暗殺教室・その転校生、未来人で、仮面ライダー!   作:真田丸

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グランドジオウ・・・・変身シークエンスが壮大の一言に尽きますね。

過去のライダーであれほどの変身があったかとまさに平成の最後を締めくくるにふさわしいと思いました。
過去の歴史からライダーを複数対同時に召喚するとかディケイドコンプリートフォームの上位互換と言えますね。

しかも時間の操作や武器の召喚など一つ一つがチートの能力のてんこ盛りでため息が出ました。


速水の時間⑧

「行くぞ速水!手、離すなよ」

「ええッ!」

 

向かってくるNNロイミュードたちを前に二人は互いの手を固く握る。

 

先行した一体のNNロイミュードが速水に向かい上空から襲い来ると郷は速水の手を引き庇うように抱き締めながら空中のNNロイミュードを蹴り落とす。

 

続けて向かってきた一体に対し2人は互いの眼を見て合図を送ると手を繋いだまま同時に腕を伸ばし距離を開ける。

 

「グゥッ!?」

 

勢いを止められなかったNNロイミュードは2人が伸ばした腕に引っ掛かり動きを止める。次の瞬間にはゼンリンシューターが目前まで迫っていた。

 

 

 

「〜〜ッ!何なのよ!?」

083は思わず叫ぶ。いくら量産型で性能の低いNNロイミュードばかりとは言え手を繋いだままの郷に負ける事は無い。仮に郷を倒すことが出来なくても本物の速水を始末することは容易な事と考えていた。

しかし、既に2体のがやられており残りのNNロイミュードたちも攻め切れていなかった。

 

 

 

 

 

「ッ!速水、上だ!」

 

「えっ?キャッァ!?」

 

真上に跳んだ一体を見た郷は速水の腕を引き寄せ前かがみになる。

引っ張られた速水は勢いのままに郷の背中の上を反対側へと半回転する。その時、速水は上から来る一体に気付き脚を伸ばすとロイミュードの顔を蹴り払う。更に着地と同時に向かって来ていたもう一体に踵落としを喰らわせ地面に叩き伏せた。

 

「ナ〜イス」

 

郷が笑って速水にハイタッチを求めるが当の速水はそれどころではなかった。

 

「ちょっと!急にやられるとびっくりするじゃない!!」

 

 

「とか言いながらちゃんと反応してくれたじゃんかよ」

 

笑いながらゼンリンシューターで周りを牽制する郷にそういう問題じゃないと言い返そうとしたがやめた。言ったところでどうせ大して反省しないだろうことは分かり切っているからだ。

気を取り直して速水は自分たちを囲う者たちの姿を見渡す。

 

右を見ても左を見ても自分と同じ顔が居て目眩がしそうだった。しかも地面には先程倒したロイミュードが自分の姿のまま倒れている。

「やっぱり、ニセモノって分かっていても自分がやられるのは嫌な気分ね」

 

「まぁ〜だろうなっと!」

郷は向かってくる一体を撃ち倒しながら速水の呟きに答える。すでに5体、半数のNNロイミュードを倒し終えた。

最初こそ数の差から余裕を見せていたNNロイミュードたちだったが次々とやられていく仲間の姿に焦りを見せ始めた。

 

 

「ウッ・・・ウウ〜・・・・アッ!?」

 

たじろぎ後ずさる一体のNNロイミュードの首に083の腕から延びたコードが絡み付き上空に吊し上げた。

 

「アッ・・・アア〜!ゼッ083、ナニヲッ!?」

 

仲間からの突然の仕打ちに郷や速水だけでなく周りのNNロイミュードたちも驚く。

 

「勝手に下がるんじゃないわよ。そんなに戦いたくないなら・・・」

 

083が吊し上げたNNロイミュードの首元にコードを挿すとそのデータを吸収していく。データを吸われたNNロイミュードは速水の姿を保つ事が出来なくなりバット型ロイミュードとなりやがてその姿さえも保つ事が出来なくなっていき絶叫と共に完全にデータ化し083へと吸収された。

 

「戦えない役立たずはせめて私の力になりなさい」

 

