暗殺教室・その転校生、未来人で、仮面ライダー!   作:真田丸

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また一ヶ月近く空けてしまい・・・すみませんでしたぁぁぁ~~~!!

今後は極力このようなことにならないよう努めますのでよろしくお願いいたします!





肝試しの時間

「ひぃ〜〜・・・!!」「ギャァァ〜!?」「キャアァァァ〜〜!?」

 

 

殺せんせーの主催によってE組肝試し大会、生徒たちは順番に殺せんせーが用意したクジを引いて出来たペアが順番に洞穴に入って行くがその度に中からは幾つもの叫び声が聞こえてきた。

 

 

初めは所詮殺せんせーの事だから大したことはないと高を括っていた生徒たちだったが、次々と聞こえてくる悲鳴にその余裕は徐々に消えていき中には顔を真っ青にしている者までいた。

 

「えっと、次は・・・・・郷と速水の番だなって郷!大丈夫かその顔!?」

 

 

磯貝が順番の書かれた名簿を手に郷と速水を見ると郷は見るからに青ざめた顔で俯いている。しかもその身体は心なしか震えているようだった。

 

「ひょっとしてまだ疲れが残っているのか?だったら無理しないで休んで良いんだぞ」

 

 

磯貝が気遣うように言うとまるで待ってましたとばかりに郷は勢いよく顔を上げた。

 

「そっそうか〜!いや〜残念だなぁ〜参加したかったのに迷惑かけるわけにもいかないしなぁ〜〜!じ、じゃあ部屋で休んでるわ!!」

 

「あ、ああ・・・気をつけてな・・?」

 

先程までとは打って変わって元気にしゃべりながら足早に部屋へと行こうとする郷に磯貝が困惑しているとその様子を見ていたカルマが意地の悪い笑みを浮かべ叫ぶ。

 

「そっかぁ~!じゃあビビりの郷が抜けたからまたペアを組み直さないとなぁ~~!!」

 

「は?・・・ハァァァァ!!別にビビッてねぇし!!本当に体調が良くないだけだし!!こっちとら本物の怪物とバトッテいるんだぞ!!そもそも幽霊なんて非科学的なモノなんているわけないだろおが!!」

 

「ああ、わかったよ。そういう事にしといてあげるからさぁ〜ゆっくりベットで寝てなって〜〜」

 

 

「〜〜ッ!行ってやるよコンニャロ〜!!見てろよマッハでクリアしてやるからなぁ〜!!!」

 

「ガンバレ〜〜」

 

「カルマくん・・・」

 

 

速水の手を引っ張り洞穴に入って行く郷に笑顔で手を降り見送るカルマをみんなは引いた視線で見た。

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

暗く狭い空間に気になる異性と二人っきり。ベタなラブコメの様なシチュエーションに本来ならドキドキと緊張するはずだった速水だがあいにくと現実ではそんなことは無かった。なぜなら・・・・

 

「お・・お化けなんてない~いさ~・・・お化けなんてう~そさ~~・・・」

 

件の異性が明らかにビビっているからであった・・・・

 

ガタガタ震えがっしりと手を繋ぎ白目をむきながら歌を歌うその姿は普段のおちゃらけた姿からは全く想像できない物だった。

 

「・・・・はぁ~」

 

はっきり言ってみっともないその姿に速水は思わずため息を吐いた。つい数時間前はとってもかっこよかったのに今はこれだ。ムードも何もあったものでは無かった。

 

「ねぇ郷・・」

「フアッシュ!?ななな・・・何だよ速水!?ビビったのか?しょしょしょ・・・しょうがないな〜!なら早く抜け出そうぜ!」

 

"ビビっているのはお前だろ"そんな言葉が出かけたが多分認めないだろう。

 

「フフッ」

 

見るからに怖がっているの強がるそんな郷が段々可愛く見えてきて自然と笑みがこぼれた。

 

 

 

歩き始めて数分後、前方に明るい光が見えてきた。

近づいてみると赤い火の玉が空中を漂っていた。

 

「ヒゥッ!?」「―ッ!?」

 

情けない声を上げる郷や速水も声は出さないがビクッと身体が動いてしまった。

 

火の玉がやがて壁際に近付くとそこには琉球の民族衣装のような格好の殺せんせーが琵琶をひいていた。

 

「ここは〜♪肉体が滅びし亡霊たちの住みか〜〜♪決して一人になってはならない♪もしも一人になったら♪♪・・・・・ヌルフフフ♪」

 

