摩訶不思議アドベンチャーな世界に転生したかと思ったら一繋ぎの世界にトリップした件について   作:ミカヅキ

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もう20話なのに、まだエニエス・ロビーに到達していない、だと……?!すいません、マジで次の話では到達する予定ですんでご勘弁ください…。
という訳で、第20話更新です!!!


第20話 突き進め!同志たちと共に

「水路を出るよ!!!“ロケットマン”!!!全員覚悟決めなァ―――――!!!」

 バシュン!!!

 ココロの叫びと同時に、“ロケットマン”が水路から荒れ狂う海へと飛び出す。

「うお――――――!!!」

「飛び出た~~~~!!!」

 ルフィとチョッパーの叫びが列車内に木霊(こだま)する。

 その直後、後を追うように水路から何かが飛び出してきた。

「バヒィ~~~~~~ン!!」

「何?この鳴き声?」

 ジャスミンの声に被せるようにルフィが叫ぶ。

「何だありゃ!!?何か飛んできた~~~~!!!」

 その声に、ジャスミンも窓から身を乗り出し、後方を確認する。

「麦わらさーん!!!フランキー一家総勢50名!!お世話になりま~~~~す!!!」

「バヒヒ~~~ン!!!」

「バルルルァ~~~!!!」

「何あれ?!」

 バカでかいヤガラブルが2匹、家のように巨大なゴンドラ(もはや船だろうか?)を曳いている。

「うは―――――!!でっけ―――ヤガラブルだァ!!!」

「キングブルさ!!荒波も走る最上ランクの“ブル”ら!!」

「“連結砲”撃てー!!!」

「ッヤバイ、何かに掴まっ・・・!」

 ドゥン!!!

 ドゴオォォン!!

 ジャスミンの警告も間に合わず、(かぎ)状の(もり)が“ロケットマン”に2箇所撃ち込まれ、凄まじい衝撃が“ロケットマン”を襲った。

「……っ!!」

「うわあ―――――っ!!」

「畜生、あのヤロー共……!!!」

 それぞれ衝撃で尻もちを着いたり、壁にぶつかったりなどの被害を受けた。

「「「よろしく!!!」」」

「無茶すなー!!!」

 受けた被害の割にあまりにも軽いフランキー一家の挨拶に、ゾロが窓から顔を出して怒鳴り付ける。

『運転室より緊急連絡!!これから線路を掴むと急激に速度が上がるよ!!軽傷で済むようにしっかりしがみ付いてな!!!』

「取り敢えずケガはするんだ…。」

「ヤバッ!」

 ナミのツッコミにジャスミンがハッとなる。

 直後に窓から身を(おど)らせ、車外に飛び出した。

「ジャスミン?!」

 ナミが慌てて窓から確認すると、ジャスミンは舞空術でヘッド部分に急いでいるところだった。

 《同じ頃、運転室周辺》

 ザザザザザザザザ…!

 ギギギ…!!!

 間も無く“ロケットマン”が間も無く線路に到達する。

「もう少し!!ばーちゃん、もう少し右~~~!!」

「ニャーニャー!」

「チムニー!!!ゴンベ!!おめーら、着いてきてたのかい!!?」

 そう。車外にはココロに無断で着いてきていた、チムニーとゴンベがいたのだ。

「何てこった、早く中へ入んなァ!!!吹き飛んじまうよ!!!」

 運転室の窓から身を乗り出し、叫ぶココロだったが、その直後にガシィッ!という音と共に“ロケットマン”の車輪が線路を掴む。

 ガクン・・・、グン!!

 刹那(せつな)、ズゴォオン!!と轟音と共に“ロケットマン”が一気に加速した。

「うわっ!」

「ニャッ!」

 ゴロンッ!

 加速に耐え切れず、チムニーとゴンベが荒れ狂う海へと投げ出される。

「チムニー!ゴンベ!」

 シュシュシュシュシュシュ…!

 ボヒュン!!!

