やはり俺の夢の世界は間違っている。   作:コウT

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続きです。
いつも通り温かい目でお守りください。

pixivと並行してやっておりますので
こちらの投稿が少し遅れる場合がありますので
よろしくお願いします。


比企谷八幡はどうにもこの事実を受け止められない

総武高校までの道のりは至って単純だ。

家から曲がり角が多少はあるもののほとんど道なりに進めばいいだけだ。

その為いつもは多少遅れていっても間に合う、ましてや自転車だからな。

が今日はその自転車に少々重い荷物がついている。

いや重い荷物というかなんというか

 

「あら、私の事をそんなふうに思ってたなんて心外だわ」

 

 

 

だから心読むのやめて!

後ろの荷台に座ってる雪ノ下は俺の腰に手を回してギュっとくっついている。

いやしかしなんだろう・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

相変わらず何も感じない。

本人も気にするよ、これ。

 

「次にそんなこと考えたらどうなるかわかってるでしょうね?」

 

後ろから雪ノ下が小さくつぶやいてるのが聞こえた。

いやもうやめて!何君そんなことできたの?

とうとう氷タイプだけでなくエスパータイプにもなったの!?

 

 

 

まあそんなこんなしてるうちに学校が見えてきた。

自転車を止めて後ろを振り返ると雪ノ下はこっちを見ていた。

 

 

いやだからその上目使いは・・・

 

「・・な、なあ雪ノし・・雪乃」

 

「まだその癖なおらないのね。何?」

 

「話の続きをしてくれるってことだけど

由比ヶ浜が俺に告白してそれからどうなったんだ?」

 

 

「そーね・・教えようと思ったけれども

自分から由比ヶ浜さんに聞きなさい」

 

「いやあのそれは・・」

 

「私のことをなかなか雪乃って呼べない罰よ」

 

とフフっと笑う雪ノ下。

楽しそうだなあ本当に。

 

 

はあと俺は青空を見上げながら大きくため息をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雪ノ下とはあのまま別々に別れ俺は自転車を置いた後教室へ向かった。

教室の雰囲気は相変わらずで特にこれといった変化はなさそうに見えた。

 

「あ、八幡!おはよう!」

 

教室に入ってきた俺を見つけた天使が近づいてきた。

天使という名の戸塚彩加は俺の目の前に立ちニコっと笑う。

 

「もう学校サボって一緒に駆け落ちしよう」

 

「え?八幡なんか言った?」

 

 

いかんいかん。つい本音が・・

 

 

「今日で二年生も終わりだね・・三年も八幡と同じクラスならいいな」

 

「安心しろ。同じクラス以外ありえん」

 

うむ。だって同じクラスにしなかったら反乱起こすまである。

八幡の乱である。みんなテストに出るから覚えといてね!

最も俺一人しか反乱しないけど。

 

 

 

 

 

 

 

俺は自分の席に着いて鞄を下ろす。

と後ろから何かがぶつかってきた衝撃が走った。

 

「えへへ・・ヒッキー!」

 

その声、その笑顔、そしてこの包容感あるもの。

いやちゃんと言葉にしたら何か俺がそこしか見てないように思えるじゃん。

まあ嫌でも目につくし自分から見てるときのあるから何とも言えないんですけどね。

ほら街中とかでそういうポスターみたら嫌でも目に入るじゃん?

つまり法則としてはあれと同じなんだよ。

人は見たくなくても嫌でも目に入ると見つめてしまうというかね。

まあそんなことを説明したいわけではないんだ。

 

そう、俺がこの世界で会いたかったもう一人の女の子。

えへへと俺の顔を見て笑っている由比ヶ浜結衣にようやく出会えた。

 

 

 

「ヒッキー、おはよ」

 

「おう、おはよう・・」

 

久しぶり過ぎてどうやって挨拶していたか忘れた。

こんな感じでよかったんだよね?由比ヶ浜との会話って。

由比ヶ浜との会話のテンプレが俺の頭の中でいつの間にか消去していたようだ。

 

「ヒッキー今日終業式終わったら一回部活行くでしょ?」

 

「まあそりゃあ部活だからな・・」

 

