摩訶不思議アドベンチャーな世界に転生したかと思ったら一繋ぎの世界にトリップした件について   作:ミカヅキ

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お待たせしました!第33話更新です!!
いつの間にか、お気に入り登録が1000人超えに……。
本当にありがとうございます!感想もなかなか返信出来ませんが、全て読んでいます!!
これからもよろしくお願いします!!


第33話 決着!取り戻した仲間たち

「何だとォ!!?」

「………そんなバカな…!!」

「サイファーポール史上最強と言われる現在の“CP9”の……。そのリーダー、ロブ・ルッチ氏までもが海賊に(やぶ)れるなんて・・・!!!」

 どよどよと海兵たちが動揺している様子が、上空にいるジャスミンにまで伝わってくる。

「ウ…、ウゥ……。ルフィが………、ルフィが勝ったァ―――――――――!!!」

 ウソップの歓喜の声が響き渡る。

「ヒヤヒヤさせやがって。」

(つい)にやったか!!麦わらァ!!!」

 ゾロが息を()き、フランキーが()える。

「全員、早く脱出船へ!!!船を出すわよ!!!」

 ナミがその場の全員に指示を出すが、結果としてそれはわずかに遅かった。

 

『全艦へ通達(つうたつ)!!第一支柱に“麦わらのルフィ”、“ためらいの橋”にニコ・ロビン、“海賊狩りのゾロ”を含む海賊9名を確認!各艦の操舵(そうだ)は不可能にて、“大佐”及び“中佐”のみ白兵戦にて出陣!!“少佐”以下は出陣不要。精鋭200名により、始末(しまつ)せよ!』

 電伝虫を通した伝達が、上空にいるジャスミンにも届く。

 ジャスミンが軍艦を無力化させたことにより、砲撃や操舵(そうだ)は不可能となったが、各艦の海兵たちはまだピンピンしている。

「さすがに数が多いな……………。」

 上空に待機しながら、軍艦の上に並び立つ海兵たちを見下ろす。

 砲撃を完全に無効化してしまうジャスミンより、“ためらいの橋”にいる“麦わらの一味”に狙いを定めたのかと思ったが、下の軍艦から複数の強い視線を感じる。

 5人の中将たちが、眼光(がんこう)鋭くジャスミンを(にら)み付けていた。

「なるほど……。随分(ずいぶん)警戒されてる………。」

 ジャスミンが(ひと)()ち、迎撃する為に上空30mくらいまで下降する。

 その直後、

『ニコ・ロビンを奪還(だっかん)せよ!!!』

「「「「「おおぉおおぉおおおお!!!!!」」」」」

 号令と共に、一斉に(とき)の声が響く。

 軍艦から次々と将校(しょうこう)が飛び降り、それぞれ月歩(ゲッポウ)で“ためらいの橋”へと向かって行った。

 そして、

「死ねェ!海賊!!!」

 月歩(ゲッポウ)(ソル)駆使(くし)し、ジャスミンのところまで一気に駆け上がった中将たちがそれぞれ剣を(たずさ)えて一斉にジャスミンに襲い掛かる。

 ヒュッ……!

 ガキィン!!!

 ジャスミンが空中で身を()()らせた瞬間、左から斬りかかった頭の長い男(ストロベリー中将)と右側から斬りかかった側頭部を刈り上げた男(モモンガ中将)の剣が交差する。

「ちっ………!」

「むぅ……………!」

 2人が更に追撃するより速く。

「はっ!!」

 ガッ!

 ドッ!

「!?」

「がっ……!」

 ()()った反動を利用し蹴り上げた両足で、ジャスミンが2人の側頭部を蹴り付けた。

 ドボボォオ………ン!!

「!ヤバッ………!」

 軍艦に落とすつもりだったが誤って海へと落としてしまい、ジャスミンが焦る。万が一、悪魔の実の能力者だったら死活問題である。

「貴様、よくも……………!」

 しかし、安否を確認するより先に長い房の付いた兜の男(オニグモ中将)葉巻を咥えた男(ヤマカジ中将)と一緒に突っ込んでくる。

「おっと……………!」

 剣士相手に戦ったことなど無いので間合(まあ)いを詰め辛い上に、月歩(ゲッポウ)でホバリングしつつ、(ソル)の速度で連携を取られると後手(ごて)に回らざるを得ない。

 シャシャシャシャシャシャシャシャッ!

