今回からサブタイトルを○○の時間に統一していきます。
今までの話も少しずつ変えていくのでよろしくお願いします。
郷達が爆発音を聞く数分前、
プール前の岩場で寺坂は殺せんせーと対峙していた。
寺坂の指示のもと生徒たちは散らばるようにプールに入っていく。
だが、寺坂のあまりに横暴な態度に吉田や村松さえも良い感情を抱けなくなっていた。
「テメェは前からずっと気に食わなかったんだ。ようやく殺せると思うと清々するぜ」
寺坂は手に持った銃を向けるが今までの経験から誰もが銃だけでは殺せんせーをプールに落とすことは出来ないと確信していた。しかし、寺坂はどこか自信ありげだった。
「行くぜ・・・・死ねやバケモン!!」
寺坂が引き金を引いた瞬間、プールの上流で爆発音が聞こえた。
そして一秒も経たない内に凄まじい鉄砲水がプールに入っていた生徒たちに襲い掛かる。
「ツ!?皆さん!!」
一瞬の内に飲み込まれ流されていく生徒たちを助けようと殺せんせーは下流へと飛んだん。
「あ・・ああ・・・・なんだよこれ、まさか・・・俺のせいか?」
一人その場に取り残された寺坂はただ呆然と立ち尽くすしかなかった。
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郷は爆発音が聞こえたプールに向かっていた。
木々の間を駆け抜けていくと途中、同じようにプールに向かっているカルマを見つけた。
「おい、カルマ!」
「郷!?聞こえたかさっきの爆発?」
「ああ・何かあったんだ」
二人がプールに着くとそこには昨日まであったプールが影も形も無くなっていた。そして岩場では寺坂が1人呆然と座り込んでいる。
「おい寺坂!何があったんだよ!?みんなは?何でプールが無くなってるんだよ!?」
だが寺坂は郷の問い掛けに答えることなくただ呆然と下流を方を見ながら「ちがう・・・おれは・・わるくねぇ・・・・」と呟くだけだった。
その態度に苛立ちを感じた郷は胸ぐらを掴み詰め寄る。
「もう一度聞くぞ・・・此所で何があった!!」
「ぷ・・・プールが爆発して・・全員流されたんだよ・・・」
下流を指差しながら消え入り様な声で言う。そして、まるですがり付く様に叫び出した。
「俺は何も知らなかったんだ!全部アイツが・・・シロが仕組んだんだよ!!俺は悪くねぇ!!俺は何もッ!!」
言い終わる直前に郷の拳がそれを止めた。
崩れ落ちながらも尚自分の罪を否定し続ける寺坂に郷は呆れたようにため息を吐いた。
「カルマ、この馬鹿は任せた」
後の事をカルマに任せ郷は下流へと向かった。
暫く川を下ると数人の生徒が岩場に上がっているのが見えた。
「おい!大丈夫か!?」
「あ、郷君!」
近くで息を整えていた渚に近寄ろうとすると川の方から激しい戦闘音が聞こえた。
見てみると殺せんせーが触手で流されている生徒たちを助けながら必死に何かを防いでいた。
「あれは・・・イトナ!?」
そこに居たのは以前E組に現れた殺せんせーの弟を名乗る謎の転校生堀部イトナだった。
だが、以前とは少し様子が変わっていた。
以前と髪型が大きく変わっておりその影響か触手の動きも以前よりはるかに洗練されていた。
「やぁ、遅かったね仮面ライダー君」
そしてその戦闘を少し離れた所で見ていたのはイトナの保護者を自称する白ずくめの男シロだった。
「アンタかよ。寺坂を唆してこんな大掛かりな計画たてたのは?」
「唆したとは酷いな・・僕はクラスで孤立していた彼を仲間に入れてあげたんだよ。お陰でほら」
シロの視線の先ではイトナの触手の攻撃に苦しむ殺せんせーがいた。
流される生徒たちの救出も思うようにいっていない。
