やはり俺の夢の世界は間違っている。   作:コウT

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pixiv投稿のやつをまとめてこちらでも
投稿してます。


続きになります。


こうして物語はようやく始まる

 

 

 

 

3月も下旬。

気温も少しずつ高くなり寒さから温かさが

目立つ季節となる。

同時に桜の花が咲き

お花見の季節となる。

そんな中俺はベットで布団に包まりながら

起きることを拒んでいた。

 

うーん手足を動かすのがだるい。

スマホのアラームが鳴りラインが来ているのを

現すバイブ音がずっと鳴っているが

もはやスマホに手を伸ばすのもだるい・・

 

 

 

 

 

まあ正確に言うと

起きることを拒むのではなく

起きれないのだ。

なぜかというと

俺の横には雪乃が小さい寝息をたてながら

気持ちよさそうに寝ているのである。

どうやら昨日あのまま寝てしまったようだ、やれやれ。

 

 

 

 

てことは・・

 

「おはよう、お兄ちゃん」

 

声のする方を見ると

そこには愛する妹小町が笑顔でこちらを

見ていた。

ふえぇ・・怖いよ・・・

 

 

「さてそれじゃあ

説明してもらおうか?」

 

「えーと・・

これはだな・・」

 

「それともここで死ぬ?」

 

小町ちゃん?

そんな危ない言葉を兄に向けて

言うものじゃありませんよ?

 

「まあその・・

昨日雪乃を家に連れて来たら

そのまま疲れて寝てしまって・・」

 

「知ってるよ。

帰ってきたら雪乃さんの靴があるから

部屋を見に行ったら仲よさそうに

寝てるから邪魔しないであげたんだ」

 

自慢げに笑顔で語る我が妹だが

その言葉の裏腹には

「家に連れ込むとはどういうことなのかな?

もしかしてそういうことなのかな?」

と別の意味の言葉に聞こえる・・

 

「とりあえず寝てしまったことは謝る・・」

 

「何で?

別に謝る必要はないじゃん。

そりゃあこ・い・び・と同士ですもんね~」

 

やたらその部分を強調してきますね・・

まあ俺が答えをださないことに

少しイライラしてたのだろう。

 

「あ、そーだ。

お兄ちゃんが寝ている間に

電話しておいてあげたから」

 

「電話?誰に?」

 

「結衣さんに」

 

ぎくり。

別に結衣にこの事を知られたことで

問題はない・・はずだけど

どうしても動揺を隠しきれん。

 

「結衣さんに

雪乃さんとお兄ちゃんが

仲良く寝てますよーと

写真付きで送ったら

わかったー、ありがとねと

返ってきたよ・・絵文字も顔文字もなしで」

 

「まずいつの間に写真を

撮ったんだ・・」

 

「昨日の夜だよっ」

 

妹はしてやったりと

寝ている様子の写真をこちらに

見せてくる。

・・・いやこれまずいね。

手繋いでるし距離めっちゃ近いし・・

こんなことしてたの俺。

ラノベの主人公感出て来てるよ、多分。

 

「もうそろそろ来るんじゃないかな」

と小町が言い終えると

ピンポーンと下からインターホンが

鳴る音がする。

どうやら来てしまったようだ。

 

「はいはーい、今行きますよー」

と小町は下に降りて玄関に

向かって行く。

朝から元気だな、あいつ・・

何かいいことでもあったのかな・・

 

 

 

 

 

いや待て。

冷静にこの状況まずい。

俺の隣にはまだ雪乃が寝ている。

とりあえず服は着ているな・・よし。

まずはベットから出て、

「ふーん・・へえ・・」

 

「あ」

 

時すでに遅しと言ったところだ。

ベットから起きようとしたら

すでにドアの前に結衣が立っているのが

視界に入ってきた。

後ろには小町がニヤニヤしながら

こちらを見ている。

 

 

「ではごゆっくりー

恋人同士の会話を

お邪魔しちゃいけませんので」

と微笑みながら小町は下に降りていく。

ああ・・我が妹よ。

お前は兄をどうしたいのか。

 

 

「さてと・・ヒッキー」

 

「は、ははいい・・」

 

「私達が付き合う時の

決まり事って覚えているかな?」

 

「えーと・・報告でしたっけ?」

 

「そうだよ」

 

ニコニコと笑いながらこちらを見る結衣だが

その笑顔には闇よりも深い黒い物が

宿っているのが見えた・・・気がする。

多分そのうち

「闇の炎に抱かれて消えろ」とか言っちゃう

かもしれない。

 

「どうして私に報告してくれなかったのかな?」

 

