やはり俺の夢の世界は間違っている。   作:コウT

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続きです。




平塚静とはどうにも分かり合えない

雪乃の家でご飯を食べた後結衣は

そのまま泊まり俺は家に帰宅し

帰宅後小町の質問攻めを

うまく避けそのまま寝てしまった。

 

 

 

 

そして今日は雪乃と先生のところに行くべく

俺は先に学校へ行き教室に行き

ぼーっとしていた。

もうこの教室で学ぶことは

ないけれどもなんだかんだ

色々あったからな、この一年は。

 

 

 

 

そしてこのクラスの中枢メンバーとも言える

葉山グループ・・いやもう葉山がいないのだから

そう呼べないか。

葉山隼人が転校したことで

あのグループがどうなったかは知らない。

戸部、三浦、海老名さん、結衣

あとはまあ大岡に大和か。

 

 

 

 

 

 

 

うーん

イマイチ心配することでもない。

正直あいつらがどうなろうが

今の俺には特に問題も

ないことだし

むしろあいつがいないことで

奉仕部の関係が

バレることがなくなるので

好都合だ。

 

 

「・・・何をしているのかしら?」

 

後ろから声がするので振り返ると

雪乃が立っている。

学校なので制服姿であるが

この一週間私服ばかり

見ていたせいかちょっと

懐かしく感じる。

 

「別に。なんとなくいただけか」

 

「てっきり由比ヶ浜さんの机から私物を

盗ってるのかと思ったわ、泥棒谷君?」

 

「盗むならもう少し

うまくやるわ・・」

 

まあマニアには

高くうれそうだけど

あんなやつに

そんなコアなマニアなんか

いるのかね・・

 

 

「さてと・・それじゃあ行くわよ」

 

「おう」

 

先生はすでに職員室にいるはずだ。

まあ合コンで釣るのは現実的に

考えても無理なので

ここは大人の話し合いと

行こうじゃないか・・

 

ガラっと職員室のドアを

開けると職員室には

静かでただ一人平塚先生が

自分の机に座っていた。

 

 

 

「先生。お疲れ様です」

 

「おお、来たか。まあ立ち話もなんだ」

と先生はいつもの応接スペースに案内し

ソファに座るとタバコ取り出し火をつける。

俺達も向かい側のソファに座り

じっと先生を見つめる。

 

「さて・・どうだね、調査のほうは?」

 

「そのことについてなんですが

調査するにあたって色々と不明な点が

多く、奉仕部としてこの依頼を

受けることができません」

雪乃はきっぱりと告げる。

まあ昨日の口ぶりからして

ちょっと怒ってたりするのかね・・・

 

 

 

 

「ほう・・不明な点とは?」

 

「依頼人と今回の調査依頼の目的についてです。

依頼人がどういう人物なのかを

知る必要はあると思いますし

何故調査することが必要なのかを

知る権利があると思います」

 

「ふむ・・」

平塚先生は腕を組みじっとこちらを見つめる。

 

 

先生は奉仕部の顧問だ。

だけどこの人は俺達を

助けることはない。

奉仕部の見本のように

ヒントを与え、俺達が自分で

答えを見つけ解決していく流れを

作り出してくれる。

だからこそ今回の件もヒントをくれるだろう

そう俺はたかをくくっていた。

 

「雪ノ下がそういうことを言うということは

比企谷。彼女達に教えたのか?」

 

俺は先生の問いにこくんと頷いた。

その反応みた先生は天井に向けて煙を勢いよく

吐きだし再び俺らのもとをじっち見つめて

会話を続けた。

「・・依頼人については悪いが

教えることはできない、そういう約束なんだ。

ただ目的に関しては

心当たりがあるんじゃないのか?」

 

俺達の心に問いかけるかのように

先生の目は鋭く全てを見透かしたのような声だった。

 

 

「・・すみませんが意味がわかりません」

 

「とぼけるのもいい加減にしたまえ、雪ノ下。

君と由比ヶ浜が比企谷と付き合っていることは

知っている」

 

「・・・誰からですか?」

 

「・・私の勘だよ」

 

先生はたばこを灰皿にもみ消し脚を組む。

 

「君はこうなることを予想しなかったのかね?