「わったっとっはっなっちょっ……………!!」

 長い房の付いた兜の男(オニグモ中将)の髪の毛がまるで腕のようになり、6つに分かれてそれぞれが1本ずつ剣を握っている。それに更に両腕の剣がプラスされる為、高速で襲い掛かる計8本の剣を(かわ)さなければならないのだ。

 おまけに、(かわ)した先から他の2人が連携して追撃してくるのである。

 はっきり言って剣士とほとんど戦ったことの無いジャスミンが、体術で反撃するのは難しい。

「………っ!だったら…………………!!!」

 ギュン!

 一旦後方に飛んで距離を取り、両手の中指と人差し指を立てて額に当てる。

「逃がすか!!」

 身体傷だらけの男(ストロベリー中将)が更に距離を詰めようとした瞬間━━━、

太陽拳(たいようけん)!!!」

 カッ!!!!!

「ぐぉ……………!!」

「うぐっ………!!」

「目がぁっ…………!!」

 ジャスミンの叫びと共に、ジャスミン自身から激しい閃光(せんこう)が放たれた。

 強烈な光は網膜を焼き、視神経を刺激して激しい痛みを与える。

 予測していなかった攻撃方法に、3人の中将がわずかに(ひる)み、思わず動きが止まった。

 相手も百戦錬磨(ひゃくせんれんま)の中将たちである。時間にすればほんの一瞬の(すき)だったが、ジャスミンにとっては、充分だった。

「せい!」

 ドゴォッ!

 ドガァッン!

 ドゴォンッ!

「ぐっあ!!」

「がっ………!!」

「!?ゔ………!」

 一気に距離を詰め、3人(まと)めて軍艦目がけて蹴り飛ばす。

 ドッガアァ………………ン!!!

「良し。後はルフィくんを回収して脱出船に…………。」

 狙い通り軍艦に落ちたのを確認し、ルフィたちの所に向かおうとした瞬間だった。

 ドッゴォオオオォオンン!!!

 突然、脱出用に奪った“護送船”から轟音(ごうおん)が響く。

「!しまった…!!船を………!!」

 見れば、船体に穴を開けられたらしい“護送船”がゆっくりと傾き、沈んでいくところだった。

 ジャスミンがそうしたように、船自体を狙って強制的に足止めをする気らしい。

「っこうなったら、海軍全員倒して“ロケットマン”の所に戻るしか無いか……!」

 その間にも、海兵たちの猛攻は止まらない。

 既にルッチとの戦いでを死力(しりょく)を尽くし、倒れ込んでいるルフィにも、容赦無く海兵が襲い掛かる。今のところ、ロビンが自身の能力を駆使(くし)してフォローし、何とか(しの)いでいるようだが、このままではロビンの身も危うい。

 ギュン!!

 取り敢えず、ルフィを保護した後でナミと合流する為に、第一支柱へと向かう。

 

「海へ飛べ――――――!!!!海へ――――!!!」

 ジャスミンがルフィの(もと)に着くより早く、ウソップ(いつの間にか仮面を取っていたらしい)の叫びが木霊(こだま)した。

「ウソップくん……?一体、何を…。」

 思わず空中で止まり、海へと視線を落とした時だった。

「―――――そうか!()()()()()()()()…………!!」

 ジャスミンが()()に気付いたのとほぼ同時に、他の“麦わら一味”も気付き、次々海へと飛び込んでいく。

 ルフィも、ロビンの能力でいち早く離脱したらしい。

「だったら、フォローに回った方が良いか。」

 スタン!

 そのまま、ジャスミンは“ためらいの橋”へと降り立つ。

「メリー号に!!!乗り込め―――――!!!!」

 ドカッ!

 バキィッ!

 ドスッ!!!

 ドサドサドサッ!!

 ウソップの叫びを背中に、追撃しようとする海兵たちを次々と沈めていく。

 残る海兵はおよそ100名弱。しかし、周囲に巻き込む人間がいないのなら、スピードを抑える必要は無い。トップスピードを維持させることが出来る。

「悪いけど、ここは通さないから。文句がある人は自力で頑張って。……手加減はしてあげるからさ。」

 ニッ、と浮かべられた不敵な笑みに海兵たちの間に動揺が走った。

「ひ、(ひる)むな!!かかれ!!」

「「「おおぉおおおおお!!!」」」

 半ば以上自棄(やけ)になっている海兵たちが突っ込んで来ようとするが、まぁ通用する訳が無かった。

「はあああああああっ!!!」

 ドスッ!

 ドッ!

 ゴッ!

 ベキッ!

 ドカッ!

