やはり俺の夢の世界は間違っている。   作:コウT

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続きになります。
お見苦しい部分があると思いますが
温かい目でお守りください。



彼女はなぜか理解してくれない

「…一応事実確認しときたいのだけれども

あなたは私が付き合おうと言ったの覚えてる?」

 

「ああ」

 

そりゃあ雪ノ下から付き合ってくださいと言われた日なんか

一生忘れることないだろう。

生涯の俺の歴史の中でも重大な日として語られることとなるだろう..

 

 

「そう。そこまでわかってるなら話は早いわ。

…その..話をする前に一つ聞きたいことが

あるんだけどいいかしら?」

 

雪ノ下は少し顔を赤くしながら問いただしてきた。

なんだ?そんなに言いづらいことか?

 

「その..私の告白の返事を貰ってないのだけれども..」

 

「へ?」

 

「だから..私の告白の返事を聞きたいと言ってるのよ..」

 

雪ノ下は恥ずかしさの余りそのままそっぽを向いてしまった。

ていうか…え?

何?どゆこと?

先生の話とちょっと食い違ってない?

俺、雪ノ下と付き合おうとしてたんじゃないの?

 

「その..待ってくれ。雪ノ下。俺は..その告白の返事を

したんじゃないのか?」

「….何を言ってるのかしら。

私はまだその告白の返事をあなたの口から聞いてないわよ..」

 

 

うーん..ここで考えられるのは

先生は俺から今回の件について

聞いたと言っていたからつまりは

その説明のどこかで食い違いがあったと

考えるのが妥当か。

 

「その..その返事はもう少し待ってくれ。ちゃんと考えるから..」

 

今はそう答えるしかない。

何しろ状況をうまく読み込めないのだ、下手なこと言って

状況を変えるのはまずい。

 

 

「そう..わかったわ。

ごめんなさいね、話を遮ってしまって。

それじゃあ元の話に戻すわね」

 

そう言うと雪ノ下は近くのベンチに座りゆっくりと視線を

俺の方に向けた。

 

「まずあなたが葉山君と私を退学寸前まで

追い詰めた時、私はあなたに今まで思っていた思いを伝えた。

あなたはその時は返事をくれなかったけれど

ちゃんと答えを出すって言ってくれたから私は

それを信じて待ってたの..」

 

「そうか..なんか..待たせて悪かったな..」

 

「平気よ..むしろあなたがそこまで真剣に考えてくれるということ

なんだから私は嬉しいわ」

 

そう言いながら微笑む雪ノ下の顔を俺は直視できずつい目を逸らしてしまった。

うーん..俺が恥ずかしい..こんな可愛い子でしたっけ..

 

 

「ごめんなさい、話を戻しましょう。

私があなたに告白してから数日経った日のことよ。

由比ヶ浜さんが私に会いにきたの」

 

「由比ヶ浜が?」

 

「ええ..私が告白したことをあなたから聞いたみたいで

そのことについて話したいとのことだったわ」

 

「俺が言ったのか…」

 

「……話を続けるわ。

彼女はずっと悲しそうな顔をしてたわ。

今思うと..なんであの表情をしてたか

わかるかもしれない..」

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

「由比ヶ浜さん…」

 

「ゆきのん、ごめんね。

いきなり呼び出して..」

 

 

「…なんかこうやって部室で話すのも久しぶりだね..」

 

「そうね..ここ最近は色々あったから..」

 

「…由比ヶ浜さん、その..」

 

「聞いたよ。全部。ゆきのんがここでどういう状況になってるか

知ってるし正直私がそのことに関してヒッキーと一緒にゆきのんと隼人君に

対してひどいことしたと思ってる..

その事については..ごめんなさい」

 

「別に..気にすることじゃないわ..」

 

「..ゆきのんは..ずっと好きだったの?」

 

「..最初はそういう気持ちではなかったけれど

彼とこの一年近く過ごして彼のいいところも悪いところも

知ったつもりでいる。

それを知った上で..私は彼をもっと色んな部分も知りたい..