 そのスピードにより、ココロの叫びがすぐに遥か前方へと運ばれていく。

 2人の体が海に叩き付けられる寸前、ガシィ!と2人の体を掴む者がいた。

「良かった…。間に合った。」

「ポニーテールのねーちゃん!」

「ニャニャー!」

「しっかり捕まっててね。」

 ギュン!

 2人を抱え直し、そう言うや否や、ジャスミンもまた既に豆粒程の大きさになりつつある“ロケットマン”に戻る為、舞空術のスピードを上げた。

「すごーーーい!!」

「ニャッニャー!」

 

 シュシュシュシュシュシュ……!

 ザザザザザザザザザザザザザザザザ!

「チムニー!ゴンベ!」

「ばーちゃん!」

「ニャニャー!」

 “ロケットマン”の車内に戻り、ココロに合流した。

「良かった。良かった……!もうダメらと思ったら……!!」

 ガシッと2人を抱き締め、ココロが安堵の声を漏らす。

「ありがとうら……!あんた、名前は何ていったらァね?」

「ジャスミンです。」

「この恩は忘れらいらよ…!本当にありがとうら……!!」

「いえ。間に合って良かった。」

「成る程…。あの時慌てて飛び出していったのは、この子たちがいることに気付いてたからなのね?」

「まぁね。」

 ナミの言葉に頷く。

「それにしても、ものすげー加速だ…!!」

「腰打った…。」

「いやいや、びびった!!」

「んがが!!加速でなく暴走らよ。」

 ぼやく男たちにすっかり立ち直ったココロが答える。

「あそこは特等席じゃねェな…。吹っ飛ぶかと思ったぞ。」

 チムニーたち同様、ヘッドに陣取っていたルフィが荒い息を吐きながら呟く。

 まぁ、ルフィなら大丈夫だろう、と放っておいたのはジャスミンなのだが。

「……ちょっと待て。この車両におかしな奴らがいるぞ。」

 不意にゾロが切り出す。

「「おい、そりゃ誰だ。」」

「お前らだよ!!!」

「おめェもだろ!!!」

(何のコント?)

 パウリーとルル、タイルストンらガレーラの職長たちが“ロケットマン”に乗り込んでいることを知らなかったらしいゾロとのやり取りを見て、ジャスミンが胸中で呟いた。

「お前らの仲間を連れ去った“敵”は、アイスバーグさんの命を狙った“犯人”でもあるんだ!!――――――どうせお前ら止めても止まらねェんなら…、おれも参戦する!!あくまでもガレーラとは関係ねェおれの単独行動としてな……!!!」

「がははは、パウリー!!!おれたちはお前にくっ付いて来りゃあアイスバーグさんの(かたき)に会えると踏んで、一緒に炭水車に隠れてたんだ!!!」

「――――――案の定…、そういうことらしいな…この戦い。おれたちも加えて貰うぞ。」

 パウリーの言葉に、タイルストンとルルが続ける。

「さらにその“(かたき)”ってのは当然、フランキーのアニキを連れ去った奴らでもある……!!!」

「そうだわいな!!あたしらそいつが誰なのかもはっきりと知ってるんだわいな!!」

「やい、ガレーラ!!あんたらアニキに何かあったらどう責任取るんだわいな!!!」

「黙れ!!1番辛いのはアイスバーグさんだ!!!」

「パウリー!!おれたちにまず説明しろ!!!」

「知ってんだろ…、真犯人。お前の口から言ってみな。おれたちもそうそう鈍くねェ…。大方の見当は付いてる。別に…、驚きゃしねェよ…。」

 ザンバイたちもそれぞれ自分の意見を主張し出し、場の収集が付かなくなり始めたところでルルが静かに切り出す。

「……まァ、急に意味も無く姿を消せば察しも付くか…。じゃあ、はっきり言う。仮面の奴らの正体は…、ルッチ・カク・カリファ……。それに酒場のブルーノ。――――――あの4人が政府の諜報部員(ちょうほうぶいん)だったんだ・・・・。あいつらがアイスバーグさんを殺そうとした………!!!」

