私立グリモワール魔法学園~if~   作:くらっぷ

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「ふたり」について

俺はあの後訓練所を後にし、智花からのメール(more@というらしい)できた指示通り、学園の食堂に来ていた。

気付けばもう日も暮れていた。

「あっ!転校生さん!こっちです!」

大声で呼ぶな。ただでさえ今誰かのせいでやけに注目されてる身だ。何人かの視線が刺さったぞ。

「分かってる。いつもつけてんだろそのリボン。だからわかりやすいんだよ。」

俺は智花がいつも付けてるオレンジ色のリボンを指して言った。

「あっ。これですか?えへへ…お気に入りなんです。どうですか?」

頭のリボンを見せながら智花はそう言う。

なんか…仕草一つ一つがなんというか可愛らしいが、たまにうざったい。

「あ。うん。まぁ似合ってると思うぞ。それにさっき言ったみたいに分かり易いし。」

俺がそう言うと智花はキャっという仕草をした後頬を赤らめながら、

「あ…ありがとうございます♪」

と恥ずかしげに言うのだった。

「そうだ!お話したくて食堂に集まったんですが、せっかくなので何か食べていきませんか?」

別に拒否する理由もないし、どうせ暇だから智花に色々この学園について聞いておきたい。

「あぁ。いいぞ。」

俺はそう言うと、智花と一緒に食い物を頼みに行った。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

俺がこの学園に来て早2週間程になっている。なんとなく「魔法使い」について。「魔法」については理解してきてはいるが、俺は肝心の魔法はほとんど使えない。その代わり多大な魔力に、それを譲渡するという他では考えられない(らしい)能力が備わっている。対価というヤツか。しかも俺の性格から、女性付き合いがあまり得意でないというのも重なって、学園については実はよく分かっていない。だから、早い段階から友達になれた智花に色々聞いておくのがいい訳だ。

食堂で定食を頼んで席に着き、俺と智花は話し始めた。

「智花。さっき訓練所にいた人は誰なんだ?」

俺は今一番気になっていることを尋ねる。

「あっ。先程の方は、精鋭部隊の方で、エレン・アメディックさんと、メアリー・ウィリアムズさんです。両者とも、すごく強いんですよ!」

そりゃそうだろう。精鋭部隊という部隊で、強くないヤツなどいないだろう。

「メアリーさんはドイツの方で、メアリーさんはアメリカの方なんです。両方国軍出身の方なんですよ。凄いですよね…。」

なるほど。だからあのとき俺を「アマチュア」と言えたのか。いやアマチュアなんだけどさ。だがなるほど。エレンという人については色々納得がいった。ドイツ出身の軍人なら、ルガーを持っている理由も納得できる。しかも「アマチュア」でないことも。

「なるほど…」

「メアリーさんも軍人で…銃で戦って…とても強いです!」

メアリーの説明雑じゃないか?

まぁ彼女については特に知りたいこともなかったからそのままスルーした。

「そういえば転校生さん…銃使ったことあるのですか?」

俺は飲んでいた水を吹き出しそうになった。

「お前…見てたのかよ……」

「あっ!!!その…すいません…」

「いやいいって。いちいち謝るな。」

「はい…。」

「ある訳ないだろ。俺は一般人だったんだ。銃を握る機会はない。」

………嘘を言った覚えはないが何か自分の中で引っかかる。撃ったことなどない。それは事実なはずだが、何か引っかかるものがある。が、俺はそう言った。

「そうですよね!でもなんであんなに上手かったのですか?」

「さあな。たまたまじゃないのか?」

俺は投げやりにそう言う。

そんなものわかるわけが無い。

「そうですか…。」

智花もそれに納得したらしい。

 

そんな話をしていたら気付けば日はすっかり沈んでいた。

「そろそろ帰りましょうか。」

「そうだな。もう夜じゃないか。」

そんな事で、今日は解散することにした。

俺は智花を寮に送り、自分も寮に戻ろうとした時、ポケットに違和感があったので探ってみると、何故かあの時撃ち尽くしたグロックが入っていた。

(明日返しに行かなきゃいけねぇじゃねぇか…。)

って事はまた精鋭部隊に会わなきゃいけないのか。

そんな訳で、また何やら怠い気持ちで俺は寮に戻るのだった。

 


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