摩訶不思議アドベンチャーな世界に転生したかと思ったら一繋ぎの世界にトリップした件について   作:ミカヅキ

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お待たせしました!第18話更新です。明日からまた時間が取りにくくなっているので、急ピッチで上げました。
そして、まだエニエス・ロビーまで進みません。次かその次くらいにはいける…んですかね?←聞くなよ…


第18話 アクア・ラグナ到達!出るか?かめはめ波!!

「「ジャスミン!!!」」

 飛び降りて来たジャスミンに、ナミとチョッパーが駆け寄る。

「ジャスミン、ケガは!?」

「ルフィとゾロは?!」

「ケガは無いよ。あいつら逃げちゃって……。ルフィくんとロロノアさんは…。ゴメン、CP9に外まで吹っ飛ばされちゃって…。生きてるとは思うけど……。」

「「吹っ飛ばされた!?」」

「うん。止める間も無く突っ込んで行っちゃって・・・。」

「「ああ~…。」」

 ジャスミンの説明に、ナミとチョッパーが納得したような声を上げる。

「そう言えば、その刀…。」

「ああ、CP9が逃げた…。というか、引際を心得てたって言うのかな、あの場合…。まァ、とにかく引き上げた後で私もナミちゃんたちを追っかけようとしたら()()()()ね……。吹っ飛ばされた時にロロノアさんが落としたみたい。置いてかれたくなかったんじゃないかな?」

「呼ばれたって…。」

「この刀、妖刀でしょ?」

「そう言えばゾロがそう言ってた気もするけど…。」

()()()()()()取り敢えず、ロロノアさんに返すまで私が持ってるよ。」

 そんな会話をしていた時だった。

 ザッ…!

「ちょっと良いか?」

 アイスバーグがそこに立っていた。

 

「まずは…、ンマー…。申し訳無かった…。お前たちに妙な濡れ衣を着せた。誤解は解いておいたが…。」

「「……。」」

 ナミとチョッパーは無言で、ジャスミンには答えようが無かった。

「話はニコ・ロビンのことだ…。」

「!何か知ってるの?」

 ナミが真っ先にその言葉に反応する。

 それからアイスバーグにより語られたのは、ニコ・ロビンが麦わらの一味に突き付けた決別の言葉に秘められた真相だった。

 仲間の命を救うために、自分の命を捨てようとしている彼女の行動に、ジャスミンも言葉を失う。

 アイスバーグが全ての真相を語り終えた時、ナミとチョッパーの体が崩れ落ちる。

 バタッ…

 コテッ…

「おい、どうした!!」

「大丈夫?」

「良かった…。ロビンはじゃあ…、あたしたちを裏切ったんじゃないんだ……!!!」

「ロビンはおれたちを助けようとして……!!」

「……良かったね。」

「良し!そうと分かれば…!」

 ガバッ!

「ナミちゃん?」

「早くみんなを集めて知らせなきゃ!!ありがと、アイスバーグさん!!」

「待て!!麦わらたちもやられちまって、今更何をしようってんだ!!そこのお嬢ちゃんだって奴らにゃ逃げられちまったんだろう?!」

 勢い良く立ち上がり、拳を振り上げるナミをアイスバーグが制止する。

「今更ですって?()()()よ!!!ルフィたちなら大丈夫。あれくらいじゃやられない!!これからロビンを奪い返すのよ!!!助けて良いんだと分かった時のあいつらの強さに限度なんて無いんだからっ!!!!」

 言い切ったナミの目に、既に迷いは存在しなかった。

「行くわよ!チョッパー!!」

「おう!分かった!」

「私も手伝うよ。だいたいの距離と方角は分かるから。」

 ジャスミンも2人に並ぶ。

「そう言えば、ジャスミンあんた気配が分かるって言ってたっけ……?」

「うん。特に強い人だと気配…、私たちは“気”って呼んでるんだけど、気も強いから。おおよその場所なら分かるよ。」

「良し!それなら話は早いわ!!場所はどこ?!」

「待て、お前ら……。」

 すぐにでもルフィたちを探そうとしたジャスミンたちだったが、アイスバーグによって呼び止められる。

「ニコ・ロビンを追うのは勝手だが…。今夜11時に政府関係者の移動便で“海列車”が出航する。ンマー、恐らくだが…。あいつら、これに乗る可能性が高い。――――――つまり、ニコ・ロビンも一緒にだ。それを最終に“海列車”は一時、運行停止になる。もうすぐ“高潮(アクア・ラグナ)”が来るからな。」