「いやあ・・昨日は疲れてまして」

 

「言い訳?」

 

「はい・・」

 

白旗をあげるのに一分もかからない会話だった。

俺の特技の一つ言い訳を使わせないとは・・

結衣はため息をつくと視線を雪乃に移した。

「とりあえずまだゆきのん寝てるし

昨日何があったか詳しく教えて」

 

「ああ、わかった」

 

俺はベットから起き上がる。

その日は春一番の温かさらしいが

天気予報によると夕方から雨が降るらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そっか・・

先生は味方になってくれないんだ・・」

 

結衣は残念そうな顔で落ち込んでいた。

まあ妥当な反応だな、これが。

 

「とりあえず今は今後どうするかを

三人で話そうと思うんだけど・・」

 

チラっと横で寝ている雪乃を見るが

とても気持ちよさそうに寝ていて

とても起きそうにない。

ここは起こさない方がよさそうだ・・

 

「まあもう少しで起きるだろうから

今は寝かせといてやろう」

 

「そうだね・・ねえヒッキー」

 

「なんだ?」

 

「ヒッキーは・・・どうしたいの?」

 

「・・・どうもしたくない」

 

この答えが今は妥当だと思う。

この関係が嫌いなわけでもないし

壊したくはない。

なら続けられるまでずっとこの関係を

続けていけばいいのだ。

 

 

「結衣はどうしたいんだ?」

 

「わたしは・・前にも言ったけど

私は今の関係に満足しているから

誰が何と言っても自信持っていうよ・・

私はヒッキーが大好き。

そしてヒッキーは私とゆきのんのことが好き。

それでいいの・・

この関係が他の人から見ておかしくても

あたし達が満足ならそれでいいの・・」

 

いつの間にか結衣は落ち込んだ顔から少しずつ笑顔に

戻っていた。結衣の中でもどうやら結論は

決まっていたようだ。

 

「だから・・私はヒッキーの意見に賛成だよ。

別に誰が何というと関係ないから

探さなくてもいいんじゃないかな・・

依頼人が誰でもどうでもいいし・・」

 

なんだろう・・この感じ。

前にも味わったことがある・・

この結衣の小さく微笑む笑顔は・・

修学旅行の最後・・そうだ・・

海老名さんが見せてきた笑顔に似てる・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれ・・修学旅行って・・何したっけ・・?

 

 

 

 

 

 

 

 

「悪い、ちょっと外出てくるから

雪乃を見といてくれ」

 

「どこいくの?」

 

「軽い散歩だ。

まだ少し眠いしな・・」

 

俺は結衣を雪乃を見守ってるのを確認すると

そのまま部屋を出て玄関に向かう。

小町はリビングでテレビを見ているので

気付いていないためそのまま靴を履き外に出る。

夕方から雨とは聞いていたがすでに雲行きが怪しい。

 

 

 

 

とりあえず家の周辺でぐるぐると回るだけでいい。

散歩と言いながら今は一人で考える時間が必要だった。

 

 

 

さてと・・おかしいことが二つある。

一つは昨日の違和感だ。

雪乃がノートに名前を書いた時と

雪乃が仲間外れという言葉を発した時だ。

何なんだ、あの違和感は。

凄く気持ち悪いし・・むかむかするし・・

なんで仲間外れという言葉でそんなに・・

俺が誰かをのけ者にでもしてるとでも

いうのか・・

そして二つ目はさっきの結衣の笑顔・・

あの笑顔を最初に見たのは

修学旅行で海老名さんが見せた時だ。

でもあの時とは状況が違うし

結衣の言ってることに特に深い意味はないはずだ。

あーもやもやする。

なんなんだ、一体。

 

 

本当にイラつく。

なんでもかんでも俺の思い通りにいかなくて・・

俺の思い通りに動いてくれるのは

雪乃と結衣だけだ。

あいつら以外の人間はみんな・・みんな・・

みんな邪魔してくる。

そうだよな、考えてみれば別に

あの二人がいればいいんだから

それ以外の人間なんかいなくてもいいんだよな・・

 

 

 

 

 

 

俺は全く気付いてなかった。

いつの間にか空が赤くなっており

さっきまで通っていた通行人が消え

何の音もしてないことに。

 

 

 

 

 

 

 

ああ・・

ようやく静かになった。

あいつら以外の人間がいるから

おかしくなるんだよ。

俺の思い通りにいかないやつなんて

始めからいなきゃいいんだ。

邪魔でしかない。

雪乃と結衣はその点俺の事を愛してくれて

俺の思い通りに動いてくれる・・

 