「じゃあそれ終わってからだね!えへへ」

と由比ヶ浜は笑顔を隠せないのかずっと笑っている。

まあ女の子が会話している中で笑顔っていいものだよ。

 

 

これは俺の友達の友達の話なんだが

中学の頃、そいつが女の子に話しかけにいくと

ひきつった顔で苦笑いしてる顔か真顔かあからさまに嫌そうな顔しか

されなかったらしい。

つまり高校に入るまでこんなまぶしい笑顔を会話している中で

見たことないらしいぞ、そいつ。

可哀想だな、きっと辛い日々送ってきたんだ。

思いだしたら可哀想になったからやめよ、うん。

 

「じゃあまた後でね」

と由比ヶ浜は三浦達の元へ戻って再び会話をスタートしたようだ。

何だよ、三浦達もいるのかよ。

グループも三浦に海老名さんに葉山に戸部に大岡、大和とまあ何も変化もない・・

本当に俺、夢の中に来たのか?これひょっとして時間が戻ったとか・・

あ!もしかしてこれが今、噂になっている死に戻りか。

ついに俺もそんな能力を手にしてしまったか、俺の異世界生活がスタートするのか

ここから・・・・・・・・・・・

 

 

うん、ねえな。

大体あれの主人公とは正反対で普通にどんな運命でも受け入れようとしちゃうし

まず何回も死ぬとかごめんだわ、痛いし。

 

そんなことを考えてるうちにチャイムが鳴っておりHRが始まろうとしていた。

まあそんなこんなで再び二年生のやり直しが始まるのだった。

二年生終わりだけどね今日で。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

というわけであっという間の終業式。

帰りのHRも特に伝達事項しかなく俺はさっさと支度をして部室へ向かおうとする。

「今、大丈夫か?」

と後ろから肩をたたかれる。

振り返るとそこには葉山が立っていた。相変わらずの爽やかさはこの世界でも健在で

おまけにちょっと身長が高いように見える。

いや別に気にしてないよ、本当に!

 

「なんだ?これから部活だから手短に頼む」

 

「手短というのは難しいかもな・・ちょっと屋上に行かないか」

 

 

屋上ねえ・・また屋上だよ。

どうして屋上で俺はいつも何かしらのイベントをこなさなきゃならないんだ。

屋上ってそんな重要スポットだっけ?

 

「・・・断っても駄目なんだろ。ならさっさといくぞ」

 

「ありがとう」

 

 

 

さて懐かしの屋上である。

相模との一件が一番イベントとしては重大であるが

ここはそれ以外にも人と話すにはうってつけの場所なので

たまに依頼人と内密な話をするときがある。

 

「んで?なんだ?」

 

「・・・雪ノ下さんのことと結衣のことで聞きたいことがある」

 

 

 

出た。

雪ノ下が俺と付き合ってると言った時に全く思わなかったわけじゃない。

もし俺が雪ノ下と付き合ってることを葉山が知ったらどういう反応をするのか。

少なくともこいつは雪ノ下のことを多少なり好意を寄せている。

まあ過去に何があったかはプライバシーの問題でもあるし

興味もないからいいけれどそれでも雪ノ下に彼氏ができたとなれば話は別だ。

 

 

 

「・・・何のことだ?」

 

ここはとぼけて反応を見てみるが

「誤魔化しても無駄だ。雪ノ下さんと結衣が君と付き合ってることは知っている」

 

 

いやちょっと待て。

前者はともかく後者は今俺初めて聞いたぞ。

 

ふと葉山を見ると意外そうな顔をしている。ああ、俺が驚いた反応してるからか。

 

「・・・それがなんだ」

 

「・・君がそんな選択をするとは思わなかったよ。正直意外だ。

けどその選択は間違っている。それに君自身だってそれを望んではいないはずだ」

 

望む望まない関係なくもはや起きてしまってるんだから

そんなの俺が変えようもできない。

しかし葉山は相変わらずキッとこっちをにらみつけるような表情で話を続ける。

 

「もし君が二股しているという噂が流れその相手が奉仕部だとわかれば

奉仕部のイメージダウンになり何よりあの二人だって何されるかわからない。

何かが起こってからじゃ遅いんだ、比企谷」

 

