数日後に、数名の艦娘と妖精さんが浜辺に流れ着いた。何処からか来たのかと尋ねると全員口を揃えて『砂川提督の鎮守府から逃げてきた』と言っていた。補給を受けてない艦娘は食堂に連れていき、大破状態で放置されていた艦娘は入渠ドックに案内した。
そして現在、執務室で鳳翔さんととある事について雑談をしていた。目の前にはサーモンピンクのお皿がある。あの鎮守府で起きた出来事を全て話をしてもらった。
「えっと…このお皿を使ってあの…ごほん、砂川提督を殺したのかい?」
「…はい。私がやりました…」
鳳翔さんは俯き、表情は分からないが落ち込んでいるように見える。正直言って、砂川提督を殺したのは良かったと思う。問題は違う所だ。鳳翔さんはどうやってこのお皿の使い方を何処で学んだのか非常に気になっていた。
「…別に鳳翔さんを責める訳じゃないんだ。鳳翔さんがやった事は艦娘達を救った、違う言い方をすればあの鎮守府から解放したのが正しいのかな?自分で何を言っているか分からないけど、とにかく!鳳翔さんは悪くないよ。ごめんね」
「…はい」
「所で、このお皿の使い方は知っていたのかい?」
「…私があの鎮守府に着任する前、とある人に使い方を教えてもらったんです。夢の中ですけど…」
「夢の中…?」
「夢の中ですけど、リチャードと言う人です。彼は私が着任する鎮守府の事、少し先の未来の事、そしてこのお皿がある場所を教えてくれました」
「夢の中か…。不思議な事もあるものだなぁ…」
お皿を手に持ち、高価な物を管理する金庫の中に仕舞う。間違っても食堂に出しちゃいけない。鳳翔さんの話を聞く限りこれは危険な物だ。
金庫の中にしまった事を確認し、再び座る。
「…私は…どうなるんでしょうか…。解体ですか…?」
「まぁ、適当にこの鎮守府で過ごしたらいいよ。料理屋さんでも開いても構わないし、自由にしていいよ。ただし、深海棲艦達とも仲良くしてね。これが鎮守府のルールだから。後は何があっても守るから」
立ち上がって鳳翔さんの頭を撫でる。少し顔を赤くしていたが、風邪なのだろうか?ゆっくり休んでもらいたい。
ノックの音がして扉が開く。中に入ってきたのは飛行場姫と湾港棲姫だった。
「提督、艦娘達ノ入渠オワッタワ」
「コチラモ補給関連ハオワッタ。間宮サントピザボックスガ頑張ッテクレタ」
「あぁ、ありがとう!君達もゆっくり休んでくれ」
「…ン。行コウ。鳳翔。貴女モ行クワヨ。部屋、案内スル」
湾港棲姫と飛行場姫に手を繋がれてしまって鳳翔さんは執務室から連れ出された。今後も仲良くしてくれる事を願う事にしよう。
「しれいかん〜♪」
執務室から出ると駆逐艦の文月が抱き着いてきた。嬉しそうにしており、何か機嫌がいいようだ。
「えへへ〜あのね、鎮守府から離れた場所に沢山向日葵が咲いていたの〜。綺麗だから一緒に見に行きたいな〜♪」
「向日葵?あったかなぁ…。うーん…気分転換に見に行くか…」
「わーい♪じゃあ行こう〜♪」