「うっかりしてた…。今日はアクア・ラグナが到来するんだっけ…。」

「――――じゃあ、――――ってことは・・・!?」

「その便を(のが)すと当然、船も出せねェし、この島から出る(すべ)は無くなるんだ。」

「うそ…!大変っ!!!今何時!?」

「10時半だ。」

「後30分!!?ねェ、何とかならないの!?海列車ちょっと止めてよ!!」

 ナミが悲鳴のような声を上げ、アイスバーグに詰め寄る。

「ンマー、目的地のエニエス・ロビーってのは政府の人間以外立ち入り禁止の島だ。機関士(きかんし)も政府の人間。おれが言っても聞かねェ。」

「そんな!!じゃあ…!!!何とかあたしが駅に行ってロビンを直接説得するしか…!!!チョッパー!!ジャスミン!!2人一緒にルフィとゾロを探して!!」

「うん良し、わかった!!」

「OK。」

 役割をそれぞれ決めたところで、パウリーが他の船大工たちを連れて来る。

「待ってくれ。おれたちも手伝う。」

「パウリーさん?」

「どうして?」

 ジャスミンとナミが疑問の声を上げた。

()(ぎぬ)着せちまった詫びだ……。アイスバーグさんやおれの命があるのも、お前らのお陰…。オイ、お前ら!!!このお嬢ちゃんたちに手ェ貸して差し上げろ!!」

「はい職長!!」

「色々すまなかったなお前ら!」

「指示をくれ、手ェ貸すぞ!!」

 ガレーラカンパニー本社の職長の言葉に、船大工たちが一斉に声を上げる。

「おい、ハレンチ女、駅に行くんだろ!案内する。」

「ちょっとその呼び方…!まぁ、今は良いわ。お願い!!」

 

「じゃ、行こう。」

「ええ!」

「おう!」

 それぞれの役割を果たすために、走り出す。

 

 ビュオオォオォオオォォ!

「ルフィ―――――!!」

「麦わら――――――!どこだ――――――――――!!」

「ルフィく―――――――――――ん!!」

 ザァアアア…!

「とうとう降ってきた……!」

「ただでさえ強風で鼻が利かないのに・・・!!ジャスミン、本当にこの辺か?!」

「うん。細かい場所はわからないけど、確かにこの辺の筈なんだけど…。」

 ルフィの気の大きさでは、これだけの人間が雑多にいるところでは細かい位置まで特定出来ないのだ。

「ジャスミン!二手に分かれよう!!おれはゾロを探す、ジャスミンはこのままルフィを探してくれ!!」

「分かった。じゃあ、チョッパーくんこれも……。」

 チョッパーにゾロの“3代鬼徹(きてつ)”を託し、ゾロの気配を感じる場所を伝える。

「じゃあ、後で!!」

「気を付けてね!!」

 ビュゴオォオオオオオオ!!

 ザアァアアアア……!!

 雨風はますます強くなっていく。

「大変だァ~~~~!!!海を見ろォ!!!」

 高町の階段近くで1人の船大工が声を上げる。

 ザザザザザザザザ…!!!

「おい、どうした!!」

「あ!パウリーさん!!見て下さい!!!潮の引き方が尋常じゃないんです!!!」

 ザザザザ……!

 ザザザザザザザザ…!!

「水路の水が一気に…!アクア・ラグナってこんなにすごいの?!」

「いや、こんなのは今まで見たことがねェ…!」

「……ここまで潮が引くもんなのか……!!?」

 ジャスミンが思わず呟いた言葉に、船大工たちが反応する。

 水路の水はおろか、ウォーターセブンの浅瀬だった海も潮が全て引き、すっかり干上がってしまっている。

 ビュルルルル…

 ザアァアアアア…!

