摩訶不思議アドベンチャーな世界に転生したかと思ったら一繋ぎの世界にトリップした件について   作:ミカヅキ

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お待たせしました!第23話更新です。なかなか纏まった時間が取れず…。ようやくエニエス・ロビー編突入です。
これ、年内にエニエス・ロビー編終わるんだろうか…。


第23話 司法の島での戦い

「おめェらこんなトコに何しに来たかは知らねェが、潰れる前に帰った方がええぞ。なァ、オイモ。」

「ああ、カーシー。オイも同感。骨の(ずい)までペチャンコにしちまうぞ!!!」

 目の前の2人の巨人‐どうやらオイモとカーシーというらしい‐が、体中に響くような声で言い放つ。

 せっかく正門を破壊したのに、結果的にすぐに止められてしまった。

 ギリギリのところで正門を通過出来たのは不幸中の幸いだったが、“本島前門”まではまだ距離がある。

「仕方無い。ここは私が引き受けるからみんなは早く本島に…。」

 ジャスミンが降りようとした時だった。

「いや、お前はコイツらと一緒に麦わらを追いかけろ。」

 パウリーがナミたちを指しながらジャスミンを制止する。

 ガレーラの職長たちと、ザンバイやモズたち以外のフランキー一家もそれに応じるように立ち上がった。

「いや、でも…。」

「作戦を思い出せ!!」

「巨人たちは任せろ!!」

「あんたらはアニキを頼む!!」

 言い置いて次々と車外に飛び出していく。

「ジャスミン、あたしたちも行きましょう!」

「この場は奴らに任せろ!!」

「……分かった!」

 車外に飛び出しながら促すナミとゾロの言葉に頷き、その後に続く。

「ここはお願いします!!」

「おう!任せろ!!」

 ナミたちと一緒に“本島前門”に向かって真っ直ぐ走り抜ける。

 前門が見えるにつれ、その異常が明らかとなった。

「?警備兵たちが全員やられてる…。」

「おおかた、ルフィにやられたんだろう。」

「…もうちょっと隠密行動ってものを覚えてほしいと思うのは私だけですかね?」

「安心しろ。おれら全員が思ってるよ。」

「「「いや、まったく。」」」

 ゾロの言葉に、ナミ・サンジ・チョッパーが深く頷いた。が、1人足りない。

「あれ?ウソ、じゃない“そげキング”さんは?」

「「「「あ。」」」」

 ジャスミン以外の人間が声を(そろ)える。

「仕方ねェ。戻ってる時間が惜しい。」

「そのうち顔出すだろ。」

「はぁ…。」

 サンジとゾロが判断する。確かにその通りではあるが、それで良いのだろうか?

(まぁ、確かに今優先しなきゃいけないのはこっちだけど。)

 一刻も早く本島に入らなくては。

「じゃ、やりますか。」

 ザッ…!

 “本島前門”から100m程の距離でジャスミンが足を止める。

「私の後ろに下がってください。」

 ナミたちに告げながら、腰を落として構えた。

「ジャスミン、お願いね!」

「またアレをするのか?!」

「もしかして、さっきのヤツをもう1度するのか…?」

 チョッパーがジャスミンを見詰める目がキラキラと輝くのを見て、サンジがハッとなる。

「か…め…は…め…。」

 ギュイィイイイ・・・・

 ジャスミンの両手がゆっくりと光り出した。

 高まった気の放流により、ジャスミンの髪や服が揺らぐ。

「波ァ――――――――――――――――っ!!!!!」

 ギュオォオオオオオ………!!!!!!

 カッッッ!!!!

 ドッゴォオオオォオンン……!!!!!

 “本島前門”が跡形も無く粉砕した。

「スッゲ――――――――――――!!!」

「マジかよ…。」

 チョッパーの瞳の輝きが増し、サンジの口から煙草が落ちる。

「じゃ、行きましょう。」

 

 ━エニエス・ロビー本島前門前━

「侵入者だァ――――――――――――――!!!」

「これ以上の侵入を許すな!」

「捕えろ!!!」

 ドドドドドドッ!!

 ズバッ!ザシュッ!

 バリバリバリッ!!!

 ドゴォ!!

 次々に現れる海兵たちは、サンジに蹴り飛ばされ、ゾロに斬られ、ナミの雷によって焦がされ、トナカイに戻ったチョッパーによって弾かれる。

 ドサササササ……!

