暗殺教室・その転校生、未来人で、仮面ライダー!   作:真田丸

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真司と編集長、龍騎においては真司と連・北岡とゴロちゃんに次ぐ名コンビといえますね。
2人のやり取りを見ると当時を思い出しました。


そしてジオウ2、時間を戻したり相手の動きを先読みしたりとまさにやりたい放題!
流石魔王としか言いようがないですね。

二号ライダーの死の運命を時間を戻して救う主人公の強化フォーム・・・・アレ?デジャブですかね?

次回登場の最後の未来ライダー、キカイ。変死するのはまさにキカイだー!


速水の時間①

休日の午後、矢田は入院している弟のお見舞いに訪れていた。昔から身体が弱く入退院を繰り返していた弟だが、最近は病状も落ち着いてきたため今日は医師からの許可も下りたので一緒に病院の敷地内を散歩することにした。

 

外に出ようと病院内の廊下を歩いていると階段を登っていく見覚えのある顔が見えた。

 

「あれ、凛香?お〜い!」

声をかけるが速水は聞こえないのかそのまま上の階へと上がっていく。

 

「あれ?聞こえなかったのかな・・・」

 

階段を除いて見るが既に速水の姿は無かった。

 

「ん~・・・誰か入院でもしてるのかな?」

 

しかし速水の知り合いで誰かが入院しているなんて聞いたことがない。

 

 

「おね~ちゃん!早くいこうよ~!」

 

「あ、うん今いくよ!・・・明日聞いてみようかな」

 

速水の事も気にはなるが弟が外に出られる時間は決められているため今はその時間を優先することにした。

 

 

 

 

 

 

杉野は休日になると近くの公園で投球練習をするのが日課である。基本的には公園の塀に向かい投げ込みを行う程度だが予定が合う男子が居ればバッターになって貰う事もある。

だが、今日は公園へ行くと実に意外な人物がバッター役を買って出たのだった。

 

「よっし、いくぞ!!」

 

「何時でもいいわよ!」

 

振りかぶる杉野と相対するのは握りしめたバットを構え鋭い眼差しで睨む付ける速水だった。

 

「いっけぇぇ!」

 

杉野の渾身の一投は直後、カキーンと良い音を鳴らしながら空へと吸い込まれていった。

 

 

 

「打たれた・・・俺の渾身の一投だったのに・・・」

 

公園内のベンチに座り込みうなだれる杉野に速水は買ってきたお茶を差し出した。

 

「何時まで落ち込んでるのよ。シャキッとしなさいよね」

 

「いくらなんでも女子に打たれるなんて自身が無くなるんだよなぁ~・・・」

 

 

差し出されたお茶を飲みながらも杉野のため息は止まらない。

 

「それにしても速水が俺に付き合ってくれるなんて初めてだよな。今日は郷や千葉と訓練しないのか?」

 

「本当はその予定だったんだけど・・・急に郷が用事が出来たって言ってきて中止になったのよ。それでこの前、郷が球技は動体視力鍛えるのに丁度良いって言ってたのを思い出したのよ」

 

 

「あ~確かにメジャーリーガーとかでも動体視力が良い人って多いいよな」

 

速水の説明に納得した杉野は自身のグローブを見つめる。

 

「メジャー、俺もいつかは行くんだってこのグローブに誓ったんだよな」

 

「そんなに大事なグローブなの?」

 

「ああ、実はこれ、メジャーリーグで活躍している大山選手が実際に使ってたヤツなんだよ!昔見に行った試合で貰った一番の宝物なんだよ!何時か俺もメジャーに言って大山選手にこのグローブを返すのが夢なんだよ」

 

 

グローブを太陽にかざし語るその顔はまぶしい位に輝いていた。ところが、その顔は長く続かず次第に青ざめて行った。

「・・・アレ?・・・なんだか・・・・ハラが・・?ちょっと・・・トイレ・・・・!」

 

腹を押さえトイレへと駆けこんでいく杉野。そして速水はベンチに置かれた杉野のグローブを冷たい眼差しで見ながら・・・

 

「フフ・・」

 

小さく笑った。

 

 

 

前原は駅前の喫茶店でデートをしていた。

相手は椚ヶ丘とは違う学校の生徒であった。

楽しくお喋りをしながらお茶を飲んでいたがふと店の入り口を見ると見覚えのある人物が入ってきた。

 

(アレって速水だよな?)

