突発!乱の書き逃げ劇場   作:乱A

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※一応、聖闘士忠夫ωの二話目の位置取りですが横島くんの出番は無かったりします。
今回、新たな聖闘士候補生として『風の聖痕』より神凪和麻が登場します。
原作とは違い、和麻は炎雷覇継承の儀で綾乃に負けた後、神凪から家出をして自力で聖域の近くまで辿り着くという独自設定となっています。


聖闘士忠夫ω・2

 

 

聖闘士忠夫ω

第二話「原作設定なのに、アンチ・ヘイトに見えてしまう罠!」

 

 

今日も此処、聖域では聖闘士候補生達の修行があちらこちらで行われている。

 

その一角でとある師弟達の特訓が繰り広げられており、組み手の特訓をしている。

その二人の少年の内、黒い髪の少年は撃ち負けたのか岩にまで弾き飛ばされていた。

 

少年の名は和麻(カズマ)

9歳になったばかりの日本人の少年である。

 

「どうした和麻、もう限界か?」

「くっ!まだまだぁっ!」

 

オレンジ色の髪の少年は勝ち誇った様に言い放つが、黒髪の少年は直ぐに立ち上がると再び相手に飛び掛って行く。

 

「ふっ、幾らでもかかって来い。何度やっても俺の勝ちだ」

「ぬかしやがれーーっ!」

 

 

二人の師匠であるケンタウロス座の白銀聖闘士(シルバーセイント)バベルが少し離れた場所でその特訓を見守っていると、後ろから誰かが声を掛けて来た。

 

「和麻とホルムか。二人共腕を上げたな」

「これは…、アルデバラン様!」

「ああ、堅苦しい挨拶は無しだ」

 

牡牛座(タウラス)黄金聖闘士(ゴールドセイント)アルデバランが来た事で白銀聖闘士のバベルは片膝を着いて礼を取ろうとしたがアルデバランは軽く手を振って止めさせる。

 

「それにしてもまさかお前が東洋人の和麻を弟子に向かえただけでは無く、此処まで成長させるとはな」

「聖闘士の証でもある聖衣は東洋人なんかに身に纏まとう資格など無い。確かに私もそう思っていました。しかし、和麻は……」

 

和麻とホルムの特訓を眺めながらバベルは2年前の出来事を思い出す。

和麻との出会いを……。

 

 

 

 

―◇◆◇―

 

 

2年前、聖域の外から僅かな小宇宙を感じた俺はそれが何かを確かめる為に偵察に出た。

そして見つけたのが麓のロドリオ村から聖域へと続く岩場で傷だらけになって倒れていた一人の少年、それが和麻だった。

 

放っておく事は出来なかったが、何処の者とも知れぬ少年を聖域へ連れ帰る事も出来ない為に仕方なく気を失っている少年をロドリオ村へと連れて行き、其処で手当てと食事をさせた。

何日も食べていなかったのか、出された食事を貪る様に食った後、和麻は頭を下げて礼を言って来た。

 

『ありがとう、助かった。俺、名前、和麻』

 

まだ慣れていないのか、たどたどしいギリシャ語だった。

 

『見た所東洋人の様だが此処に一体何をしに来た?』

『俺、聖闘士、なりに来た』

『……、聖闘士だと?東洋人の貴様がか』

『聖闘士、なって、神凪、見返したい』

『何?神凪とはあの炎術師の神凪一族か!?』

『そう』

 

神凪、その名を聞いて俺は心底苛立った。

 

《神凪一族》、それは遥か昔に炎の精霊王と契約を交わした者の子孫で、一族はその加護を受けており、炎を自在に操る事が出来る。

だが、現在の一族はその恩恵を忘れ、その力をまるで自らの力であるかの様に振舞っている。

 

炎の闘技を扱う俺にして見れば愚かとしか表現出来ない一族でしかない。

和麻はその一族を見返したいと言う、それは一体何故なのか?