不気味な歌を歌いながら洞穴の奥へと消えていく殺せんせーと火の玉に郷だけでなく速水までも予想以上の怖さに青ざめた。

 

「けっ・・・結構、本格的ね・・・・」

「た、タタタタ大したことねねねねぇよ・・・!」

 

もう既に限界寸前の郷は滝のような汗を流し速水の手を絶対に離すまいと握り締める。

 

 

しばらく歩くと少し開けた場所に付いた。真ん中には何故か二人掛けの椅子が置かれてありそのさきは巨大な扉で塞がれている。

 

『ここではかつて永久の愛を誓いながらも死して離れ離れになってしまった恋人たちの霊が漂っている〜彼らを沈めるためにかつて彼らの想い出の舞を披露せよ〜〜』

 

何処からか聴こえる声と共に軽快な音楽が鳴った。

 

「この音楽って・・・?」

 

小学生の時などに速水はこの音楽を聴いた覚えがあった。

「フォ・・・フォークダンス///!?」

 

他に誰もみていないとはいえ、気になる異性とフォークダンスを踊れと言うのか?

速水の顔の体温は急激に上がっていった。

 

「お・・・オオオイ、速水〜・・・え、コレどう踊れば良いの?憑かれる、取り憑かれる〜〜!!」

 

一方の郷からしたら聴いたことのない未知の音楽に合わせて踊れと言われて恐怖も合わさりとてもテンパっていた。

 

「ッ〜〜〜///て、手出しなさいよ!//私がリードするから!!////」

 

仕方ない、コレは胆試しの一環で他のみんなもやったことなんだと自分に言い聞かせた速水は郷の手を取り前に回った。

 

二人が不恰好なまでもフォークダンスを踊る姿を見る影が二つあった。

 

「ヌルフフ、年頃の男女が互いを意識しながらフォークダンスを踊る・・・・甘酸っぱくて良いですね〜〜♪」

 

『いや、郷の場合はそれ所では無いようなのだが・・・』

 

影の正体は殺せんせーとクリムだったが、殺せんせーがピンクの顔でニヤニヤしながら郷たちをビデオカメラに映しているのに対しクリムは苦笑いを浮かべていた。

クリムからしてもまさか郷がここまで怖がるとは計算外のことであった。

 

 

 

――――――――――――――

 

無事にフォークダンスを踊り先に進む二人だったがその後も多彩な現象が襲い掛かってきた。

周囲に漂う冷気と2人羽織で食べるおでん

道を塞ぐ巨大な壁を開くためのツイスターゲーム

突然上から落ちてくるポッキーゲームをしている彫刻の首

等と言った障害?を乗り越えていった郷と速水であったが、2人とも最早限界をとっくに超えていた。

郷は主に恐怖心が、速水は羞恥心がという違いはあるが・・・・

 

 

「何なのよ・・・///これのどこが肝試しなのよ////?」

 

「こぇぇぇ・・・・もう嫌だぁぁぁあ・・・・」

 

「あんたは一体何を怖がっているのよ!?もっと色々あるじゃない////!!」

 

自分とアレやコレやあった事より恐怖が勝っていることに納得がいかない速水はが叫ぶと再び火の玉に照らされて琉球スタイルの殺せんせーが現れた。

「よくぞここまでたどり着いた〜〜♪最後の試練それは〜〜・・・愛のこくはk「ギショハラ〜〜!!!」《シューター!フルスロットル!コワ〜イ!》にゅわぁぁぁぁぁ!!??」

「きゃっ!?」

 

 

殺せんせーの登場についに限界が崩壊した郷は辺り構わずゼンリンシューターを撃つ。

 

「イワコデジマイワコデジマ!!テクマクマヤコ!!宇宙天地 與我力量 降伏群魔 迎来曙光ぉ!!」

 

「ニュアアアァァァァ〜!!!やめっ!止めてください郷くん!!先生っ先生ですからぁ〜!!」

 

テレビや漫画なんかで聴いたことのある呪文を片っ端から叫びながら乱射する郷には殺せんせーの声は届かず殺せんせーは情けない悲鳴を上げながら逃げていった。

 

「ウギィアアァァァ〜〜!!」

「ちょっ郷!!もう誰も居ないわよ!!」

 

速水が止めようとするが恐怖がフルスロットル状態の郷にはやはり届かない。

 

ゼンリンシューターの弾は洞穴の壁を削っていき次第に洞穴全体が揺れ初めた。

 

「ちょっと、この・・・・!いい加減にしなさい!!」

 

「ギブソッ!?」

 

速水のビンタが郷の頬に炸裂し3メートルあまり吹き飛ばした。

 