「チィッ!殺せんせー!アンタはイトナに集中しろ!残りは俺が助ける!!」
マッハドライバーを巻き救出に向かおうとする。
しかしその瞬間、何処からか飛んできた光弾が郷の足下に命中した。思わず立ち止まってしまい周囲を警戒すると丁度川を挟んで反対側の森の中にブレイクガンナーをこちらに向けている白髪の少年が居た。
「・・・アレン・・」
「・・・仮面ライダー・・今日こそ決着を・・変身」《ブレイク・アウト》
アレンは魔進チェイサーに変身すると川を飛び越え郷に殴り掛かる。
咄嗟に横に避ける郷だったがすぐさまチェイサーの追撃が迫り生徒たちの救出に行けない。
「あ~あ・・・大変だねぇ~ロイミュードが乱入してくるなんて予定外だなぁ~~」
そう言いつつもシロの口からは小さな笑い声が漏れている。
「邪魔すんなよアレン!・・レッツ変身!」《シグナルバイク!ライダー!マッハ!》
郷は一瞬の隙をつきマッハに変身しゼンリンシューターでチェイサーの攻撃を受け止め押し返すとそのまま川に飛び込もうとする。
《チューン!チェイサー!コブラ!》
しかし、川に向かうマッハの身体にチェイサーのテイルウィッパーが巻き付き引っ張られた。
「行ったはずですよ。君の相手は僕です」
チェイサーは勢いよくテイルウィッパーを引きマッハを木に叩き付ける。衝撃に耐えられなかった木は真っ二つに折れた。
「グゥッ!・・・クソッ、ハンター!レッカー!みんなを頼んだ!!」
マッハの声に答えるようにハンターとレッカーを先頭に数台のシフトカーがやって来た。
ハンターは下流へと向かい鉄格子状の柵を作り生徒たちが流されないようにしレッカーは一人一人生徒たちの救出に向かった。
しかし、水中から飛んで来た光弾がハンターたちを妨害した。
「シャッハーー!」
水中から飛び出してきたのはスパイダー型の【059】だった。
059はハンターたちの援護に来たフレアとスパイクの攻撃を川に飛び込み回避した。059はそのまま水中を泳ぎハンターの柵に向かった。
059の体当たりにより柵は無惨にも破壊された。
尚もシフトカーの妨害を行う059は両手から放つ無数の光弾でシフトカーたちの行く手を阻む。
「不味いっ!この先は・・・!」
マッハが下流へと視線を向けるとその先は急な滝になっていた。
すぐにでも助けに向かいたいがチェイサーのファングスパイディーが立ち塞がった。
「君の相手は僕だと言ったはずです」
振るわれるファングスパイディーをゼンリンシューターで防ごうとするが勢いの付いた一撃はゼンリンシューターごとマッハのボディを切り裂いた。
「ハァハァ・・・今はお前の相手をしている暇はねんだよ!!」
《シグナルバイク!シグナル交換!トマーレ!》
ドライバーに黄色いシグナルバイク【シグナルトマーレ】を装填しトリガーを引く
《ゼッタイ!トマーレ!》
光弾がチェイサーに接触する瞬間ブーストイグナイターを連打すると光弾はstopという字になりチェイサーの動きを封じた。
「ぐっ!これは・・・!?」
チェイサーの動きが止まったのを確認しシグナルマッハを装填し直し再びブーストイグナイターを押した。
《ズーット!マッハ!》
音速の速さに達したマッハは激流の水面を走り流れいく生徒たちを引き上げていく。
「原は殺せんせーの側か・・・じゃあ後は・・」
マッハの視線の先には木の枝に必死にしがみついている速水と矢田がいた。
二人を助けようと水面を走るマッハの横から紫の光の矢が飛んできた。
「ガアァッ・・・!?」
脇腹に矢が命中し反対側まで吹き飛んだ。
更にチェイサーが突っ込んでくる。組み合った二人であったが、速水たちのことで集中できないマッハは徐々に押されていく。