 その後のルルとタイルストンの顔が凄かった。

 効果音を付けるなら“ガボ―――――――――ン!!!”だろうか。

「想像だにして無かったのか!!!一体誰だと思ってたんだよ!!!」

 このパウリーの叫びが全てを物語っている。

「裏町の“マイケル”と“ホイケル”?」

「そうそう。」

「誰だよ!!!」

(本当に想像して無かったんだ…。)

 まぁ、裏を返せばそれだけCP9がウォーターセブンで信頼を得ていた、ということなのだろうが。

「じゃあ、まー………!!」

 先程からずっと肉を食べ続け、腹ごしらえしていたルフィが立ち上がりながら切り出す。

「フランキー一家とも、ガレーラの船大工たちとも、町じゃゴタゴタあったけどこの先はここにいる全員の“敵”は同じだ!!これから戦う中で1番強ェのは特にあの“ハトの奴”だ!!あいつは必ずおれがぶっ飛ばす!!!良いな?!ジャスミン!!」

「了解。」

 ルフィの視線を受け、ジャスミンも頷く。

(ルフィくんが許すならこのまま私が引き受けるつもりだったけど……。)

 やっぱり譲るつもりは無いらしい。

「――――――そうだな。この戦いは()られたモンを()()4()()から奪い返す戦いだ。あいつらへ到達しなきゃ、何も終われねェ。」

 ゾロが続ける。

 車内が神妙な空気に包まれた時、不意に窓の外を見ていたココロが声を上げる。

「…………お!?」

「ばーちゃん、ばーちゃん!高潮(アクア・ラグナ)だー!!!」

「ニャー!」

 チムニーとゴンベの一言もあり、一気に緊張感が走る。

「そういえばココロさん!!運転室から離れて良いの!?」

「そう言われれば……。」

 ナミのツッコミにジャスミンもココロへ目を向ける。

「んががが、言ったろ!“ロケットマン”は“暴走海列車”。あたしの仕事は列車を線路に乗せるまで!!運転しようにもスロットルが効きゃしねぇんら。したがって列車は常にフルスロットル!!!もう誰にも止められねェんら!!!」

「げ。」

「ウソ!!?」

 ココロの言葉にジャスミンが呻き、ナミが叫ぶ。

「ルフィ!!列車が大波にぶつかっちゃうわ!!ルフィ!!」

 ナミの叫びも耳に入らない様子で、ルフィがパウリーやザンバイらと向き合う。

「————せっかく同じ方向向いてるモンが、バラバラに戦っちゃ意味がねェ。」

 スッと2人に向かって手を差し出す。

「良いか。おれたちは同志だ!!!」

 ガシッ!!

 ルフィ、パウリー、ザンバイ。

 麦わらの一味、ガレーラカンパニー職長、フランキー一家、3つの集団の(ちょう)が文字通り手を組み合った。

「先に出た“海列車”には、おれたちの仲間も乗り込んでる!!!戦力はまだ上がる!!!大波なんかにやられんな!!!全員目的を果たすんだ!!!行くぞォ~!!!!」

「「「ウオオオ―――――――――――ッ!!!」」」

 ルフィの号令に合わせ、男たちの雄叫(おたけ)びが上がる。

「んがががが。さーおめェら、この波何とかしてみせなァ!!!」

 全員の心が1つに纏まったところで、ココロの声が響く。

「フランキー一家!!波に怯むな!」

「大砲用意!!!」

 バタバタとフランキー一家がアクア・ラグナを越える為の準備をしているのを見つつ、ジャスミンもソファーから立ち上がる。

「さて……。まずはアクア・ラグナを何とかしないとね。」

「そっか!もう1度さっきの何とか波で……!!」

「かめはめ波ね。ちょっと行って来る。」

 そう言い置いてジャスミンも再度窓から車外に飛び出した。

 

「“デミ・キャノン”!!!」

 ボウン!!!

