私立グリモワール魔法学園~if~   作:くらっぷ

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Prologue

デバイスから、昨晩遅くに設定したお気に入りのアニソンがアラームとして流れる。

寝惚け眼の俺、倉布 金紅はそれを半ば不機嫌な気持ちで切り、起床する。

数週間前まで「平凡」なただの高校生だったってのに。どうしてこうなったんだ。

正直、その数週間前までは「霧の魔物」なんてどうでもよかった。そんなもんにもし襲われても死ぬときゃ死ぬ。本当にどうでもいいことだったのに。ある日突然だったんだ。俺が「魔法使い」に「覚醒」しちまったのは。

つまり俺は今、平凡な日常から一変。「魔法使い」としてここ、私立グリモワール魔法学園に強制的に入学させられた。

目覚ましのアラームが予想外に大音量だったこと、そして平凡な日常からこんな非日常にブチ落されたストレスでイライラノンストップなまま登校の準備をする、俺の部屋のインターホンが鳴る。

「また来やがったよ…おせっかいなヤツだよ…。」

ストレスが顔に出て座学で学んだ霧の魔物みたいな顔面になりながら、ドアを開ける。そこには。

「遅かったじゃないですか。そんなことでは立派な魔法使いになれませんよ!」

なりたくねーよ。もうなってるんだけどな。

…学園で最初に知り合ったおせっかい。

リリィクラス…つまり俺と一緒のクラスに所属している……南 智花が、少しムっとした表情で俺を待っていた。

彼女と一緒に登校する。正直あまり女子と行動するのは俺にとっては気分が良いものではない。しかし始業チャイムギリギリで登校完了する以外はただの平和で平凡な学生の日々だ。

この世界が。この学校が。そんな生易しいものであってくれれば良かったのにな。

始業チャイムが鳴り、奇遇か不遇か隣の席の智花が笑いながら言う。

「転校生さん、今日も一緒に頑張りましょうね!」

対する俺は無愛想に返事をする。

こんなただの日常が…永遠に続けばよかったのにな。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「あのとき」そう。俺は普通の高校生として生活していた。何故かその月は勉強がバカみたいに頭に入ってきたので、順調な高校生生活だった。しかし月の終わり、俺は下校中に突き上げるような頭の痛み、体中の液体が疼く様な吐き気、目の前が一緒にしてブラックアウトしてしまうようなめまいというような不健康のオンパレードどころか不健康パラダイスみたいな状態になり、下校中。それもかなり人目のつく街中でぶっ倒れた。当然病院に運ばれ、医者に言われた最低最悪の病名は、「覚醒」

すなわち「魔法使いに覚醒した」のである。

本当に突飛すぎるよ。

重い足どり。いろんな意味で整理できてない頭。それらを抱えながらやって来てしまいました。風飛は私立グリモワール魔法学園。マジでもう帰りたい。足枷でもつけられてるかのようにクソ重い足を無理矢理前進させ、門の前に立つ。すると、なにやらちっちゃい金髪ツインテールの女子が話しかけてきた。

「おやおやみねー顔ですね。この学校になんのよーですか?」気だるそうな口調だか何となくわかる。「ホンモノ」だ。

「俺は転校生…だ。これ。」

そう言いながら入学許可証をその子に渡す。

「あんたさんが転校生ですか。しつれーしました。これから色々説明とかありますんで、とりあえずついてきてくだせー。」

…こうして俺の魔法使いとしての生活が始まった。


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