私立グリモワール魔法学園~if~   作:くらっぷ

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後悔、後お呼び出し

あれから数日後、俺はあのデモンストレーションを行ったことを大いに後悔することになった。結果から言うと、俺はあれが原因で、更なる非常識に身を投じることになってしまった。

 

遡ることあのデモンストレーションを行った日の夜、俺は智花、夏海、怜の3人と、風飛にあるファミレスに来ていた。智花のおごりで。

「なんかすまないな。智花。」

「いえいえ!約束ですから♪」

と、おごらされてるのに何故か上機嫌な智花。

「しかしあの能力は素晴らしいな…。」

真剣な顔ながら俺の能力を褒めてくれる怜。

「さて…それでは始めますか!」

なにやらテンションが高い主犯の夏海。

「始める?何をだよ?」

「インタビューよ!転校生!アンタを記事にさせてもらうわ!!」

「はぁ…まぁいいけど。」

このとき俺は、別に記事くらい書かせてもいいか。ぐらいの気持ちでインタビューを快諾した。思えば迂闊だった。正直報道部をナメていた。俺は夏海から出される質問にホイホイ答えてしまった。

インタビューに答えたり、4人で談笑したりしていたら、いつの間にか深夜になってしまっていた。

「そろそろ解散にしようか?」

「そうですね!今日はありがとうございます!転校生さん♪」

「さて!帰ってこのネタを纏めるわよ!」

「転校生。今日は楽しかったぞ。お前のその能力。しかと見届けたからな。」

こうして、智花のおごりのお会計を済ませ、解散となった。

 

帰り道は智花と一緒だった。目立った会話もあまり無く、ただふたりで夜中の帰路をあるいただけだったが、なんで智花はこんなに嬉しそうなんだか。

「それじゃあな。もう遅いから早く寝ろよ。」

「はい♪転校生さんも、お気を付けて!」

結局女の一人夜道は心配で女子寮まで同行し、解散した。

 

翌日、いつものように智花と登校すると、報道部が派手に学園通信の新刊をバラ撒いていた。

学園通信は普通に面白く、俺もよく読んでいたので、1枚貰ってから教室に入った。

すると、なんだかかなりの量の視線を感じる…その中、自分の席で学園通信を開いてみると…

【超期待!未来のキーが登場か!?】

というどでかい見出しで…

一面記事に、俺が載ってるし!

しかもかなり持ち上げられている。

何が未来のキーだよ!?この能力ってそんなにスゴいの!?

困惑する俺。何故か智花もあたふたしてるし。

困惑しっぱなしの俺への視線が更に多くなる。その瞬間、後から肩を叩かれた。

慌てて振り返るそこには…

「生徒会長の武田 虎千代だ。お前と話がしたい。」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

俺は今、この学園の生徒会長、武田虎千代に連れられ、学園の長い廊下を歩いている。どうやら生徒会室へ連れていかれてるようだが、やたらと周りからの視線が痛い。それもそうだろう。だれか(夏海)のおかげで多分学園の中で一番話題がホットな転校生こと俺と、学園トップの実力者である生徒会長の武田虎千代が一緒に歩いているのだから。しかしよく見ると会長は動揺というか少々迷惑そうな表情で歩いている。まぁ理解できないことも無い。なぜなら、会長に近づいて来る者の目は、アイドルでも見るかのような目だった。そりゃ迷惑だわ。

「お前たちっ!サインとか握手とかアタシはアイドルじゃないんだ!いい加減に生徒会室の前で待つのはやめてくれないか…」

こうして見ると、やはりすごい支持率だ。流石は生徒会長というだけある。俺はこれからその彼女と面談しなければいけない。正直言ってかなり面倒なのだが……。

 

「ふう。まったくああいうのは困るな。」

なんとか生徒会室に入れた俺に、やはり呆れたように話しかけてくる虎千代。

「支持されているのは良いことなのでは?」

とりあえずこちらからも突っ込んでみる。

「まぁそう考えると悪い気持ちはしないな。」

そう言って微笑む彼女。単純なのだろうか…?

「さて。お前と面談するのは…2回目だな。」

そう。実はこうして彼女と面談するのは初めてではない。入学初日に、新入生は生徒会長と面談する義務があるため、こうして面談を行ったのだ。

「さて。本題に入ろう。今日呼んだのは他でもない。このことだ。」

そうして彼女は、学園通信を取り出した。俺がデカデカ書かれてるアレだ。

「お前が持っているというその能力…疑う訳では無いが、本当か?」

「本当じゃなきゃこんなデカデカ書かれませんよ…えぇ。本当です。俺は他人に魔力を譲渡する能力を持っている。」

「なるほどな…転校生。落ち着いて聞いてくれ。その能力は、率直に言って、万人が欲しがっている能力だ。今の世界の状態は知っているな?そんな状況において、他人に魔力を渡せるなんて能力は…貴重。なんて一言では表せないほど皆が欲しがるものだ。」

彼女の話を聞いていると…冗談とかではなさそうだぞ。そんなに凄いのかこれ。

「それともう一つ気になることがある。クエストを終えた者はほとんど疲弊して戻ってくるが、お前と南は、そんな様子もなく帰ってきた。2人は大したレベルではないというのに、これはどういうことだ?」

 


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