やはり俺の夢の世界は間違っている。   作:コウT

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続きになります。
引き続き温かい目で見守って頂ければ幸いです。





彼女の夢は謎しかない。

一色いろはを一言で表すならばあざといだと思うけど

はたしてそれが彼女の本当の姿なのだろうか。

もしかしたら本当の自分を隠さなければ友人や愛する人と

うまくやっていくことができないから偽りの自分を

演じているのかもしれない。

まあなんにせよ一色がこの世界に来ているということならば

早いとこ現実の世界に返してあげるに越したことはない。

 

 

 

 

 

 

 

 

「さてと・・やっぱりガハマちゃんの世界もここから始まるのね」

 

陽乃さんの言葉で気づいた俺は周りを見渡した。

いつの間にか扉を抜けて由比ヶ浜の世界にたどり着いていた。

見渡す限り目の前にあるのは懐かしの総武高校。

いや全然懐かしくねえな、自分の夢の世界で学校に一度行ってたし。

 

「とりあえず比企谷君には学校に潜入してもらいます」

 

「潜入?」

 

「だって君はここの生徒なんだから情報を集めるのには

ちょうどいいじゃない」

 

まあ潜入も何もここの生徒なんだから普通に行けばいいと

思うが…

 

「とりあえずこの夢の世界で君にやってもらいたいことは一つ。

ガハマちゃんを現実に引き戻すこと。

つまり今は夢の世界で彷徨っている彼女を

君が知っているガハマちゃんに戻せばいいの」

 

「はあ・・てか色々と聞きたいんですけど…」

 

「手短に頼むね」

 

「さっき由比ヶ浜の夢は壊れたって言いましたよね?

でも壊れたとしたらこの夢の世界も俺の世界みたいに

不安定な状態のはずじゃ…」

 

「夢の世界はイレギュラーなんだよ、比企谷君」

 

陽乃さんはニコっと笑いながら総武高校の校舎に

目線を変え話を続けた。

 

「必ずしも君の世界みたいに不安定な状態に

なることが夢の世界の崩壊とは限らない。

予想がつかないことが起きるのが夢なんだもん」

 

「えっと..どういうことですか?」

 

「うーん….説明が凄い難しいんだけど

ガハマちゃんの世界が壊れたって先に

言ったよね?」

 

「はい.」

 

「しかし君の言うとおりこの世界はまるで

変わってないよね?

でもこの世界は壊れている」

 

「えーと何か矛盾してません?」

 

「してないよ、だってほら」

と陽乃さんは学校のある方向に向けて指を指した。

俺はその方向に目線を向けると掲示板があり

1枚の紙が貼ってあるのが見える。

 

そーいえばこの掲示板に掲示物があるのなんて珍しいな。

いつも何も貼ってないからスルーしてたし….

いやまあたとえここのとこ以外でもほとんどスルー

してたけどね。

だって興味ないし、関係ないし。

 

 

 

「なになに….」

そこにあった文章に驚きを隠せなかったが

ひとまず瞬きしてもう一度見る。

 

 

 

 

 

そこに書いてあったのは退学者の報告についての掲示で

二人書いてあった。

 

 

一つは葉山隼人。

 

 

ほう….葉山がね…

まああいつがいようがいないが関係ないが…

しかしその次の名前に衝撃を隠すのは

難しかった。

 

俺はこの掲示物に指を指した人をもう一度見る。

この人はわかっていたのか?

自分の妹がこの世界ではすでにこの学校から

消えていることに。

 

 

 

「この事を知ってたんですか?」

 

「まあね…でもここまで。

あとは比企谷君、お願いね」

 

「え?」

 

「私は何とかこのことについて調べようと

したんだけど雪乃ちゃんはマンションにもいないし

学校のほうには入ろうとしたら捕まりそうになるし

なにより…」

 

ここで陽乃さんは急に言いづらそうな表情で俺から

目線を逸らした。

額に汗が流れてるところを見ると…ははーん。

「言い訳とか嘘いいんで正直に言ってください」

 

「…実はこの世界では私、親から勘当されてまして..その..」

 

陽乃さんはあははと笑いながらこっちを見ている。

あー…つまりは今までは雪ノ下家の力を使っていたけど

親の力を使えなくなり何もできなくなってしまったと…

 

「ま、まあ比企谷君なら何とかできるよね…?」

 

もはや魔王の面影はなく強化外骨格みたいな外面もなく

そこにあった素の表情を見てただただため息しか

出てこない。

俺達はこんな人を恐れていたのか….

