私立グリモワール魔法学園~if~   作:くらっぷ

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デモンストレーション

ようやく学生らしい生活ができるのだと思うとなんだか嬉しく感じる。

俺はあの後智花と登校し、授業を受けた。

授業を受けている間は本当に「普通」の学生のようだった。少し変わったことがあるとすれば、「魔法」の科目があることぐらいだろうが、俺の生命に直接関わる科目だろうから、魔法の授業は他の数倍の集中力で臨んだ。

かなり内容も頭に入れられたから、魔法は大丈夫だろう…実技ダメダメだったけど。

 

なんやかんや充実していると時間が過ぎるのは早いもので、現在の時刻はもう放課後の時間帯である。

「転校生さん!このあと、お暇ですか?」

智花が話しかけてくる。相変わらずの笑顔で。

「暇だが、どうした?飯なら勘弁してくれよ」

「違いますよー!これから転校生さんに、私の友達を紹介しようと思いまして!」

智花の友達か…。思えば学園で、智花以外との絡みはほぼ0だったな。交流はあって損は無いだろう。

「それは嬉しい。交流は多い方がいいからな。」

「はい!それではついてきてください!」

 

智花について行くと、辿りついたのは食堂だった。

「2人ともお待たせ~!さっき言ってた転校生さん、連れてきたよ♪」

何故か満面の笑顔で、俺を連れてきたということをそこにいた2人の女子生徒に報告する智花。

そしてその2人は俺に向かって声をかける。

「ほう…お前が転校生か。はじめまして。だな。神凪 怜だ。よろしく頼む。」

「お!待ってました!アンタが転校生ね!報道部ゴシップネタ班副班長の岸田 夏海よ!よろしくね!」

……なんだか、個性的なメンバーだな。

神凪怜は、なかなかクールな印象だが、腰に下げてるアレ。間違いなく日本刀だ。オモチャなんかじゃないだろう。

そして、岸田夏海…なんかいかにもトラブルメーカーって雰囲気がある。報道部のゴシップネタ班…なんて言われたらもう尚更だ。

んで、南智花…天然おせっかいで、料理が生物兵器…なんというか、カオスだ。

「智花、そいつとクエストに行ったのだろう。どうだった。」

怜が口を開く。

「そうそう!私は智花と転校生が受けたクエストを記事にしたくて今ここにいるんだから!」

夏海が意気揚々と宣言する…ん?記事にされてしまうのか?

「えへへ…転校生さん、すごいんだよ!転校生さんは、魔力を人に渡すことができるんだよ!」

その発言を境に、凍りつくその場。

「智花…その話は本当か…?」

「魔力を渡す…?そんなことがホントにできるワケ…?」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「魔力を譲渡する能力…そんなものが本当にあれば、私たちはこのような状況を打開できるかもしれないのだがな。」

皮肉っぽく怜が言う。

「そうねぇ。智花、夢でも見てたんじゃないの?」

夏海もそう言う。

智花の方へ目をやるとあたふたしてるし、若干俺も腹が立ってきた。自分の能力が否定されたからか?何故だかわからないが、気づけば俺は声を荒げていた。

「信用ならないならお前達が俺の能力を体験してみろよ!?」

初対面にこんな態度とってしまったのは申し訳ないが、なんの根拠もなしに否定されるのはこちらとしても腹が立つ。

「転校生さん落ち着いてください!怜ちゃんも夏海ちゃんも、信じてよぅ…!」

うわ。泣きそうな顔してるし。

そして、しょうがないというような表情で、怜が口を開く。

「訓練所に行こう。そこなら智花の言っていることが嘘か本当か分かるだろう。」

 

学園にある訓練所。厳しい審査が必要だが、それが通れば魔法や戦闘の訓練ができる場所。俺と3人はそこに来ていた。

なお、訓練所では戦闘服になることを義務付けられているので、俺含む4人は皆戦闘服である。

智花は最初に一緒にクエストに行ったときと同じ、ピンク色のドレス姿。

夏海は極度に丈が短いオレンジ色の服に白い短パン。あと大きな蝶のような髪飾り。

怜は巫女服。典型的な大和撫子の怜によく似合っている。

ちなみに俺はというと、燕尾服をアレンジしたもの。それに紅いネクタイを締めている。自分で言うのもなんだがマフィアみたいだな。なんか。

「今から私は全力で魔力を込めて的を斬る。転校生はその後、私に魔力を補給してみろ。」

そう言うと怜は、目を閉じ、抜刀した刀に魔力を込め始める。込め続けること数分後、怜は眼をカッと開き、的に向かって斬撃を放つ…!

バシュウウウウウゥゥッ!!!

凄まじい衝撃波と、炸裂音が訓練所内に響く…!俺はそれに多少動揺しながらも、怜に向かって走って行き、彼女に魔力を補給した。

「お望みどおり補給したが?」

勝ち誇ったように、彼女に魔力を補給したことを告げる。

「……この感覚…間違いない。私は確かに全ての魔力を使ってこの攻撃を放ったはずなのに、全然疲れやしない…それどころか、まだ魔法が使えそうだ…。」

怜は驚愕の表情を浮かべる。

「え…?それ本当…?転校生ッ!次、私!私にもやって!」

 

同じ作業を繰り返し、夏海にも同じように魔力を譲渡する。

「うわ…これ本当だわ…すごい…」

こうして、俺はこの2人を納得させた。


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