摩訶不思議アドベンチャーな世界に転生したかと思ったら一繋ぎの世界にトリップした件について 作:ミカヅキ
本編でなくてすみません。
今回はジャスミンがトリップした直後の地球sideです。
――――――時はしばし
長い撮影期間が
ソファで
「………!」
ゴトン…!
「わ?!何してるんです、ヤムチャ様!!」
隣で同じくデイゲームを観戦していたプーアルが、ジョッキの倒れる音でテーブル中をびしょびしょにしているビールに気付き、
しかし、普段ならすぐに自分も片付けようと動く
「ヤムチャ様?ど、どうしたんですか?!」
見れば、青白い顔で
「ジャスミン…?」
何かを確かめるように呟かれたのは、
「ジャスミン様がどうかなさったんですか?」
この様子は
プーアルの言葉に、ヤムチャが
そして、ジャスミンの番号を呼び出し始めた。
『お呼びした番号に応答がありません。電波の入らない所にいるか、電話機本体が故障していると考えられます。』
呼び出しを始めた
「え?」
それを聞いたプーアルが首を
「最後まで潜水飛行艇のモニターをされながらお帰りになるつもりなんでしょうか?」
「いや、違う…。」
「違うって…。まさか、スマホを壊してしまったという事ですか?」
確かあれは、去年のジャスミンの誕生日にヤムチャが贈った最新モデルで、ブルマの改造によってかなりタフな仕上がりになっている
『GPSを起動。追跡対象者の現在地を探知します。』
西の都の17歳以下の子どもは、GPS機能付きの携帯電話の所持・携帯が条例によって義務付けられている。大都市であるが故に犯罪も多く、未成年者がそれに巻き込まれる事例が多発した事から、10年程前に制定された。親の目が離れやすくなる就学から、高校2年生までのおよそ10年間は例外無くその条例の対象となり、保護者は常に子どもの居場所を把握しておくのが義務となっているのである。17歳以下の子どもに限り、15分置きに自身の居場所を発信させる特殊なアプリのダウンロードが義務付けられている。保護者はそのアプリと連動している探知アプリをダウンロードしており、それによって保護者はいつでも自身の子どもがどこにいるのかを把握する事が出来るのだ。
それはジャスミンも例外では無い。仮にスマホ本体が壊れてしまっていたとしても、その直前にどこにいたのかは記録されている。
『追跡対象者を探知出来ませんでした。7分前の位置情報を表示します。』
ものの10秒程で表示されたのは、先程電話でジャスミン自身の口から伝えられていた
「プーアル!出かけるぞ!!」
「えっ?ど、どこにですか?」
「ジャスミンの所だ!!」
「ま、待ってください、ヤムチャ様!!!」
上着を引っ
━東の都から10km地点の町━
「っここか……!!」
スマホを見ながら店を探していたヤムチャが、スタッ!と店の前に降り立つ。
「ジャスミン!どこだ?!」
バンッ!
勢いのあまり扉がけたたましい音を立てる。本来なら店中の人間の注目を集めて当然の行動だったが、そうはならなかった。
「っこれは…!」
店内には商品だったらしい品物が散乱し、人1人存在しなかったからである。
まるで店内で大風が吹き荒れたように棚の中身は全て落ち、陶器やガラス類は全て壊れている。
そしてその中、散乱する
「ジャスミンの
2つに割れてしまった、直径2cm程の
━カプセルコーポレーション本社兼自宅━
スタッ…!!