 

「まあそんなこんなであとよろしくね、

私も色々と調べてみるから、じゃ」

 

「え、ちょ、え?」

 

反応をする暇も与えず陽乃さんはどこかへ消えてしまった。

うーんいろいろ聞きたいけどまあいいか..

ひとまず校舎に入ることにしよう。

 

 

 

 

昇降口には誰もいないし周りも静かなことから

今の時間帯は恐らく授業中だろう。

どこかに時計でもあればいいのだがなぜか見つからない。

まあ夢だから時間帯とかは関係ないのかもしれんな。

 

 

 

 

 

 

にしてもなんか違和感感じるな。

いつもの学校とはなんか違う…

 

 

「比企谷!?」

 

「ん?あれ」

 

聞き覚えにある声の主は我らが顧問平塚静先生だったが

その顔は驚きと同時に俺がいることに焦りを感じている

ようだった。

 

「何してるんだ!?とにかくこい!」

 

「え?は?」

 

「いいから!また痛い目にあいたいのか!?」

 

「へ?」

 

俺は言われるがままについていくしかなかったが

どうやらさっそく異変を見つけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「部室なら大丈夫だろう..」

 

「えーと..すいません。どういうことですか?」

 

「はあ!?何いってるんだ?」

 

「あの..なんていうか..ちょっとここ最近の記憶が

なくなってて…」

 

「…病院紹介してやろうか?」

 

この人にここまで心配された顔されたの初めてだな。

ていうか本来なら今までも心配するような素振りを

見せてくれてもよかったのだが…

 

 

「とりあえず..先生の知っているここ最近のこと

教えてください。

どうして雪ノ下と葉山が転校したんですか?

何で俺が学校にいると痛い目に会うんですか?」

 

「….本当に君は比企谷か?」

 

「どこからどう見てもそうですよ」

 

 

別の世界のだけどね!

 

 

 

 

「…わかった。正直漠然としないが

君がそんなに知りたいのなら教える。

ただし何を聞いても後悔だけはするなよ、いいな」

 

その問いに俺は頷く。

さてさて..あいつの夢をじっくり聞かせてもらおうか。

 

「私の知る限りでは奉仕部は2年生の終わりまで

雪ノ下、由比ヶ浜、そして君の三人で仲良くしていた」

 

ふむふむ。

 

「これは君が知っていることなんだが…

まあいい。けど二年が終わりとある事件が起きた」

 

「事件ですか?」

 

「….雪ノ下が葉山と付き合い始めた」

 

雪ノ下と葉山が付き合う?

うーん..いくら夢とわかった上でも

さすがにイライラするな、それは。

というよりあいつは何してるんだ?

三浦とかが黙ってないだろう。

 

「これで雪ノ下は部活には来なくなり

校内でも葉山と一緒にいることが多く

周囲から根も葉もない噂なども広まっていった。

これによって部活は休止状態になったが

その…本当に覚えてないのか?」

 

「すいません…」

 

「..休止状態になった後

君は精神的に色々と追い込まれ

雪ノ下と葉山をこの学校から

追い出そうとしたんだ。

そしてそれには由比ヶ浜も加担した。

雪ノ下がいなくなった後

君達二人は心の拠り所を互いに

求めるかのように付き合い始めた。

結果として君は雪ノ下と葉山を

追い出す一歩手前までいったところで

雪ノ下が君にある提案をしてきた」

 

「提案ですか?」

 

「そうだ..自分と付き合わないかと..」

 

 

うーん..まあ何ていうか

そろそろ読めてきた。

 

「それで俺はどうしたんですか?」

 

「君は雪ノ下だけを救ったんだ。

葉山を学校から追い出し

雪ノ下と付き合おうとしたが

由比ヶ浜がそれを知ってしまった。

それからもう何日が経つやら…

彼女はいなくなってしまい

雪ノ下も突然転校するといって

消えてしまう。

さらに君が葉山を追い出したことや

雪ノ下を追い出そうとしたことが

バレて、君は学校中から目の敵にされている。

この間も登校しただけでいきなり殴られ

怪我したばっかじゃないか..」

 

 

なるほどな。

要するにこれが由比ヶ浜の夢が壊れたという

ことなのだろう。

 

「全部君が私にしてくれた話だぞ?」

 

「ははは..まあ色々あって忘れたみたいで..」

 

「比企谷。

君は由比ヶ浜がどこにいるのか知ってるのか?」

 

