私立グリモワール魔法学園~if~   作:くらっぷ

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学園、出会い。そしてクエスト

学園のマスコットキャラクターみたいな、うのすけと名乗る人形みたいなヤツからの学園の説明が終わり、彼のいた部屋を出る。正直頭が痛い。まさかそんなエグい場所だとは思ってなかった。

「君は1年後、生きていないかもしれない」

彼の言葉がフラッシュバックする。

気づけばもう日も落ちていた。

俺は指定された寮の一室へ、投登校時の10倍程重い足どりで向かっていた。

霧の魔物。魔法使い。それらのことを考え込みながら。

……考え込んでいたら人は周りが見えなくなるものだ。学園から寮へ向かうまでにある曲がり角。そこで事故は起こった。

曲がり角の先から走ってくる者がいたのに気付かず、俺とその子は盛大にぶつかった。

一昔前のマンガかっての。

俺は軽く吹っ飛ばされたが、着地の際に受身を取ったこともあり、ダメージはほぼ皆無だった。

「いたた…だ、大丈夫ですか?お怪我とかありませんでしたか!?」

その子はただぶつかっただけなのに大事でもあったかのように俺を心配した。

「大丈夫だ。『 魔法使い』がこんな程度で大怪我するわけないからな。」

俺は無愛想に、そして皮肉っぽくその子に言い放った。

「そう…ですか。そうですよね。私ったら心配症で…」

自分で言うか。暗闇でよく見えないが…この子は女子だな。あまり女子と話すのは好きじゃない…がまぁそれはこの学園の生徒として死活問題だ。なんとかコミュニケーションを取らねば。

「わかったから。もう大丈夫だから。女子のひとり夜道は気を付けろよ。」

そう言い、相手の返事を待たず俺は自分の寮へ再び歩き出した。ダメだな。どう頑張っても無愛想な返事しかできない。改めなきゃならんな。ところでさっきぶつかったとき、彼女の胸に当たったけど…結構、あったな。

 

などと少しイケナイことを考えたりもしながら、自分の部屋にたどり着いた。中は…意外と広い。とりあえず道の途中で寄った購買で買った飯を食い、さっき受け取った教材やら制服やらを整理し、もう寝ることにした。

明日から早速授業が始まる。「魔法使い」としての…な。

とりあえずデバイスのアラームを設定し、俺は床についた。明日から始まる非日常に半ば心を踊らせ、半ば絶望しながら……。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

ー崩壊するビル、阿鼻叫喚で包まれる街中。闊歩する巨人…その中俺は足元で倒れ込む少女に泣きながら語りかける…

「××…?」

気づけば巨人は俺の背後でその巨木のような腕を上に上げて…俺と少女めがけて振り下ろした………………………ー

 

 

 

無機質なアラームの音で目覚める。

何だか変な夢を見た気がするが、よく覚えていない。朝からぼーっとした気分で昨日買っておいたフレークを朝食として食べる。

今日から魔法使いとしての教育を受ける。

また考え込んでしまう。…気づけばそろそろ寮を出る時間だ。荷物を持ち、制服を着て…寮をでた。魔法学園生徒として最初の1歩だ。

 

登校中、周りを見るとやはり女子が多い。まぁあまり気分はよくないな。うん。

自分はリリィクラスに配属された…のだが、予想外に学園は広く、自分のクラスを探すのにも少し時間がかかった。何とか探し出したクラスは……うわ。女子しかいない。やりずれぇな…。とりあえず自分の席に座る。確か俺は1、2時間目は免除で、同じクラスの子が学園を案内してくれるハズだ……っとデバイスから聞き慣れない音が。なにこれ。クエスト…?

デバイスを確認した瞬間、隣から「聞き覚えのある」声が。

「あの…転校生さんですよね?」

声がした方に振り向くと、茶髪、綺麗な茶色の眼。体格は少し小さめの女子が、何やら申し訳なさそうな表情で立っていた。

「そうだけど…何だ?」

相変わらず無愛想な返事で返した。

「あの…転校生さんの案内を任されていた南 智花です。あの…なんだか順番が変更になっちゃって…すみません。いきなりクエストになっちゃいました。」

クエスト…!?

驚愕する俺。まさか転校していきなり魔物と戦えと言うのか。

実の所、俺はどんな魔法を使えるのか自分で分からないそんな俺にいきなりクエストだなんて…。

「あの、顔色が悪いですが、大丈夫ですか?クエストのことなら、私達の力量に合わさったものしか発令されないから、平気ですよ♪」

平気なものか。と突っ込みたかったが、これは避けられないパターンだと何となく悟ったため、頷くしかなかった。

そしてこの子…南 智花の言われるままクエストを受注し、彼女と共にクエストに向かうことになってしまった。今回は宍戸 結希という人がモニターとして付いてくれているらしいが…不安でしかない。とにかく今の俺にできることは、死なないように神に祈るだけだった。俺無宗教だけど。


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