 屋根の上からタイルストンやフランキー一家が迫り来るアクア・ラグナに大砲を撃つが、波は全く崩れる様子が無い。

 ゴゴゴゴゴゴゴ…

「……穴も開かねェ…。当然か……!!」

「うおおお!!」

 ドゥン!!

 ドォン!!

 ドゥン!!!

 立て続けに大砲が放たれるが、全てスパン、と波に呑まれるばかりで一向に効き目は無い。

「だめだ、だめだそんなんじゃあ―――――っ!!!」

 ゴォオオオオ

 ゴゴゴゴゴゴゴ

 後ろからフランキー一家のゴンドラから、巨大な大砲がアクア・ラグナを狙う。

「下げってろ!!フランキー一家、特製大砲に任せとけー!!!」

「目標、アクア・ラグナ!」

「撃て―――――――――――っ!!!“スーパー解体(スクラップ)(ほう)”!!!」

 ズドォン!!!

 ゴゴゴゴゴゴゴ…

 スパァン!

「怯むなァ!!!どんどん撃ち込め――――っ!!!」

 ドゥン!!

 ドォン!!

 ボウン!!

 ドゥン!!!

 ドドン!!!

 だが、全く効果は見られない。

 スタッ!

「よいしょっと……。」

 そこにジャスミンが降り立つ。

「!おい、嬢ちゃん危ねェぞ!!中に入れ!!!」

 タイルストンが叫ぶが、パウリーは「そうか…!お前がいたか!」と幾分か安堵した顔を見せていた。

「危ないですから、中に入っていた方が良いですよ。」

 言い置いて腰を落とし、構えを取る。

「何を……!」

「早く危ねェから中に…!」

「おい!おめェら、邪魔になる!一旦この嬢ちゃんに任せて下がれ!!」

 ジャスミンを知らないタイルストンやフランキー一家が反論する中、()()()()()()を知るパウリーだけが他の男たちを促している。

「か――――――……、め―――――……!」

 呼吸を整え、気を高めていく。

 ゴゴゴゴオォォ……!!!

 その間にも、アクア・ラグナは目前に迫っていた。

「うおおお~~~~っ!!!ぶつかるぞォ!!!」

「やべェ!!!死ぬ―――――!!」

「死んじまう―――――っ!!」

「泣きごと言う暇あったら撃てェ!!!」

「活路を開けーっ!!!」

「は―――――……、め―――――……!」

 ギュオォオオオオオ………!!

 ジャスミンの気の高まりに呼応し、手のひらの輝きが強くなっていくが、余裕の無い男たちの目には入らないらしい。

 スタン!

 ストッ!

 とルフィとゾロも屋根の上に登って来た。

「んよっ!」

「おい、お前らちょっと後ろに下がってろ!コイツの邪魔になる。」

「お前ら何しに来たんだ!!!」

「しししっ!さっきは良く見れなかったからな。見物に来た!!」

「同じく。」

 パウリーの問いにルフィとゾロが返した直後だった。

「波――――――――――――――――――!!!!」

 極限にまで高まった気が、巨大なかめはめ波となって目前に迫ったアクア・ラグナに叩き込まれた。

 カッ!!!

 ドッグァアアアアアアンンッ!!!!

 ザッパァアアン!!

 シュウゥウウウウウ…!!

「「「「「えええぇえええぇええぇえええ!!!??」」」」」

 ジャスミンの放った渾身(こんしん)のかめはめ波が、巨大なアクア・ラグナを粉砕し、更にかめはめ波が直撃した付近の海水が蒸発する。

 それを初めて目の当たりにした男たちの、某神の(ごと)きリアクション再びである。

「すっっっっげ――――――なァ――――――――――!!!!」

「へェ……。」

 間近で改めてそれを見たルフィのテンションはだだ上がりで、ゾロでさえちょっと目を輝かせている。

「ア、アクア・ラグナが………。」

「…消えたァ………!!!」

「し、死ぬかと思ったァ~~~~~っ!!!」

「アクア・ラグナが消えたぞ~~~~~~~!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 




ココロさんの喋り方めっちゃ難しいです…。

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