彼と一緒にいたいと思って..いつの間にか..好きってことに

なっていたわ..」

 

「そっか..だよね。ゆきのんはずっとヒッキーのこと

好きだったもんね」

 

「べ、別にずっとって程では..」

 

「嘘ついてもわかるよ。

ヒッキーとゆきのんの一番近くにいたのは

私だもん」

 

「由比ヶ浜さん..」

 

 

「…なんでうまくいかないのかな..」

 

「え?」

 

「私は..ここだったらゆきのんともヒッキーとも

うまくやっていけると思ってたんだ..

ゆきのんを助けるつもりで来たのに

思ってた以上にここっていい場所で私は

この世界が好きになっていったんだ。

ここなら全てがうまくいくと思った。

けどいつの間にかゆきのんともおかしくなって..

ヒッキーも..どこか行っちゃう..」

 

「由比ヶ浜さん..」

 

「ははは…ごめんね。意味わかんないよね。

やっぱ私はどこ行っても変わることが

できなかった..」

 

「…どういうことか詳しく説明してくれないかしら?」

 

「ごめん…それはできないや」

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

 

 

「そして彼女は部室から出て行って

その後から行方がわからなくなってしまったのよ..」

 

「そうか..」

 

話を終えた雪ノ下はひどく悲しそうな表情だった。

今にも泣きそうな顔に言葉をかけずにはいられないが

下手に何か言うのは逆効果の恐れもある。

 

「由比ヶ浜結衣か..」

 

「どうしたの?いきなりフルネームで呼ぶなんて」

「なんとなく呼びたくなっただけだ」

 

その理由は自分にもわからないけれど

なぜか由比ヶ浜の名前をふとつぶやきたくなった。

 

 

 

それにしてもなぜだろう。

ここは由比ヶ浜の夢の中だ。つまりあいつの

思い通りの世界になるはずなのに

どうして自らが悲しむような展開になっているのか..

俺の時とは状況が違っているのか?

夢の世界はイレギュラーなことだらけだとすれば

俺の夢の中が思い通りになるということが

まず間違っているのか?

考えれば考えるほど

謎しか増えてこない。

 

「うーん…」

 

「大丈夫?そんな難しそうな顔をして?」

俺の様子を怪しく思ったのか

雪ノ下が語りかけてきた。

 

「まあ…色々とな。

教えてくれてありがとう」

 

「いえ..比企谷君」

 

「ん?」

 

「彼女を…助けてくれないかしら?」

 

その問いにNOと言う選択肢が

あるわけがなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

話を終えて陽乃さんがタイミングを見計らったように

返ってきた。恐らくどこかで見てたんだろう。

とりあえず話を一通り説明すると納得したかのように

頷き、「じゃあまた別行動ってことで」

と言ってどこかに行ってしまった。

俺はとりあえずあてもないし雪ノ下をこのまま

公園に放置するわけにもいかないので

家まで送っているところだ。

 

 

「….」

 

雪ノ下は終始無言で歩いている。

こういう空気の時ってどうすればいいんだっけ..

 

「な、なあ雪ノ下」

 

「何かしら?比企谷君」

 

お、反応はしてくれたか。

 

「その…もう一つ聞きたいことがあったんだけど

聞いてもいいか?」

 

「ええ、大丈夫よ」

 

「その..一色って今何してる?」

 

「一色さん?」

 

 

すでに忘れかけていたが

あいつも夢の世界に来ているのだ。

雪ノ下か由比ヶ浜の世界に来ている

可能性もあるので情報があれば

集めといて損はない。

 

「彼女のことに関してはあなたのほうが

詳しいのではなくて?」

 

「は?何でだよ?」

 

「だって…いつも一緒にいたり

部室に来るのもあなたに会いたくてきたり

してるじゃない..」

 

そう言われてしまえば言い返せないのが痛いところだ。

 

「そうだけど..」

 

「…..あ、そういえば」

 

「何か思い出したのか?」

 

「ええ。確か彼女も由比ヶ浜さんを探すといって

学校に来てないと聞いてるわ..」

 

何そのミイラ取りがミイラ状態。

ミイラがどんどん続いてそのうち包帯が品切れに

なるんじゃないの?

