摩訶不思議アドベンチャーな世界に転生したかと思ったら一繋ぎの世界にトリップした件について   作:ミカヅキ

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お待たせしました!
本編でなくてすみません…。
世界政府サイドの話を入れようとしたら以外と長くなってしまった為、分けました。本編はもう少しお待ちください…。

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閑話4 世界政府の要!“五老星”の意志

 ――――――――時はわずかに(さかのぼ)る。

 “赤土の大陸(レッドライン)”は聖地マリージョアに位置する、世界政府本部。その中で最も奥の、1番の広さを持つ部屋に5人の老人がいた。老いてこそいるものの、未だ眼光鋭く他者を威圧させる雰囲気を持つ彼らこそ、世界政府の最高権力“五老星(ごろうせい)”である。

『プルプルプルプル…!プルプルプルプル…!プル、ガチャッ……!』

 中心に置かれたテーブルの上の電伝虫が鳴り響き、その中の1人である頭に(あざ)のある白いひげの男が受話器を取る。

『こちら、くま。』

 物静かを通り越し、むしろ感情の起伏(きふく)(とぼ)しい男の声が響く。

『報告する。ゲッコー・モリアが落ちた。』

「何?!」

「何だと…!?」

「まさかモリアが…。」

「悪い予感が的中したという訳か。」

 通話相手、“七武海(しちぶかい)”の1人‐バーソロミュー・くまからの報告に、受話器を取った(あざ)の男以外にもその場にいた全員が(にわ)かに騒然とする。

『―――――そのようで……!!』

 苦々しく顔を歪めながら、バーソロミュー・くまにその場に居合わせた海賊たちの始末を命令した直後だった、その声が響いたのは。

『させないよ。』

「誰だ?」

「女の声?」

 突然電伝虫が吐き出した、若い女の声に“五老星(ごろうせい)”たちの中にわずかに動揺が走ったが、直後のバーソロミュー・くまの発言でその正体はすぐに明らかとなった。

『“中将殺(ちゅうじょうごろ)し”のジャスミン…?!』

「何!?」

「こいつが…?!」

『この場の全員を殺す?そんな事を私がみすみす許すと思う?』

『ぐっ…!』

「くま?!何があった!?」

 ジャスミンの声の直後に、苦し気に(うめ)いたバーソロミュー・くまに“五老星(ごろうせい)”の間に緊張が走った。今の一瞬でバーソロミュー・くままでも落とされたのか、と。

『1つ言っておく。その電伝虫の向こうにいるのが誰かは知らないけど、今この場で強硬手段に出るというならもう1人“七武海(しちぶかい)”を落とされる覚悟をしておくんだね…。』

「何だと?!」

 放たれた挑発に、“五老星(ごろうせい)”の中で最も短気な(あざ)の男が気色(けしき)ばむ。

『取引しない?今この場にいる全員を見逃すというなら、私もバーソロミュー・くまに手は出さない。モリアの件にも口を(つぐ)もう。下手に自分の悪名(あくみょう)を広げたいとも思わないしね。――――――でも、それでも強硬手段に出るなら、こっちも遠慮はしない。この場でバーソロミュー・くまを“七武海(しちぶかい)”から引き()り落とす。』

「小娘が一端(いっぱし)の口を……!!」

『まぁ、私も今は本調子じゃない。今戦ったら私も相当の痛手を負うだろうけど、そんな状態で上手く手加減出来るかどうかは自信無いんだ。バーソロミュー・くまも無事じゃ済まないだろうね。――――――1日で天下の“七武海(しちぶかい)”を2人も落とされた、なんて不名誉を世間(せけん)に積極的に流したい、って言うなら別に良いけどね。』

「小娘がァ……!!!」

 いきり立つ(あざ)の男から受話器を取り上げ、長い白髪の男が口を開いた。

「………良いだろう…!だが、もしお前たちの口からモリアの敗北を洩らす者がいたならば、その時は覚悟しておくが良い!!」

 そう言い放って通話を切った白髪の男に、(あざ)の男が食ってかかる。

「どういうつもりだ!?」

「…もし、バーソロミュー・くまも落とされてしまったなら、それこそ世界政府の失態。辛うじて保てている三大勢力の均衡(きんこう)は崩れ、海賊共への抑止力は地に()ちるだろう。そうなれば、どうなるか…。ましてや、今は1()()()()()()()()()()()()なのだ。それが減る可能性がわずかにでもあるのならば、今は目の前の些事(さじ)に構っている場合では無い。」

「その通りだ。今は多少のプライドを曲げてでも戦力を維持しなくては。」

 白髪の男の説明に、金髪の男も同意する。

「それよりも今考えねばならんのは、モリアの処分をどうするかだろう。仮にあのジャスミンという娘や、他の者たちが漏らさなくともそうした情報はいつかは漏れてしまうもの…。1度落とされた者に、既に抑止力は望めまい…。()が終わったなら、モリアを解任し別の適任者を引き込んだ方が良いのではないか?」

「うむ…。抑止力を失った“七武海(しちぶかい)”など不要。それに、()もこのまま我を通すようなら解任せざるを得まい。いっその事、そのジャスミンをこちら側に引き込んではどうだ?モリアを下したと言うなら、資格も充分だろう。」

 黒い帽子を被った巻き毛の男が議題を変えれば、眼鏡をかけた着物の男が続ける。

 彼らの議論はその後も続いた。

 何故、彼らが戦力を必要としているのか、それは今後明らかにされていくだろう。

 

 

 


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