毎回戦闘描写と終わり方に悩みますね。
話は変わりますが、ヒーロー大戦ではまさかのアマゾンズ参戦で楽しみが倍増しました。
――――雨は嫌いだ――――
6月、梅雨の季節になり数日降り続ける雨を忌々しそうに郷は見ながら郷は思った。
今までの人生で嫌な思い出の殆どが雨の日に起こった。
あの日も、あの時も、あの瞬間も雨の日だった。
「なんか・・嫌な予感がするな・・」
「はい、皆さんおはようございます。席に着いて下さい」
殺せんせーが教室に入って来たため席に着くが教室には2つほど空きがあった。
「殺せんせー、岡野と矢田がまだ来てませんけど・・・」
「心配ありませんよ片岡さん。岡野さんは昨日の訓練で痛めた足首の検査のため、矢田さんは弟さんのお見舞いのために病院に寄っているんですよ」
――――――――――――――――――――――――――
「あれ、ひなた?」
「え?桃花じゃん!」
病院では診察室から出て待合室に来た岡野と2階から降りてきた矢田が鉢合わせになった。
「奇遇だね。教室には今から行くの?」
「うん、ひなたも今からでしょ?じゃあ一緒に行こうか?」
すっかり雨が上がった空の下を2人は病院から出てE組校舎へ向かった。
何気ない会話をしながら歩いていると通りかかった公園から3歳ぐらいの子供が車道に飛び出してきた。
「あ!危ない!!」
1台のトラックが子供に気付かず迫ってくるのに気付いた矢田が叫ぶ。
岡野はとっさに道路に飛び込み子供を助けようとした。
「早くこっちに、痛っ!」
だが、包帯を巻いていた足首が痛み出し車道の真ん中で動けなくなった。岡野達に気付いた運転手もブレーキを踏むが間に合わない。矢田や周囲の人の叫び声が耳に響き驚愕の表情の運転手の顔が迫る中、岡野は襲い掛かる衝撃に耐えようと目をつぶる。
―――キキーーー!!————
ブレーキ音を響かせながらトラックが通り過ぎた。
矢田が視界を遮っていた手を退かすとそこには、1人の少年が岡野と子供を抱えていた。
「大丈夫ですか?」
「・・・えっ?あ、あれ!?」
一瞬何が起こったのか理解できなかった岡野だが、歩道から矢田が慌てて走ってくるのに気付きやっと自分が目の前の少年に助けられたことに気付いた。
子供も無事の様で少年の腕の中で泣いていた。
「もう大丈夫ですよ」
少年は岡野と子供を優しく降ろすと怪我がないか確認しだした。
「ひなた!大丈夫!?」
「う・・うん・・なんともないよ・・・いった~~」
大きな怪我こそなかったが衝撃で足首がまた痛み出した。そこに怪我がないのを確認し子供を親に引き渡した少年が近づいて来た。
「どこか怪我しましたか?」
「う、ううん大丈夫ちょっと痛めただけだから・・・」
「あの・・友達を助けてくれてありがとうございまし・・あっ!」
そこで矢田は少年の顔を見て思わず声を上げた。
その顔は以前、修学旅行前の買い物の時絡んできた高校生たちから助けてくれたアレンだった。
「アレン君?」
「えっ?あ!矢田さんお久しぶりです」
「桃花の知り合いなの?」
「うん!この前助けてくれたアレン君」
「初めまして。アレンです」
頭を下げながら自己紹介するアレンに岡野も慌てて頭を下げた。
「えっと・・岡野ひなたです!あの、本当にありがとうございました!」
「いえ、当然の事をしたまでですよ。それよりも、その足ではうまく歩けないでしょうし・・・」
そう言ってアレンは岡野に背を向けしゃがんだ。
「乗ってください。送りますよ」
「い・・良いですよ!そんな悪いし///」
悪いという気持ちもあるがそれ以上におんぶされている所を人に見られるのが恥ずかしいため断ろうとするが。
「無理に歩くと悪化してしまいますよ。大丈夫です!こう見えてもそれなりに鍛えていますから!」
アレンの優しい笑顔に負け大人しくその背中に身を預けた。
―――――――――――――――――――――
「おい!岡野が男子に背負られて来たぞ!」
授業中すっかり睡魔に負けていた郷はその声で目を覚ました。
見るとクラスのみんなが窓からグラウンドを見ていた。ちゃっかりと殺せんせーもピンク色の顔でニヤニヤしながら見ていた。
クラスの女子の中でもボーイッシュなイメージのある岡野が男子に背負ってもらっている。確かに面白そうだ。そう思い郷もカメラを片手に窓に近づいた。
「さ~て、岡野にフラグを立てたのは一体どんな奴なん・・・なっ!?」
その瞬間、郷は窓を飛び越え岡野を背負う少年に近づいた。
「お前っアレン?アレンだろ!?」
「詩藤・・・郷・・」
アレンの肩を掴み話しかけるその顔は驚きと同時に喜びの表情でもあった。だが、岡野を優しく降ろしたアレンは先程までと違い感情が感じられない表情で郷を見ていたが郷は気付かない。
「お前、無事だったんだな!無事ならすぐに連絡しろよな~クリムも心配してたんだっ〈バキッ!〉ガッ!?」
アレンの拳が郷の顔面に直撃し法を吹き飛ばした。
「アレン君!何するの!?」
突然の事に矢田が叫ぶがアレンはその問いに答える事無く懐に手を伸ばした。
「あ・・アレン・・?」
何が起こったのか理解できない郷はただアレンを見ているとその手に握られているものに目を見開いた。
「それは!まさか・・・お前が?」
「仮面ライダーマッハ・・ここで殺してあげますよ」
アレンの手に怪しく光る物それは、以前京都で戦った魔進チェイサーが持っていた武器と同じだった。
アレンは一切の躊躇いも無く引き金を引く。すぐさま後ろに転がり躱す郷だが、すでにアレンは目前まで迫りブレイクガンナーで殴り掛かる.
