摩訶不思議アドベンチャーな世界に転生したかと思ったら一繋ぎの世界にトリップした件について   作:ミカヅキ

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明けましておめでとうございます!
お待たせしました!第30話更新です。
いつの間にか、お気に入り登録が800人目前に…。
こんな亀更新の駄文にありがとうございます!
感想もみなさん、ありがとうございます!
今年もがんばって更新したいと思います。
目指せ、年内の完結!!←年が明けたばっかですけど…(汗)

さて、今回も某ナマズヒゲさんと紫パンダさんをディスるシーンが多めなので、ファンの方はご注意ください。
※1月10日、加筆修正しました。……チョッパーの存在を途中からすっかり忘れておりまして……。


第30話 ジャブラ撃破!ロビンの奪還と反撃へのカウントダウン

 ザッ……!

 これまで、ほとんど秒殺で相手を倒していたジャスミンが、構えらしい構えを彼らの前で見せるのは初めてだった。

「“本物の(おおかみ)の武”だとぉ……?!」

 ジャスミンの挑発(ちょうはつ)を受け、ジャブラが(うな)るような声を上げる。

「ああ。来い、下衆(ゲス)野郎。薄汚(うすぎたな)真似(まね)しかできない“負け犬”が、“(おおかみ)”を語るな。」

(怖ぇ……!)

 何の罪も無いそげキング(ウソップ)を恐怖に突き落としつつ、ジャスミンの挑発(ちょうはつ)は続く。

「なら見せてやる!!“鉄塊(テッカイ)拳法”!!“(おおかみ)(ハジキ)”!!!」

 ダッ…!

 再度ジャスミンが吐き捨てた挑発(ちょうはつ)に、焦りもあり冷静な判断を見失ったジャブラが両手の甲を胸の前に構え、ジャスミンに向かって飛び出す。

 ガッ!!!

 ジャブラの両手を、ジャスミンが左腕で受け止めた。

「クソがぁっ!!!」

「その程度?」

「っ……!!!“嵐脚(ランキャク)孤狼(ころう)”!!!」

 ビュッ!!!

 ガシィッ!

 間髪入れずに放たれた“嵐脚(ランキャク)”を、今度は右手で受け止める。

「………(おおかみ)(おとし)めるのは許さない、と何度言わせる?」

 ギリ……!

「ぐあぁ!!」

 (つか)んだジャブラの左足に力を込めながら、低い声で再度忠告する。

「す、すげぇ……!!」

 見ているしか無いそげキング(ウソップ)が、チョッパーを抱えて安全(けん)に避難しつつ、ジャブラを圧倒するジャスミンに感嘆した。

「チ、ックショウ……!!チクショウ、チクショウ、チクショウ……!!クソがぁ―――――――――――っ!!!!」

「!」

「な、何だ…………!!!?」

 ジャブラの気が一気に(ふく)れ上がり、ジャスミンが咄嗟(とっさ)に後ろへ下がる。腐っても世界政府直下の暗殺機関。火事場のなんとやら、といったところか。追い詰められ、潜在能力がわずかに開花したらしい。

「“鉄塊(テッカイ)拳法・狼芭(ろうば)の構え”!!!」

 ジャブラが人獣(じんじゅう)型のまま、獣の構えを取る。

 ビュン!!

 ビュン!!

 ビュン!!

 その構えのまま、ジャスミンの周囲を駆け回った。

「“狼狩(ろうかる)”!!!“エリア・ネットワーク”!!!」

 ヒュッ!

 駆け回りながら()り出される爪を受けようとするが、(うなじ)産毛(うぶげ)が逆立つような感覚を覚え、直感に従い上に跳ぶ。

「…っと!」

 ギギイィン!!!

 一瞬前までジャスミンが立っていた場所が、芝生(しばふ)ごと床が(えぐ)れ、爪の形に引き裂かれた。

「斬撃か…!」

「“鉄塊(テッカイ)拳法・重歩狼(ドン・ポー・ロウ)”!!!」

 ドッ…!!!

 ジャスミンが着地するより早く、ジャブラの(こぶし)が襲う。

「くっ……!」

 ボコォ……ン!!!

 攻撃は受け止めたものの、空中では踏ん張りが効かずに壁に吹っ飛ばされ、辺りに破片が飛び散る。

「ジャ、ジャスミン!おい、大丈夫か?!」

「ぎゃははは!!!どうだ!!おれの“鉄塊(テッカイ)拳法”は!?全身に“鉄塊(テッカイ)”をかけたまま動けるのは“六式(ろくしき)使い”の中でもおれ1人!!!」

 そげキング(ウソップ)の叫びが響く中、ジャブラが(たかぶ)った感情のままに高笑いする。

 ガラララ…

「全く…。大した決定打も与えていないのにベラベラと……。」

 瓦礫(がれき)の中からジャスミンが立ち上がる。

「っ…!?テメェ、まだ生きて……!!!!」

「ジャスミン!!!!」

 多少パーカーやジーンズが汚れているものの、外傷(がいしょう)はほとんど無く、せいぜい瓦礫(がれき)で頬を()()いた程度である。

「時間が無いんだ。悪いけどとっとと終わらせてもらう。見せてあげるよ。“狼牙真拳(ろうがしんけん)”、本物の(おおかみ)の武をね!!!」

 再度ジャスミンが構えた、次の瞬間だった。

 ビュッ!!!

