初変身時のリアクションや戦闘時の動きは電王を彷彿とさせるものでしたね。
そして【トリニティ】という名前からやって欲しいとは思っていましたが来週元祖トリニティとの共闘!今から楽しみです。
ブレイド、アギトとかつてのレジェンドが続けて変身してくれて今後のレジェンドにも期待して良いんですかね?
「イヤアアアァァァ!!!」
「逃がすかよ!」
絶望の悲鳴をあげ逃げ出そうとする速水の頭上を飛び越えマッハが立ち塞がった。
「観念しな。ホラッ何時までも速水の真似してないで正体を見せ――ッ!?」
銃口を向けたマッハの目に飛び込んできたモノ、ソレは両目から流れる大粒の涙だった。
「・・・・はや・・み・・・?」
「―――ッ!?」
「アッ!?オイッ!!」
その涙を見た瞬間、僅かに動きが止まったマッハの横を走り抜けていく速水を追い掛けようとするも頭の中に浮かぶあの涙にマッハは脚を止めてしまった。
「俺、なんで・・・・今・・?」
去っていく速水の背中を見ながらマッハは何故追い掛けようとしないのか自分でも理解が出来なかった。
「郷くん!どうしたんですか!?調子が悪いのなら先生がッ「良い!!ストップだ殺せんせー!!」にゅっ!?」
変身を解除した郷に代わり追おうとした殺せんせーだがマッハの一喝で止まった。その間に速水の姿は闇の中に消えていく。
「ちょっと郷!なんで逃がしちゃったの!?」
「そうだよ!このまま凛香のニセモノを放っておいたら何するか分からないよ!」
「・・・・あ、ああ・・・でも・・・」
岡野や矢田が郷に詰め寄るが郷の思考は別の事に向いていた。
逃げた速水は本当にロイミュードなのか?あの流した涙が作り物だとは郷にはとても思えなかった。
(もし、あっちの速水が本物だったら此処に居るのは・・・・)
郷は探るような視線を片岡に付き添われている速水へと向ける。
「ごめんなさい!私たち、ニセモノが居るかもって言われてからも内心では速水さんを疑ってたの!」
「いっ良いのよ!分かってもらえればそれで・・・・」
頭を下げられ戸惑っていた速水は郷の視線に気づくとその眼を見てニコリと笑った。その笑顔はとても美しくそして儚く見え何に変えても護らなくてはならないと思えた。
(・・・ッ!?そうだ。悩む必要なんかなかったな。速水を護る為にあの偽物をぶっ潰す。今はそれだけを考えれば良いんだ)
郷の中にあった戸惑いは消え逃げたニセモノを今度こそ倒すと決意した。
――――――――――――――――――――――――――――――
「ハァ・・・ハァ・・ハァツ!」
周りの住宅からも漏れる明かりに照らされた住宅地を速水はひたすらに走り続ける。脚を止めることは出来なかった。止まったらあの視線を感じてしまうから、自分をロイミュードとして見る矢田の片岡の岡野の倉橋の殺せんせーのそして、郷の視線を・・・
「ッ!?違う・・・・違うちがうチガウ!!速水凛香は・・・私よ!!」
速水の脚は家へと向かっていた。誰からも否定された自身の存在を肯定してくれる最後の人物である実の両親を求めて。
「ハァ・・・・ハァ・・・ハァ・・・お父さん、お母さん」
十数分間、走り続けた速水はようやく家へと辿り着いた。
リビングの窓から漏れた明かりと僅かに聞こえてくるテレビの音が両親の存在を教えてくれた。
E組に入って一時期はギクシャクした関係が続いていたが徐々に上がっていった成績やクラスメイトとの交流で感情を表に出すようになってきたことから少しずつ改善されていった。
速く両親の顔を見て【凛香】と呼んでほしい。自分の存在を肯定してほしい。
息も整わない内にドアノブに手を伸ばす。
「ただいっ「おおっ!今日のデザートはやけに美味いな!」・・・?」
家へと入った速水の耳に聞こえてきたのはやけにテンションの高い父親の声だった。