 

ここでふと葉山に関して気づいたことがある。

いつもの葉山なら怒りで満ちていても焦りを出すことはない。

しかし今日の葉山はどこか焦りを感じているように見える。

言葉も話す速さがいつもより早い。

 

「・・なるほど。で言いたいことはそれだけか?」

 

「・・・・ああ。さてそれじゃあ君の答えを聞こうか」

 

答え?何を勘違いしているんだ、こいつは。

 

「・・・お前の言いたいことはよくわかるが今すぐ変えろというのはできない」

 

「なぜだ?」

 

「・・・俺がその事実について何もわかっちゃいないからな」

 

 

ここで葉山が少し驚きの顔を見せる。

まあそりゃあ言っていることがわからないだろうな、そりゃあ。

 

「どういう意味かわからない。説明してくれないか?」

 

「悪いが説明することもできない。それにできたとしても

俺がお前に言うと思うか?」

 

「・・・ふざけるのもいい加減にしろ!わからないのか!?

お前がそういうことをすることで彼女達を傷つけているということを!」

 

 

 

 

 

は?

その言葉しか出てこない。

傷つける?俺があいつらを?

 

「・・・何もわかってねえやつが偉そうに言うんじゃねえよ」

 

「何だと?」

 

「葉山。お前は何もわかってねえんだよ、

由比ヶ浜が俺達をどう思ってるか。雪ノ下が今どういう問題を抱えているか」

 

 

あとから俺は口を滑らせたと思うがこの時そんなことを考える余裕は一切なかった。

久々に八幡マジギレモードデス!

 

 

「お前はいつだってわかったふりをしてどんなことに関しても本質を解決しようとはせず

上辺だけを解決してきた。結局お前はそういうことをして問題を解決しなきゃと

焦ってきた自分を自分で救ってきたんだ」

 

葉山は相変わらず俺をにらみつける。それで俺の防御力が下がると思ってるなら

大間違いだ。

 

「あいつらだって今どういうふうに思ってるのか、何がしたいのかなんて

俺にもわかんねえよ。でも・・」

 

 

ここから先の事が出てこなかった。

俺自身がその先の事についてわからないからだ。

由比ヶ浜の思いや雪ノ下の問題。

それを解決するのが奉仕部としての最後の依頼であり

俺が求める本物の答えのはずだ。

 

 

けれどその答えを見つめることを俺はもしかしたら避けていたのかもしれない。

答えを見つければ三人が三人でいられなくなるかもしれない。

それがどうしても怖かったのかもしれない。

雪ノ下も由比ヶ浜もそれぞれがそれぞれ出そうとしている答えは

もう見つけていたのかもしれないけれどその答えを面と向かって聞くことを

俺は怖がっていた。

 

俺は・・

あの二人を・・・あの奉仕部の空間が・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

壊れるのが怖かったのだ。

 

 

 

 

はあとため息をつきながら廊下を歩く。

ちょっと俺も熱くなってしまい少しは反省している。

葉山はあれから何もいわずに屋上から去ってしまった。

あいつも何か思うところがあったのだと思う。

 

 

 

 

 

さて先ほどの葉山との話でまたわかったことがある。

まあ大体の予想は今朝の雪ノ下の発言でついていた。

 

 

 

雪ノ下雪乃だけでなく由比ヶ浜結衣とも付き合っている。

 

 

いや・・・ねえ・・

まさか俺がそんな決断をしていると。

この世界の八幡ってプレイボーイなんですかね。

 

けれど笑える話でもない。

さっきの葉山の言ってた通り

もしこれが周りに知れ渡り学校中の噂になれば奉仕部のイメージダウンだけでなく

彼女達自身にも何かがあってもおかしくない。

俺がそういうことされるのは過去の経験上慣れてるといえば

慣れてるが彼女達を巻き込むのはまずい。

 

 

 

 

でも待て。

これは夢の中だ。

別にどうなろうが夢の中なのだから現実に起こることではないのだから

関係ないんじゃないか。

うーん・・・

 

 

まあ考えてるうちに奉仕部部室前までたどり着いた。

とりあえずこの話は一度おいとくとしよう。

 

