摩訶不思議アドベンチャーな世界に転生したかと思ったら一繋ぎの世界にトリップした件について   作:ミカヅキ

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お待たせしました!第27話更新です。お待たせした割にあんまり進んでないです、すいません…。年内にもう1話更新を考えています!
いつの間にかお気に入り登録が600人を越えました!ありがとうございます!!


第27話 新たなCP9登場!!!迫る影の脅威

「まずは1人目。」

 静かに、しかし一瞬で男‐フクロウを沈めたジャスミンが呟く。

「い、一撃……!?ウソだろ、オイ。あいつもCP9の1人、決して弱くはねェ筈だ…。しかも、動きが全く見えねェ…!」

「確かにびっくりしたけど、ジャスミンだもの。」

「スッゲェな~~~!ジャスミン!!」

 その様子を見ていたフランキーが己の目を疑い、ナミとチョッパーに至っては一周回って“ジャスミンなら何でもあり”と受け取っていた。

 だが、ゾロとサンジはジャスミンの実力に警戒してか、探るような目を向けている。

 ジャスミンももちろんそれに気が付いてはいたが、突然現れた自分を警戒するのは当然、と甘んじて受け入れていた。

 (もっと)も、ルフィだけは一瞬面白そうな顔をした後は彼女に注意を払うことなく、既に意識をこれからの戦いに移していたが。

「おっしゃあ!行くぞお前ら!!!」

「おい、待て!!!!」

 そう言うなり走り出そうとしたルフィを、寸でのところでゾロが捕まえる。

「ほがががが!!!」

 …掴んだのが顔だったせいで、ルフィの顔があり得ない程伸びていたが。

「ふんごがががが!!!放せくらァ!!!」

「止まれ!!もうちょっとだけだ!!これからの各自の動きを確認するまで待て!!!」

(人間の顔ってあんなに伸びるものだっけ………?)

 ああ、ゴムだからか…。

 ジャスミンが自問自答しつつ、ルフィたちの側に歩み寄る。

「で。これからどう動くんですか?」

 本来、指揮を()るべき船長(ルフィ)が独走しようとして止められている真っ最中の為(まぁ、こういう指揮は苦手そうだが)、とりあえず一味の中の年長者であるサンジに問いかける(ゾロはルフィを止めるのに忙しく、フランキーはまだ一味に加入していないので)。

「その前に確認したいんだが、“ルッチ”ってのはあの(ハト)男の事かい?」

「そうです。」

 一先(ひとま)ず、この場では味方であるジャスミンに対する警戒より、仲間(ロビン)の救出を優先させたらしいサンジの問いに頷く。

「……そいつとロビンちゃんが一緒にいるんだったら、ルフィだけでも先に行かせよう。ルフィ!お前はとにかく(ハト)男をブッ飛ばせ!!ルフィを除いておれたちは7人。――――ここに後4人いるらしい“CP9”からロビンちゃんの手錠の鍵、残る4本を手に入れ、ルフィを追う!!!」

「ロビンくんが門を(くぐ)れば全て終わる。何もかも、時間との勝負だな。」

 サンジの言葉にそげキング(ウソップ)が続き、

「では、ルフィくん以外はまずは鍵を揃えることが第一、ということで。」

 ジャスミンが頷く。

「ふぎぎぎ!!!」

()けは時間のロス。全員死んでも勝て!!!」

 進むことしか考えていない船長(ルフィ)に代わり、ゾロが気合を入れた。

「「「「「「おう!!!」」」」」」

 そして、それぞればらけ、司法の塔を駆け上がる。

 ただ、ジャスミンだけはまだその場に残っていた。

「?あんたは行からいろかい?」

「もちろん、行きます。でも、ココロさんたちはどうするんですか?」

 どう見ても非戦闘員の老人と子ども、ペットを残して行くには不安が残る。

 ジャスミンの性格上、彼女たちの安全を確保していないうちに動くのは不可能なのだ。

「んがががが!!心配いららいら(いらないさ)!あたしらは一応()()ってことになってるかられえ!!伊達(だて)に年はとっちゃいらいさ。いざとなったら海兵を丸め込むなんて簡単らさね!!!だから気にせず暴れておいれ!!!!」

「おねーちゃん、頑張って!!」

「ニャッニャ――――!」

「…わかりました。気を付けて。」

 わずかに逡巡(しゅんじゅん)したジャスミンだったが、このままここにいて海兵たちに既に敵と見られているジャスミンがココロたちと一緒にいるのを目撃されるよりも離れた方が安全かもしれない。

 そう思い直し、ジャスミンもまた司法の塔内へと走った。

 

 ━司法の塔・4階「狼の間」━

 タタタタタタッ!

 ザッ………!!!

 ジャスミンがそこに辿(たど)り着いた、ちょうどその時だった。

 ドカァン!!!

