摩訶不思議アドベンチャーな世界に転生したかと思ったら一繋ぎの世界にトリップした件について   作:ミカヅキ

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いつの間にかお気に入り登録が100人を超えている…だと……?一瞬状況が把握できなかったミカヅキです!感想もありがとうございます。
さて、お待たせしました本編第6話です。今後の展開がどうなるのか、作者もちょっとわかりません。気長に更新を待ってやってください。


第6話 暗躍する悪とジャスミンの懸念

 ピピピッ!ピピピッ!ピピピッ!ピピピッ!ピピピッ!ピピピッ!

「ん~……。」

 枕元から響くアラームに、目を瞑ったままベッドボードを探る。

 ピピピッ!ピピピッ!ピッ…。

「ふぁ…。……眠い…。」

 アラームをセットしていたスマホを止め、ベッドの中で伸びをする。

 昔から朝に弱く、そのままだと2度寝してしまうことが良くある為、だいたいいつも起きてすぐにシャワーを浴びることにしており、怠い体を無理やり起こしてタオルを持ってシャワー室に入る。

 ザァァァァ―――…!

 ザァァァァ―――…!

 ザァァァァ―――…!

 ザァァァァ―――…!

 ザァァァァ―――…!

 無言で熱めのシャワーを浴びること約5分。やっと頭が冴えてきた。

「あ~…。お腹空いた…。」

 良く考えると、昨夜は夕食を摂らずに寝てしまった為、意識した途端に空腹感が襲ってきた。

 疲れ(主に精神的な)で18時頃には就寝し、現在は朝の6:30。単純計算でも12時間以上は寝たことになる。

(そりゃ、お腹も空く訳だ。)

 生憎、この宿は素泊まり専用の為、食事をする場合は外でしなくてはならないのだが、外には軽食が食べられるカフェや比較的リーズナブルなレストランも多かった為、モーニングをやっている店も探せばあるだろう。

(取りあえず、着替えたら歯を磨いてー、ご飯食べに行ってー、レーダーチェックしないとなー。)

 寝起きと低血糖が重なってまだ頭がぽやぽやするが、一応これからの予定を立てていく。

 キュッ…!

 シャワーを止め、まずは朝食にありつくべく、身支度を整える為にタオルを手に取った。

 

 ━AМ7:15、カフェテリアにて━

 温かい紅茶を飲みつつ、ニュース・クーと呼ばれているらしいカモメから購入した新聞に目を通す。

 特に目ぼしいニュースは無かったが、新聞を見ればだいたいの世界情勢は把握できる。

 この世界にとっての常識をまず知ること、漫画の記憶もほとんど残っていない為、まずは少しでも世界について知る必要があった。しかし、人に安易に聞くことはできない。内容によっては、子供でも知っている筈のことを知らないのだ。変に人目を引いたり、妙な印象を残すことは避けたかった。

 本来はジャスミンのような子供が賞金稼ぎになることも人目につくだろうが、幸いこの世界には悪魔の実と呼ばれるアイテムが存在する。特にこのシャボンディ諸島は、新世界の入り口と呼ばれるだけあって、老若男女問わず来島者が多く、様々な能力者も揃っていた。

 それはジャスミンにとっても好都合であり、珍妙な能力を持つ者たちに紛れればジャスミンの強さもそう目立たずに済む。

 できれば、ここを拠点にしつつ残りのドラゴンボールを全て集められればベストだった。

 1度集めた時は海底に沈んでいたり、活火山の火口付近ぎりぎりに引っかかっていたりなど面倒な場所にあった上に、ブルマから頼まれていたモニターの仕事もあった為、特に急ぐことも無く旅行がてらゆっくり集めたが、本来ならば、舞空術を使えば休み休み飛んだとしても3~4時間程もあれば地球を1周できる。どんなに面倒な場所にあったとしても、本気で集めようと思えば1日もあれば集めることはできるのだ。()()()()()()、の話だが。

 問題は、この世界が地球より遥かに広いということである。

(この世界、たぶん地球の4~5倍はあるよね……。)

 ドラゴンレーダーを確認した際、ドラゴンボールの位置を表示するのにかなり縮小しないと表示されなかったことと、同時に表示された距離がそれを示している。

 もしかしたら太陽や月も1つではないかもしれない。先程の新聞で仕入れ、また昔漫画で見た偉大なる航路(グランドライン)の異常な気象。それが複数ある太陽や月の引力によるものだとしたら、理屈では測れない異常気象も説明がつく。