「うーす」

 

「あ、ヒッキー」

 

「こんにちは」

 

いつもの席に座っている由比ヶ浜と雪ノ下。

二人で紅茶を飲みながらお菓子を食べている。

俺もいつもの指定席へと座る。

 

「さて・・揃ったことだし今学期最後の部活を始めますか」

 

「うん!」

 

「・・てか最後といっても具体的には何をするんだ?」

 

 

雪ノ下はカップを置き、

「春休みの部活活動と新学期以降の活動についてよ」

と淡々と話す。

 

「春休みねーゆきのんとヒッキーはどうするの?」

 

「私は家の用事があり。実家に帰るからこっちにはいないことが多いわ」

 

「俺は予備校だな。朝から晩まである」

 

 

うん、間違いない、デジャブに思ってしまうが記憶はちゃんと残ってる。

俺は由比ヶ浜と雪ノ下にこのセリフを一度言っている。

雪ノ下と由比ヶ浜も同じことだ。

つまり今俺の知っている3月15日をもう一度やり直しているということになる。

んでもって恐らく次は由比ヶ浜が

「じゃあさ!ゆきのんが行っちゃう前にさ、みんなでパーティーやろうよ!

二年生お疲れ様パーティー!:

 

 

うん、全く同じだ。

由比ヶ浜がここでこの発言をすることも予測できる。

となると次は雪ノ下と俺だ。

まず雪ノ下が

「ごめんなさい。今日の部活終わったら迎えが来るからすぐ行かなければならないの」

そしてそれを聞いた俺が

「まあ・・雪ノ下来ないなら今回はなしでもいいんじゃないか?」

と言う。

これでこの話は終わりで由比ヶ浜が少し不満そうになる。

 

 

 

「そうね、まだ家にいくまで時間あるしこの一年間色々あったから

そういうのもいいかもね」

 

「やったー!ゆきのん、ありがと」

と由比ヶ浜が雪ノ下に抱き着く。

近いし熱いから離れてと雪ノ下が呟いてるのが聞こえるが

離そうとしない。うん、百合百合さは相変わらず・・・

 

 

 

ってまて。

おいおい、違ってるぞ雪ノ下。

台本見直してこい、そこはそんなセリフじゃないだろ。

俺のこのあとのセリフと繋がらないだろ。

 

 

 

 

「えーと・・雪ノ下。ちなみにいつ実家に帰るんだ?」

 

すると俺の発言に気づいた雪ノ下が一度由比ヶ浜から離れて

「春休みの終盤だから3月の30日から4月2日までよ」と答える。

 

 

ちなみに総武高校の春休みは地味に長く3月16日からなんと4月10日まである。

最も入学式が4月5日なので部活動の勧誘とかで始業式前にくる生徒は多いそうだが

まあ俺には無縁の話だな。

 

いやいやまあそれは置いとくとしよう。

 

「じゃあ春休み長いしいっぱい遊べるね!みんなで旅行でもいく?」

 

「えーと・・あなたそんなことしてる場合じゃないのかしら・・」

 

「う・・」

痛いところをつく雪ノ下だがまあ由比ヶ浜の学力を見ればね・・

俺も数学克服のために春休みは予備校いってたわけだし・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いやいや待て待て待て待て。

おかしいだろ!俺は予備校!雪ノ下が家の用事で帰省。

そういうはずだろ!

 

「えーと・・その俺忙しいから」

春休み明けてからにしようと言おうとしたところで

 

「ヒッキー?何も用事ないよね?」

と由比ヶ浜が笑顔で言う。てか近!

いつの間に俺の真横に・・・

何、お前瞬歩とか使えるようにでもなったの?