今やこの学校で奉仕部のことを知ってる人間は

多くその部員の存在も知れ渡っている。

普通なら男が一人に女二人の部活だから

色々と根も葉もない噂が出ることだろう。

けどそういう噂が出なかったのは・・」

 

そう言うと先生は俺のほうに視線を変える。

雪乃も不安そうに俺のほうに視線を変えてきた。

正直見つめられると照れる・・

なんて考えている時ではなさそうだ。

 

 

「・・まあ比企谷だから

彼女達に手を出すようなことは

しないだろうと私も思ってたし

奉仕部に関わってきた誰もが

そう思っていたのだろう。

だから私は極力君達の問題には

干渉することなく

君達自身の自主性に託すことにしたんだ」

 

「・・つまり先生はこう言いたいのですか?

比企谷君が私達二人と付き合っていることが

問題だと・・」

 

「簡単に言えばそうだ。

まさか君がそんな答えを出すなんてな」

 

じっと見つめてくる視線に

俺はただ目を逸らすことしかできず

情けなく感じる。

そんな俺を見たのか雪乃は強気な姿勢を

代えず引き下がろうとはしなかった。

 

「何が問題なのか聞いてもいいですか?

あくまで比企谷君が私達二人と

付き合っていることは三人とも同意の上での

判断です。

それを他人に口出しされる筋合いはないと

思いますが」

 

「変わったな、雪ノ下。

君は本当に変わったよ。

 

 

 

悪い意味で」

 

 

 

もはや空気は重くすぐに逃げ出したい。

雪乃も平塚先生も一歩も引かない様子だし

何より先ほどの先生の発言で

雪乃は頭にきてる。

 

「・・私は元々こういう性格ですが」

 

「ほう・・

君はこの世界を変えると言っていたが

どうたら自分が変わったことにすら

気付かないようだな。

悲しい話だ」

 

「先生みたいに永遠孤独で変わらない人生を

送り続けるよりかはましだと思いますが」

 

 

雪乃は吐き捨てるかのようにそのセリフを

告げてしまった。

あかん、あかんよこれは。

いくら女の子には手を出さなくても

この空気で言われたとなれば

いくらなんでも・・

 

「好きに言うがいい。

君の言うとおり

私は永遠孤独な人生かもしれないしな」

フフっと平塚先生は笑っていた。

あれ?静ちゃん?

あなた本当に平塚静さん?

コピーロボット?

もしくは影分身?

いずれにせよこの平塚先生は

いつもと違い手ごわいぞ・・

何かを悟り諦めて強くなったのかもしれん。

 

 

「比企谷、お前にはあとで

パワーアップした私の技を

披露してやろう」

 

どうやら話し合いが終わった瞬間に

加速装置を使う必要があるようです。

 

「いずれにしても

先生に何か言われる筋合いは

ありませんし

私達はこの関係を変えません」

 

「本当にその選択が正しいと思うのか?

今はいいかもしれんがいずれ

どちらかを選ばなきゃならない時が

くるかもしれない。

その時お前は自分が選ばれなければ

どうするつもりだ?」

 

「いや・・ちょっと待ってください」

 

ここは口を挟まずにはいられなかった。

確かに先生の言うこともわかるし

それが正論だと認める。でも

「今はこの関係でいいじゃないですか。

俺達がこの高校に在学している間は

この関係を続ける。

卒業したらその時また考えればいい。

俺達が消えたら

先生ももう関わる必要がなくなるんだし

いいじゃないですか」

 

 

俺は自分の考えを自信に満ちた声で告げた。

欺瞞も傲慢も曖昧さも嘘も一切ない答え。

由比ヶ浜結衣、雪ノ下雪乃、比企谷八幡。

彼等が考えてることを

俺は先生にぶつけた。

きっとわかってもらえる。

そう考えていた。

 

 

 

 

しかし俺の発言を聞いた先生は

寂しそうにそして残念そうな表情に変わった。

「・・そうか。

比企谷、お前にとって

私はその程度の存在ということか」

 

 

その程度。どの程度?