「海の音が止んだ……。」

「この嵐の中、波の音が全然聞こえないなんて…。」

「どれだけでけェ波が来るってんだよ…!!!」

「裏町は完全にのまれるな……!!!」

「裏町には誰もいねェだろうな!!?いたら即死だぞ!!!」

 

 ゴオォオオオオオ…!!!

「大変だ、海賊女が………!!!階段を下りてった!!!」

「おい戻れェ――――――!!!低い場所へ行くな―――――!!」

「ナミちゃん!?」

「ゾロォ!!!」

「こら待て!!!トナカイお前まで!!!」

「チョッパーくんも!?」

 それぞれの向かう先に目をやり、気付く。

「ルフィくんとロロノアさん?!何でそんな所に…!?」

 ルフィは裏町の家と家の間、ゾロは何故か煙突に刺さっている。

「追うな!!!お前ら!!!大勢行きゃあ助かるってもんじゃねェ!!!相手は海だぞ…!!!道連れになるだけだ!何かあったらおれだけが動く!!お前ら手ェ出すな!!!」

 慌てて後を追おうとした船大工たちをパウリーが一喝(いっかつ)する。

 ズズズズズズ……!!

 地鳴りのような音と共に、アクア・ラグナがもう、すぐそこまで迫ってきていた。

「見ろ!!!あの波を!!!」

「何だ、ありゃ……!!やっぱりいつもの数倍でけェ!!!」

 ナミとチョッパーが向かった先は、アクア・ラグナから見てそれぞれ右と左。

 ナミとチョッパーのどちらかを回収しながらルフィとゾロのどちらかを回収している間に、どちらの組は波にのまれてしまう。

「仕方無いか……!」

 バッ!!

 ジャスミンが裏町と造船島を繋ぐ大橋まで飛び降りる。

「おい!?」

「大丈夫です!これ以上は降りませんから!!」

 パウリーに怒鳴り返し、アクア・ラグナを正面に、一歩右脚を引いて腰を落とす。

「か―――――――――――…!」

 両手首を付けるようにして手のひらを内側に構え、前方に突き出す。

「め―――――――――――…!」

 発声と同時に突き出した両手を右の腰まで引いた。

「は―――――――――――…!」

 ギュイィイイイ…

 ジャスミンの両手がゆっくりと光り出した。

「何だ!?」

「手が光ってやがる…!」

「め―――――――――――……!」

 より腕を後ろに引き、気を高めていく。

「ああ…!!もうダメだ、間に合わねェ!!!」

「高い場所へ登れ――――!!!もっと高い場所へ―――――!!!」

「のまれちまうぞ~~~~~!!!」

 船大工たちが悲鳴に近い声を上げながらナミとチョッパーに叫ぶ。

「アクア・ラグナだァ~~~~~~!!!!」

 ゴオオオオォォッ!

 大波が裏町をのみ込もうとした、その時だった。

()ァ――――――――――――!!!」

 ギュオォオオオオオ……!!!!!!

 ジャスミンが前方に突き出した両手から、巨大なレーザー砲のようなエネルギー波が放たれた。

 カッ!!!

 ドッゴォオオオォオンンッ!!!!

 ザッパァアアン!!

 ジャスミンの放った技がアクア・ラグナに着弾した瞬間、凄まじい爆発音と共に裏町をのみ込もうとしていたアクア・ラグナが四散し、波が海へと押し戻された。

「「「「「ええぇええええぇええええええぇ!!!!!?」」」」」

 ガボ――――――ン!

 それを目の当たりにした船大工たちの顔から、某神のごとく色々と飛び出した。

 ジャスミンがアクア・ラグナを相殺した直後、ルフィとゾロもそれぞれ自身を解放するべく、最後の踏ん張りを見せる。

 メキ・・・メキメキ・・・!

 ピシッ!!

「ウゥゥ!」

 バキバキバキ…!