 

 

「あなたに予定なんてあるはずないじゃない」

雪ノ下も由比ヶ浜の肩を持つようだ。

 

「いやあの・・小町とか戸塚と」

 

 

「小町さんはともかく戸塚くんは春休み中に大会あるからそれの練習で

遊べないはずよ?嘘谷君?」

 

「短くするのはやめろ」

 

やれやれやはり通用しないか。

まあ雪ノ下との会話じゃ勝てることなんてありゃしない。

 

 

 

 

 

しかしまあ懐かしいな。

雪ノ下と由比ヶ浜とこうした感じの会話は。

ずっとぎこちない雰囲気の奉仕部は居心地悪すぎた。

やっぱこうでないと。

由比ヶ浜と雪ノ下が笑いながら話しそれを俺が本を読みながらたまに

様子を見つめたりする。

そんな光景こそが奉仕部の本来の姿なのだ。

 

 

 

 

 

「さてと・・とりあえず春休みの部活動は

平塚先生からの連絡がない限り動かないということでいいかしら?」

 

「私はいーよ」

 

「俺も問題ねぇ。まあどーせ一色辺りが問題を投げてくるから

やる羽目になるんだろうけど・・」

 

俺は小さくため息をついた。

がここで二つの視線に気づく。

雪ノ下も由比ヶ浜も驚いた顔でこっちを見ていたからだ。

 

「なんだ?なんかまずいことでも言ったか?」

 

「いや・・あの・・その」

 

 

「・・比企谷君。もう生徒会からの依頼なんてこないわ。

安心しなさい」

 

 

「え?」

 

 

「さてじゃあ続いて新学期からの活動なのだけれども」

 

雪ノ下は淡々と話を進めていく。

疑問を抱いている俺をおいて話はどんどん進んでいった。

 

 

 

 

思えば既にこの時点で夢の世界のとある出来事が起きていたことを

あとになって気づくがまあそれは置いておこう。

 

 

「・・という形でいいかしら?」

 

「うん!大丈夫」

 

「まあそんなところだろ」

 

 

考え事してる間にどうやら新学期の方針も固まったようだ。

といっても3年になるので特に勧誘活動は行わず

今まで通りとのこと。ただ受験生な為空いた時間等は主に部室で勉強を

するとのことだ。

まあ妥当な判断だし問題ないだろ。

 

「さて・・それじゃあ今日はこの辺にしましょう。

私は鍵を返すから二人共先にいっていいわよ」

 

「わかった!じゃあヒッキーいこ!」

 

えへへと笑って俺の腕を掴む由比ヶ浜。

え、何これ。

 

「えーと・・行くってどこに?」

 

「え?今日はだって私とでしょ?」

 

 

私と?わ・た・し・と?

どゆことどゆこと。

ハチマン、何もワカラナイ。

 

「えーと・・どういうことだ?」

 

「由比ヶ浜さん、その男はふざけてるのかわからないけれども

今朝頭を打って記憶を一部失っているようだから説明してあげたほうがいいわよ」

「え!?ヒッキー大丈夫なの?」

 

 

いや雪ノ下。お前今朝めっちゃ心配してくれたじゃん・・

何あの雪ノ下ってもしかして他人には見せないの?

あっちのほうが好感度あがるぜ、多分。

 

「大丈夫だけどそのまあ・・すまんが教えてくれないか?」

 

「そっか・・忘れちゃったんだ・・」

としょんぼりする由比ヶ浜。

 

まあ俺が悪いけどでも俺のせいじゃないよ!

 

 

いやもう意味わかんねえから考えんのやめよ。

 

「すまん・・」

 

「・・いや仕方ないよ。ぶつけちゃったんだから・・

じゃあ・・どこから説明すればいい?」

 

「・・一応わかる範囲全部教えてくれれば」

 

「わかった!じゃあ歩きながらいこっか」

といって鞄を肩にかけぐいぐいと俺の腕を引っ張る。

 

積極的になりましたね、ガハマさん・・

いやなんていうかちょっと感心してしまう。

 

「じゃあゆきのん、また夜に電話するからちゃんと出てね!」

 

「出るわよ。あなた出るまで電話かけ続けるじゃない」

と雪ノ下はため息をつきながら紅茶のカップを片づけている。

 

「じゃあねーゆきのん」

「ええ、くれぐれも気を付けてね。隣にいる比企谷菌が何かしたら

すぐに電話しなさい」

 

「色々とつっこみたいがもういいや・・」

と俺もため息をつく。

 

 

 

 

 

 

 

「うーんとりあえずどこから言おうかな・・」

 