「くっ!」
何とか取り出せたゼンリンシューターで防ぐことは出来たが押し負けバランスを崩した隙に強烈な蹴りを食らった。
「ぐっ!くそぉ!」
さらに迫り来る銃撃を掻い潜りながら郷は校舎の屋根に跳び移った。
アレンもそれを追う様に跳び2人の戦いは校舎上へと変わる。
「アレン!一体どうしちまったんだよ!」
「どうもしてませんよ。僕はただロイミュードの敵を倒すだけです」
屋根上を目まぐるしく動く2人の武器がぶつかり合いながらも郷は必死に語り掛けるがアレンはただ表情を変える事無く返すだけだった。
校舎から出て2人の戦いを見るE組だが矢田と岡野はアレンの突然の変化にいまだに戸惑っていた。
「アレン君・・一体どうしたの・・」
アレンの攻撃を受けた郷は大きく弾かれ地面に叩き落された。
「がっ!ガッハ!ゴホッ・・」
腹部を押さえながら起き上がるがその表情は苦痛に満ちていた。
「・・・遊びはここまでです。変身・・」《ブレイク・アウト!》
アレンがブレイクガンナーの銃口を力強く押し込むと全身に紫の走行を身に付け魔進チェイサーへと変身した。
「ッ!あいつも変身したぞ!?」
「しかも滅茶苦茶強そうじゃないかよ・・」
生徒たちは一目見ただけで魔進チェイサーの力を感じ取った。
「ちぃ!こうなったら力ずくで目を覚まさせてやる。変身!」《シグナルバイク!ライダー!マッハ!》
郷もマッハへと変身する。数秒の睨み合いの後、2人はゆっくりと銃口を向け合いE組も静かに傍観している。その静寂の空間の中、グラウンドの隅にある木の葉から一滴の水滴が落ちる。その瞬間、2つの銃口から同時に光弾が発射される。
2人は光弾が相殺し出来た爆煙に飛び込み互いの武器が激突する。
そのまま鍔競り合いになるがパワーではチェイサーの方が分がありマッハは徐々に押されていく。
しかし、マッハはわざと力を緩めチェイサーのバランスを崩す。そしてそのままその場で回転し遠心力を加えた一撃を叩き込む。
だがチェイサーも素早く反転し空いたボディに強力な一撃を叩き付ける。
2人は受けた攻撃の衝撃で後退しながらもそれぞれの手にシフトカーとバイラルコアを持つ。
《シフトカー!タイヤ交換!アラブル!》《チューン!チェイサー!スパイダー!》
ダンプ車型シフトカー【ランブルダンプ】とスパイダー型バイラルコアを2人は同時に装填する。
マッハの右手にはドリル型の武器【ランブルスマッシャー】が装備され、チェイサーもクロー型の武器【ファングスパイディー】を装備する。
「はあぁぁぁ!!」「・・・ふ!」
互いの武器が何度も交わりその度に音を立てながら火花が散り衝撃が木々を揺らす。
「おらぁぁ!」
マッハの渾身の突きをチェイサーは防ぐがその瞬間、ランブルスマッシャーが高速で回転する。
「はああああぁぁぁ~~~!!」
「くっ!・・」
少しずつマッハがチェイサーを押していき吹き飛ばす。ファングスパイディーを地面に突き刺しブレーキ代わりとしたチェイサーはすぐさま地面を蹴り飛び上がった。
それを見たマッハも同じように跳ぶ。
《ヒッサツ!フルスロットル!アラブ~ル!》《フルブレイク!スパイダー!》
ランブルスマッシャーを左脚に装備したマッハの【アラブルキックマッハー】とエネルギーを収縮したチェイサーの蹴りが激突し、周囲を衝撃が覆う。
「「「「「うわああぁぁぁーーーー!!!」」」」「皆さん危ない!」
広がる衝撃はE組にも襲い掛かり殺せんせーが庇う様に前に出るが何人かの生徒は数メートルほど飛ばされる。
衝撃が収まり視線を2人に向けるとそこには
「うっ・・アッ・・」「はぁ・・はぁ・・はぁ・・」
変身が解け倒れこむ郷と足を引きずりながらも郷に近づくアレンが居た。
「はぁ・・はぁ・・・これで終わりです」
「郷君!」