「そうなのよ。クラスのお友達から貰ったんですって」
「そうか、E組に落とされた時はどうなるかと思ったが良い友達が出来たんだな」
両親の会話するリビングへと向かうと2人はソファーに座りテレビを見ながらどら焼きを食べていた。
ソレは先日、茅野がオススメだと言ってクラスのみんなに配ったモノだった。
速水も食べるのを楽しみにしていたモノだったため
先に食べられていることに若干の不満はあったが今は何より両親と話したくリビングへと入る。
「ただいま・・・」
だが、リビングに入った速水を両親は不思議そうな顔で見た。
「あら凛香、只今ならさっき言ったじゃない」
「・・・えっ?」
「着替えてくるんじゃなかったのか。遅いから先に食べ始めていたぞ」
速水は一瞬、両親が何を言っているのか理解できなかった。だが何か嫌な予感し自分の部屋へと駆けあがっていく。
部屋に入った速水の目に移り込んだのは大好きな猫の写真がプリントされたお気に入りの部屋着に身を包みベットに寝ころびながら雑誌を読むもう1人の自分だった。
「あら、遅かったわね。てっきり帰ってこないのかと思ったわ」
「なっ何でアンタが此処に居るのよ!」
「何言ってるのよここは速水凛香の家よ。なら私が居るのは当然じゃない」
「———ッ!?ふざけないで速水凛香は私なのよ!」
もう1人の自分に掴み掛る速水だがもう1人の速水は「無いを言うか」と嘲笑う。
「さっきの忘れたのかしら?片岡たちも殺せんせーもそして、郷だって私を本物として見ていたのよ。つまり、それが答えよ。私が速水凛香で・・・」
速水の手を振り払いもう一人の速水は赤いバイラルコアを速水へと押し込んだ。
「アンタがロイミュード083よ」
「アッ!?アアッ・・・・!!」
もう1人の速水の胸元と赤いバイラルコアが怪しく光り出すと二つの光は速水の身体へと入り込んでいく。
「アアッ・・・アアアアアアッ~~~~!!?」
今まで感じたことのない何かが身体の中を駆け廻っていき速水の肉体を変化させていく。その様子をニヤニヤと眺めながらもう一人の速水はスマホを取り何処かへと連絡を取り始めた。
「郷ッ!?大変なの、部屋にロイミュードが!」
「アアアアアアッ~~~~!!!」
その苦しみから速水は窓を突き破り外へと跳び出した。連絡を終えスマホをベットの上へと投げ捨てたもう一人の速水はその姿を見下ろしながら笑う。
「・・さようなら。私」
――――――――――――――――――――――――――――――
「あ・・アアアッ〜〜・・・」
速水は悲鳴を上げる身体を引きずるように歩き続ける家の近くの小さな公園へとたどり着いた。
燃えるように熱い身体を少しでも冷やすために公園の片隅にあるトイレへと入り全面台の蛇口に触れようとした。
「エッ・・・!?」
伸ばした自身の手が視界に入り速水は自身の目を疑った。そこには女子のシワ一つない手も細い指もきれいな爪も無かった。あるのはゴツゴツした手に丸く先には穴の開いた太い指だった。
「・・・ハァッ!?・・なによ・・・・・コレっ?」
視線を恐る恐る上へと上げていく。そんなはずはない!私は人間だ!そう自分に言い聞かせながら鏡に映る自分の姿を見た。
「なっ!・・・・なン・・デ・・?」
そこに映るのは速水凛香という人間ではなく胸に083というナンバーを持つ一体のロイミュードだった。
「わっ・・・ワタシハ・・・ロイミュード・・?」
「見つけたぞ。083!」
「ッゴ、郷?」
さらに鏡の向こう側にゼンリンシューターの銃口を向ける郷の姿も映っていた。
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年号が変わる前にもう一話は投稿めざします。