摩訶不思議アドベンチャーな世界に転生したかと思ったら一繋ぎの世界にトリップした件について   作:ミカヅキ

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お待たせしました!
こちらの連載は久々の更新です。が、本編でなくてすみません…。
今回は、ジャスミンが“悪戯中”のチョッパーsideで、本編の補足になります。
VS黄猿はもう少々お待ちくださいませ。


閑話6 その頃、彼らは…

 ―――――――――これは、ジャスミンがウソップたちと一緒に“悪戯”をしている間に起こった出来事である。

 “シャッキー'S ぼったくりBAR”に避難した“麦わらの一味”は、チョッパーを長椅子に寝かせ、目が覚めるのを待っていた。

 仲間たちがじりじりと待つ中、徐々にチョッパーの意識が浮上する。

 痛い、チョッパーが意識を取り戻し、まず感じた感覚はそれだった。

 何でこんなに全身が痛いんだ?そんな事を思いながらチョッパーが目を開ける。

「うっ…。いててて……!!」

 起き上がろうとするが、あまりの痛みにそれが出来ない。

「チョッパー!起きたのね?!」

「ナミ?おれ、一体どうしたんだ?」

 周りを見れば、一様(いちよう)にほっとした様子を隠さない仲間たちの姿があった。

「おお、目が覚めたようだな。」

「誰だ?あの爺さん。」

 痛みを(こら)えて声の方へ目を向けると、カウンターに座り酒を飲んでいる1人の老人と目が合った。ニコリ、と微笑みを返してくる老人にチョッパーが不思議そうにナミに尋ねる。見れば、自分が横になっているのは、“シャッキー’S ぼったくりBAR”の店内である。

「ああ、ハチの知り合いのコーティング職人の“レイさん”よ。取り()えずレイさんの勧めでこのバーに避難してきたの。」

「あ!そ、そう言えばケイミーは?!無事なのか??!」

 思い出したように叫ぶチョッパーに、ナミが(なだ)めるように教えてやる。

「無事よ。というより、あんたたちが会場に突っ込んだ時にはもうジャスミンが助けてくれてたの。今はパッパグも一緒にハチが“魚人島”まで送っていってるわ。」

「そ、そっか…。良かった。」

 その知らせに安堵(あんど)したチョッパーだったが、不意に先程の疑問を思い出す。

「なぁ、ナミ。なんでおれ寝てたんだ?」

「覚えてないの?あんた天竜人に撃たれたのよ。特殊な弾だったみたいで、もしかしたら後遺症が残るかもしれないって言われたくらいだったんだから!」

「え?!」

「でも、もう弾は完全に取ってもらったから大丈夫よ。後はしばらく安静にしてれば大丈夫ですって。」

「取ってもらったって…?」

「何だっけな…。トラ、トラフォ…?トラ男だ!!」

 誰が自分を治療してくれたのか、と尋ねるチョッパーに適当な事を言うルフィの後頭部をスパン!とナミがブッ叩く。

「トラファルガー・ロー!!!自分のライバルになる海賊の名前くらいちゃんと覚えなさい!!」

「え!?海賊が助けてくれたのか?」

「海賊で医者だとか言ってたな…。“面白ェもん”を見せてくれたから貸しだとよ。」

 ナミの言葉に驚愕するチョッパーに、サンジが補足する。

「“面白ェもん”って?」

「ルフィが天竜人を殴り飛ばしたんだ。間も無くこの諸島に海軍大将が来る。」

「大将ォ??!!」

 ゾロの簡潔な説明に、チョッパーが目を()く。

「オークション会場を囲んでいた海兵たちはジャスミンが片付けてくれたけど、問題はこれからなのよね…。チョッパーも怪我が治った訳じゃないし…。」

「そういや、チョッパー。お前ジャスミンから“不思議豆”もらってなかったか?」

 ナミの言葉で思い出したように、ルフィがチョッパーに目を向ける。

「あ。」

「そう言えば…。」

 チョッパーとナミがハッとなり、サンジとゾロ、ブルックもその言葉で思い出した。

「ある!もらったぞ、みんなの分も!!おれのリュックの中に入ってる!!!」

 その言葉に、ナミが急いでチョッパーのリュックを(あさ)る。

「えっと…、あった!これね?!」

 3粒ずつ小瓶に小分けにされた緑色の豆‐ジャスミンがくれた“仙豆(せんず)”だった。

「確か1粒で凄い効果があったわよね…?」

 ナミが小瓶から1粒だけ取り出し、チョッパーに食べさせる。

 ポリッコリッ……!

 ゴクン、と飲み込んだ直後、チョッパーがガバリと身を起こす。

「わ!びっくりした…!!」

「ス、スッゲェ―――――――――――――!!!治ってる―――――――――!!!!」

 あまりの勢いに若干引いたナミを尻目に、チョッパーが全快した事をアピールするように店中を飛び跳ねる。

「これは一体……?」

「さっきまで重傷だったわよね…?」

 流石(さすが)に理解が追い付かなかったのか、“レイさん”と呼ばれた老人とシャッキーが唖然(あぜん)としている。

「ヨホホホホッ!流石(さすが)に“偉大なる航路(グランドライン)”、不思議なものが溢れてますねェ。」

「…なるほど。」

「…そうね。」

 ブルックの咄嗟(とっさ)のフォローで、“聞いてはいけない事”と悟った2人が特に追及する事無く引いてくれたのは僥倖(ぎょうこう)だった。

 やれやれ、と内心胸を撫で下ろしつつ、ブルックはロビンとフランキーの年長組が戻り次第、ジャスミンを説教しようと心に決める。

 “仙豆(せんず)”のお陰でチョッパーの傷は癒えたが、どうもあの少女には危機感というものが足りない。それを教えてやるのも年長者の務めであり、恩返しの一環とも言えるだろう。

 はしゃぐチョッパーとそれに乗っかる我らが船長を眺めながら、ブルックは小さく溜息を()いた。

 

 


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