私立グリモワール魔法学園~if~   作:くらっぷ

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完遂、そして手料理

「はぁっ!!」

智花の力強い声、炎に包まれる最後の1匹だと思われるミノタウロス。

あのあと、智花が言った通りの作成で、かなり簡単に魔物を蹴散らすことが出来た。

まぁ自分は智花に魔法を供給しているだけなのだが。

「すごい…」

俺は思わず呟いていた。

かなり簡単な作戦でクエストが効率化できたこと。そして、智花が俺の魔力を受け取り、炎の魔法を込め、放ち、燃え盛るミノタウロスの姿を見守る戦闘服姿の彼女が、…

 

ーやけに美しく見えたからー

 

「転校生さん!」

あ。やべ。また呆然としてしまってた。

「大丈夫ですか?やっぱり魔力の使いすぎで無理をしてたのですか…?」

智花がかなり心配げに訊いてきたので、

「いや。大丈夫だから。マジで。」

笑いながら彼女に心配をかけないようにする。

というか実際に疲れは感じない。

「本当…ですか?」

「あぁ。大丈夫。そういえば、もう魔物の姿が見当たらないが、どうしたらいい?」

「あと数分警戒して、もう見当たらなかったらクエストクリアとなります!」

 

結局、20分ほど警戒したが何もいなかったので、俺と智花は学園に戻り、クエストの結果を報告し、クエストを終えた。時間にして多分2、3時間のことだったように思える。はじめてのクエストは無事遂行できた。しかし自分自信があまり役に立てなかったのは歯がゆいと言わざるを得ない。

クエストの結果報告やら、智花による学園案内やらを済ませていると、もう放課後になっていた。

「転校生さん!このあとちょっといいですか?」

「時間って授業が…」

「あっ!言い忘れてましたが、クエストの後はとても疲れるので、授業は免除されるんですよ♪」

そうだったのか。まぁ理にはかなってるな。

「転校生さんにご飯を作ってあげます!」

「おぉ。それはありがたい。」

正直食うものも購買で済ませていた俺に、手料理はかなりありがたいものだった。

…?気のせいか。一瞬まわりがビクッとなった気がしたのは。

 

ー学園の調理室ー

まさか俺の墓がこんなところになるだなんて…

数分前、俺は智花の手料理を食べた…というか食べてしまった。そうか。そういうことだったのか。あの時まわりがビクッとなったのは。

手料理はとても嬉しいのだがこれはとてつもなくマズ……

感想を思い浮かべる前に、俺の意識はブラックアウトしていった………。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

気付いたら俺は自室のベッドに横たわっていた。時間は…いつも起床する時間の2時間前ほどか。確か智花の手料理をたべて気絶したんだったな。もう食べないようにしよう。ちょっと失礼だけど。

なんだか今回はパッと起きることができたので、ハッキリした意識の中、デバイスのチャットシステム…More@とかいったか。に、智花からメッセージが届いていることに気づいた。

どれどれ内容は……

【昨日はごめんなさいっ!(>人<;)

やっぱり私は料理がヘタクソみたいです…。

その、やっぱり怒ってます…よね?

あの…本当にすいません!なんでもしますから許してください!】

……なんだかいっぱいいっぱいな気持ちで書いたのが分かる文章だし、しかも別に起こってもいない俺は、ただただ自分が気絶などというオーバーリアクションを起こしたことに関して申し訳なくなった。とりあえずこっちからも謝っておくか。

【ん?何でもするって言ったよな?

じゃあ、また今度何かおごってくれ。手料理以外で。あと、こっちも気絶なんてして悪かった。それと俺は全然怒ってないから大丈夫だ。安心しろ。】

そうして智花に自分が気絶したことに関して謝ると共に、智花に何かおごってもらえるように交渉してやった。やったぜ。

そして俺はアラームを設定し、もう少しだけ寝ることにした。

 

最近お馴染みになってきた無機質なアラームで再び目を覚ます。そして購買で買い溜めておいた朝飯を食い、登校の準備をしていると…

ーピンポーンー

自室のチャイムが鳴った。珍しい…というか初めてだな。俺の部屋に客が来るの。

「今出る!」

そう言い、ドアを開けるとそこには、

なんか色々複雑な表情をした智花が立っていた。うわ気まずい。

「あの…お詫びと言ってはなんなのですが、その…転校生さんと一緒に…これから毎日登校したいかなーなんて思って……」

…マジかよ。いろんな意味で勘弁して欲しい。第一、あまり女子と絡むのが得意でない俺が女子である智花と一緒に登校したところで気まずくなるのがオチだ…なんて、彼女の今にも泣き出しそうな顔を見て、言えるはずもなかった。

「わ…わかったから泣くな。いいだろう。一緒に登校しよう!」

そう俺が言った瞬間、彼女の表情は花が咲くかのように明るく眩しい笑顔にかわった。そんなに嬉しいか。俺と登校するの。

でも、悪くないかもしれない。彼女は一番はじめにクエストで組んだパートナーだから。

こうして、智花は毎朝俺の部屋に来てくれることになった。


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