 ドサ…

 CP9の1人の、ナマズのようなヒゲを生やした男‐ジャブラによってそげキング(ウソップ)が殴り飛ばされる。

「ウソ、そげキングさん!!」

「あぁ?」

 ジャスミンの叫びに(ジャブラ)が振り返った。

「お前は…。そうか、お前がルッチの野郎が言ってた女か。」

「そげキングさん!大丈夫ですか?」

 (ジャブラ)には目もくれず、そげキング(ウソップ)に走り寄って抱き起す。

「ゲホッ……!……ね…、寝起きの一発の威力か、これが…!!」

 (むせ)ながらも身を起こすそげキング(ウソップ)を支える。

「はは…!ぎゃははは!!お前らが来たか。政府の(はた)を撃ち抜いた野郎と、ルッチの野郎が珍しく忠告してきやがった女…。」

 グビッ…

 そう言って酒瓶を(あお)(ジャブラ)を、ジャスミンが振り返る。

「忠告?」

「ああ。あの野郎、珍しくおれたち全員に忠告してきやがった。もし、黒髪のポニーテールの女と対峙(たいじ)した時にゃ、最初から全力で殺せってな。」

「全員に忠告、ね……。その割に、あの口がチャックの男は人のことを随分(ずいぶん)見縊(みくび)ってくれてたみたいだけど?」

 挑発するようにジャスミンが(ジャブラ)に言い放つ。

「口がチャックの男ってのは、もしかしなくてもフクロウか。………そういやあ、あの野郎は新しい噂を仕入れるだのなんだの言っていなかったかもしれねェなァ。」

「へぇ…。じゃあ、あなたは違うって?」

 挑発しながら立ち上がり、そげキング(ウソップ)を後ろに(かば)う。

「ああ。お望み通り最初から全力で相手してやるよ。安心しろ……。」

 そう言いながらネクタイを外す(ジャブラ)の姿が、徐々に4~5倍にまで膨らんでいく。

 腕や顔が毛皮で覆われ、爪が数倍に伸び、口元からは鋭い牙が覗いた。

「え!!?」

「やっぱり能力者…。それも肉食の“動物(ゾオン)系”。」

「見た目と違って…、いたぶる趣味はねェからよ。」

「あ…、“悪魔の実”!!?」

「“イヌイヌの実”モデル“(ウルフ)”!!!」

 そげキング(ウソップ)の悲鳴に(ジャブラ)が被せる。

喉笛(のどぶえ)引き()いて…、それで終わりよ。死ぬのにわざわざ苦しむことァねェ……。そうだろ?」

「……!!(おおかみ)…。」

 そげキング(ウソップ)が後ろで(かす)かに後退(あとずさ)るのを感じる。

「く……、くそォ…!!!」

 ばっ!!

「ウ、じゃないそげキング(ウソップ)さん?」

「何だ…、()る気か?強そうには見えねェが…。」

「何だろうがやるんだうるせェ!!!…おれはロビンを助けに来たんだ!!!」

そげキング(ウソップ)さん…。」

 その“覚悟”に、ジャスミンの口元に笑みが浮かぶ。

 なら、自分は今回はそげキング(ウソップ)のフォローに(てっ)することにしようか、とそう考えた時だった。

 パラ…パラ…

 不意に上から何かが落ちてくる。

「ん?」

「まさか…!」

 (ジャブラ)とジャスミンが上を(あお)ぎ、そげキング(ウソップ)もそれに(なら)う。

 バキバキ!

 ピキ、ピキキ…!!

 見れば、天井一面に大きな亀裂(きれつ)がいくつも走っている。

「うわ!!天井が!!」

「……手抜き工事?」

「いや、(ちげ)ェだろ!!!!」

 思わず呟いたジャスミンの微妙にズレた発言に、そげキング(ウソップ)が突っ込む。

 そんなことをやっている間に、次第に落ちてくる破片も大きくなっていった。

「…逃げた方が良さそうだね。」

「崩れる!!!」

 そげキング(ウソップ)が叫ぶと同時に、ジャスミンがそげキング(ウソップ)の腕を()(つか)んで大きく飛び退()く。

 その直後だった。

 ボコォン!!!

 天井の決壊と共に、

「うわあ!!」

 ゾロと

「うおっ!!いかん!!」

「キリ――――――――――ン!!?」

 ……何故かキリンが落ちてきた。

「“人獣(じんじゅう)型”で止めるつもりが…、キリンになってしもうた!!」

「キリンが喋りながら落ちてきた―――――――――っ!!!」

 ……そげキング(ウソップ)のツッコミが冴えわたる。

「ぎゃ~~~~っはははは!!!カク!!!お前のその能力サイコーだ!!!」

(おおかみ)!!?何だ…、ここは動物園かァ――――――!!?」

「……何てカオス。」

 落下しながら叫ぶゾロの声を聞きつつ、ジャスミンが呟いた。

 

 ━その頃、偉大なる航路(グランドライン)前半、魔の三角地帯(フロリアン・トライアングル)

「遅い!!!!」

 部屋中に、妙に甲高(かんだか)(かす)れた男の声が響く。

「ドラゴンボールはもう6つ集まってるじゃねェか!!!そのジャスミンとかい言うガキは、一体いつここに来やがるんだ!!!!」

 ガァンッ!!!

「ひいぃっ…!!」

 そう言って投げ付けられた宝箱が、目の前の床で跳ね上がり、音が部屋中に響いた。

 それを()当たりにし、引き()った悲鳴を上げるのは、あの日ジャスミンからドラゴンボールを奪おうとしたマフィアである。

 どうやら、ジャスミンが6つのドラゴンボールを集めたことは既に彼らのドラゴンレーダーを通して明らかになっているらしい。

「な、7つ目のドラゴンボールはここにあります…!!奴は必ずここに現れる筈……!!!どうか、もうしばらくお待ちを!!!」

 平伏(へいふく)しながら必死で声の主を(なだ)める男は、あの日と同じスーツ姿だが、以前に比べて身体からは肉が落ち、顔もやつれて目の下にはくっきりと(くま)が浮かんでいる。

「ちっ………!!!まァ、そうだな。最後のドラゴンボールはここだ。もうすぐおれ様の願いが叶うんだ。焦ることもねェか……。」

 一先(ひとま)ず自身を納得させたらしい声の主‐巨人かとも見紛う巨大な人影が目線をやった先には、1つの宝箱があった。

 現在は(ふた)が閉められ、中を見ることは出来ないが、その中には4つの星が光るドラゴンボール‐四星球(スーシンチュウ)が納められていた。

 

 ジャスミン自身も知らぬ間に、新たな脅威(きょうい)(せま)っていた――――――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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