俺にはあなたの言う程度が

わからない。

 

 

 

 

 

 

「・・どうやら無駄な時間だったようだ。

悪いが依頼人は教えることが出来ない。

わかったら出てってくれ」

 

「先生、話はまだ」

 

「出てってくれ!!!」

 

 

先生の怒鳴る声に

雪乃は怖気づいたのか震えているのが

見えた。

俺はつかさずそばに行って支え

そのまま出入口のドアへと誘導する。

 

 

「・・・・・失礼しました」

 

俺は返ってくることがないと思っても

その一言を言わなければ

この場を去ることができなかった。

ドアを閉める時

先生が窓を見ているのが見え

その泣きじゃくった顔は

とても可愛さもかっこよさも

微塵も感じられない顔で

俺は何かを言えない気持ちのまま

職員室を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大丈夫か?」

 

「ええ・・」

 

 

雪乃を休ませるために

奉仕部の部室で俺達は

休んでいた。

向かってから気付いたのだが

先生から鍵を借りるのを

忘れて閉まっていると

思ってたのだが

部室前に着くと開いているドアが

目に入った。

元々開けておいてくれていたのか。

いずれにせよ今はお礼を言うこともできない。

 

「・・悪いな。

俺があんなこと言わなければ

先生が怒らなかっただろうし・・」

 

「あなたのせいではないわ。

私達の考えをわかってくれない

先生が悪いのよ・・・」

 

雪乃は泣きそうな声で呟いた。

俺は頭を撫でてやることしかできないが

それに満足したのかを

雪乃はそのまま俺の胸に

トンと頭を預けて

ギュっと俺の服を掴む。

 

「私達の関係は・・いけないことなのかしら?」

 

「・・世間一般から見れば非難される考えだろうな。

でも普通なことができないから

俺達はこういう関係になったんじゃないか。

その関係にお前は満足してないのか?」

 

「・・してないわけないわ。

あなたと付き合えて

由比ヶ浜さんと友達でいることができて

彼女を泣かせることなく

三人でこのまま変わらず

過ごしていく。

私は今・・幸せだわ」

 

服を掴む力が強くなるのを感じる。

どうやら少しは落ち着いたようだ。

 

 

「さてと・・これからどうする?」

 

「そうね・・先生の力を

借りれない以上私達だけで

探すしかないわね。

まずは先生に依頼をしそうな人物に

心辺りはないか考えましょう」

 

そう言って鞄から

無地のノートを一冊取り出し

ぺらっと開くと

雪乃はペンを取り出し何やら書き始めた。

覗くとどうやら名前を書いているようで

三浦優美子、海老名姫菜、川崎紗希、戸部翔

城廻めぐり、戸塚彩加、折本かおり等

俺達が今まで関わったことがある名前が

ずらりと並んでいた。

 

「こんなところかしらね」

 

「そうだな・・ん?」

 

 

なんだ・・

この得体の知れない違和感は。

何で俺はこの名前を見て

違和感を感じるんだ・・

誰か欠けているわけでもないのに

なんで・・

 

 

「どうしたの?」

 

「いや何でもない」

 

今は雪乃が心配するし後で考えよう。

ここは集中しないと。

真面目スイッチオンにせねば。

 

「にしても

こいつらが俺達のことに

ついて聞くとは思えないな・・」

 

「そうね・・

そんなに私達の関係について

知りたいと思っているような

人物はいなさそうだし

学校内の人間の可能性は

低そうね・・」

 

 

雪乃の言うとおりだ。

一人一人考えても俺達の事を

知りたいと思うやつはいない。

三浦は葉山が関わらなければ動かないだろうし

海老名さんもこういうことに

首を突っ込むとは思えない。

戸部はありえんし、川崎も違う。

戸塚は・・・・うん、どちらと

言うと俺の事を知りたいってことで

調査依頼を出してほしいな。

遠慮なく全部晒け出してやろう。

まあ折本もめぐり先輩も

そもそも奉仕部については

そこまで知らないだろうし

やはり学校内の人間ではないのか・・

 

 

「・・ねえ」

 

「ん?どした?」

 

「今日・・この後暇?」

 

「ああ・・別に大丈夫だけど」

 

「なら・・」

と言って雪乃はノートを閉じて鞄に仕舞い

立ち上がるとニコっと笑って

「もう今日は終わりにして

私と今からデートに行ってくれないかしら?」

と告げる。

 

