白狐+ショタ=正義! ~世界は厳しく甘ったるい~   作:星の屑鉄

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更新遅れて申し訳ありません!

本文急いで完成させたのですが、やはり文字数は少なく……。
後々のことは考えているのですが、どうにも結末以外の内容が伸びないのがネックです。

それでは、お待たせいたしました。
本編をどうぞ。


第二十二話 大江山の一幕

 

 

 大江山。鬼が拠点とする山の中には鬼の住む屋敷があり、その中で今、蛇と狐が邂逅していた。

 

「それで、白。酒呑のヤツを見て、どうだ? 婿にならないか?」

 

 真剣な様子で、人ほどの大きさの蛇が白に向けて提案を投げかける。これに白は少し唸ったあと、お猪口に入った水を一口飲んで言う。

 

「まだわかんない」

「そうか。わからないか!」

 

 その答えに蛇は満足して大声を上げると、置いていた盃の中身を一気に飲み干して、酒気の強い息を吐き出した。

 

「まぁ、追々でいいのだ。我々の生は長い。それに、白には大任を背負わせている。忠告するとすれば、取り返しのつかないことはするな、としか言えぬ」

 

 苦い顔をする白を蛇は見ていなかった。自分の考えにすぐに没頭して、喉を鳴らしている。それに合わせて、ちろちろと細い舌が見え隠れする。

 

「しかし、白が何をしようとも、我々は気づかないのだろう。どこかの聖書に出てくるヤツならば、あるいは知り得るのだろうが。それは、我々の管轄の話ではない」

 

 ヌルッとその身を柔軟に翻らせて帰るのかと思えば、蛇は振り返って言った。

 

「白。決意はしていないのだろう。まだ枝葉は分かれるのだろう。それでも尚、言葉を紡がせてもらう」

 

 蛇は一つ息を吸うと、言葉を投げかけた。

 

「欠けても世界は何事もなく成立するだろう」

 

 白の体が跳ねる。

 

「だが、我々は納得しないのだ」

 

 白は蛇を見て首をかしげた。しかし、蛇はそれ以上何も言うことなく、部屋の外に行ってしまった。

 

 白は蛇が出て行った後も、蛇の言葉の真意を考えた。頭を捻り、時に立ち上がって歩き回り、時に座禅を組んで心を落ち着かせて。

 

「ハク~!」

 

 がばっ、と後ろから何者かが飛びついてきた。驚いて白が振り返ると、そこには立派な二本角を生やした女の子が居た。彼女は白の背中に引っ付いたまま、瓢箪を傾けてその中身を飲んでいる。

 

「ハクぅ。なーに、ひとりで考えているのさ」

 

 水臭いぞ~、と彼女は左の拳を白の頬にグリグリと押し付ける。頬を弄られた白は「うー」と唸りながら、恨みがましく彼女に視線を向けた。

 

「そんなに怒るなってぇ。ほら、頼れる鬼さんに話してみなって」

「えー。すいか、たよりない」

「まったく、無駄に正直だねぇ。嫌いじゃないけど。それで、何があったのさ?」

「……やまちーにいわれたこと、かんがえてた」

「オヤジが? ははぁ、なるほどね。で、なんて?」

 

 白は蛇、八岐大蛇に言われたことを復唱する。すると彼女、伊吹萃香は「なんだい、そんなことか」と軽口を叩く。白が怪訝そうに萃香を見ると、彼女はさも当然のように言う。

 

「私が今死んだって、世界が壊れることなんてありゃしない。でも、仲間たちは惜しんでくれるだろうね。オヤジはキレて暴れまわるかもしれないね」

 

 単純な話さ、と萃香は瓢箪の中身を流し込む。白がまだ渋面を作っているのを認知すると、彼女はため息を吐いて言う。

 

「白が死ねば、私も少しは悲しいし、惜しむ心も出てくる。オヤジあたりは泣くかもねぇ。つまり、白に関わってきた奴等全員、居なくなれば悲しむし、なかなか割り切ることも難しい。心のつっかえになるのさ。白も、私が死んだら悲しいだろ?」

 

 白が頷くと、萃香は「それと一緒さ」と言って、白の背中から離れた。

 

「何を抱えてんのか知らないけど、オヤジが言ったことを噛み砕いて言ってやる。

白、お前が死んでも、消えても、世界は壊れない。でも、残された私たちは悲しいし、辛いんだよ。だから、短気起こして自暴自棄になって、無駄に死ぬなんてことするんじゃないよ」

 

 言い切ると、萃香は八岐大蛇と同じように部屋から出て行った。残された白は「そっか」と小さく呟いて、宙を見つめて考え事に耽るのであった。

 




最近は多忙というわけではありませんが、二次創作と一次創作で書く場合の文章力の格差に驚いています。一次創作の方は描写を細かく出来るのですが、二次創作になるとどうしても、キャラ優先に考えてしまう傾向があります。そうすることで、他の描写が薄くなってしまう傾向ががが……。

実際、今回は場面設定がまったくもって重要ではなかったので、描写を省いたわけですが、どうにかして描写とギミックを混ぜていきたいものですね。

最終章は絶対にそれらを混ぜて、どうにか満足出来る且つ最高の仕上がりにしていきたいものです。

あと、この小説が結局、シリアスか可愛い系かどっちに向かせたいのか、という方針的なものもありますね。私的には、「幼さ」という題目をもとに書いていきたいのですが、話の構造上どうしても加わるシリアスの配分がなかなか難しいです。

さて、愚痴はここまでとしまして。

それでは、感想などをお待ちしております!

最近の良い事:
ダンバルの色違い4Vが孵化して狂喜乱舞してました。
FGOでは呼び符18枚でイベント礼装✩5一枚、✩4三枚、Xオルタ、モーさん引けました。

以上。

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