 ドサササササ……!!!

 手刀と鳩尾(みぞおち)への一撃で“ためらいの橋”に降りていた海兵たちを全て気絶させるまで、およそ30秒。

 その間に、“麦わら一味”は航海士であるナミを中心に、既に出航の準備を整えていた。

「ジャスミン!あんたも早く!!」

「先に行ってて!!パウリーさんたちと一緒に追いかけるから!!!」

 ドギュン!

 ナミに叫び返すや否や、舞空術で再びエニエス・ロビー本島へと向かったジャスミンを見送り、ナミがクルーたちに指示を出す。

「ガレーラとフランキー一家のことはジャスミンに任せるわ!!今のうちにとっとと逃げるわよ!!!」

「「「「「「「おう!!!」」」」」」」

 

 エニエス・ロビー本島に着くと、パウリーたちが正門前で海兵たちを縛り上げ、“パッフィングトム”を出立させるべく蒸気を溜めているところだった。

スタッ!

「何だ。様子を見に来るまでも無かったみたいですね。」

「!ポニーテールか!!」

陣頭指揮を()っていたパウリーとザンバイの前に降り立った。

「ニコ・ロビンさんとフランキーさんは、ルフィくんたちと無事に出航しました。後はあなたたちだけです。」

「よっしゃあ!!アニキが無事に脱出出来たんなら、おれたちもさっさとズラかろうぜ!!」

 ジャスミンの言葉に、ザンバイが歓声を上げる。

「よし…!こっちもいつでも出発出来る。海軍本部から応援が来る前に行くぞ!!」

「いえ。私はちょっと会っておきたい人がいるので、先に行っていてもらえますか?すぐに追い付くので……。」

 パウリーの(うなが)しに返す。

「あ?会っておきたい人だ?」

「こんな時に、一体誰と……?」

「この騒動の中、高みの見物をしていた“誰かさん”にですよ。」

 パウリーとザンバイの疑問に、舞空術で浮き上がりながらはぐらかした。

 

「5人の中将及び、“ためらいの橋”に降りた精鋭200名が全て戦闘不能に!!!」

 ポッポ――――――――――!!!

「海列車が!奴らが逃げます!!」

「“麦わら一味”の乗った船も、もうあそこまで!!」

「至急、本部に応援を…………!!!」

「待て。」

 想像だにしていなかった事態に狼狽(うろた)える海兵たちに、後ろから制止をかける者がいた。

「あ、あなたは………!?た、大将・青雉(あおキジ)!!?」

「い……、いらしていたとは!!」

 海兵を制止したのは、海軍本部の最高戦力・3大将の1人、“青雉(あおキジ)”クザン。麦わら一味とはウォーターセブンに至る前の島、ロングリングロングランドで接触済みであり、そのうちの1人、ニコ・ロビンと浅からぬ縁があった。

「…もう良い。」

 静かに告げる青雉(クザン)に、海兵たちの間に動揺が走る。

「………この艦隊と、倒された海兵たちを見れば、最早(もはや)一目瞭然(いちもくりょうぜん)……。―――――この一件は……、我々の完敗だ。」

 大将からもたらされた敗北宣言に、その場にいた海兵たちが悄然(しょうぜん)項垂(うなだ)れる。

 その時だった。

「それを聞いて安心しました。これ以上無駄な争いをするのは、こっちとしても本意では無いので。」

「な!?」

「お、お前は?!」

 突如(とつじょ)と頭上からかかった涼し気な声に、その場にい合わせた海兵たちが一斉に視線を向けた。

「“麦わら一味”、じゃねェようだな……。お嬢ちゃんの顔は見たことがねェ。あんた、何者だい?」

 青雉(クザン)のその能力を表すかのような、()()えとした視線を真っ向から受けつつも、声の持ち主‐ジャスミンは全く動じること無く、笑みを浮かべていた。

「初めまして、大将“青雉(あおキジ)”。“お願い”があるんです。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




疑われている時に、余計に怪しい行動を取ってそれに拍車をかける主人公……。

追記
太陽拳…悟空たちの仲間、三つ目の武道家・天津飯の技。頭部から強烈な光と変えた気を放つことで、相手の目をくらませる。サングラスなどで防げるが、裸眼だと眩しいを通り越して痛いような描写多数。“それほど難しい技じゃない”らしく、意外と使われているが、使う人間によってポーズが多少異なる。
ジャスミンはクリリンを通じて教えてもらった為、ポーズはほぼクリリンと一緒。ただ、目は開けている設定。

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