「…わかりませんよ。けど探します。

ここで俺がやってしまったことはどうにもひどいことの

ようなので」

 

「…君自身がそれを自覚してないわけないか。

わかった。ならばファーストブリットは控えておこう。

私はまだ君が由比ヶ浜を裏切り雪ノ下と付き合おうとした

ことを許してないからな」

 

「勘弁してくださいよ..夢の世界ぐらい..」

 

「ん?何かいったか?」

 

「いえいえ。こちらの話です」

 

 

さーて大体情報は集まった。

由比ヶ浜を探せばここでやることも終わりだな。

まだまだ不自然な点は多いが

今はこれだけ聞けただけでも十分だ。

 

 

 

「いくのか?」

椅子から立ち上がった俺に先生は

微笑しながら語りかける。

 

 

「ええ。由比ヶ浜を探さないと..」

 

「そうか..なあ比企谷。

君はどうして由比ヶ浜じゃなくて雪ノ下を

選ぼうとしたんだ?」

 

「正直わからないですよ..でもまあ少なくとも

その時の俺はただのバカだってことはわかりますよ..

先生にも迷惑かけましたね、本当にすいません」

そのセリフだけを残して俺は教室から出て行った。

先生と前に会ったのは確か俺の夢の世界だったが

俺はあの人にひどいことしてしまった。

いくら夢の中とはいえ許されることではない。

だからこそ最後の謝罪には色んな意味を込めた。

さてと..とりあえず陽乃さんに連絡しないと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え?雪ノ下をもう見つけたんですか?」

 

「まあねー雪乃ちゃんが行きそうなところなんて

現実でも夢でも一緒だしね」

 

先ほどの発言は前言撤回しとこう。

やはりこの人は雪ノ下の姉だ。

 

「ただ問題があってね..」

 

「問題?」

 

「そう。雪乃ちゃんが今いるのはうちが借りている

別のマンションの一室なんだけどどうやら

雪乃ちゃん以外にも誰かいるようなんだ」

 

「….由比ヶ浜ですか?」

 

「その可能性はあると思うよ。

最も彼女達がなんでそこにいるのかは

わからないけど」

 

「とりあえずそこに行きましょう。

話せば色々と解決策が見えてきそうですし」

 

「そうだね。それにしてもさすがだよ比企谷君。

ちゃんとこの世界の問題点を見つけてくれるとはね」

 

「ははは..」

 

乾いた笑いをこぼすのももはやめんどうだ。

一刻も早くあの二人に会わなきゃいけない俺は

陽乃さんを連れてすぐに向かうことにした。

心配なのもそうだけど何より色々と気がかりなことが

ありそれがいつあいつの刺激になるかもわからない。

さすがの由比ヶ浜でも…いや由比ヶ浜だからこそ

どんなことを思うかわからない。

夢というのは自分以外の人にとってはある意味

恐ろしい場所だと思わされる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここ、この部屋だよ」

 

着いてから陽乃さんに案内されてマンションの

一室までやってきた。表札はなく

人が住んでいる様子も感じられない。

 

「本当にここにいるんですか?」

 

「多分..」

 

「多分!?」

 

「いやその..実はちゃんと確認したわけじゃなくてさ..

多分雪乃ちゃんならここかなーと」

 

この人は俺の反応みて楽しんでいるのか。

他人の夢の中に慣れているのか危機感を感じていないのだろうか。

 

「まあなんでもいいです..それで?どうやってこの部屋に

入るんですか?」

 

「あ、合鍵あるから大丈夫」

 

そういって鍵を取り出して差し込みガチャっとドアを開ける。

いや躊躇ないなーそういうのもっと慎重にやるもんでしょ..

 

 

「そんじゃいくよー雪乃ちゃーん、迎えにきったよー」

 

「そのセリフはアウトな気もするんですが..」

 

ため息をつきながらも渋々中に入る。

玄関から廊下には物一つなく玄関に靴が一足ポツンと置いてあるだけ

だった。廊下を歩いてリビングに行くがソファーとテレビが

あるだけで殺風景な部屋だった。

しかしその部屋の片隅に何かがいるのが見えた。

その何かは体育座りで顔を埋めて見えなかったが

なんとなく俺は感じ取った。

 

「…雪乃ちゃんだよね?」

 

「…雪ノ下」

 

声をかけるも反応がない。

というより生きているのか?