 

 

俺はその問いに喜んで以外の

解答を見つけることができなかった・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなこんなでなんと今回のデート先は・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何々・・

ほう・・比企谷と書かれた表札。

 

はい、もうめんどうなので

簡単言うと我が家です。

比企谷ハウスです。

ショッピングモールで買い物とか映画とかを

提案したけれども

雪乃さんはどうやら我が家に来たいということで

無事我が家までのエスコートを

先ほど完了致しました。

 

 

「とりあえず先に部屋にあがっといてくれ」

 

「わかったわ」

 

とりあえず飲み物とお菓子と・・

家が静かなところを見ると小町は

いないようだな・・

 

 

 

「ほい、持ってきた・・」

 

「あ、その・・ごめんなさい」

 

 

部屋の扉を開けた瞬間

目に飛び込んできたのは

俺のベットでごろごろと

している雪乃だった。

ははーん・・

 

 

「まあ・・別に休みたいなら

そのままでいいぞ・・」

 

「そ、そう・・ありがとう」

 

「今日一日色々あったし

休む時間は必要だろうしな」

 

よっこっらせと俺もベットのそばに

座るがぐいと服の袖が引っ張られる。

 

「・・その・・」

 

「・・?」

 

「私一人でこうして

ベットの上で寝ているのは理不尽だと

思うからその・・」

 

「・・さすがにそれは小町に見られたら

誤解されかねない」

 

「大丈夫よ、小町さんが帰ってくる前に

起きればいいのだから」

 

「はあ・・」

俺は頭を搔きながら雪乃の横に

寝そべった。

 

 

やべえ・・すげえ緊張する。

お互いの顔の距離が一気に

近くなったのでめっちゃ心臓鳴るし

手汗とかかいてそうで怖いし

えーと・・その・・

 

「・・ねえ」

 

「・・ん?なんだ?」

 

「私達の関係はやはり誰からも認めてもらえないのかしら」

 

「まあ認めてもらうのは難しいだろうな。

けどさっきもいったけど

俺はこの関係で満足してるし

お前達も満足してる。

それじゃだめか?」

 

「ううん・・私はこの関係が大好きで・・

だからこそ誰かに文句言われたり壊されたりすることが

怖い・・八幡・・私、怖いの・・・」

 

俺は怯え震えている雪乃を

抱きしめいつも通り頭を撫でてやる。

人は悪い考えを持つと

その考えにのめりこんでしまう傾向が

あるらしく今の雪乃は

まさしくその状態だと思う。

 

 

 

 

「なあ雪乃。

そんなに不安ならもう探すのやめにしないか?

俺はお前達が信用してくれるならそれでいいんだ。

誰かが何をしようとそん時は

俺がお前達を守る・・・・多分」

 

「そこははっきりいってほしかったわ」

 

雪乃の微笑する声が聞こえた。

まあきっぱりとちゃんと言えなかったり

するのも俺の悪い癖の一つだな。

でもハチマンウソツカナイ。

 

「・・そうね。

けど私だけでは決められないわ。

ちゃんと今日の事を由比ヶ浜さんにも

相談して・・三人で話しましょう。

私達は同じ部員なのだから」

 

「そうだな・・

仲間外れはよくないからな・・」

 

 

 

まただ。

またこの違和感だ。

仲間外れという言葉を発した瞬間に

心臓から湧き出るように出てきた。

何で出てくるんだ・・

俺はこの違和感の正体を

なぜわからない・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何とかここまできた。

まさか比企谷君もきてるなんてな・・

あれだけ釘を刺しておいたのに。

まあ彼の性格上雪乃ちゃん達を

助けに行こうとするのは当たり前か。

 

 

さてと・・

これ以上は待ってられない。

比企谷君には申し訳ないけど

そろそろ現実に帰ってきてもらわなきゃ。

うーんそうだな・・

ゲームに例えるなら

ようやくここでプロローグが終わるところかな。

 

 

そろそろこの夢の世界から現実の世界へと

戻ってきてもらわないとね。

 

 

 

 

 

 

 

だって全部夢なんだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続きます。


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