「あついー…死ぬー…」
真夏。暑い日差しが照らす中、執務室では扇風機を回していた。冷房機能が付いている機械があるのだが、壊れてしまった。袖を捲って書類を書いているが汗でくっついたりしており仕事している場合じゃ無かった。今日の秘書艦は天龍だ。ソファーの上で伸びており、扇風機を独り占めしている。
「おーい、天龍。扇風機を独り占めしないでくれー…」
「いや、だって暑いし…提督なら大丈夫じゃん?それより駆逐艦の奴らもバテてるんじゃないのか?」
「あの子達は部屋で涼しんでると思うよ。陸奥は飛行場姫と出掛けて居ないし。他の子達は水着に着替えて海で遊んでるんじゃないかな?」
「本当に自由だよなこの鎮守府…。まぁ縛られるよりはマシかな…。そういえば提督、此処にはかき氷は無いのか?」
天龍の言葉の『氷』で思い出した。あるにはあるが、使い道が分からない不思議な物が業務用の冷凍庫に入っているのを思い出した。氷柱で覆われている水着が存在していたはずだ。
「かき氷なら食堂に行ったらあると思うが…。行く?」
「おう!そう来なくちゃっなぁ!行くか」
仕事を放り投げて、天龍と一緒に食堂に行く事にした。
「かき氷…ですか…?ただ、問題がありまして…あるにはあるのですが…どうしたら良いのか分からなくて…」
食堂に居た鳳翔さんに天龍が尋ねてみると、困ったような表情をしていた。
「えっ、手の平に乗るぐらいのサイズの氷じゃないのか?オレはてっきりそうだと…」
「提督ならご存知のはずですが…」
「あ、あぁ…。じゃあ冷凍庫少し見させてもらっていいかな?」
冷凍庫まで案内してもらい、扉を開ける。中には氷柱で覆われているスクール水着があった。
「えっ」
「…」
唖然である。ただ、氷柱がかなり冷たくなっており冷凍庫としての機能は確かに働いていた。
「言っとくけど俺の趣味じゃないからな…。着任した時にあったんだ。この氷は鋸か衝撃を与えたらで砕けるよ…」
「これがこのまま使えるぐらいのかき氷機があったら良いのですが…。くるくる回せるかき氷機が…」
「流石にないと思うよ鳳翔さん…」
「じゃあオレの艤装で少しずつ砕いていくっていうのはどうだ?凄い名案だろ?」
「名案だが、金槌で砕いた方が早くないか?」
「…確かに…じゃあオレはお皿を持ってくるよ」
「提督、金槌なら此処にあります!」
鳳翔さんが未使用の金槌を持って来てくれた。棚の上にあったらしい。金槌を持って上の方から大きめに砕いていく。天龍が皿の上に砕いた氷を乗せて鳳翔さんに渡し、鳳翔さんはかき氷機でかき氷を作っていた。
「この氷美味しいな!頭がキーンってならない」
「口の中で溶けてまろやかですね…。それにしてもあのままで大丈夫なのでしょうか?」
「アレは多少砕いても、元に戻るんだよ。鳳翔さんわざわざ作ってありがとうね」
そう言って鳳翔さんの顔を見る。顔が赤くなってきて可愛かった。こうしてかき氷を食べ終え、涼しくなった状態で執務室に戻る事にした。
SCP-081-jp
「永久ひんやり水着」
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