 そしてジャスミンは、ゾロたちでさえ(とら)えられない速さで海兵たちを一撃で気絶させていた。

 やられた者たちでさえ、何が起こったのか気付けなかっただろう。

 辺りには、既に100人近い海兵たちが倒れている。

「ナミちゃん、凄いねその武器。」

「あんたも充分凄いわよ…。」

 ナミの完全版(パーフェクト)天候棒(クリマ・タクト)”を見てジャスミンが感嘆(かんたん)すると、ナミが疲れたように返す。

「そこまでだお前らァ!!!」

 周囲の海兵が一通り片付いた頃、新たに増援が現れた。

「我々は“法番隊(ほうばんたい)”!!!裁判長バスカビルの(めい)により、ここで貴様らを裁き討つ!!!」

「“法番隊(ほうばんたい)”?」

 100人はいるだろうか。何故か犬に(またが)った変な恰好の海兵たちが殺意満々で現れた。

「何で犬?」

「変な恰好。」

「やかましいわ!!!」

 単刀直入な女子2人の感想に1番手前にいるリーダー格の男が叫ぶ。

「このエニエス・ロビーの本島、海賊風情(ふぜい)が騒ぎ立ておって………許さん!!」

「そこ、どいてくれませんか?出来るだけ手荒な真似はしたく無い。」

 ジャスミンが1歩前に出る。

「ほざけ!!!」

「はぁ・…。」

 ジャスミンの言葉を一蹴(いっしゅう)し、飛びかかって来ようとした、その瞬間だった。

 溜息を()いたジャスミンが、彼らを(にら)み付ける。

 ブワッ!

 一瞬ジャスミンの髪がなびいた。

 ゾクッ……!

 ゾロとサンジ、そして元は野生で生きてきた経験を持つチョッパーの背筋に寒気が走る。

「キャンッ…!」

「クゥン……!」

「ワゥウ……!」

 そして鋭敏(えいびん)な感覚を持つ犬たちが一斉に(おのの)いた。

 耳を伏せ、ジャスミンから目を離さないが決して視線を合わせない。そして尻尾は足の間に(はさ)み込まれている。

「お、おい!」

「どうしたお前ら!」

「さっさと動け!」

 “法番隊(ほうばんたい)”と名乗った海兵たちが犬をけしかけようとするが、全く動かない。

 ザリッ…!

 ビクッ!

 ジャスミンが更に距離を詰めると犬たちが一斉に震えた。

退()け。」

「キャウン……!」

「アォン……!」

「キャンキャン…!」

「ま、待て!」

「止まれお前ら!」

 ジャスミンが放った“命令”により、犬たちが一斉に逃げ出す。“法番隊(ほうばんたい)”の中には慌てて犬から降りようとしてそのまま引きずられていくものもいた。

 100人近くいた兵たちは、そのほとんどが犬の逃走によって一緒に姿を消し、辛うじて犬から降りた10人程度が残るばかりとなっている。

「な、何今の…。ジャスミン、あんた何したの?」

「こっちが“上”だって教えただけだよ。動物相手は()()が楽で良いよね。」

 普段は常人程度にまで抑えている“気”を一瞬だけ解放し、実力を見せ付けたのである。

 ナミが何とも無かったのに対し、他の3人が反応したのはそれだけ感覚が優れている為だ。

「後は……。」

 ジャスミンが残った“法番隊(ほうばんたい)”に目を向けたと思った直後、その姿が()き消える。

「き、消え、が……。」

「ぐ…。」

「うぐっ……。」

 ドサササササッ!

 次の瞬間、“法番隊(ほうばんたい)”が全員倒れ、その後ろにジャスミンの姿が現れる。

「クソマリモ。お前、見えたか?」

「いや……。」

 1度ガレーラカンパニー本社でその実力を目の当たりにしているゾロはともかく、サンジの驚愕は凄まじい。

「さて……。早くルフィくんと合流しましょう。」

 ナミたちを振り返り、ジャスミンが促す。

「ったく、先に突っ走りやがって…。どこにいやがるんだ、()()()()。」

「さァ。この島も狭くはないから、探すとなると…。」

 ゾロが吐き捨て、ナミが呟いた時だった。

 ボカァ…ン!!

 島の中心近くで爆発が起きる。

「「「「「絶対あそこだ!!!」」」」」

 思わずジャスミンの声も揃う。

「それじゃ…、追いかけるか。」

 ゾロの一言にそれぞれ頷いた時だった。

「いたぞ!!」

「絶対に逃がすな!!!」

 新手の海兵たちがジャスミンたちの周囲を囲う。

「ったく、もう……。次から次へと……。」

「もう!敵多過ぎ!!」

 ジャスミンが溜息を()き、ナミが頭を抱えた時だった。

「ん?」

 不意にジャスミンが後方を振り返る。

「どうかしたのか?」

「パウリーさんたちがさっきの巨人たちを倒したみたいだ。すぐにこっちに来るよ。」

 チョッパーの言葉に答えているうちに、チョッパーの耳が人間の耳には聞こえない音を(とら)える。

「何だ?この音・・・?」

 …………………ゴォオ!

