緒に見ようではないか?実は私もらぶきゅあに興味が――」

 

「ダメだ。ラブキュアってのは只のアニメじゃないんだ。

ラブキュアってのは、もっとこう、自由で救われていなくちゃいけないんだ。

ああ、萌えて来た……うをぉぉぉんん!!俺はまるで人間発電所だ!!

という訳でじゃーね」

パタパタと十香にペドーが手を振ってさよならを言う。

 

「ぺ、ペドー!!」

十香の御機嫌度が一気に下がる!!

ペドーは知らないが、フラクシナスの中では警告を示すアラームが鳴り響いていた!!

 

だが!!

 

「あ、そうだ。黄な粉やるよ、昨日買ったんだ、ほら、お徳用」

そう言って、ペドーが棚から出して見せるのは徳用黄な粉一キロ!!

 

「おお!?まさか、これ全部……」

 

「黄な粉だ」

ペドーの言葉に十香の目がきらきらと光りだす。

さっきまでの不機嫌は何処かへ吹き飛び、一キロ物黄な粉の袋に釘付けだ。

 

「全部くっていいぞ」

 

「それは本当か!?」

スンスンスンスンスン!!

まるで重度の麻薬中毒者の様に、黄な粉の袋を破きひたすら肺に黄な粉の匂いを入れ続ける!!

 

「もう、全部黄な粉だけでいいんじゃないかな?」

黄な粉でトリップする十香を家に帰し、一人つぶやくペドー。

十香の落としていったルーズリーフを手にとる。

 

「えーと、なになに?

『ゲゲル

自分以外の生物を使役するリントを狙い、12日で342人』?

あ、コレ裏だ。

表はこっちだ。えーと?

 

①胸を開いて雌豹のポーズ

②おっぱいにチケット

③それでもだめなら押し倒しちゃえ!!

うわぁ……なんだこれは……」

見るだけで頭の痛くなる内容にペドーが頭を押さえる。

 

(たぶん、きっと俺に対する嫌がらせだよな……)

 

 

「ただいまーって、カーテン閉め切って一体どんなヤラシイ事してたのよ?」

帰ってくるなり、琴里がペドーに毒付く。

 

「ん?逆、逆、今からやるんだよ。

良かったら見てくか?」

そう言ってペドーはズボンを脱ぎ始めた。

 

「絶対に見ない!!」

バタン!

 

琴里は勢いよく扉を閉めて出て行った。

 

「ふぅ、恥ずかしがり屋だな……」

その時、ペドーの家の電話が鳴った。

 

「はいはい、今でますよー」

毎回思わず言ってしまうセリフを言いながらペドーが電話を取る。

 

『ペドー、こんにちは。今どんなパンツ履いてるの?』

 

「全裸だけど?何の用だ、折紙?」

 

『そう、私も同じような恰好。そんな事より、明日デートしよう。

むしろ家に来てほしい、しばらく泊まってくれて構わない』

どうやら、デートのお申込みらしい。

明日計3回のデートの誘いをしたことに成る。

 

自分が以外とモテる事に気が付いたペドーが小さく喜んだ。

コレが主人公補正。

 

「あー、ごめん明日ラブキュ(ry」

ペドーは十香と全く同じ方法で折紙の誘いを断った!!

 

「さて、ゲームでもするか……令音さんにもらったしな!!」

制服をポケットからdiscを取り出しパソコンに入れる。

ゲームが始まるこの瞬間の興奮!!ペドーはこれが大好きだった!!

 

『注意、このゲームのキャラクターは全員20以上です。

作中の「ユメしょー」とは、夢見学園商品開発クラスの略でけっして小学校ではありません。』

非常に言い訳がましい文字が流れていく。

ペドーは興奮しながらマイクを手に取った。

 

 

 

 

 

「さぁて、明日はデートですわね。けど、ペドーさんからくるなんて……

クヒヒヒ!!すこぉし、用心しておきましょうかね?」

自室で寛ぐ狂三の手に、一つの短銃が握られる。

それを自身の頭に、突きつけ――

 

パァン!!

 

小さく音が響いた。

 

 

 

 

 

翌日

「はぁ、狂三遅いな……全く、こんな時間が有るなら――」

 

「おまたせしましたわ!!」

 

「へ?」

突如ペドーに掛かる声を聴いて、振り返ったペドー。

ソコには10歳くらいの姿をしたミニ狂三が立っていた。

 

「さぁ、ぺどぉさん!でぇとにいきましょう!!」

 




ロリくるみ登場!!

彼女の正体は!?
ってか、大体の人は予想出来ていた展開。

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