何時も郷や千葉、あるいは他の女子と一緒に居ることが多いい速水が一人で喫茶店に来ていることに前原は若干の物珍しさを感じた。

入店した速水はそのまま真っ直ぐに前原たちの席の隣、前原に背を向ける形で座った。

 

声をかけようかとも思ったが流石にデート中に他の女子に話し掛けたら相手に悪いし見たところ速水も気付いていないようすだ。

 

(まぁ明日学校で言えばいいか)

 

そう判断し前原はデートを楽しむことにした。

 

 

 

 

 

 

「じゃあお願いね倉橋ちゃん」

 

「は〜い!」

 

今日の休日を動物たちと一緒に過ごそうと動物園に来ていた。

年に何度も訪れている倉橋は持ち前のコミュニケーション力でスタッフの人たちともすっかり顔馴染みとなっており。たまに動物の餌やりなどの手伝いもしていた。

 

今日もまた急に体調を崩してしまったスタッフの代わりに猿山の餌やりをお願いされた。

餌の入ったバケツを両手に持ち馴れた足取りで猿たちの中に入っていくと今まで思い思いに遊んでいた猿たちがぞろぞろと倉橋に群がっていく。

普通だったら押し寄せてくる猿の大群に多少なりとも恐怖を感じるものだが倉橋は全くそんなものは感じておらず笑顔を振りまきながら猿たちと一緒にサル山の中央まで行く。

 

「あ〜!餌やりのお姉ちゃんだ!」

 

もはやこの動物園の不定期のアイドル的存在である餌やりのお姉さんの登場に子供たちが大はしゃぎし倉橋もそんな子供たちに手を振りながら猿たちに餌を与えていく。

 

 

「・・・・・・・フフッ」

 

 

猿山前に出来た人だかりの中、速水は猿たちに餌を与えていく倉橋を見ながら小さく笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

磯貝と片岡は図書館で次の暗殺計画の計画書を作っていた。E組みんなで考えた渾身の計画、これで殺せるとは思えないが殺せんせーの弱点の一つでも見つける事が出来れば上出来だ。

そのためにもみんなに正確に作戦内容を伝えるための計画書を作らないとならない。

 

これまでも何度も行ってきた作業だがやはりターゲットはマッハ20の超生物、生半可な計画では弱点を見つけるどころか遊びにもならない。そのため、常に前回よりも高度な計画を立てないとならない

 

 

「よし、これで完璧だ!」

 

 

開館直後から始めた作業は数時間が立ちようやく目途が付いた。計画に必要なもの、適したポイント、当日の一人一人の行動などをまとめ上げた。

 

「後はコレを全員分コピーして明日から準備に入ろう!」

 

「じゃあ私は没になった方を処分してくるね」

 

 

磯貝はコピー機へ片岡はシュレッダーへ向かった。

 

そんな二人の背中を本で顔を隠しながら速水は見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

E組校舎のある裏山の中を郷は駆け抜けていく。それに遅れる様に速水と千葉が追いかけていく。

2人は手に持ったエアガンで郷を狙うがまるで後ろに目が付いているのかのように郷は木の枝を掴み逆上がりの様に躱しそのまま木の頂上まで上がっていく。

 

「まだまだ遅いぞ~生身の俺に当てられないんじゃ殺せんせーに当てるなんて夢のまた夢だな~」

 

「ハァ・・・ハァ・・ッ!相変わらず速すぎるのよっ!」

 

「ハァ・・・ハァ・・もう・・百発は撃ってるのに・・ハァッ・・一向に当たる気がしないな・・・・」

 

 

「ホラホラぁ~一発当てれば昼飯奢ってやるんだから頑張れよぉ~!」

膝に手を着き息を乱す2人に対し郷は顔色ひとつ変えることなく木から飛び降り着地と同時に地面を蹴りさらに奥へと進んでいく。

 

 

「クッ、このままじゃきりがないわね・・・・千葉、私が郷の気を引くから隙をついて狙撃して!」

 

「ああ、分かった!」

 

速水が郷を追いかけ千葉は木に登り身を潜める。

 

 

「ん?速水だけか・・・・な〜る、やっぱりそう来たか」

 

飛んでくる弾の数が減った事に振り返ると追い掛けてくるのは速水だけで千葉の姿が見えない。

 

だが、郷は瞬時にその狙いに気付く。

 

共にE組トップクラスの射撃を誇る速水と千葉だが、千葉がじっとターゲットを狙う固定型のスナイパーである一方速水は特技であるダンスで鍛えた運動神経を生かした移動型のスナイパーと言えた。

 

怪しまれないよう郷を千葉が待ち構える狙撃ポイントまで誘導しようとする速水だが、

 

(・・・・やけに素直ね)

 

土を岩をそして木を蹴りながら縦横無尽に跳び郷に対し狙撃ポイントへの誘導がやけに順調だった。

まるで、速水が誘導しようとしているのを分かっているかのようだ。

 

(バカにしてッ!)

 

思わず奥歯を噛み締める。

確かに自分たちと郷の実力には雲泥の差があるが余裕の態度をとられるのはやけに腹が立つ。

 

(絶対にあっと言わせてやる!)