「ガッ・・・・アアッ・・・・アッ・・・・」《オツカ〜レ》

 

元々は筋肉痛等でダメージの貯まっていた郷の身体は速水の一撃で完全に沈黙した。

 

「・・・・ハァ、しっかりしなさいよね」

 

気絶した郷の肩を担ぎ洞穴を進みながら速水はその顔をチラリと見た。

 

普段はカルマと悪戯を仕掛けたり岡島や前原とエロい事をバカ丸出しで話しているが訓練の中では軽口を叩きながらも何時も真面目で真剣な顔でアドバイス等もしてくれる。

そしていざロイミュードと戦えばまさに歴戦の戦士といえる強い意思が宿った目をする。かと思えば幽霊が苦手なんて子供っぽい一面を持ち情けない顔をする。

 

何を考えているのか判らないと言われる自分と違って色んな表情を隠すことなく見せる郷、全く真逆の人の事がこんなに頭から離れないなんて・・・

 

郷の見せる表情一つ一つにこんなに魅せられる何て・・・

 

「・・・やっぱり私、郷の事が好きなのね・・・・」

 

誰にでもない自分自身に言い聞かすように呟いた。

 

 

 

 

しばらくすると奥から外の月明かりが差してきた。

 

「ほら郷、終わったわよ」

 

「ん・・んん・・・・?」

 

流石に今の恰好を人に見せるのは恥ずかしかったので外に出る前に郷を起こした。

 

「ハレッ?肝試しは?」

 

「もう終わったわよ」

 

「・・・・な、なんだよ意外と大したことなかったなぁ~~ハハハ・・・」

 

「クスッそうね」

 

郷の子供じみた強がりに合わせながら2人が洞穴から出るとそこには土下座をする殺せんせーとその隣にばつの悪い表情を浮かべポツンと置かれたクリムそしてそんな二人をを問い詰めるように囲むみんなの姿があった。

 

「どったんだよみんなして?」

 

「あ、お疲れ〜〜どうだった郷、途中で漏らしたりしなかった〜〜?」

 

「しねぇ〜よ///!!」

 

カルマのからかわれむきになる郷を尻目に速水が聞くと今回の胆試しはクラス内でカップルを造るために仕掛けたものだとの事である。

 

「ダメだよ殺せんせーもクリム先生も」

 

「だって・・・だって見たかったんですもん!生徒たちのお互いに気になりながらもなかなか素直になれないむず痒くも甘酸っぱいそんなラブストーリーを!!」

『わ、私はただ殺せんせーにお願いされたから手伝っただけで・・・」

 

「みんながみんな、先生たちみたいにゲスい訳じゃないんだよ」

 

「『・・・・はい、すみませんでした」』

 

生徒たちに諭された異形の教師コンビだった。

 

 

 

「もぉ〜何よっ!結局何にも無かったじゃないのよ!!」

 

「だったらいい加減に手を離せ!」

 

「何よっ!この私が腕を組んであげてるのよ。もっと喜びなさいよ!!」

 

そこに最後に出発した烏間イリーナのペアが出てきた。殺せんせーもクリムも外に出ていたためシフトカーたちに指示を出す者が居らずただ暗い洞穴を歩いただけだったためイリーナはかなり不満そうであった。

「もう良いだろ。俺は今回の件の報告をまとめないといけないんだ。夕食まで部屋にいるぞ」

 

元々胆試しには乗り気ではなかった烏間はイリーナの腕を振り払い部屋へと戻っていった。

 

「あっ!・・・・なによ、少しくらいに反応してくれても良いじゃない・・・」

 

 

自分の事を異姓として見てもらえなかった。その事にうつむくイリーナだったがその様子を見ていたE組メンバーは・・・・・

 

 

「なぁ、前から思ってたんだけどビッチ先生ってさ・・・」

「うん、烏間先生のこと絶対意識しているよねぇ〜」

『なっ!?そうなのかね?』

 

「間違いありませんね。ならば、我々がする事はただひとつです!」

 

クリムは気付いていなかったのか狼狽えるように驚くが殺せんせーはいつの間にか七三のカツラと眼鏡を付けニヤニヤと笑う。

 

「いいですか皆さん、この旅行の間に・・・」

 

殺せんせーだけでなく郷やカルマを筆頭に生徒たちもニヤリとイリーナを見る。

 

(((((くっ付けちゃいますか、あの二人)))))

 

E組の心が1つになった瞬間だった。

 

後にクリムは語った。

『結局全員ゲスいのだな』と・・・・・




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