摩訶不思議アドベンチャーな世界に転生したかと思ったら一繋ぎの世界にトリップした件について 作:ミカヅキ
お気に入り登録1800人越え、評価もありがとうございます!
さて、今回の副題は“ジャスミンSAN値ピンチ”です。
今回も、話の展開上主人公が追い詰められてますが、どうかご了承ください。
彼女の受難はまだ続きます…。
━“マストの屋敷”内、ゲッコー・モリアのダンスホール━
ジャスミンは鎖で拘束され、
「とっとと吐けっ!!」
ドゴッ!
「グッ……!ゲホッ!ゲホッ………!!」
黒スーツの男の放った蹴りが、拘束されたまま転がされたジャスミンの
「
「…しらないっていってるだろ……!!」
ジャスミンを
半年前と比べて見る影も無く
この2日間の男の言動から推察するに、この男はどうやら命と引き換えにモリアに従っているらしい。
そして、モリアが
だが、男にとっては不運な、ジャスミンにとっては幸運なことに男はドラゴンボールの使い方を知らなかった。
2日に及ぶ暴行により、ジャスミンの顔も
何より、
痛みと疲労で飛びそうな意識を、気力のみで何とか保っている状態だったが、悪人にドラゴンボールを使わせる訳にはいかない、という決意のみで口を
更に、暴力だけでなくあの
そして、つい2~3時間前にジャスミンは途切れそうになる意識を
後少し耐えれば、ルフィが
そんな希望を胸に抱き、激しい暴力を
「キシシシシシッ!!」
「っひ……!」
そして、ズンズンと部屋全体に響くような重たげな足音を立ててホールに入ってきた大男を見て、男があからさまに怯え出した。
「モ、モリア様……!!」
そしてジャスミンもまた、
(コイツがゲッコー・モリア………?)
デカい。それが最初の印象だった。
巨人と
海賊というよりも、お化け屋敷のキャストと言われた方がしっくりくる。
「キシシシシシッ!ドラゴンボールが全て集まったらしいな。」
変に
「は、はい!!こちらにご用意してございます!」
「キーシッシッシッシッシッ!!!やっとか!!
「今までご苦労だったな…。お前のお
「も、
(まさか……!)
モリアの言葉に
「遠慮はいらねェさ…。受け取れ……!」
「やめっ…………!!」
ドシュッ!!!
殺気を込めたモリアの言葉に、ジャスミンが制止するより早く、モリアがその腕を
「ぁ……?」
何が起こったのか分からない、そんな顔をして
ブシャァアアアアアッ………!!!
(あかい、あめ………。)
部屋に赤い、
ズシャッ…!
数拍の間を置いて男の体が床に倒れ込んだ。
「あ、あぁああ……………!」
男の
「キーシッシッシッシッシッシッシッ!!!
「な、何て事を……。」
例え相手が悪人とは言え、何も出来ず、目の前で殺させてしまった事に、ジャスミンに無力感がのしかかった。
「さて…。ドラゴンボールが全ておれの手に入った以上、もうお前にも用はねェが…。一応、お前も億超えの賞金首だ。その影ももらっておくとしようか。」
「ぐっ……!」
言葉と同時に、その巨大な手でモリアがジャスミンの頭を
全体重が首にかかり、ジャスミンが苦痛で微かに
ベリベリベリ…!
ジャキン!!
「!?」
何かを無理矢理
━“サウザンドサニー号”医療室━
「………アアにィ…イ!!!?……ノーレー!!」
ふっ、と意識が浮上するのを感じる。まず復活したのは聴覚。
(さんじさんのこえ……?おこってる…………?)
「…れ以上刺激…やるな…。何かに…しそう…。」
(ぞろさんも、いる……。)
次第に、徐々に感覚が戻り、近くにナミ以外の“麦わらの一味”がいることに気が付いた。
ただ、1人を
(この“気”は…。)
「ちょっぱーくん…?」
まだ頭がはっきりとしていない為か、変に
「ジャスミン!目が覚めたのか!?」
「ここは…?っ…!!?」
周囲を確認しようと首をわずかに動かした
「まだ動いちゃダメだ!!治療はまだ途中だからな。アバラが3本も折れていたんだぞ?
チョッパーがジャスミンを安心させるように語りかかる。
その言葉に、
ジャスミンが寝かされているのは、どうやら医療室のベッドのようで、右腕には
そこまで認識して、はたと気付く。包帯が見える、ということは…
「私の服…?」
辛うじて下着は付けているが、それ以外は包帯とコルセットで隠れているものの人前に出られる姿ではなかった。
チョッパーは厳密には人間ではないし、治療目的だと分かっているので別に脱がされていたことに抵抗がある訳では無いが、もし治療の際に
何しろ、所持していたカプセルは全てウェストポーチごと奪われてしまったのだから。
ジャスミンの問いかけに、チョッパーが申し訳無さそうな顔をしたのが見える。
「ゴメン…。ジャスミンの服は、その、血だらけでとても着れる状態じゃなかったから、悪いとは思ったんだけど…。」
「あ―――…、やっぱり…。」
そして、その原因を思い出し悲痛な
「っ……!」
込み上げてくる涙を
「ジャスミン…?何があったんだ…?」
「…目の前で、人が殺されました。……助けられなかった…………!!」
チョッパーの柔らかな声に、これまで必死で抑えていたものが涙と共に
「お前の体中に鎖の
「でも…!」
「とにかく、今はゆっくり体を休めるんだ。もう少し眠ると良いよ。」
それを涙で