 

そう決心した速水は隠れている千葉へと合図を送る。

 

 

「さ〜って、どう仕掛けてくるかな――ッ!?」

 

速水が合図を送ったことには郷もすぐに気づいた。どこから来るのか周囲に気を張り巡らし右足を踏み締めようとするが。

 

「ワッツ!?」

 

踏み締めようとしたその一部の地面がぬかるんでおり郷は脚を滑らせた。

数日間は雨も降っておらずまた、先程から裏山中を走り回ったがぬかるんでいる場所など1ヶ所もなかった。

つまりこのぬかるみは速水たちが仕掛けたトラップだ。

 

(こんなピンポイントで仕掛けたのかよ!?)

 

木の上からは千葉の背後からは速水の撃った銃弾が倒れ込んでいく郷へと迫る。

 

((やった!!))

 

いくら郷でも倒れ込みながらでは回避できないはず。

 

とうとう郷に1発喰らわせた。そう確信し二人は顔を綻ばす。

 

その時、郷から謎の衝撃のようなものが周囲に拡がっていった。

すると郷に迫っていた弾がまるでスロー再生のように遅くなった。

 

弾だけでなく風に舞う草も流れる川の水もそして、速水や千葉までもまるで映像の世界のようにゆっくりと動く。

 

この現象を2人はよく知っていた。

 

(コレってもしかして!?)

(重加速、なのか!?)

 

止まった時間の中を体制を立て直した郷は自分に向かっていた2発の弾を掴み取った。

 

「あ〜〜・・・ビクッた〜!まさか足下に仕掛けておくなんてな〜」

 

「ちょっと郷!コレどうにかしなさいよ!」

 

「ウエッ!?ああ、ソーリー」

 

郷が指を鳴らすと先程とは違った衝撃が拡がり止まった時間が動き出した。

 

「キャアッ!?」

 

突然動き出した身体に思考が遅れ脚を踏み外してしまった。

 

「速水っ!?」「大丈夫か!?」

郷と千葉が駆け寄るとうずくまる速水の右脚に少しばかりの切り傷が出来ていた。

どうやら身体が崩れた時に木の枝で切ったようだ。

 

「わ、ワリ〜!つい咄嗟にやっちまって!」

「だ、大丈夫よコレくらい・・・ッ!?」

 

とは言いつつも傷からは少なからず血が出ているためそのままにしておくわけにもいかない。

 

「一旦ドライブビットに戻って手当てした方がいいな」

 

そう言い郷は速水を抱き抱える。

 

「ちょっちょっと!!自分で歩けるわよ///!!」

 

「な〜に言ってんだよ。無理に歩いたら傷が拡がるかもしれないだろ?千葉、悪いけど荷物は任せていいか!?」

 

「ああ、分かった。先に行っててくれ」

 

 

千葉は少し離れた場所に置いておいた3人の荷物を取りに行き郷も速水を抱えながらビットへと向かう。

 

 

 

 

「まあ、こんなもんで大丈夫だろ」

 

ビットに着くと郷は奥から取ってきた救急箱で速水の手当てをした。

とは言っても消毒をして絆創膏を貼ったぐらいだが。

 

 

「2.3日すれば治るだろうからソレまではあんま動かすなよ」

 

「ええ・・・・その・・ありがとう////」

「ま、元々俺がケガさせたみたいなもんだしな」

 

 

「悪い、遅くなった!」

 

そこに3人分の荷物を持った千葉が入ってきた。

 

「それにしても驚いたな。郷も重加速を使えるなんて」

 

荷物を適当な場所に置きながら千葉が言うと速水も確かにと頷く。

 

「・・・元々、ロイミュードとライダーシステムは心臓部が同じ【コア・ドライビア】を使っているからな。ライダーシステムでも重加速は生み出せるんだよ」

 

「ん?でもさっきは別に変身もしてなければベルトも着けてなかったよな?」

 

「えっ?・・・・・あ、ああ・・・シグナルバイクにもコア・ドライビアが使われてるからな!」

千葉のツッコミにキョドりながらもシグナルバイクを取り出し説明する郷だったが速水にはその様子がとても不自然に感じられた。

 

 

「それよりも!だ。この後はどうする?速水のケガもあるし訓練を続けるわけにはいかないだろ?」

 

速水の視線から逃げるように郷は話題を変える。

大したケガではないが無理に動かし悪化させるわけにもいかない。

 

「じゅあ街にまでも出るか?ちょっとミリタリーショップで新しいスコープが欲しいんだけど」

 

「そうね。私も見ておきたいかも・・・・」

 

「仮にも華の中学生がミリタリーショップってなぁ〜・・・」

 

2人の仕事人ぶりに苦笑する郷だが他に案があるわけでもない。

 

「まぁ良いけどさ。じゃあその前にミスド寄ろうぜ!」

 

「またミスドか?」

 

「もう何度目よ?」

 

「良いだろ〜お前らの希望でミリタリーには行くんだし、それに重加速を使わなかったら当たってただろうから約束通り今日は奢るからよ」

 

 

コレからの予定を決めた3人はビットに備え付けられたシャワーを浴び汚れを落とし街に繰り出した。




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