執務室まで、案内すると何故か扉の前に頭がオオクチバスの憲兵さんが2人立っていた。誰かが頼んだのだろうか。6名とも初めて見る光景なのか、固まっている。
「この憲兵は害は無いよ。こちらから与えない限り。安心してくれて構わない。入ってくれ」
扉を開けて中まで入ってくるのを待つ。警戒をしているのだろうか恐る恐るだが、5名は執務室に入ってソファーに座った。駆逐艦の島風は憲兵をじっくり見ており、服を突っついたり引っ張ったりしている。憲兵は反応はしなかった。
「なぁ、ここの提督さんよ。この憲兵はずっと立っているままで機能はしているのか?」
…本当に島風なのだろうか?どうやら自分の知っている島風ではなかったようだ。その台詞はまさに男らしく、中身は男なのでは?と思うぐらいだ。
「その憲兵に触れられると即座に一瞬で意識を失うぐらいには機能していると思う…」
「ふむ、普通そんな事は有り得ないんだがな 」
そう言いながら何かを考える素振りをしながら吹雪の横に座る。
「何か疑問に思った事があるかな?」
戦艦棲姫が手を上げる。
「艦娘が見当たらないのと、先程の事を説明してほしいわ。ここは本当に鎮守府なの?」
「世間一般からは隠蔽されているけどね。簡単に明かせるような場所じゃないんだ。うちの艦娘達はケーキを食べに行っているよ」
「ケーキ!?いいなぁ…」
「明かせるような場所じゃない…?まさか、此処はブラック鎮守府か?」
「いや、元ブラック鎮守府だったらしい。着任して資料を見て気付いた。前の提督は艦娘に対して色んな事をやってたみたいななんだ」
そう言いながら長門達に此処の資料を渡す。険しい顔つきになり、時々顔を見られながら資料を見ていた。3枚目を見ようとした時、資料に異変が起きた。
「ちょっと待って。この3枚目の資料は少しおかしい。文字が穴あきになっているぞ」
「長門。此処を見て。資料の中に何か泳いでいるわ」
ネヴァダが資料の端を指を指す。『ゆ』と書かれている文字が動き、文字を食べていた。
「…ゅゅゆ……?…文字を食べてる…。まるで魚みたいだな…」
ゆゆ ~ゆゅ ごはん
たくさん
~ゆゅゆ すすめ~
「文字が文字を食べるなんて初めて見ました。私の提督に報告したいぐらいです」
加賀は資料を見ながらぽつりと話す。そうしている間にも文字は食べられ続けていた。
「…私達が行こうとしていた西端の事も教えてくれ。あのまま私達が行っているとどうなっていた?」
「死ぬのかな…?向こう側の知識を持ってこちら側には還ってこれるが…理解したくないんだ。まぁ…喋ってしまうと伝染病のようなものらしい。とりあえず絶対に行くな」
長門が腕を組ながら、顔を見つめてくる。疑っているのだろうか?確かに疑われても仕方がない事だ。
「とりあえず分かった。近付かない事にする。忠告ありがとう…ところで通信機器を貸してくれないか?鎮守府に連絡を入れたい」
「分かった。こちらに来てすまないが少しだけ手伝ってほしい事があるんだ。鎮守府の危機でもあり、世界の危機でもある。うちの艦娘達では人数が足りないんだ」
互いに顔を見合わせた後、長門が睨みながら顔をこちらに向ける。
「どんな事をさせる気だ?場合に寄っては…」
「ケーキを食べてほしい。増え続けるケーキを」
SCP-132jp
「紙魚入る」
ttp://ja.scp-wiki.net/scp-132-jp
locker様作