摩訶不思議アドベンチャーな世界に転生したかと思ったら一繋ぎの世界にトリップした件について   作:ミカヅキ

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こんにちは。いつの間にかお気に入り登録が35件になっていて軽くビビッているミカヅキです。感想もありがとうございます!
今回は本編ではなく、第4話のレイさんサイドです。閑話なので今回は短めになります。軽くネタバレすると、主人公を隠れて見ていたのは深い意味はありません。人攫いに襲われている主人公を見つけ、助けてあげようと思ったら自分で撃退しているのを見て面白がっていただけです。本人曰く、「若い娘さんが大好き」らしいので。
今後も関わってくるかどうかは、どこまで主人公が彼の興味を引くかにかかっています。


閑話 冥王の興味

 レイリーがその少女を見付けたのは単なる偶然に過ぎなかった。しかし、後に彼はこの邂逅を思い返し、世界を巻き込み、運命が大きく動き出したことを感じ取るのだった。

 

 レイリーがそのルートを通ったのは、久しぶりにシャボンディパークに行こうとしていたからである。

 博打で勝ち、懐も温かった彼は機嫌良く歩いていた。

(ん…?)

 荒々しく騒がしい気配が20弱と、やや離れたところに小さな気配が1つ。

「またか……。」

 この無法地帯では珍しいことではないが、また人攫いか海賊が民間人を襲おうとしているのだろう。これが海賊同士の小競り合いや、襲われている相手が海兵ならばわざわざ関わろうとはしない。

 レイリーが気になったのは、襲われようとしているのがまだ年若い少女だったからである。見れば海賊にも賞金稼ぎにも見えない、小柄な少女だった。

 服装からして地元の人間ではなさそうだし、観光客が無法地帯に紛れ込んでしまったのだろうと考えたのだ。

 見ればなかなか可愛らしい顔立ちをしているし、綺麗な黒髪も良く手入れされているのがわかった。このままでは、ヒューマンショップで売り飛ばされ、悲惨な運命を辿ることになるだろう。

 若い身空(みそら)でそれはあまりに気の毒だった。

(やれやれ…。)

 ここは老骨(ろうこつ)(むち)打とうかとした瞬間である。

 襲われていた筈の少女が無駄の一切無い、流れるような動きで襲いかかってきた人攫いたちを次々に沈めていったのだ。

(ほう……。)

 先程までは確かに一般的な、同じ年頃の少女たちと変わらない身のこなしだったのにも関わらず、今披露している無駄の無い流れるような体捌き(たいさば)は鍛え抜かれた武道家のものである。

(海軍のものとも違うが、あの動きは我流では身につかん。わざわざ隠していたのか?一体何故……。)

 些細な疑問もあったが、それよりも見ているうちに徐々にその動きに惹き込まれている自分がいることに気付く。

(面白い。あの若さであれだけの強さを身に付けるとは…。)

 しかも、あの動きに荒々しさは欠片も見当たらない。実戦的に磨かれたのではなく、あくまでも鍛錬の一環として身に付けたものに間違い無い。

 そんなことを考えているうちに、いつの間にか最後の1人も片付いたようだ。

(いらぬお節介だったか。)

 そのままそっと(きびす)を返そうとした時だった。

「私に何か用ですか?」

(気付かれていたとは……。)

 老いたとは言え、すぐに気配を悟られる程衰えたつもりは無い。つまり、それだけ目の前の少女が手練れであることを示している。

 もう少しこの少女と話をしてみたい。その欲求のままに、レイリーは少女の前に姿を現した。

 

 

 

 

 

 




実際に書いてみたら、予想以上にレイさんが主人公に興味深々になりました。今後どうなるのか、作者にもちょっとわかりません(汗)

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