霞「この章ってあとどんくらい続くんだ?」
んー。あと3、4話ってとこかな?
霞「長い……のか?」
ほら、早く他のキャラとかも出したいし。
霞「ならこんな話書いてないで本筋進めろよ」
だが断る!!
光り輝く星空の下、俺と律は向かい合っていた。
昨日まで、記憶を無くしていた男とは思えない程、その表情は晴々としていて。その分悪意に満ちていた。
「この世界が大嫌い?」
律は確かにそう言った。
この世界が、彼に対して何をしたのか。それはわからないが、これだけの悪意を見せる彼は、心の底から嫌悪感を持っているのだろう。
「僕はね、ほとほと嫌気がさしたんですよ」
僕は物心ついた頃から自分の力を理解していた。
自分が望んだこと、言葉にしたことが全て現実になる。
最初は理解していたとしても、その制御をする事が難しく、周りに気味悪がられた。それはそうだ。僕の一言で周りが幸せにも不幸にもなるのだから。
しかし、それでも僕の両親だけは、僕の味方をしてくれた。僕にはそれだけが心の支えだった。
力強く、尊敬する父と優しくなんでも包み込んでくれる母。
お世辞にも裕福とは言えなかったが、それでも確かに幸せだった。
あの日までは。
その日、僕は人間の醜さを目の当たりにした。
山をひとつ越えたとなり村の人間が、僕の噂を聞きつけ、戦を仕掛けてきたのだ。
勿論、僕の両親は必死に僕の存在を隠した。
『同じ村の人間が、裏切らなければ』
村ハズレにある洞窟に隠れていた僕は、簡単に見つかってしまう。
暗い洞窟の中、見覚えのない人間が入ってくるのがわかった。
その瞬間、僕にはわかった。僕は村の人間に裏切られたと。僕はこの村にとって疫病神でしかないと。
「この餓鬼がそうか?」
「あぁ、アイツらが言ってたんだ。間違いねぇ」
鉄製の剣を携えた男2人は、僕を乱暴に引きずり出した。
その時、初めて村の現状を確認した。
所々で立ち上る黒い煙、遠くからでもわかる血に濡れた人だったものの姿。そして、村の中央で吊るし首にされていた……。
僕の両親。
「さ、さぁ!本当の事を話したんだ!俺は逃がしてくれ!!」
そう言ったのは、いつも僕ら家族と仲良くしてくれていた、隣の家の主人だった。
「あぁ。確かに餓鬼はいたが、本当にコイツが『神の奇跡』なのか確認しなきゃなぁ?」
僕を引きずっていた男は、卑しい笑みを浮かべていた。
「おい、餓鬼。お前の力でコイツを殺してみろ!」
あぁ、人間って、なんて汚いんだろう。
この世界は、なんて歪んでいるんだろう。
なんで僕はこんな力を手に入れてしまったのだろう。
僕は願った。最初で最後の神への願い。いや、ホントはその神すらも、僕は嫌悪していたのかもしれない。
でも良いんだ。
僕はこの日、全てを失う代わりに、全てを壊す決意を固めた。
「お前ら『死ね』」
「僕には、何もない代わりに、力がある。こんな汚く歪んで、醜い世界を壊せるだけの力が」
向かい合った律の目は、希望を失い、絶望の中で生きている。そんな目をしていた。
「……あ、そう」
だが、そんな事は俺には関係ない。律の過去に何があろうと。俺はこの世界の創造主として、守らなくてはイケナイ。
「たとえお前に世界を壊せるだけの力があろうと、全てを壊せる訳じゃない。その事を証明してやるよ」
「どうして邪魔をするんですか、霞さん」
俺は鞘から刀を抜く。月明かりに照らされたその刃は、幻想的に美しく見えた。
「『俺の世界』を壊されたくないからだよ」
重い……かな?