ブルマが社長を務めるカプセルコーポレーションの本社前に降り立ったヤムチャは、その勢いのまま受付に詰め寄る。
「至急、ブルマ社長をお願いします!急ぎの要件です!!」
「ア、アポイントメントはおありでしょうか…?」
ヤムチャのあまりの勢いに若干
「いや、約束はしてないが、ヤムチャが来たと言ってもらえれば分かる
「は、はぁ…。しかし、アポイントメントの無い方は規定上お繋ぎ出来ないようになっておりまして…。」
「娘が危ないかもしれないんだ!早くブルマと連絡を取らないと……!!」
「そ、そう言われましても………。」
「あれ?ヤムチャさん?どうしたんですか?」
「!」
「ト、トランクス
カプセルコーポレーションの
次期社長として既にブルマの仕事を手伝っている彼は、長期休みの時には日中はほぼ本社に入り
来てみれば何やら受付付近が騒がしく、よくよく見てみれば幼い頃から良く見知っている
「頼む、トランクス!至急ブルマに繋いでくれ!!」
「はい?」
渡りに船、と言わんばかりに自分に詰め寄ってきたヤムチャに、思わずトランクスが
「ドラゴンレーダーがもう1つ必要なんだ!頼む……!!」
「ドラゴンレーダーが必要って…。確かジャスミンが持ってる
突然のヤムチャの申し出に、トランクスが困惑した様子を見せるが、次のヤムチャの一言で全てが吹っ飛んだ。
「ジャスミンが
「
ただならぬ様子に、トランクスの顔つきも変わる。
「連絡が取れない…。それだけじゃない、GPSでも探知出来ないようになっているし、何より
「!!」
その言葉に、トランクスも意識を集中させてジャスミンの“気”を探す。普段なら、いくら一般人程度まで抑えていたとしてもすぐに発見出来る程に
「っ確かに…!何でも無いのにアイツが“気”を消すなんてこれまで無かったし…。連絡も取れないとなると……。」
「さっきから、嫌な予感がするんだ…!2度と
ヤムチャの顔色は青を通り越して白い。
「ジャスミンはドラゴンボールを集めていた…。最後の1つを見付けたから、今日中に帰ると言っていたんだ…!頼む、ドラゴンレーダーでジャスミンを見付けてくれ!!」
「っわかりました!ママなら、今の時間は社長室で書類に目を通している
必死の
すぐさま
それからは
ならば、とジャスミンのスマホの現在地を何とか突き止めようとしたものの、カプセルコーポレーションの技術をもってしても、ジャスミンの
そして、行き詰まった彼らは最後の切り札に頼る事となる。
最後の切り札、
“困った時の占いババ”、彼女の力に頼ったのだ。
しかし、100発100中の彼女の占いを持ってしても、ジャスミンの
ただし、どこに跳ばされたのか、別の惑星かはたまた全く異なる宇宙なのか、それは全くの不明。また、運が悪ければ出口に
「ヤムチャさん!?しっかり!!!」
同行していたトランクスが
「だ、大丈夫かの?」
説明した張本人である占いババも思わず心配する程のショックの受け方だった。
同じく同行し占いババの話を聞いていたブルマも、幼い頃から娘同然に可愛がっていた少女に起こった事態に思わず気が遠くなったが、地球一の
「トランクス!一旦帰るわよ!!」
入口に向けて
「え?!わ、分かった。」
自身も
「これからどうするつもりだい?頼みの綱のドラゴンボールも無いんじゃ、探しようが無かろう?」
占いババの言葉に、ブルマがピタリと足を止めた。
「ドラゴンボールならあるわよ。…ナメック星のがね!!」
自信たっぷりに言い放たれたブルマの言葉に、トランクスと占いババも
「あ!」
「おぉ!その手があったか…!」
感心したように納得する占いババに、ブルマも頷いてみせた。
「そういう事。という訳でトランクス!さっさと帰るわよ!!…それから、あんたはヤムチャを部屋に寝かせたら急いで
「え?悟空さんを?何で?」
「バカね。ナメック星に行くには
「た、確かに…。」
一瞬疑問に思ったものの、説明されればなるほど
「分かったらとっととダッシュ!ジャスミンちゃんが危ないかもしれないのよ!!」
「はいっ!!!」
ブルマの号令に、
――――――――その後、悟空を探し当てたトランクスが
ナメック星のポルンガの力を持ってしても、ジャスミンと地球のドラゴンボールを
しかし、全く収穫が無かった訳では無かった。ポルンガによって、ジャスミンが“
最悪の状況は回避出来た事に胸を
「良く分かんねぇけど、ポルンガでもダメだったんだからオラ
悟空の提案により、
今回書きたかった事
・父親の勘でジャスミンの危機を感じ取るヤムチャ
・軽くパシられるトランクス
何気に初登場のプーアルと悟空でした。