「「「ええ!!?」」」

「ああああああああ!!!!」

 ボゴォォン!!!

「うおおおァ!!!町壊しやがったァ!!!」

 最初にルフィが自身が挟まっていた建物を倒壊させ、

「“三十六煩悩(ポンド)(ほう)”!!!!」

 ズバァン!!!

 ゾロが自身が刺さっていた煙突ごと建物を縦に両断する。

「うわああああァ~~~~!!」

「何だあいつらァ~~~~!!!」

 スタンッ!

 ばっ!!

 ルフィとゾロがそれぞれナミとチョッパーを連れ、ジャスミンのいる大橋まで一気に登ってきた。

「早く造船島に!そのうち第2波が来る!!」

 言い置いてジャスミンもパウリーたちのところまで一気に跳び上がる。

「おう!」

「ああ!」

 

 ザァアアア!

 ビュオオォオォオオォォ!!

 ゴゴゴゴオォォ…!!!

「潮がまた引いてく!!」

「まだまだ続くぞ。第2波、第3波と今みてェなのが!!」

「ここは造船島だぞ…!!!ここにいてもヤバそうだ…!!」

「おれたちも内陸へ避難しよう!」

 既にジャスミンの相殺した大波も潮が引き始め、間も無く先程と同じレベルの波が襲ってくるだろう。

「あれがアクア・ラグナ……。想像してたのよりずっと凄い……!!!」

「………これが毎年来てたら、この島はとっくに無くなってるよ。今年のは特別だ………!!!」

 ジャスミンの呟きにパウリーが答える。

「それより…。おい、そこのポニーテール。」

「私ですか?」

「他に同じ髪型のヤツァいねェだろう。」

「そりゃそうですけど…。」

 ナミの“ハレンチ女”よりはマシだろうが、もっと他に呼び方は無かったのか……。

「さっきのアレは何だ?」

「アレ?」

 パウリーの疑問に首を傾げた時、ルフィとチョッパーが目を輝かせてジャスミンに詰め寄る。

「そうだよ!ジャスミン、お前ビーム出せんのか?!」

「凄かったなアレ!もっかい見せてくれよ!!」

「アレって、ああ…。“かめはめ()”のこと?」

「かめかめ()?」

「かめはめ()!!」

 “かめかめ()”だったら悟天が昔間違って天下一武道会で撃った方である。

「そうそれ!かめはめ()って何だ!!?ビームじゃねェのか??」

「アレは“気功波(きこうは)”だよ。自分の“気”を手のひらに凝縮させて一気に放出する技で、他にも色々種類があるけど……。」

「“気”ってのァ、あれか?良く気配とかそういう風に呼ぶヤツか?」

 “気”という単語が引っかかったらしく、ゾロが口を挟む。

「そうです。まァ、生命エネルギーとかオーラと呼ばれることもあります。修行すればこれを使いこなせるようになって、応用次第で人の気配を強く感じ取ったり、さっきみたいな技を使えたり、空を飛べたりします。」

「要するに、“悪魔の実”の能力じゃねェってことか?」

 パウリーが尋ねる。

「“悪魔の実”の能力とは全くの別物です。訓練すればある程度誰でも使いこなせるものですから。」

 ジャスミンがざっくり説明していた時だった。

「ホントに呆れたね。おめェら良く助かったもんら!!」

 酒瓶片手に現れたのは、不思議な(なま)りで話す老婆と、小さな少女、それとネコだかウサギだか良く分からない小動物だった。

 

 




用語解説
かめはめ波…ドラゴンボール知らない人でもこれは知ってる、という人がいる程有名な技。たぶんドラゴンボールファンならみんな1度は出せないかどうか練習した筈…!因みにミカヅキは小学校1年生くらいまで真面目に練習してました。
元々は亀仙流の始祖・亀仙人の技で、言わば亀仙流のお家芸。かなり初期の登場だったにも関わらず、物語の終盤まで主人公・孫悟空の決め技であり続けた。
ニュージーランドでは毎年「かめはめ波大会」が行われているらしい。

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