083の視線は地面に倒れる5体に向けられた。右手の5本の指がそれぞれコードへと変わりその首元に突き刺さる。先程の1体と同様にデータを完全に吸収されたNNロイミュードたちが倒れていた場所には1つの痕跡も残っていなかった。

 

「自分の仲間を・・・吸収した・・?」

 

「まぁ、前に戦った時もアイツは仲間を盾にしてたからな」

 

速水は信じられないと呟くが郷は以前の戦いを思い出し083はそういう奴なんだと納得する。

 

「ほら、なにしてるのよ?早く戦いなさい」

 

6体のNNロイミュードのデータを吸収し終えた083はその様子を呆然と見ていたNNロイミュードに冷たく言う。

 

「「「「ウッ・・・・ウアアァァァ!!」」」」

 

残りのNNロイミュードが一斉に襲いかかる。だが、その顔にあるのは余裕でも焦りでもなく進んでも引いても待っている消滅への恐怖だった。

「・・・・ッ!」

 

その顔に速水は思わず同情してしまった。

相手は機械だと分かっていても死にたくない、生きたいと訴えるような表情が数ヵ月前まで普通の女子中学生だった速水の胸に痛く刺さる。

ましてや自分と同じ顔だから尚更だった。

 

「速水っ!」

 

「ッ!?」

 

 

気付けば速水の目前まで一発の光弾が迫っていた。寸前で郷がゼンリンシューターを間に入れ防いだが郷の反応があとコンマ一秒でも遅れていたら速水の顔は吹き飛んでいただろう。

 

 

「・・・無理矢理戦わされているみたいで可哀想。とか思ってるか?」

 

なぜ速水の反応が遅れたのか。その心情は何となく郷にも伝わっていた。郷の問いかけに速水は静かに頷く。

 

 

「・・・まぁ余計なことは考えるなとは言わねぇ~けどよっ!」

 

速水の手を引き後ろに下がらせると向かってくるNNロイミュードを蹴り飛ばしゼンリンシューターを振るう。次々と来る3体の攻撃をいなしながら郷は続ける。

 

 

「ロイミュードとの戦いは、倒すか倒されるか!正義だのなんだのって奇麗ごとで飾っても所詮はただの殺し合いだ!」《ゼンリン!》

 

体制を整えようと距離を取ったNNロイミュードたちを見て郷は自身の太股を使いゼンリンストライカーを回転させる。チャージされたエネルギーが銃口へと集中しNNロイミュードたちへと向けられる。

 

「戦う事に躊躇してもいい。敵に同情してもいい。命を奪う事に罪悪感を覚えてもいい。でも!・・・死なないでくれよ」

 

速水が見た郷の横顔はとても悲しそうな物だった。

 

「もし、速水が死んだら・・・俺が戦う意味を無くしちまうからさ。みんなが、速水が笑って生きていく未来のために俺はこの時代で戦っているんだからな!!」

《ゼンリン!シューター!》

 

ゼンリンシューターから放たれたエネルギーが一団となって迫ろうとしたNNロイミュードたちを貫き爆発させた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さぁ~て、残りはお前だけだな。083!」

 

郷は銃口を083へと向ける。が、当の083は爆発の中へとコードを伸ばし破壊されたNNロイミュードたちの残骸からそのデータを吸収していった。

 

「・・・そうね。残ったのは私だけ、でもそれで良いのよ。」

 

手下が全員やられたにも関わらずその顔はまだまだ余裕があった。

 

「速水凛香は私だけで良い。どちらにせよ本物を始末した後でデータだけを貰うつもりだったのが順序が入れ替わっただけよ」

 

10体のNNロイミュードのデータを吸収した083はその姿を徐々に変化させていく。

だが、その変化は他のロイミュードの様に全く別物へと変わるものと比べ思っていたよりも小さなものであった。ボディ全体はまるで椚ヶ丘中学の制服を思わせる色合いになり腰もスカートのような形状へと変わる。後頭部の左右からは二つに結んだようなオレンジ色の小さな分銅が垂れさがる。

両腕には二丁拳銃を連想させる小型の火器を持いる。

 

「・・・・速水?」

 

その姿に思わず郷は呟く。人間離れした機械の姿。だが、それを構成する一つ一つが何処か速水を思わせるモノだった。まるで、速水をそのまま機械化させたような姿だった。

 

 

 

 

 




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