 

『何故お前は神凪一族を見返したいなどと言う?』

『……、俺、神凪宗家の人間。でも俺、炎、使えない。親父、お袋、分家の奴等、俺を認めない。だから聖闘士、なって、あいつ等以上の力、身に付けたい』

 

『俺を、認め、させたい』

 

力が欲しいと、力を求めていても和麻の目には僅かな濁りも無かった。

それにまだ十にも満たない子供がたった一人で日本からこの聖域の麓までやって来た。

 

俺はその時考えていた。

和麻が力を得れば、聖闘士に成ればどの様な男に成長するのかと。

 

『聖闘士に成る為の修行は並大抵な物では無い。百人居ても、その内の十人が聖闘士に成れれば良い方。その殆どは修行の最中に容易く死んで逝く』

『・・・・・・・』

『お前にその覚悟は有るのか?』

『どうせ、俺、あのままじゃ、死んでいた。命、懸ける程度で、聖闘士、成れるなら、幾らでも、懸ける』

 

そう語る和麻の瞳には眩い光が宿り、その体は僅かに…ほんの僅かではあるが確かに小宇宙を放っていた。

 

『その言葉、決して忘れるな。付いて来い!』

『…え?』

『俺の名はケンタウロス座の白銀聖闘士、バベル。貴様の命、このバベルが預かった!』

『せ、聖闘士?』

『そうだ、貴様さえその気になれば炎の闘技を身に付ける事も不可能では無いぞ』

『俺、やる!絶対に、聖闘士…、聖闘士になってやる!』

 

俺のその言葉に和麻の瞳に宿っていた光は更に激しさを増し、そしてその背後にはおそらくは和麻の守護星座であろう、山猫座(リンクス)の軌跡が輝いていた。

 

 

 

 

―◇◆◇―

 

 

そして和麻は確実に強くなっている。

このまま成長すればきっと聖闘士になれるであろう、ホルムと共に。

 

「ハハハ、弟子の成長が嬉しい様だな」

「そうですね、確かに楽しみです。如何なる聖闘士になるのか」

 

和麻の瞳はあの頃と変わらず澄んだままだ、例え自分を否定した家族と神凪一族に再会したとしてもその力が復讐へと向かう事は無いだろう。

いずれはこの地上の征服を企む邪悪の神々との聖戦が起こるとしても彼等ならばきっと一人前の聖闘士として闘い抜いてくれる筈だ。

 

「さあ二人共!組み合いはそれまで、訓練の締め括りはスクワット1000回・腕立て伏せ1500回・1000メートルダッシュを其々100セットずつだ」

「「うげえっ!」」

「うげえっでは無い!さっさと始めろ!」

「「ひえええーーーーーっ!」」

 

「ハハハハハハハハハ!」

 

慌てながらスクワットから始める二人を見ながらアルデバラン様は高らかに笑う。

俺もまた二人を見つめて笑みを浮かべる。

 

(強くなれ、二人共。この俺を越えるくらいにな)

 

 

続くかな?

 

 

 

 

その頃の横島くん

 

 

「さあ忠夫よ、訓練の締め括りは12宮往復10回を1000セットだ!」

「おがーーーーーーーん!」

 

 




(`・ω・)と言う訳でとりあえず書いてみた二話目、ちなみにホルムくんは炎熱聖闘士の人です。
和麻の守護星座はどれにしようか迷ったけどまあ、山猫座でいいかなと。
アベルの出演予定は無いし、Ωでは青銅聖衣だったから。
この話、一応のプロットはあるんだけど中々執筆が進まないんだなこれが。
主要聖闘士は四人で三人目は決まってるけど四人目が決まらない。

ネタバレすると和麻は風と炎の闘技を使わせる予定。
「唸れ、疾風!燃えろ、灼熱!」

でわ、何時も通り此処でオイラは書き逃げる。
(・ω・)ノシ<マッタネーー

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