「!??」

「はあぁぁぁぁっ!!!」

 ドドドドドドドドッ!!!!!

「へぶっ・・・・・・・・!!!!!!」

 一瞬で距離を詰めたジャスミンの、激しい(こぶし)膝蹴(ひざげ)りの連打がジャブラを襲う。

 “狼牙真拳(ろうがしんけん)”、ジャスミンの父・ヤムチャの技“狼牙風々拳(ろうがふうふうけん)”を進化させたものだ。

 本来の“狼牙風々拳(ろうがふうふうけん)”は1秒間におよそ5発の打撃を放つものであり、それを改良した“新狼牙風々拳(しんろうがふうふうけん)”も1秒間におよそ10発。

 ジャスミンの“狼牙真拳(ろうがしんけん)”は、(こぶし)だけでなく蹴りも取り入れることで、1秒間におよそ30発の打撃を放つことを可能としている。

 あまりの速さに、もはや残像(ざんぞう)でしかその動きを(とら)えることが出来ない。

「何だ、一体・・・・!」

 (はた)で見ているそげキング(ウソップ)には、ジャブラが(またた)く間にボコボコになっているようにしか見えなかった。

「はぁっ!!!」

 ドゴオォン!!!

「げふっ…。」

 とどめに放たれた蹴りが、ジャブラを反対側の壁まで吹っ飛ばし、壁にめり込ませる。

 わずか数秒間の攻撃にも関わらず、壁に叩き付けられめり込んだジャブラの姿はボロボロと呼ぶに相応(ふさわ)しい姿となってしまった。

 ピクピクと微かに痙攣(けいれん)しているところを見ると、意識は無いが、生きてはいるようだ。………(かろ)うじて、と言った方が良いようだが。

(おおかみ)よりも“負け犬”の方がお似合いだね。」

(……あそこまでいくと、いっそ相手が気の毒になるのはおれだけなんだろうか…。)

 冷めた声で吐き捨てたジャスミンを見ながら、そげキング(ウソップ)が内心で力無く突っ込む。

 

「さて…。先を急ぎましょうか。」

 そげキング(ウソップ)たちのところまで戻ってきたジャスミンが、先程拾い損ねたジャブラの鍵を拾い上げる。

「お、おお…!ってゾロはどうするんだ?」

 頷いた後でハッと気付いたそげキング(ウソップ)が尋ねる。

「いや、何と言うかロロノアさんの場合は下手に横槍(よこやり)を入れたら怒られそうなので…。」

「た、確かに…!」

 神妙(しんみょう)な顔で呟くジャスミンに、ゾロの性格を知り尽くしているそげキング(ウソップ)が同意する。

「取り敢えずニコ・ロビンさんのところに急ぎましょう。この2本で開けばそれに越したことは無いですけど、最悪開かなくてもそげキング(ウソップ)さんならヘアピンで開けられます。」

「そ、そうだな…。まずはロビンくんの救出が第一だ。」

「そうと決まれば…。ロロノアさ―――――――――ん!!先に行ってます!後から追いかけて来てください!!!」

「すまんがゾロくん!!!そのキリンの相手は頼んだ!!!!」

「分かったから早く行け!!!!」

 ジャスミンとそげキング(ウソップ)の呼びかけに、視線はカクから外さないものの、ゾロが答える。

「行きましょう、そげキング(ウソップ)さん!」

「ああ!」

 日本庭園を模した(フロア)を飛び出す。

 タンタンタンタンタンッ……!

「お、おい!こっちで良いのか!?」

 下に降りるのかと思いきや、迷わずに階段を駆け上がり始めたジャスミンに、手を引かれてつられて駆け上がるそげキング(ウソップ)(あわ)てて声をかける。

 右手をジャスミンの左手に引かれているが、左手で意識の無いチョッパーを抱え、自身の巨大パチンコを持っている為、うっかりするとどちらかを落としそうになる。

「“正義の門”への行き方知ってるんですか?!」

「そりゃ、知らねェけど………!」

「私も知りません!でも、下に降りて悠長(ゆうちょう)に道を探してる時間は無いんです!海兵たちの相手をしてる時間も惜しい!それよりも、屋上からニコ・ロビンさんたちを探した方が早い!そげキング(ウソップ)さん1人くらいなら背負って飛べますから!」

「な、なるほど…!」

 振り返らないまま答えるジャスミンの言い分に、そげキング(ウソップ)も納得する。

 確かに、下にはまだ海兵たちが()いて捨てる程いるだろう。それをいちいち相手にしながら道を探している時間は、(いくらジャスミンが強かろうが)無い。

 途中、カクの一撃のせいで階段がズレているところがあったが、走りを止めること無く飛び越えた。

 タンタンタンタンタンタンタンタンタンッ…!!!