郷に銃口を向けるアレンに対し殺せんせーが止めようとしたが、殺せんせーが動くよりも早くブレイクガンナーの光弾が生徒たちの足元に撃たれる。
「動かないでください。あなた達に危害は加えません」
アレンは再び郷に銃口を向けようとするがその時、視界の隅で先程の衝撃で吹き飛ばされた岡野の頭上で今にも折れかかっている木があることに気付く。
とっせに銃口を機に向けると同時に木が折れ、岡野に当たろうとする。
「っ!」
「きゃっ!?」
ブレイクガンナーから撃たれた光弾が木を粉々に砕きアレンは岡野の無事を確認する。その時初めて殺せんせーや他の生徒も岡野自身も気の存在に気付いた。
「・・・僕は・・なぜ今?」
アレンは自分の行動が理解できなかった。自分の使命はロイミュードの敵、仮面ライダーを殺す事、それが何より優先すべきことのはず、なのに今、自分は目の前の標的よりも1人の少女を守ることを優先した。
「っ~~~~!!?」
その時、激しい頭痛がアレンを襲う。まるで、頭の中の全てがぐちゃぐちゃにかき回されているみたいだ。
(痛い痛い痛いイタイイタイイタイイタイいたいいたいいたい!!!)
何かが違う!?自分は仮面ライダーを倒す存在じゃない!?ロイミュードの守護者じゃないのか!?
「くぅぅ~~~!!!」
アレンの頭痛が頂点に達しようとした時、一台のバイクがグラウンドに飛び込んできた。紫のボディに髑髏の装飾が施されている。
「くっ・・・!」
バイクがアレンの前に停まると未だに痛む頭を押さえながらも跨る。
「ま・・てぇ!」
郷の停止の声を振り切るようにアレンはフルスロットルでその場から走り去った。
―――――――――――――――――――――――――――
『そうか・・アレンが・・・』
数分後、郷は現在保健室で速水が簡単な手当てをしており教室には2人を覗いたE組が集まっている。
そこで、出来事の全容を聞いたクリムはどこか悲しそうだった。
「クリム、そのアレン君と言うのは?」
『アレンは・・・かつて、郷と共に戦った仮面ライダーの1人だ』
クリムの言葉に全員がやはりと言った顔をした。
『だが、アレンは未来の戦いにおいて私たちの目の前でロイミュードに連れ去られた。その後必死で探しても消息はつかめず殺されたものだと考えていたが・・・』
「まさか、ロイミュード側になってたなんてな・・」
声が聞こえた方向を見ると体の所々に包帯や絆創膏を付けた郷が速水と一緒にいた。
「郷!もう良いのか?」
何人かの生徒が駆け寄るが郷は「無問題(モーマンタイ)」と言い流した。
「あいつが何でロイミュードに味方してんのかは知らないけど、一発デカいの喰らわして目を覚まさせる。それしかないだろ?」
『ああ・・単純だがそれしか今は方法はないな・・郷、頼んだぞ』
「ガレット!任せとけって」
―――――――――――――――――――――――――――
「うっ・・・僕はっ・・一体・・・!」
アレンは河川敷の橋の下でいまだに続く頭痛に苦しんでいる。
頭の中に覚えのないビジョンが浮かんでくる。顔は見えないが2人の男女と1人の少女が自分を見ている。それはとても幸せそうだった。
次に浮かんできたのはどこか廃墟のような場所で何人もの少年少女が楽しそうに笑っていた。着ている服は誰もがボロボロであるにも関わらずそこには明日を生きようという強い意志が感じられた。
「僕は・・・僕はッ!・・」
「君は、何も迷う必要はないのだよ」
背後から聞こえた声に振り返ろうとした瞬間、アレンの首筋に何かが刺さりアレンは気絶した。
「・・・やはり、接触するのは少し早かったようだね」
アレンに近づく影、その胸には【001】のナンバーが刻まれていた。
モチベーションが上がるので宜しければ感想を宜しくお願いします。