 

そーいえば前に小町が言ってたな。

どちらが決めないとこの関係から抜け出せなくなるって。

なら決めなきゃいい。

この関係から抜け出そうとするから苦しくなるんだ。

苦しい思いをしてまでして答えなんか出す必要なんて

ないだろ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

そうだ・・

 

 

 

 

これが俺の求めていた

 

 

 

 

 

 

 

 

本物・・・・・

「それは違うと思うな、比企谷君」

 

 

 

 

 

 

 

 

静寂な世界は一言で崩された。

俺はその一言が発された方向を向くと

そこにはベージュのトレンチコートを羽織り

コートの中から黒いカーディガンが見え

首元におなじみの金鎖のネックレス。

黒い瞳と微笑しているその顔に

俺はどこかで見覚えがある気がしていた・・

 

 

 

 

えと・・誰だっけこの人?

 

 

 

 

「・・・えーと・・私の事わからない?」

 

「はあ・・すみません」

 

その人は俺の質問に対して

そっかと呟くと

再び俺の方を見つめてくる。

 

 

「それじゃあまず質問させてもらいます。

君は比企谷八幡君であってますか?」

 

「は、はい・・比企谷です・・」

 

「おけ。じゃあ次なんだけど・・」

 

 

その人はさっきよりも微笑んだ顔で

俺にその一言をぶつけてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「君はこっちの世界の比企谷君?

それともあっち?」

 

「・・は?」

 

 

こっちの世界?あっちの世界?

何を言っているんだ、この人は。

異世界から来たのか?

 

 

 

「うーん・・その反応を見る限り

どっちかも忘れてしまったか・・

多分あっちの比企谷君であってるはず

なんだよね・・」

 

 

その人は何かを考えるかのように顎を触り

うーんと唸っている。

一体なんだこの人は・・

 

「その・・何かわからないですけど

俺を探しているんですか?」

 

「うん。君を探しにガハマちゃんの夢から

わざわざこっちの世界に来たんだよ。

もう本当にめんどくさかったんだから・・」

 

「はあ、すいません・・」

 

俺が謝る必要はないのだが

どうにもこの人の態度を見て

つい謝ってしまった。

てかガハマちゃんって誰?

まさかと思うが・・

 

 

「その・・ガハマちゃんって結衣のことですか?」

 

「ほう・・こっちの世界ではガハマちゃんも

君の彼女設定だから名前呼びですか。へえ・・」

 

何だろう・・俺の第六感が口を滑らせたと認識している。

どうやら言ったらまずいことだったらしい・・・

 

 

 

でも変だな。

この人初対面のはずなのに

なんでこんなに俺が警戒をしているんだろう..

いやまあ初めての人だから警戒するのは当たり前だけど

なんかそういう警戒とは違うような..

 

 

 

 

 

 

「あの..結衣の夢から来たってどういうことですか?」

 

「うーん..今の君にはまだわからないから

まずは君を本当の比企谷君に戻そうか」

 

「はい?言ってることがさっぱりわからないのですが..」

 

「簡単だよ。

ねえ、比企谷君。

君はこの世界に何しにきたの?」

 

「何しに来たって・・別に俺は元々」

と言いかけたところで俺は何かがおかしいと感じていた。

来た?世界?・・・・・・世界?

 

「そもそも君はここがどこだがわかる?」

 

その人が発する言葉の一言一言はなぜか

心が締め付けられるような気がして

どうにもいい気分になれない。

 

 

「比企谷八幡君。

もう一度思い出して。

君はどこから来て何をしようとしたのか」

 

 

 

 

俺は頭を抱えていた。

さっきの違和感どころじゃない。

脳が壊れそうだ、頭痛とかそんなレベルじゃない。

 

何しに来たって・・俺は元々この世界に・・・いた?

本当にいたのか・・?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

違う。

この現実の世界は何か違う。

俺は・・・

 

 

 

 

「「「・・・なんで・・・助けてくれなかったの・・比企谷君・・

 

あなた・・・の・・ど・・て・・

 

 

 

私を見捨てたの」」」

 

 

 

 

そうだ。

思い出した。雪乃・・違う、雪ノ下のこの言葉で

俺はこの世界に来ようとしたのだ。

この世界は現実じゃない。

何もかもが嘘で固められ全てが都合いいように

出来ている。

 

俺が一番理解してたはずだ。

そんな関係を一番嫌っていたはずだ。

なのに・・俺はその関係を

現実を・・受け止めようとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現実なんかじゃない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここはそう・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夢の世界だ。

 

 

 

 

「どうやら少しは思い出したようね」

 

俺の様子を見て察したのかその女性は

ニコリと笑った。

 

「じゃあ改めて聞くよ。

君はこっちの世界の比企谷君?

