なので、例によって過去にエタったままの作品を晒そうと思います。
昔、昔の物語。
世界は竜王と呼ばれた魔王によって絶望と苦しみの中に閉ざされていた。
そんな苦しみの中にあってさえ人々に笑顔と希望を与えていた存在が居た。
その者の名はラダトームの王女、ローラ姫。
ゆえに彼女は魔王軍よりその存在を疎まれていた。
ローラ姫が16才の誕生日を迎えた日、彼女は突如現れた竜王の使いにその身を攫われてしまった。
悲しみの嗚咽が響く王宮だが、政務を滞らせる訳にはいかず、涙を堪えながらも日々は過ぎて行く。
そんなある日、事態は大きく動く事となった。
ラダトームの城下町に住む一人の少年が16才の誕生日を迎えた報告の為に王宮に訪れた時、謁見の間に安置されていた『太陽の石』が赤く燃え上がる様に光を放ったのである。
『太陽の石』
それは嘗て、大魔王ゾーマを倒し、この世界に光を取り戻した伝説の勇者ロトが残した秘宝の一つ、そしてこの宝玉には言い伝えが残されていた。
――太陽の輝きが消え、闇が世界を覆う時、再び太陽に陽(ひ)を灯す者が現れるであろう。その者、勇者の血を引継ぎし者なり――
その伝承の通り、太陽の石から輝きが消えると共に竜王の魔の手は世界を覆う様になっていった。
そして今、再び太陽の石は嘗ての輝きを取り戻したのである。
”ロトの勇者、復活”
王宮より齎されたその報告に人々は歓喜の雄たけびを上げた。
アレフという名のその少年は勇者としての力を発揮して、次々と魔王軍の凶悪な魔物達を倒し、そして捕らわれの身となっていたローラ姫を無事に救い出し、遂には人々に絶望をもたらしていた竜王をも倒し、この世界に光と言う希望を取り戻したのである。
その後、アレフはローラ姫と共に新たなる理想郷を築かんと新天地へと旅立った。
そして辿り着いた広大なる大地に「ローレシア」を建国。
二人の間に三人の子供も生まれ、ローレシアが国として安定して来ると、次に西北の大地に「サマルトリア」を建国。
美しく成長した三人目の子供の王女は海を隔てたロンダルキア大陸にある「ムーンブルク」の王子に見初められ、彼の地へと嫁ぐ事になった。
これにより「ローレシア」「サマルトリア」「ムーンブルク」の三国は単なる姉妹都市ではなく「ロトの三国」として強い結び付きを結束していった。
そして時は流れ……
平和を謳歌していた世界は再び闇に覆われようとしていた。
ロンダルキア山脈の頂にあるハーゴンの神殿より飛び立った魔物の大軍勢が闇夜の中、ある城へと総攻撃を仕掛けて来たのである。
その城の名はムーンブルク城。
翌日、日が昇る頃にはムーンブルク城は炎と黒煙を吐き出しながら美しき白亜の姿を失っていた。
=冒険の書に記録します=
(`・ω・)続けてもう一話。