 

「…雪ノ下。大丈夫か?」

 

俺は雪ノ下と思われる何かに近づき俺は

顔を覗かせた。

 

「…..ひ…きがや….くん?」

 

「ああ、そうだ。生きてるか?」

 

「なんで..ここに..?」

 

「お前が転校するはずないと思ってな。

とりあえず話したいことはあるがここから出るぞ」

 

「..だめ..出れない」

 

「は?何言って.」

と言いかけたところで俺は雪ノ下の腕に

何かがつけられているのが見えた。

 

「これ..手錠?」

 

「ええ..私は..この家から出られないの」

 

「誰がこんなことしたんだ?」

 

「…それは言えない。

とにかく早く帰って。あの人がきたら

あなた達にどんな危害を加えるか..」

 

「あの人?」

 

俺は悩もうとしたがすぐ後ろで

その解答が発言された。

 

「….隼人ね」

 

「….姉さんは知ってたんじゃないの?」

 

「知らないよ。いくらなんでも

実の妹が監禁状態にあってたら

知った瞬間に隼人をぶっこ…

抹殺しにくし」

 

いや言い直したほうがひどくなってますよそれ。

とはいえさすがにこれはやりすぎだと思う。

ただ葉山がここまでするのか?

 

「まあでもこんなこともあろうかと

色々と準備してきてよかった」

「準備?」

 

「うん、とりあえず比企谷君下がってね」

 

俺は不安を感じつつもひとまず雪ノ下から距離を置くと、

「雪乃ちゃんはじっとしててね。動くと怪我するよー」

と右手に持っている何かを振りかざした。

ガン!という音が部屋に響くがどうやら手錠は壊れなかったようだ。

 

「ありゃ駄目?」

 

「ていうか何ですか?それ」

 

「見てわからない?ハンマーだよ」

 

「何でそんなもん持ってるんですか..」

 

「秘密よ、秘密」

 

ベルモットみたいに秘密をたくさんもってそうだもんな、この人。

黒の組織いても似合いそうだし..

 

「まあ何度もためしてみるか、えいやっ!」

 

陽乃さんは諦めずにガンガンとハンマーを振り下ろす。

雪ノ下は怖くて見れないのか目をつぶっている。

いやまあ少しでもズレたら手に直撃ですからね..

 

 

 

パキッ

 

「あ!いけそうかも、えいやっ!」

 

バキッ!と明らかに破壊された音が響く。

手錠を見ると二つに割れており雪ノ下の腕がそこからするりと

落ちていく。

 

「とりあえずここから離れましょう」

 

「そうですね..行くぞ雪ノ下」

 

「…」

 

「どうした?」

 

「…比企谷君は..どうして私を助けてくれるの?

私は..あなたにひどいことした..

あの人と私を追い詰めたことを学校中にバラしたり

由比ヶ浜さんとうまくいったあなた達の関係を

引き裂いた…なのになんで..」

 

「色々と説明はあとでいいから。

今はとっとといくぞ」

 

そそ。こんなところにいて葉山にでも出くわしたら面倒だし。

まあでも陽乃さんいるからこっちは問題ないか。

 

 

「..でもごめんなさい。ここを離れるわけにはいかないの」

 

「…理由は?」

 

「…ここにきているのはあの男だけじゃないからよ」

 

 

 

協力者がいたのか。

でも葉山の協力者というと…

いやさすがに由比ヶ浜はこんなことに協力する

はずがない。

 

「雪乃ちゃん。何があるかわからないけど

ここから出ないことには何も解決しないよ?」

 

「…姉さんは何で私に協力してくれるの?

私があの男と付き合った時私を

見放したのに..」

 

「ありゃそんなことしてたのね、私。

まあでも面白くないしそれに隼人と雪乃ちゃんなら

確かにね…」

 

 

おいおい。

ここでそういう話は勘弁してくれ。

ただでさえ早く出なきゃならんのに

長引くことになる。

 

「というかそもそも誰が来るんだ?この部屋に」

 

「それは…ごめんなさい。言えないの」

 

「言えない?どういうことだ?」

 

「約束…したから。

ここにいたほうが安全だって」

 

「安全なわけないだろ。

監禁されてたんだぞ」

 

「でも..私が外にいると

色々とまずいって…」

 

まずい?

どういう意味だ?全然理解ができない..