それとも・・」

 

俺はその問いに自信満々で答える。

そうだ、俺は・・

 

「あっちの世界・・

あなたの世界から来た比企谷八幡ですよ。

雪ノ下さん」

 

「・・私の事も思い出してくれたのね。

さすが比企谷君」

 

 

 

そうだ。

この人は雪ノ下陽乃。

雪ノ下雪乃の姉であり

雪ノ下と由比ヶ浜を救うために

夢の世界に行った人物。

そして雪乃達を救う方法を

知っている人物だ。

何かも思い出した。

俺はあいつらを救うために変な薬を注射して

夢の世界に来たのだ。

何をやっていたんだ今まで。自分の夢に

自惚れるなんて・・

 

「どうやら色々ご迷惑おかけしたようですね」

 

「まあその辺はあとでお説教してあげるよ。

とりあえず・・」

 

雪ノ下さんは辺りをチラチラと見て何かを確認すると

再び視線を俺の方に戻した。

 

「場所を変えようか。

少なくとももう君の夢の世界は限界のようだ」

 

「限界?」

 

「いいから黙ってついてきて」

 

そう言って雪ノ下さんはコートのポケットから

リモコンのような端末を取り出すと

そこにあるボタンをポチっと押した。

ポチっとな!

すると目の前に白い光の扉のようなものが現れる。

えーと・・何これ。

闇の回廊よりはかは安全そうにみえるけど・・

 

 

「さあさあ入った入った」

と雪ノ下さんは俺の腕を引っ張り

そのまま扉の中に連れ込む。

俺は言われるがままにそのまま引っ張られることにした。

今は色々と反省の面も込めてこの人には

逆らわない方がいいだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

「さーて到着」

 

「ここは・・・部室?」

 

目を擦りもう一度確認する。

間違いない、ここは奉仕部の部室だ。

 

「ここは私が一時的に他人の夢に行くときの

中間地点として作った場所なんだ。

ここから色んな人の夢の中にいけるように

してる」

 

「へえ・・すごいもの作れるんですね・・」

 

「でしょ・・・さてと」

 

クルっと俺の方を向いた雪ノ下さんは

いつもの笑顔は消え隠すことがない

怒りをあらわにしていた。

 

 

「ねえ比企谷君、私は君になんていったか覚えてる?」

 

「えーと・・私が消えても探さないでですか?」

 

「そう。というより君はどうやってこの夢の世界のことを

知ったのかな?少なくともこの事を知っているのは

雪ノ下の人間だけなはずだと思うんだけど・・」

 

「由比ヶ浜から電話がきたんですよ。夢の世界から」

 

「ふーん・・なるほど」

 

どうやら雪ノ下さんには何が起きてるのかが

わかってるらしく怒った表情が少し微笑した表情へと変わった。

 

 

 

「確かに言いつけを守らず雪ノ下さんと同じように

来てしまったのは謝りますけど・・でもここで俺は

引き返すことなんてしませんよ」

 

「ああ、それは大丈夫。というより引き返せないから」

 

「え?」

 

「君を強制的に夢から覚ます方法はいくつかあるけど

それだと後遺症残る可能性あるから雪乃ちゃんとガハマちゃんを

助けたあとでみんなで仲良く戻りましょう」

 

「はあ・・」

 

「とりあえず君には色々説明しなきゃいけないから

まずは座りましょう」

そう言って雪ノ下さんはいつも雪ノ下が座っている椅子に

座り俺も自分の椅子に座る。

 

「またそこなんだ・・まあいいけど」

 

「ここが気に入ってるんで」

 

「さてと・・・まず一つ目はここが夢の世界であることは

もう知ってると思うけど単純に夢の世界って

どういうものを意識する?」

 

「・・自分が見ている夢を再現するとかじゃないですか?」

 

「まあおおよそ合ってるかもね。

けど正確にいうとみている夢ではなく

見たい夢を再現しているんだよね、ここは」

 

「見たい夢ですか?」

 

「そう、だって」

 

 

 

 

部屋の外は夕暮れで夕日が窓から差し込んでいる。

奉仕部のこの景色はいつも変わらないが

どうやら夢の世界はここで一気に変わりそうだ。

 

 

 

 

 

「この世界は自分が望んでいることを

夢として再現する世界だから」

 

 

 

 

 

 

今回もここまでお読み頂きありがとうございました。

物語スタート地点です。

 

続きます。

 


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