 バンッ!!

「着いた!」

 ゴオオオォオオオォオ……!

 屋上への扉を開けた瞬間、強い風が吹き付ける。

 バサバサバサッ…!

 髪や服が、風を(はら)んではためいた。

「!“正義の門”が、完全に開いてる…!」

「おい!ジャスミン、あれを見ろ!!」

「え?!」

「ロビンだ!!!」

 ここからでは(あり)程度の大きさにしか見えないが、確かにロビンと下衆長官(スパンダム)が“正義の門”を(くぐ)ろうとしているところだった。

「・・・!まずい、もう門を(くぐ)る!!」

「行かせるかぁ……!!!」

 言うや否や、そげキング(ウソップ)が抱えていたチョッパーをジャスミンに預け、自身の得物(えもの)である巨大パチンコを構える。

 ギリリリ…!

「いっけぇえ!!!」

 ビュッ!!!

 ドゥン!!

「やった!」

 そげキング(ウソップ)の放った弾が、確かに下衆長官(スパンダム)に当たり、吹っ飛ばしたのが見えた。

「おりゃ!」

 ビュッ!!!

 ボボボボォン!!!

 続けて放たれた弾も、途中で分裂してロビンの近くに立つ海兵たちに続けざまに命中する。

「この距離で、しかもパチンコでさすが・・・!」

 ジャスミンが感嘆しつつ、そげキング(ウソップ)を振り返った時だった。

「……何でポーズ付けてるんですか?」

狙撃(そげき)~の島~で~……♪」

「いや、何で歌うの?!」

 巨大パチンコを肩に担ぎ、左手で空を指してポーズを付け、何故か歌うそげキング(ウソップ)がいた。

 

 閑話休題(かんわきゅうだい)

 

「って、こんなことしてる場合じゃない…!そげキング(ウソップ)さん、乗ってください!!ニコ・ロビンさんのところまで飛びます!」

 再度チョッパーをそげキング(ウソップ)に預け、彼らに背中を向ける形でしゃがむ。

「お、おう!」

 自分に比べてかなり華奢(きゃしゃ)なジャスミンの背中に、恐る恐るそげキング(ウソップ)()ぶさり、落ちないようにチョッパーを胸に抱え込んだ。

「お、重くないかね!?」

「それなりに!」

「どっちだそれ、はぁあ!!!?」

 そげキング(ウソップ)がツッコミを入れ終わる前にジャスミンが飛び上がる。

 ギュン!!

「うぼぼあぼぼぼぼ……!!!!」

我慢(がまん)してください!!!」

 そのままロビンを目指して飛ぶジャスミンの背中で、そげキング(ウソップ)が風圧に耐え切れないのか悲惨(ひさん)な声を上げているが、生憎(あいにく)それに構っている暇は無かった。

 が、チョッパーを落とさないようにしっかり抱えているあたりはさすがである。

 ズザザッ……!!

 ものの10秒足らずでロビンがいる“ためらいの橋”に到着する。…着地の勢いが強過ぎて橋の石畳(いしだたみ)若干(じゃっかん)焦げてしまったが。ジャスミンのスニーカーも底が焦げてしまったのか、ゴムが溶けたような臭いが微かに風に流れる。

「な、何だお前たちは…!!」

「一体どこから来た…?!」

 海兵たちには、速過ぎてジャスミンたちが急に現れたように見えたらしい。動揺のあまり、銃を構えることすら忘れている様子だった。

「ロビンくん!!!」

 そげキング(ウソップ)がチョッパーを抱えたままジャスミンの背中から飛び降り、ロビンに駆け寄る。

長鼻(ながはな)くん!!!船医さん!!…それに、さっき裁判所でみんなと一緒だった…。」

「私のことは気にしないでください。単なるルフィくんたちの友達です。」

「友達……?」

 ジャスミンのことを知らないロビンが疑問の声を上げるが、今は細かい説明をしている暇は無い。

そげキング(ウソップ)さん。こっちは私が引き受けますから、まずはニコ・ロビンさんの手錠(てじょう)を外してください。」

(まか)せたまえ!」

 手に入れた鍵2本と、念の為に新しいヘアピンを1本抜いて振り向かないままそげキング(ウソップ)に手渡す。

「さて…。あなたたちの相手は私がします。……特にそこの下衆(ゲス)長官は容赦しないのでそのつもりで。」

 ザッ………!

 構えて告げるジャスミンの物騒(ぶっそう)な笑みに、下衆長官(スパンダム)は「ひいいぃい……!」と声にならない悲鳴を上げて腰を抜かしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




うまくいけば、次かその次でエニエス・ロビー編は終わりです!ドラゴンボール集めもいよいよクライマックス!!
気長に更新をお待ちください!

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