昔の偉い人は言いました。「後悔、先に立たず」と……
だが俺は、使い回された言い方だがあえて声を大にして言いたい。
「後悔、役に立たず」と!!
そう、我等がSOS団の団長、涼宮ハルヒの前にはそんな物は全くと言っていいほど役には立たない。
例えて言うなら一万回以上夏休みを繰り返したとしてもハルヒ本人を加え、だ~~れもその事実に気付かないのだから後悔のしようがない。
俺達にしても後悔するだけ無駄だという事を嫌と言うほど体にしみ込んでいる。
「う~~ん」
そんなハルヒは唸り声を上げながら何やら悩んだ顔で俺を見ている。
とてつもなく嫌な予感がする……
「何だハルヒ。俺の顔に何か付いてるのか?」
「いや~~、なんて言うかさ、私思ったんだけどさ」
思うな、思うな。
「キョンってさ」
頼む、頼むからまともな事を思ってくれ。
「無駄だと思う」
「僕もそう思います」
「お前達は人の心の声に何故ツッコミを入れられる?」
「何の話?」
「いえ、こちらの事で。それで、彼がどうしたんですか?」
「そう、それ。キョンってさ、もし男の娘になったらどんな感じなんだろ」
…………ナンデストーーーー!!??
「そ、それはまた…何と言ったらいいのでしょうか……」
「あははは。いや~、私もまたバカな事を考えたわね。忘れて頂戴、じゃあ私は帰るわね。また明日!!」
そう言って、未だ混乱の中にいる俺達をしり目にハルヒは一人帰って行った。
スキップをしているように見えたのは俺の気のせいだろうか?。
「気のせいではありませんよ。僕にもそうとしか見えませんでした」
「だから、人の心の声にツッコミを入れるな!!」
「キ、キョンく~~ん…」
嫌な汗をダラダラと流している俺にメイド服を着込んだマイ・スイートエンジェル朝比奈さんが後ろ向きで声をかけて来る。
「ど、どうしたんですか朝比奈さん?」
ギギギギと音を立てるようにこちらを向いて来る朝比奈さんの手の中には……
「い、何時の間にかメイド服がもう一着……」
「しかもミニですね」
「ハ、ハルヒ……アイツは何を考えてるんだーーーー!!」
解っている、後悔なんかしたって無駄だっていうのはよく解っている。
でも後悔ぐらいしたっていいじゃないか、人間だもの。
そして翌日。
目を覚まし、大きな欠伸をした俺は朝一番のトイレで若干小降りになった相棒との御対面を果たした後、鏡を覗き込むとこれまた我ながら随分と可愛らしくなった「ボク」との初対面を果たす事になった。
せめてもの救いは髪が腰まである長髪になっていたことだろうか。
「まあ、とりあえずポニテだな」
そして着替えを済ませ(やはりというか、制服は女性用しかなかった)登校する。
途中に出会った谷口が何の反応もしなかったという事はボクが男の娘だとすでに書きかえられているという事らしい。
朝一番に部室に行くと其処にはすでに古泉と朝比奈さんと長門が待っていた。
「これはまた、随分と可愛らしくなりましたね」
「キョンくん、綺麗…」
「男の娘である以上、それは必然」
「とりあえず、皆はボクが元は普通の男だったっていう事は覚えてるんだな」
「ええ、その辺はしっかりと覚えています。…しかし、『ボク』ですか」
「仕方ないだろ、口調が固定されていてボク以外の一人称が使えないんだ」
「男の娘でボクっ娘。涼宮ハルヒはそれ以外を認めようとして無い証拠」
そんな会話をしているボク達の耳に軽やかな足音が聞こえてくる。
解っている、ハルヒだ。そしてその扉から入って来るとボクをこう呼ぶんだ。
「おはよーーっ!!今日も可愛いわよ、『キョン
(;ω;)ブログで発掘したハルヒのSSでした。
あの頃のオイラは何を考えていたのでせう?
(・ω・)とりあえず、男の娘は大好物でしゅ。