 地球では考えられないそんな異常気象の中、おまけに海軍や海賊たちに目を付けられないように秘密裏に行動できるかどうか。それが要となるだろう。

 しかも、この世界は海が大部分を占めている。大陸は1つしかなく、海を2分するようにぐるりと1周するように大地が横断するのみだ。人の目から見れば巨大だが、惑星として全体を見ればかなり小さいものでしかない。現在ジャスミンが手に入れている3つのドラゴンボールは、運良く島に落ちていたが、残りのボールは海に落ちている可能性も高い。

 幸い、ブルマからモニターを頼まれた潜水飛行艇がある。

 海中のドラゴンボールを回収するのはそう難しいことでは無いが、その最中に海賊に遭遇する可能性も高い。いや、海賊なら口止めも兼ねて海軍に突き出せば良いが、もし海軍に見付かったら面倒なことになるのは間違い無いのだ。

 ホイポイカプセルの技術力や舞空術の使用、何よりも心配なのはドラゴンボールの存在が海賊や世界政府に知られることである。もし、自分と同じように地球から飛ばされてきた人間がいたら…。

 ()()()()()()()()()()()()、とんでもないことになるのは間違い無かった。

 そんなことを考えながらジャスミンがホットサンドを頬張っていた時、彼女の想定していた最悪の事態が起ころうとしていたことなど、彼女には知る由も無かったのである。

 

 ━同じ頃、偉大なる航路(グランドライン)・前半、魔の三角地帯(フロリアン・トライアングル)

「キシシシシシシシ!本当だろうな!?何でも願いが叶う?!!」

 奇妙な笑い声を立てるのは、巨人かとも見紛う巨大な人影。

「は、はいそうです。7つ集めればどんな願いでも……。過去には王になることを願った者や、死者を生き返らせた者もいたと聞きます…!」

 その人影に跪き、へりくだるのは、地球でジャスミンを襲った男たちの先頭にいた男だった。あの時の傲岸不遜な様子は見る影も無く、人影の機嫌を損ねぬように自らの持つ全ての情報を開示している。

「キシ!キシシシシシシシシ!!!そりゃあ、良い!オレのもんだ。ドラゴンボールは全てオレが手に入れる!!」

「ド、ドラゴンボールはレーダー無くしては集められません!どうぞこれをお使いください…!!」

 そういって男が人影に差し出したのは、アタッシュケースに直接はめ込まれたドラゴンレーダーだった。ブルマの作ったものよりも大型で、細かい位置までは特定できないようだったが、確かにドラゴンボールの位置が表示されている。

「んん~…?既に3つ集まってるじゃねぇか。」

「お、恐らくあのジャスミンとかいうガキもこの世界に来てるんだと……!」

「なるほど、なるほど…。なら、最初にそのガキに他の6つを集めさせた方が都合が良い……!おい、そのジャスミンとかいうガキもレーダーを持ってるのか?」

「恐らく持っている筈です。ドラゴンボールはレーダー無しには集められません……!」

「なら、そのガキが他のドラゴンボールを集めるまで、このボールを隠しとかねぇとなぁ…。レーダーに映らないようにできねぇのか!?」

「ほ、方法は2つあります…!ドラゴンボールから出ている特殊な電波は、生物の体内にあると遮られてレーダーでは感知できなくなります!それと、電波を通さない特殊なケースがあれば………。」

「生物の体内~……?死体でも良いのか?」

「たぶん、可能かと…。」

「キシシシシシシシシシシッ!!それなら話は簡単だ。ゾンビ兵の誰かにボールを隠せば良い……!キシシシシシシシ!もうすぐだ…!もうすぐオレは王になる……!!!」

「は、はい…。」

「お前はもう少し生かしておいてやる…。ゾンビにしたら記憶も徐々に消えちまうからな。せいぜい、オレの役に立て…!キシシシシシシシ!」

「あ、ありがとうございます!」

 震えながら頭を下げる男の周辺には、物言わぬ(むくろ)と成り果てたかつての部下たちの成れの果てが転がっていた…。

 

 ━AМ8:00、ジャスミンが借りているホテルの一室━

「さてと…。残りのボールはっと。」

 そう言って起動させたドラゴンレーダーに表示されたドラゴンボールは、2つ。

「あれ?」

 ジャスミンが所持しているボールは3つ。残りのドラゴンボールは4つある筈だった。

 2つ、何らかの原因でレーダーに映らないドラゴンボールがあることになる………。

 

 




という訳で、原作キャラ2人目の登場です。もう6話なのに、麦わらの一味と一向に接触しません。…おかしいな。最初の予定では、もう接触している筈だったのに…。ルフィたちと絡むのはもう少々お待ちください。
なんか、ワンピース世界が地球よりでかいとか太陽と月が複数あるとかねつ造もいいところですが、二次創作ということでご容赦ください。

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