「っ!?アレン!何度も言わせんな!!今お前の相手をしてる暇は無いんだよ!!」
だが、ブレイクガンナーによる打撃は容赦なくマッハに打ち込まれていく。
「お前の相手は後で幾らでもしてやる!!だから今は・・・!!」
ブレイクガンナーから放たれた光弾はマッハのボディに炸裂し火花を散らせる。
「頼む!!このままじゃ速水も矢田も死んじまうんだぞ!!」
その時、チェイサーの視線が速水たちに向かった。
二人の掴まっている枝は今にも折れそうになっていた。
「ッ!・・・・」
チェイサーは静かにブレイクガンナーを下ろす。
「アレン?・・・」
その時、二人の掴まっていた枝が等々折れ再び激流が二人を流す。
「「!?」」
《ズーット!マッハ!》
《チェーン!チェイサー!バット!》
マッハとチェイサーは同時に動いた。
風よりも速いスピードでマッハは速水をチェイサーは矢田の腕を掴み岩場に運んだ。
「速水!大丈夫か!?」
「え・・・ええ、ありがとう・・・」
速水の無事を確認したマッハはそのままチェイサーを見る。
チェイサーは矢田を優しく降ろしとまるで自分が何をしたのか理解出来ないように呆然とした。
「ボクは・・・何でまた・・・・」
「あの、アレン君!」
そんなチェイサーに矢田は疲れきった身体で必死に声をかけた。
「あの・・・・助けてくれて、ありがとう!!」
「ッ!?」(ありが・・・とう・・?)
その瞬間、チェイサーのアレンの脳内に幾つものシーンが浮かび上がる。
重い足取りで歩き続ける群衆の中、転んでしまった女の子を起き上がらせる優しい手
迫り来るロイミュードの恐怖に怯える人々を護るように立ち塞がる赤い戦士、
傷付き倒れた戦士の肩を持ち諦めるなと叫ぶ傷だらけの少年
他にも数え切れないシーンが浮かび上がった。そのすべてに共通しているのがある者は笑顔でまたある者は涙ながらにそして最後の力を振り絞っての心の底からの〔ありがとう〕だった。
「何やっているんだ・・・・死神ィ!!」
水中から飛び上がった059がチェイサーに向け光弾を撃つ。
咄嗟に矢田を突き飛ばしたが一歩行動が遅れその仮面に光弾が炸裂する。
「うあぁぁぁっ!!?」
苦痛の叫びと変身が解けアレンは倒れこんだ。
「アレン君!?」
矢田や岡野など数人の生徒が駆け寄るがアレンは光弾が命中した顔右半分を押さえ呻く。
「役立たずが!何なら此処で俺が処分してやるよ!」
059は寄り添う矢田たちもろともアレンを攻撃しようとする。しかし、059の光弾はマッハによって相殺される。
「お前の相手なら・・・俺がしてやるよ!!」
ゼンリンシューターを撃つと059は再び水中に潜る。水中を高速で泳ぐ059はマッハの攻撃を躱しながら水上に飛び出し攻撃する。
マッハも何とか攻撃を躱していくが狭い岩場では何時までも避け切れず次第に攻撃を受けていく。
一方殺せんせーの方もイトナの触手に苦戦している。昨日寺坂が巻いた煙の中に含まれた薬物の影響で触手の機能が低下しておりまた、すぐ近くで原が木にぶら下がっている状態のため全力を出せないでいた。
どうにかしなくては・・・
そう思うが自分たちに出来る事があるのか?渚は必死に考えるが・・・
「どけよお前ら!」
そんな渚の横を誰かが走った。川に飛び込み水しぶきを上げイトナに対峙するように立ったのは寺坂だった。
「シロ!手前ぇよくも俺の事利用しやがったな!!」
「やぁ寺坂くん、危ないから下がっていた方が良いよ。この状況を作るのに協力してくれた君に危害を加えるつもりは無いんだ」
「うるせぇ!!イトナ、俺と勝負しやがれ!!」
寺坂はシャツを脱ぐと戦いの意志を示すかのように構える。
「はぁ~~、しょうがないな・・・イトナ、軽く遊んであげなさい」
