白い狐の物語   作:バイオレンスチビ

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赤い霧と白い狐

空を覆い尽くした赤い霧。

老人や子供たちの中には体調が悪くなる者も出て来てしまっていて、実を言えば私もかなり調子が悪くなってしまった。

 

「おい、ふらついているが大丈夫か?

幻術もかなり乱れてるぞ。」

 

慧音先生は何ともないみたいだけど…きっとこの霧は妖気か何かを含んでいるんだろう。

昨日までは何もなかったのに一晩でここまでするとは…犯人はかなりの力を持った人物(?)なんだろう。

 

「人里のほうが心配になって降りて来たというのに逆に心配されてしまうとは…ちょっと情けないですね。」

 

「じゃあ、取り敢えず中途半端に幻術かけるのを止めたらどうだ?中途半端に姿がボヤけてるもんだからかなり不気味に見えるぞ?」

 

「すみません、どうも妖力が安定しないみたいで…やっぱり永遠亭に行って薬もらってこようかなぁ。」

 

「向こうで鈴仙が薬を売ってたぞ?」

 

あぁ、イタズラされるほうのウサギさんね…。まぁ、確かに今日は良く売れるでしょうね。

 

「いらっしゃいませ。って白狐さんか。いつもの妖力安定剤で良い?っていうかあんた早く休んだほうがいいよ?かなり調子悪そうだし…。」

 

「ありがとうございます。たぶん、この霧が原因なんですけ「この子ちょっと借りるわ!」…!?」

 

ちょっ!?何!?

 

「せめてもうちょっと優しくはできないんですか?」

 

「無理ね、急いでるんだから。どう見ても異変だって言うのにあんたは何で優雅にお買い物なんてしてんのよ!」

 

あ、やっぱり異変だったのね…。私もちょっとおかしいと思ったんですよ?別に気がつかなかった訳じゃないんですから。いくらなんでも調子が悪いという人(?)の襟をつかんでスキマの中に引きずり込むのはやりすぎです。

 

「…ごめんなさい。」

 

「まったく…気を付けなさいよ?

そうそう、今回の異変はあんたにも協力してもらうからそのつもりでよろしくね。」

 

!?

そ、そんな…私が死ぬことがほぼ確定じゃないですか!でも、まだ霊夢だけに任せる訳にはいかないだろうし…そうなるとやっぱり私が一肌脱いだほうが…ん?

 

「私は足を引っ張ってしまうかもしれませんし、同じ狐でも藍さんに行かせた方が良いと思います。」

 

「そうもいかないのよ。今回は博麗の巫女の初陣なのよ?保護者と一緒に異変を解決してもカッコつかないじゃない。まぁ、何かあったら困るから保険として藍を付けてあげるわ。」

 

「そ、そう言うものなんでしょうか…。」

 

どのみち妖怪の手を借りるんだから同じ事だと思うけど…逆らえば何をされるかわかった物じゃないから参加はほぼ確定事項。

 

…後は私が死ぬか死なないかだけですね。


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