何とか戻ってこれました。
もし読んで下さる方がいらっしゃればもう一度お付き合い下さい。
よろしくお願い致します。
修学旅行二日目になった。
午前中はいつものメンバーにクマを加えてポートアイランドでウィンドウショッピングをした。
しかし俺は午後は鳴上達とは離れ久しぶりにぼっちらしく一人で行動する事にした。
花村や完二は一緒に行こうとしつこかったが鳴上が俺の気持ちを尊重してくれた。
こいつらといるのは楽しいのだがまだ慣れていないせいか疲れてしまう。
だから、ぼっちにはこうした一人の時間が必要なのである。
別に、ショッピングで荷物持ちさせられたり、服の意見を求められて困ったりしたわけじゃないんだからね。
丁度昼時から少し立ち、飲食店から人が出て行く時間だったので遅めの昼食を取ることにした。
葉隠か…あまり聞かないラーメン屋だが折角なので入ってみることにした。
店主「いらっしゃい!」
店内は和の雰囲気に包まれ俺としてはなかなかに好ましく感じられた。
右にカウンター席、左にテーブル席があるがぼっちは当然カウンター席を選ぶ。
店主「何にしましょうか。」
元気に店主が聞いてくるので、メニューを一瞥しすぐに注文する。
八幡「じゃあ、コラーゲンしょうゆラーメンで。」
店主「はいよ、コラーゲンしょうゆ一丁!」
コラーゲンしょうゆラーメン、名前だけで肌がツヤツヤになり魅力でもあがりそうなラーメンだ。
店主「いらっしゃい!」
店主が声を大きくあげたので、その方向を見ると少年探偵で有名な眼鏡の小学生の方でない、探偵王子こと白鐘直斗がいた。
直斗「比企谷先輩ですよね。こんにちは。」
八幡「おう。」
白鐘が礼儀正しく挨拶をするので俺も返事をする。
白鐘が俺の隣の席に座り、
直斗「コラーゲンしょうゆラーメン一つお願いします。」
俺と同じメニューを注文する。
それより何でナチュラルに隣に座ってるの?そんなに俺ら仲良かったっけ?そんなことないよね。
直斗「先輩は、どうして一人でここに?鳴神先輩達とは一緒ではないのですか?」
八幡「ぼっちは定期的に一人でいないともたないんだよ。ここにはベストプレイスもないしな。」
直斗「ベストプレイスとは何ですか?」
八幡「前の学校にあった場所で、あそこは一人でいれるだけでなく、潮風の変わる瞬間まで楽しめる最高の場所だ。しかし、雨の日は濡れるから行けなくなるんだけどな。」
直斗「そうなんですか。良さそうな場所ですね。」
そう言って微笑む白鐘はとても可愛らしく感じられた。
いや、白鐘は男だから。
性別上だめだから。
全く戸塚といい最近は男の娘はそんなに多いのか。
大歓迎ですがね。
直斗「先輩、どうされました?」
八幡「ああ、気にするな。何でもない。」
店主「コラーゲンしょうゆお待ち!」
白鐘が訝しげな顔をするが、それを遮るようにラーメンが二つ俺たちの前に出された。
正直助かった。
八幡「そういえば白鐘はどうしてこの町にいるんだ?」
直斗「僕は事件を追っているんです。先輩は知りませんでしたね。ここでは連続殺人が起こっていて既に数人が犠牲になっています。僕はその事件を探偵として解決したいんです。」
そう言う白鐘の目は強い決意とほんの少しの寂しさが感じられた。
八幡「なあ白鐘。」
直斗「何でしょう?」
八幡「俺は前の学校で奉仕部って言う部活をしてたんだ。だから俺に手伝えることがあれば言ってくれ。」
直斗「お気持ちだけいただいておきます。これは危険な事件です。僕や警察に任せて下さい。」
八幡「……そうか。無理はするなよ。」
直斗「ありがとうございます。」
我ながら柄にでもないことを言ったなと思っている。
しかし言わずにはいられなかった。
これも俺の黒歴史の一ページになるのだろう。
直斗「でも先輩、僕嬉しかったです。」
八幡「お、おう。」
直斗「失礼します。」
白鐘は少し照れたような表情を浮かべて早々に会計を済ませ葉隠を後にした。
かわいかったな…。
じゃなくって、俺も早く食わないと。麺が伸びてしまう。
比企谷八幡の魅力が上がった。
少し魅力が上がった気がするが俺には関係ないだろう。
そんなことを考えながら葉隠を俺も後にする。
そしてあのいかがわしい雰囲気のホテルに一人帰った。
鳴神達と合流し話を聞くと今晩は、久慈川の案内で出かけるらしい。
変なことにならないといいけどな。