イトナの触手が大きく振るわれ寺坂に直撃する。
「寺坂くん!!」
殺せんせーが叫ぶが寺坂は脱いだシャツで触手の衝撃を和らげ離すまいとしていた。
「うまく一撃は防いだようだね。でも次は持つか「へっくしょん!?」ッイトナ?」
突如イトナの様子がおかしくなった。くしゃみが止まらなくなり鼻からは鼻水が出続け先程と比べ触手の動きにも切れが無くなった。
何が起こったのか理解出来ないシロにカルマが種明かしをする。
「さっきから殺せんせーの動きがどうも調子が悪いと思ったんだよ。そこで思い出したのが昨日寺坂が教室に撒き散らした煙さ、多分あの煙には触手の細胞に作用する薬品が混ざっていたんでしょ?寺坂が昨日と同じシャツを着てたからその薬品が染み込んでると思ってさ。どうやらうまく言ったみたいだね」
まるで悪戯が成功し相手を嘲笑う様にカルマは語った。
「そして後は仕上げさ」
カルマの合図と共に生徒たちは一斉に川に飛び込んだ。
その衝撃で上がった水しぶきをイトナの触手は吸い込み膨らんでいく。
「俺らも賞金持っていかれるのは嫌だし何よりみんな殺されかかった訳だ。まだ引かないなら遠慮なく水遊びさせてもらうよ」
生徒たちは何時でも 水を掛けられるよう構える。
数秒の間考察するように黙りこんだシロはため息を吐き背を向けた。
「はぁ〜これは少し計画を練り間違えたかな?しょうがない、イトナ!今日は帰るよ」
「・・・・・」ギリッシロがイトナを呼ぶが当のイトナは殺せんせーや寺坂たちを睨み付けたまま動かない。
「イトナ!!」
シロが先ほどよりも強い口調で呼ぶとようやくそのあとを追うように去っていった。
「ハハハハ!どうした仮面ライダー!全く当たらないぞ!!」
059は水中を自由自在に泳ぎゼンリンシューターによる射撃を避け続ける。
時折飛び出してくると勢いの付いた拳でマッハを攻撃していく。
「ハハハ!!役立たずの死神なんか使う必要もなかったな!!」
059の渾身の一撃がマッハに迫った。
「・・・アレンが役立たず?ハッ笑わせんなよ」
059の拳をマッハは意図も簡単に掴んだ。
「アレンの攻撃に比べたらお前のは三流も良いところなんだよ!!」
そのまま059を引き寄せるように腕を引くとそのボディにゼンリンシューターの銃口を当てた。
「ヒィッ!?」
「こんな軽い攻撃で俺を倒すなんて百年早いんだよ!!」
《ヒッサツ!フルスロットル!シューター!》
ゼロ距離から放たれたヒットマッハーは059を貫きそのコアを破壊した。
「ふぅ〜、ちょっと手こずったな」
《オツカ〜レ》
郷が変身を解くとそのままアレンの元へと向かった。
アレンが痛む身体を必死に起こし森の中に入っていくのを見つけその後を追った。
「おいアレン!」
「・・・・何ですか?」
「ありがとな。お陰で矢田を助けられた。何だかんだで誰かを守るとするところは変わらないな」
「・・・僕はロイミュードの守護者で仮面ライダーにとっては死神です。人間なんて・・・知ったことではありません」
森の中に消えていくアレンだったがその背には確かにかつて共に戦った戦友(ダチ)の姿があり郷は自然と笑みが浮かんだ。
『寺坂、お前上司に何てことするんだよ!!』
『うるせー!一人だけ高みの見物していやがって!!』
後ろからは現在の友(ダチ)たちの声が聞こえる。その中には今まで良かった大きな声も混じっている。
何時かここにもう一つ声が混じることを願って郷はダチ達の元に走った。
先日9月13日(カイザの日)にプレバンでカイザギアの予約が始まりましたが・・・もちろん当日に予約しましたよ!!
というより予約しない理由が見つからなかった!!!
今から送られてくるのが楽しみです。