小学生の時、ハロウィンでミイラ男のコスプレしたら

同じクラスの高城に本物のおばけと間違えられて

石を投げられたなあ…

あんだけ違う違う!言ったのに信じられず

頭からは血が出て顔は血まみれになるし..

家帰ったら俺の顔みて小町が泣いた記憶を

思い出す、許すまじ高城。

てか高城どういう顔だっけ。

 

 

 

とまあ話がズレたので戻そう。

考えてみれば一色がここに来る目的は

雪ノ下と由比ヶ浜を救うことだとすれば

ここに来た目的は由比ヶ浜を探すことだ。

決しておかしくはない。

そんな考え事をしてる間にどうやら雪ノ下のマンション下まで

ついたよようだ。

 

「ここでいいわ…ありがとう、送ってくれて」

 

「いや気にすんな。

こっちこそ色々とありがとな..」

 

「いえ..その..比企谷君」

 

「何だ?」

 

「…彼女のことお願いね」

 

「ああ」

 

雪ノ下は俺の返事を確認するとマンションの中に

入っていった。

さてと..次に行きますかね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

考え事をしながら俺は再び雪ノ下が監禁されていた

マンションに戻った。

恐らく次の手がかりがあるとすれば

間違いなくここにある可能性が高い。

さっきは雪ノ下を助けるつもりで

落ち着いて周りを見る時間はなかったが

恐らく何かはある。多分。

まあ考えてもしょうがない。

俺は再び部屋の扉の前に行き息をすうっと吸った。

よし!いける!いやまて!いけない!

なんなんだよ、一人でこのやり取り。

誰かが見てたら間違えて通報されるレベル。

まあ考えても仕方ないので開けることに、

「待ってたよ、ヒキタニ君」

した…。

俺が扉を開ける前に扉は開いてくれた。

それは外側ではなく内側から誰かが開けたもので

開いた扉から現れたのは

もう懐かしい修学旅行騒動で奉仕部の重大事件の

当事者の一人でもある海老名姫菜が

笑いながら俺の方に笑顔を向けていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやーさすがだね。ヒキタニ君。

ここに気付くとは思わなかったよ」

 

「ははは..少なくともそんな簡単な嘘は

俺以外の前でもしないほうがいいぜ」

 

「あ、嘘だってわかるんだ。さすがだね」

さすがに扉の前では少々話しにくいのもあるので

リビングに通された。

ソファーに座らされた俺は部屋をきょろきょろと見渡す。

相変わらずの殺風景な部屋で片隅には

先ほど陽乃さんが壊した手錠の破片が散らばっている。

 

「それにしても壊すなんてひどいなーこれ高いんだよ?」

と先ほど破壊した手錠の一部を俺に提示するかのように

見せてきた。

まあ壊したのは俺ではないですが黙認したのは確かです。

 

「…普通なら監禁してる女の子を助けるために

強硬手段を使うのは当たり前だと思うけどね」

 

「ふーん..まあでも私が困るわけじゃないからいいか」

 

「そうか..それじゃ色々とお話して頂こうかな」

 

もうこの状況についていくのに

頭が回らない。

ここにきて海老名さんが登場するのは

はっきり言って予想してなかった。

葉山の協力者だとしたら三浦か戸部だと考えたが

当然あの二人でもこんなことに協力するほど

馬鹿ではないはずだ。

それがよりにもよって海老名さんが協力したとなれば

驚くのも無理はない。

彼女は奉仕部について多少なりとも理解してると

思っていたからだ。

 

「いいよ」

そう言ってよっこらしょっとと言いながら

俺の隣に座ってきた。

 

「…何で葉山に協力したんだ?」

 

「うーん..言えないかな」

 

「何?」

 

「私だってこんなことを好きでやったわけじゃないよ。

でも葉山君との約束だもん」

 

「約束?」

 

ていうか葉山君?

確か隼人君じゃなかったっけ?

それとも改名して隼人葉山にでもなったか?

あ、つまんねえ。

 

「約束は簡単に人に言うものじゃないよ」

 

「なんだそれ..