 

「もうめんどくさい。てなわけで」

と陽乃さんは痺れを切らしたのか雪ノ下の腕をひっぱり

いきなりお姫様抱っこして抱え始めた。

 

「比企谷君が本来するべきなんだけど

何かめんどうくさいからいいよね?」

 

「いや俺もしませんけど..」

 

「ちょ..降ろして!」

 

「だーめ。さあいくよ」

とスタスタとリビングから玄関に行き俺達は家を出た。

雪ノ下は最後まで嫌がりじたばたしてたが

陽乃さんに押さえつけられたようだ。

姉妹にしろ兄弟にしろやはり上が一番強いんですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とりあえず近くの公園で一休みしている。

雪ノ下も観念したのか今は大人しく

さっき買った紅茶を飲んでいる。

午後ティーでごめんね、いつものより

味が悪いかもしれんがまあそこまで

落ちぶれではないはずだ。

俺、飲んだことないけど。

 

 

「さてと..落ち着いたか?」

 

「ええ..色々とありがとう」

 

「気にすんな。

その代り色々と聞きたいんだけどな」

 

「…何を知りたいの?」

 

「あ、私ちょっとお手洗い行ってくるね」

 

何かを察したのか陽乃さんはどこかに消えてしまった。

まあ雪ノ下も姉がいると話しづらいことも

あるだろう。

 

 

「まず…何で葉山と付き合ったんだ?」

 

「..この話をまた掘り返すのね..」

 

「悪い。けどもう一度教えてほしい」

 

「…いいわ。何故かわからないけど

あなたにこの事を言ってなかったような気がするから..」

 

え、バレた?

雪ノ下だからさすがに俺がここの比企谷八幡でないことも

お見通し?

 

「まあ簡単に説明すると…よくわからないの。

あなたが由比ヶ浜さんと仲良くしているのを見て

正直…..どこかで嫉妬していて…

そんな時あの人が来て私の悩みを聞いてくれたの。

始めは相談するのも馬鹿らしくて一言も発さなかったけど

毎日のように私を心配してきてくれる彼に

少し心を許してしまいいつの間にか付き合っていることに

なってしまった..」

 

「つまりお前の意思じゃないんだな?」

 

「…その質問には明確な回答は出せないわ」

 

「そうか..じゃあ次なんだが

由比ヶ浜が今どこにいるか知っているか?」

 

「..わからないわ。

やはりあなたは彼女のこと..」

 

「勘違いすんな。

今は部員として心配なだけだ」

 

「そう..ごめんなさい。

私もわからないわ」

 

「わかった..」

 

まあ予想はしていた。

そう簡単にあいつが見つかるはずが

ないからな。

「ねえ..一つ聞いてもいいかしら?」

 

「なんだ?」

 

「今日のあなたは…さっきも感じたのだけど

別人のように見える…」

 

やっぱバレてるかなぁ..

いや自白はまだ早い。

推理タイムが終わってから自白というのが

お決まりだ。

 

「前に由比ヶ浜さんもこんな感じだった。

いきなり感じが変わったというか...」

 

「どういうことだ?」

 

「今のあなたみたいということよ。

まるで別人のようなのだけど

姿も顔も彼女そっくり。

でも私の顔を見るなりいきなり泣き始めたわ。

無事でいてよかったとか…」

 

「それいつの話だ!?」

 

「どうしたの急に..」

 

「いいから!いつの話だ?」

 

「…確かあなたが私とあの人を追い込む直前の話だから..

1ヶ月くらい前よ」

 

どうやら確認はできた。

間違いない、ここにいる由比ヶ浜結衣は

俺達の世界の由比ヶ浜だ。

あいつのことだから雪ノ下を見た安心感で

泣いたんだろう。

でもだったらどうして由比ヶ浜は消えたんだ?

 

 

「その…詳しく聞きたいんだ。

由比ヶ浜が消えた数日前に何があったか。

俺がお前と付き合おうとしたそれを由比ヶ浜が

知ってしまったということくらいしか

知らないんだ」

 

「….そう。わかったわ..

でもそれを知ればあなたは彼女を助けにいけなく

なるかもしれないけどそれでもいいの?」

 

「どんな内容でも問題ない。

今までありえないほどの事実を

目の当りにしてるからな」

 

「わかったわ..」

 

 

どうにも由比ヶ浜の夢の中には

まだまだ謎が多い。

どうやら俺の予想を超えることが

あることは覚悟せねばならんらしい…

 

 

 

 

 

 





はい。
すいません、長い間投稿遅れてしまい。
色々と忙しく時間がかかりましたが完成です。
今後も時間かかりそうですがよろしくお願いします。

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