私立グリモワール魔法学園~if~   作:くらっぷ

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武器

授業終了後、俺と智花は訓練所に来ていた。

「自分の魔力量は並の魔法使い1000人分」…

そんなわけない。ある筈ない。そのことを確認したい。その一心だった。幸か不幸か、智花も魔法訓練をしたいらしく、それで一緒に訓練所に来ているわけだ。

「それでは、とりあえず適当に魔法を撃ちますので、魔力を補給してください。」

「分かった。」

という具合に、訓練を始めたのだった。

 

「それにしても、転校生さん、すごいですね。」

智花のその言葉で訓練の手が止まる。

「なんの事だ。」

嫌な予感がする。頼むからその予感に関することを言うんじゃない。

「その能力のことですよ。その、そんな能力今まで例がなくて、他人に魔力を譲渡できるって実は本当にすごいんですよ。」

頭がクラっとした。俺は誇大評価されるのが好きではない。それ以前にそんな『やばそうな能力』を持っている時点で面倒なのだ。俺はできれば普通に生きたい。魔法使いという時点で普通ではないが。

「あまり能力について触れないでくれ。色々と頭が痛くなる。」

と、また素っ気なく俺は言った。

「ご…ごめんなさい!」

「謝らなくていいから。しかし、すごい設備が整ってるな。」

俺は話を逸らすべく、辺りを見回しながら言った。

本当に設備が整っている。魔物を模した的、魔法を測定する機械、VRによる模擬戦闘など、よくは分からないがかなり設備が整っていることは素人目に見ても明らかだった。

「それはもう私立グリモワール魔法学園ですから!強い生徒は日々の訓練を大切にします、だからこんなに設備が整っているんですよ!」

と、智花がややドヤ顔で教えてくれた。

解説どうも。よく分かった。

…ふと、俺は近くにあったあるものに目が留まった。

「これは…」

拳銃だ。種類は…ルガーP08だろうか?それにしてはだいぶ手が入っているが…。

ルガーはドイツ軍が採用していた拳銃なはず。

魔法使いの一部はこうして銃を使って戦うことはなんとなく耳に入ってはいたが、まさか実物を目にするとは。しかもドイツの拳銃をこの日本で。

興味本位でそれに触れようとした瞬間…。

 

「触るな!!!!」

 

怒号が響いた。慌てて手を引っ込め、声がした方へ振り返ると、そこには軍帽を被った赤髪の女性が俺を睨んでいた。片目で。

「アマチュアが触れていい代物ではない。」

銃を取り上げるとその女性は言った。

まぁただのガンマニア程度が触れていいものじゃないわな。

「エ…エレンさん…」

智花が震え声でその女性の名前らしきものを声に出していたので智花に目をやると、彼女はエレンという女性に向かって敬礼をしていた。

このエレンという人は、階級が高い人なのだろうか?

「南。此奴が例の転校生か?」

彼女が問う。

「はい。今一緒に訓練をしていたところで…」

「そうか。だがそろそろ時間だ。『精鋭部隊』の貸切があるからな。」

精鋭部隊…?そんなものまであるのか。この学園。本格的だなおい。

「転校生さん。そういうことなので、先に行ってますね。後で食堂で待ち合わせしましょう!」

そういうと智花は訓練所を出て行った。

なら俺もと、訓練所を出ようとしたその瞬間、

「銃に興味でもあるのかァ?」

智花でも、エレンという人でもない声に呼び止められた。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「メアリー。どうした。訓練を始めるぞ。」

エレンがその女性、メアリーに声を掛けた。

「ヘッ。コイツが例の転校生か。意外とシケた面してやがる。」

………なんかいきなりバカにされてるな俺。

「オメェ今エレンの銃見てたろ。銃に興味あるなら撃ってみやがれ。それで筋力が分かるからなァ。」

そう言って、いきなり拳銃を渡された。

勿論実物など持ったこともましてや撃ったことなど一度もあるはずが無い。筋力測るならもっと別の方法があるだろ!しかしこれツッコんだらやばいヤツだ。

「それともビビってるのか?」

……ブチッ。

俺の中でなにかが切れた。

「分かったよ。撃ちゃいいんだろ」

少し乱暴にそう言うと、俺は初弾をセットした。

マガジンに弾は満タンに入っている。

この銃、グロック18だろう。の装弾数は…初弾合わせて18発か。やってやる。

「お?さぁどうだ?」

冷やかすようにメアリーが言った次の瞬間。

 

バスバスバスッ!!!

 

俺はそれを撃った。持ち合わせの知識で照準をあわせながら。不思議と撃っている間の光景はスローモーションに見えた。

 

「ッ……!」

銃を18発撃ち終え、メアリーを見ると彼女は驚愕の表情を浮かべていた。

「お前、撃ったことあるのかよ?」

「ない。だから結果は………ッッ!?」

俺も驚愕した。

なんと弾は18全て的の中心を射抜いていたからだ。

「…お前、センスあるな。また来い。指導してやる。」

メアリーはそういうと、訓練所の奥へ消えていった。


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