じゃあ次。由比ヶ浜について

何か知っているか?」

 

「うん」

 

そういった彼女はまるでその問いを

待っていたかのように笑っていた。

 

「ヒキタニ君は絶対そのこと聞いてくると思ってた。

でもこれはレアな情報だからなー

君にただで教えるわけにはいかないな..」

 

「…どういう意味だ?」

 

「やだなーそんな怖い顔しないでよ。

そのまんまの意味だよ。

こちらの情報の代わりに君も何かしらの提示を

求める」

 

さっきからまるで誘導尋問のように海老名さんのペースに

乗せられている。

駄目だ、話の主導権を握られては情報は何も聞き出せん。

 

「..それじゃ次だ。

何で俺がここに来るとわかった?」

 

「単純な勘だよーなんとなく来そうな気がしてね」

 

「….そろそろ真面目に話しませんか?海老名姫菜さん」

 

いい加減怒りが限界を超えそうだ。

俺も金髪にはならないが怒りが限界を超えると

超千葉人となり戦闘力8アップする。

まあ元々がマイナスなので8上がってもマイナスだ。

ちなみに痛いの嫌いなので戦わない。

日本は平和主義国家だからね、仕方ない。

まあそこまでいかなくてもさっきから真面目に答える気がない

この海老名さんの態度に苛々してるのは確かだ。

 

「…やれやれ..もう少しここに留めればいいと思ったんだけど

間に合いそうだしいいか」

 

「は?」

 

そう言った途端ガチャと玄関の扉が開く音と

人が入ってくる音が聞こえた。それも一人ではなく

何人もの靴の足跡が響きリビングにスーツ姿の男達が

ズラっと現れた。

俺は立ち上がって警戒するがすでに時遅しと言ったところだ。

左右、正面に男達が囲むように並んでいた。

 

「ゲームオーバーだよ、ヒキタニ君」

 

「どういうつもりだ…?」

 

「ここで君を足止めするのが

私の役目だよ」

 

そう言ってパチンと指を鳴らすと

玄関の方から足音を立てて

やってきたのは総武高校の制服を着た女の子。

そしてそのピングがかった茶髪にお団子頭。

残念ながらいつもの挨拶とまぶしい笑顔はなく

暗い表情でこちらをじっと見つめる

由比ヶ浜結衣がそこにいた。

 

「由比ヶ浜…」

 

「ヒッキー…」

 

「ごめんね、二人共。

けど結衣。恨むならヒキタニ君を恨んでね。

ヒキタニ君が葉山君を追い出さなければ

こうはならなかったんだから」

 

「どういう意味だ…」

 

俺はキッと海老名さんを睨みつけるが

ひるむことなく睨み返された。

 

「だってヒキタニ君が葉山君と雪ノ下さんを

追い出そうとしたのが原因だよ。

二人が付き合うことになってうまくいってたのに

結衣と二人で邪魔しようとしたんだから」

 

「つまり逆恨みってことか?」

 

「まあここまでだよ、じゃあね、ヒキタニ君。

楽しかったよ、君との学校生活は」

 

待てと言おうとしたところで俺は後ろから衝撃に襲われ

視界が真っ暗になった。何かで殴られたのか..

寝るな..意識を…

 

 

 

 

 

 

由比ヶ浜を…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヒッキー!ヒッキー!返事をして!ねえ!」

 

「結衣、ごめんね。でもヒキタニ君にこれ以上好き勝手に

させるわけにはいかないの。

彼は一線超えてしまったんだから」

 

「姫菜..何で..何でこんなことするの..?」

 

「さあて..何ででしょうねえ…」

 

結衣は泣きながら倒れているヒキタニ君を見て

名前を叫び続けている。

本当にごめんね。でもこれが私と葉山君との約束だから。

 

 

 

 

 

 

 

「….ちなみに」

 

彼女のほうをじっと見つめると

それに気づいたようで泣き止んだ。

私は彼女が私に対して怯えているのがわかっている。

だからニコっと笑った。

少しでも恐怖を減らすためにね。

 

 

 

「ここは結衣の夢の中だけど結衣の自由にはできないよ」

 

「え…?」

 

「おっと。おしゃべりが過ぎたかな。じゃあつれてって」

 

「まって!何で..」

 

結衣は連れていながらも何かを叫んでいるが

聞こえないね、うん。

 