 ゴオオオオオオオ!!!

「バヒヒヒ―――――――――――ン!!!」

「キングブルが陸を走ってる……!」

 フランキー一家のキングブル‐ソドムとゴモラが(ひれ)にキャタピラを付けて滑走(かっそう)してきた。

「こっちへ乗れェ!お前ら!!!」

「バヒヒヒヒ――――――――――ン!!!」

 ソドムの背からパウリーが叫ぶ。

「ここへ来た本分(ほんぶん)を忘れるな!!お前らの暴れる場所はここじゃねェ!!!ロープを掴め!!今は前へ進むんだ!!!」

 言葉と同時にパウリーのロープが何本も投げられた。

「敵が逃げるぞ!!」

 ジャスミンもナミたちに続いてロープを掴み、ソドムの背へと登る。

「バヒヒヒ――――――ン!!」

「衛兵、離れろ!!」

「ウォーターセブンの“キングブル”だァ―――――――――っ!!!」

「うわああ―――――――――っ!!!」

「大砲を用意するんだ!」

 予想だにしなかった逃走方法に海兵たちがパニック状態に(おちい)った。

 

「バルルルルルァ―――――――――――――――!!!」

「バヒヒヒ―――――――――――――――ン!!!」

「うわあああああ!!!」

「ぎゃあああ!!」

 ソドムとゴモラが次々と海兵たちを吹っ飛ばしながら、凄まじい速さで滑走していく。

「撃ちまくれェ!!!」

「おらおらァ~~~~!!!」

 ドォン!!

 ドドォン!!

 ズドン!!!

 ゴモラの背からフランキー一家がライフルで海兵たちを狙い撃つ。

「くそ!!こいつらが本島の門を破ったのか!!」

 ドウン!

 ガン!

 ドッカァン!!!

「海賊たちを止めろ!!」

 ドウン!!

 ボッ!

 ドッカァン!!!

 海兵たちも負けじと大砲を撃つが、その全てがゾロに叩き落されるか、ジャスミンの気功波によって空中で爆発させられてしまう。

「ジャスミン!ルフィが今どの辺にいるのか分かる!?」

「裁判所の上!CP9(シーピーナイン)の…、えーとブルーノって人と戦ってるみたい!!」

「裁判所か…。ジャスミン、悪いんだけどあんた先に行ってルフィと合流してくれない?それで絶対にそっから動くなって言って!!アイツがこれ以上暴走する前に早いトコ合流しないと…!」

「なるほど…。OK!じゃ、先に行ってるね。」

「お願いね!」

 ナミの言葉に承諾し、舞空術で一足先に裁判所に向かう。

 

 ━裁判所屋上・ルフィvsブルーノ━

 ドゴォン!!!

 ガラガラガラ…ガシャアン……!

「世界がどうとか、政府が何だとか!!そんなもん勝手にやってろ。おれたちはロビンを奪い返しに来ただけだ!!!」

 ジャスミンが屋上に到着した時、ちょうどルフィがブルーノを屋上のポール目がけて叩き付けたところだった。

 スタッ!

 屋上に降り立ってルフィの(そば)に駆け寄る。

「ルフィくん!」

「ジャスミン、何か用か?」

「いや、何か用かじゃないよ…。作戦無視して1人で勝手に飛び出すの止めてくれないかな…。もうすぐナミちゃんたちが来るから、それまで絶対にここから動かないで、だって。」

 ルフィの問いに思わず脱力しながら答える。

「何言ってんだ!早ェトコロビンを助けねェと……!」

「だから!ニコ・ロビンさんを助ける為には、みんなと合流して動くのが1番なんだってば!!」

 ジャスミンがルフィを()()せようとした時だった。

 ガラララ…

 瓦礫(がれき)の中からブルーノが立ち上がる。

「ナメていた。まさか“(ソル)”のスピードについてくるとは…。」

「ナメンな!!!」

「その上、仲間が来るとはな…。」

 ブルーノが、ルフィの(かたわ)らに立つジャスミンに目を向ける。その目つきは鋭く、ガレーラカンパニー本社でのこともあり、かなり警戒しているようだった。

「ジャスミン、お前手ェ出すなよ。」

 それを受け、ルフィがブルーノと対峙したままジャスミンに告げる。

「分かってるよ。手は出さない。だけどルフィくん、もし君が殺されそうになったら割り込ませてもらうからね?」

「おう。」

「まぁ、今のルフィくんなら大丈夫だろうけど。」

 肩を(すく)めながらルフィたちから距離を取り、屋上の柵にもたれかかった。

「まずはお前か……。」

「お前ェはおれがぶっ倒す!!」

 

 ―――――(つい)CP9(シーピーナイン)との戦いが始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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