由比ヶ浜と並びながら俺は駐輪場に向かっていた。

まあなんだ・・本当に今日が終業式でよかった。

いつもなら部活動なので授業終わっても残っている生徒が多いのだが

今日は終業式で休みな部活が多く人が少ない。

まあ俺なんかといるのを人に見られたらこいつが何言われるかたまったもんじゃないからな。

 

 

「・・ヒッキーは私が告白したことも・・忘れちゃった?」

 

「・・すまない。忘れたというかなんというか・・」

 

 

由比ヶ浜は寂しい顔をするが、

「そっか・・じゃあそこから説明するね」

と説明が始まった。

 

 

 

 

「まず私がヒッキーを屋上に呼び出してそこで告白したんだ・・

最初はヒッキー、ちゃんと答えが出せずずっと悩んでいたけど

その間にゆきのんが告白をして」

 

「ちょちょっと待ってくれ。ゆ、雪ノ下が告白した?」

 

動揺を隠せない俺を見て

「そうだよー」

とちょっと小走りして俺のほうをクルッと見る由比ヶ浜。

 

相変わらず笑顔で俺を見て会話を続ける。

 

「それでね。私とゆきのんで話し合って提案したんだ。

二人とも好きならどうせなら両方とも付き合っちゃえばいいんだって!」

 

 

 

 

いやいやいや

その提案はどう考えてもおかしいだろ。

そんなの乗るわけない。

 

「ヒッキーも最初は悩んでたけど最後は納得してくれて

今は三人仲良く付き合ってる状態なんだ」

 

 

乗っちゃったのかよ俺・・

あんだけ葉山に言ったくせに俺最悪じゃん最低じゃん・・

ごみいちゃんって呼ばれるのがまだ優しいレベル。

 

「それでね、ゆきのんとも話し合ったけど

お互い予定被らないように決めてデートとかも調整したりしてるんだ」

 

「へえー(棒読み)」

 

 

もうなんか俺の想像色々超えてやっちゃったのね、俺。

我ながらびっくりだよ。もうびっくり超えて失神しそうだよ、八幡。

 

 

ふと気づくとすでに駐輪場まで着いていた。

周りには自転車もなく俺の自転車がぽつんと置かれていた。

 

「・・んでどこ行けばいいんだ?」

 

「んーそーいえば考えてなかったね。ヒッキー行きたいとこある?」

 

「家」

 

「帰る気満々だ!?」

 

当たり前だ。一度家に帰って整理しないと無理だろ、これ。

と考えてるうちに荷台が揺れた。

振り返ると由比ヶ浜が座っている。

 

「ほら、ヒッキー行くよ」

 

「いや・・あの・・」

 

「?どしたの?何か忘れ物?」

 

「いや・・まだここ学校だから・・」

 

「?それが?」

 

いやあのですね、本来二人乗りは禁止ですよ。

少女漫画や青春ドラマが二人乗りをいかにもと見せつけるから

日本に男女の二人乗りという悪しき風習ができたのだ。

まあ風習かどうかはさておき本来禁止されているのだから

警察も注意だけでなくもう刑罰とかしないとなくならないよ。

 

 

 

しかしまあもう降りる気はなさそうなので諦めよう。

「・・んじゃとりあえずどこ向かえばいいんだ?」

 

「私が後ろから指示するからその通り進んで!」

 

「あいよ」

 

 

俺もサドルに乗るペダルを回し始める。

そのまま校門に向かい学校の外に出る。

 

 

 

さて今朝の雪ノ下から始まり

学校では葉山と言い争ったり二年最後の部活をしたりと

まあ色々あるがようやく今日のメインイベントともいえるものに

たどり着いた。

いやたどりついてよかったのかこれ。

 

 

まあとりあえず今はデートでもなんでもいい。

由比ヶ浜と会うことができたんだ。

俺も意地を張らずにここは楽しむとしよう。

ちょっと後ろを見ると由比ヶ浜はガッチリと両腕と俺の腹の下を組み

まあ・・・今朝の雪ノ下と比べると・・

 

 

 

 

感じないどころじゃない。いやもう当たりすぎてやばいレベル。

とりあえず・・・・・しばらくこのまんまで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

てなわけで四章です。

このまままとめて投稿します。

 


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