Fate of the ABYSS   作:黄昏翠玉

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今思えば、イオン軟禁されてたのに思いっきり逃亡してるんですよね。そんなんで和平の使者って、と思ってしまいますが、ストーリーはこれで進むのでいいじゃないとご都合主義になっております。

だって合法的にイオンが大佐たちに随伴する方法が他にないんだ……!
やってたらモース出てこないよ……!


ルークの守り人

牢屋に入って、俺は気絶の振りをやめた。アッシュが俺を運んでいたのが不思議で、アッシュを見た。

 

「……鮮血のアッシュ」

「……何だ」

「……なんで、そんな、目」

「ふんッ。てめえが俺の気に食わねえことばかりするからだ」

 

アッシュの様子が変だ。言葉は同じなのに剣幕が違うというか。

俺を認めてくれた状態でスタートしたはず、だったのに。

いや、それは別にいい。

ただ、俺がそれによって悲しくなるだけ。

 

構わない、耐えられる、覚えているから。覚えてるから大丈夫だよ。

クーが霊体化したまま俺の頭を撫でてくれた気がした。

 

誰も居なくなったところでジェイドが口を開く。

 

「……ルーク様」

「ん、何?」

「……これから、タルタロスを止めます。タルタロス停止後、荷物をとり外へ出て、徒歩でカイツールへ向かいましょう」

「うん」

 

ジェイドが眼鏡を少し上げて、眉根を潜めた。俺は笑った。大丈夫だよ、なんて、通じないって分かってるけどさ。

じきにティアが目を覚まして、俺たちはジェイドの“骸狩り”でタルタロスを停止させて、荷物とミュウを回収し、外に出る。

 

「ティアは譜歌で相手を止め、回復役を。クー、あなたに前衛を任せます」

「ジェイド、てめーはどうする」

「ルーク様を護衛します」

「よし」

 

俺は結局またクーに守られることになった。いや、そっちの方がいいのはわかってるんだけどさ。前は前衛やらされてたからさ。

 

「ルーク、あなたも戦うべきだわ。何のために剣を買ったの?」

「自衛のために決まってるだろ」

「なら、自分の身は自分で守ることね。甘ったれないで」

「ふざけんな、こっちは対人戦なんかやったことねえっての!!」

 

実際この身体はまだ対人戦について行けない。クーはティアの前ではずっと姿を現している。サーヴァントであることを隠している状態だ。

ジェイドが口を開いた。

 

「ティア、ルークは武器を持っていると言っても軍人ではないのです。彼は前線に立つことはありえない人物。我々が守るのが当たり前です」

「しかし、大佐! それでは大佐の負担が……!」

「私の負担? そのようなものはどうでもよろしい。あなたの迂闊な行動のせいでイオン様だけでは和平の使者としての役目を果たせるのかが不安な状態になっているのです。私の使命は和平の使者としてキムラスカへ向かうこと。そのためにルーク様の権力上の地位を借りることになるのですから、私は腕や脚の一本や二本覚悟の上ですよ」

 

ジェイドの腕や脚を吹き飛ばしたりさせないようにしてくれ、クー、と小さくつぶやくと、クーはわかった、と言ってくれた。

ガイがもうすぐそこに来ているはずだ。

ガイはエミヤとギルを連れてきてくれるはず。いや、ギルが居なくてもいい。エミヤだけでも俺を守ってくれるには十分すぎるほどの戦力のはずだから。

 

ジェイドの言葉でティアは押し黙って、俺を睨んだ。なんで俺の方がお前の中でジェイドより下に見られてるのかが非常に気になるよ、ティア。

 

俺たちは外に出た。その瞬間から、クーによる一瞬の殺戮が始まって、俺はたぶん、青ざめたと思う。

ちなみにリグレットがイオンを連れてきたとき、ティアがまた吠え出したけれど、ガイが華麗に参上してジェイドとクーでリグレットほか神託の盾騎士団の兵をタルタロスに押し込んだ。

あれ、アリエッタは?

あと、エミヤたちは?

 

「ルーク様っ!!」

「ガイ!」

 

ガイが俺に駆け寄ってきて、安否確認、怪我の確認、してくれて、そして横で紅の槍を持って立っていたクーに視線を移した。

 

「ランサーとお見受けする」

「おう。ランサー、クー・フーリンだ」

 

ジェイドはイオンの様子を見て、ガイの方を見た。

 

「ジェイド・カーティスと申します」

「ガイ・セシルと申します、カーティス殿。イオン様、初めまして」

「えっ」

 

イオンは驚いたようだったけれど、俺はわかった。手紙にガイはガイラルディアって書いちゃうからだ。マリオン宛の手紙をアリエッタに渡してわざと、以前から交流があったことはイオンに分かるようにしてあった。イオンにガイラルディアだよと耳打ちすると、イオンは表情をほころばせた。

 

「ガイ、初めまして」

 

そしてその後から、ティアが出てきた。

 

「私はティア・グランツよ」

「ほう。貴様がか」

 

ガイが腰の剣に手を掛けた。

 

「ガイ、よせ。彼女にはちゃんとキムラスカで罰を受けてもらおう」

「ですが、ルーク様」

「もう大丈夫だから。お前に会えたんだし」

 

俺はガイをなだめ、タルタロスの上を見た。そこに、エミヤがいた。

弓を構えている。

ティアに向けて、矢をつがえていた。

 

「エミヤ、降りてきてくれ」

 

エミヤが降りてくると、その手の弓が消えて、鎖に持ち替えられていた。

そして、一瞬でエミヤがティアを縛ってしまった。

 

「ちょ、えっ!?」

「罪人の身でありながら謝罪の一言もない、まあ使用人風情に謝罪などされようが関係ないが、ぬけぬけと名乗ったのだ、これくらいは当たり前だと思え」

 

イオンは暗い表情になった。

 

「エミヤさん、イオンと申します」

「ああ、マリオンから君の話は聞いている」

 

イオンがふらついた。俺はミュウをイオンに押し付けて、エミヤたち側に合流し、ティアを含めて、俺たちはセントビナーへ向かった。

六神将がいたから“前回”通りに進んでカイツールへ。

 

そこでヴァンと合流、アリエッタのフレスベルグに拉致られてコーラル城に連れていかれた。シンクとディストとアリエッタとちょっとくっちゃべって、アッシュが来たのでおとなしく同調フォンスロットを開けてもらった。

 

「随分大人しくしていますねえ」

「いや、六神将これだけ揃ってるのに暴れるとか自滅ものじゃんか」

「ま、そうだね」

「痛いとこ、ない、ですか……?」

 

アリエッタが気遣ってくれる。シンクは俺にこっそりと手紙をくれて、追いついてきたガイたちに俺は回収されて、アリエッタたちはそのまま解散していった。

 

ヴァンと再合流後、俺たちはバチカルへと帰還した。超振動騒ぎ?なかったよ。

 




超振動騒ぎはルークもサーヴァントたちも気を付けていたので起きてません。ルークを単独にしないで済むから霊体化って便利だと思うのです←

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