 

「…本当に私って屑だな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…」

 

言葉が出ない。

けど視界はぼんやりと見えてきた。

目に映った光景はコンクリートの天井。

重い体は…なんとか起こせる。

周りにはどこかで見たような鉄格子。

そして向かい側には同じように鉄格子が

並んだ空間がある。牢屋だ。

 

「ぶちこまれたのか..くそ!」

 

やられた。ここであんな不意打ちキャラが出てくるとは

いきなりハードモードだろ、由比ヶ浜の夢。

しかも海老名さんという馴染みある相手が

いきなり豹変して敵となるとは…

敵という単語で一人怒りが抑えきれない程

その思いをぶつけたい相手を思い出した。

しかし葉山に会うことはできず、更にいうなら

俺はこの世界でどうやってあいつを追い詰めたのかを

知らない。

あいつと対峙した時にこちらが主導権を握るのは難しいのではないか..

考えることしかできないがいくら考えても

結果は出てこない。

どうすればいいんだ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…そう。わかったわ」

 

「理解が早くて助かるよ。

あなたには早くあの部屋に

戻ってもらわないとね。

幸い葉山君はまだこの事実を知らないから

隠しておけばバレることないし」

 

「そうね..ごめんなさい。

勝手なことをして..」

 

「悪いのはヒキタニ君達だから仕方ないよ。

じゃあいこうか」

 

 

ごめんなさい、比企谷君。

助けてもらったけれどどうやらあなたも

失敗したようね。

やはり運命なんて初めから決まってたのだから

抵抗するだけ無駄だったようね..

 

「おっと待ってもらおうか。

私の大事な妹をどうする気かな?」

 

「おや…」

 

玄関の方から声が聞こえ顔を上げると

そこには先ほど別れたはずの姉、雪ノ下陽乃がいた。

 

「比企谷君に用事があると思い来てみれば

何やら物騒な話を聞いちゃったな、お姉さん」

 

「そこをどいて頂けますか?」

 

「人が話してる時は話を聞かなきゃ駄目って

教わらなかった?」

 

顔は笑っているのに二人共腹の探り合いをしてるかのように

お互いを見つめ合っていた。

私はただ..後ろで怯えてみていることしかできなかった。

 

 

「とにかく雪乃ちゃんをあそこに戻しはしないよ」

 

「あなたに何ができるんですか?この世界では

あなたは雪ノ下家の力を使えないただの女子大生ですよ?」

 

「ふーん..何か色々知ってそうだね。益々君とお話したいな」

 

「そーいえば自己紹介まだでしたね、海老名姫菜です」

 

「これはこれはご丁寧に。雪ノ下陽乃です」

 

 

もはや二人の会話のせいで部屋の空気はピリピリしている。

この空気の中でじっと見つめているのは正直苦しい。

一刻も早くここから逃げたい。

 

「君は..こちらの人?それともあちらの人?」

 

最初に口を開いたのは姉だった。

しかし言ってる意味がわからない。

こちら?あちら?どういうことだろう。

 

 

「あなたはなかなかのキレ者だと葉山君から聞いているので

下手に嘘はつけませんね…察しの通りと言いたいですが

私はこちらの人間ですよ」

 

「ふーん..じゃあなんでこちらの人間が

夢の事について知ってるのかな?」

 

姉はさっきから何を言ってるんだ?

夢の事?意味が理解できない..

 

 

「その辺も含めて一度お話したいのですが

一刻も早く雪ノ下さ..失礼しました。

雪乃さんをあの部屋に戻さないといけないのです」

 

「…どういう意味?」

 

「私を信じるつもりがあるなら

ついてきてもらえませんか?」

 

姉と海老名さんの会話に私は取り残された気分だ。

私の知らないところで…いったい何が起きてるの?

 

 

 

 

 





はい。
ここまでお読み頂きありがとうございました。
今回は長くなってしまいました。
これを書いてる間に色々とイベントありましたね..
MADOGATARI展や電撃文庫秋の祭典2016等
何か色々と時間作って遊んでます、はい笑


さて今後もどうなるのか
お楽しみいただければと思います。

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