摩訶不思議アドベンチャーな世界に転生したかと思ったら一繋ぎの世界にトリップした件について   作:ミカヅキ

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お待たせしました!第16話更新です。さて、今回は大まかな流れはそのままに若干展開を変えています。そのまま原作なぞっても面白く無いので、ちょこちょこ二次創作らしく変更させていただきました。


第16話 友の裏切り!世界政府の闇

「ロビン!!!!やっと見付けたぞ――――――!!!」

「…………!!」

 ルフィの叫びに、ロビンは声を詰まらせた。

「おい!!ルフィ!!!てめェ一体どこに居やがったんだ!!!」

「………!!ちょっと待って。この状況何!?」

「やれやれ……。」

 ゾロとナミの叫びに、鳩を肩に乗せた男が呟く。

(!さっきの声、あの鳩男だったんんだ・・・。)

「麦わら……。パウリー……………!!!」

 ベッドの脇に倒れたアイスバーグが掠れた声を出す。

 ジャスミンがその傍に駆け寄って傷の具合を見る。

「左肩に銃創(じゅうそう)が一発…。幸い、弾丸は貫通してる……。顔面にも一発食らったみたいですけど、顎は大丈夫みたいですね…。眩暈(めまい)や吐き気はありますか?」

「多少視界が揺れるが問題ねェ…。」

「軽い脳震盪(のうしんとう)を起こしてるみたいですね…。しばらくは起き上がらずにこのまま安静にしてください。」

 肩の傷の止血をしながらアイスバーグに告げる。

「あァ…。ところであんたも麦わらの一味か?」

「いや、私は……。」

「アイスバーグさん……。こりゃ、一体何がどうなってるんですか!!!」

 ジャスミンが否定しようするが、それに被せるようにパウリーが叫んだ。

「………!!…パウリーてめェ、なぜ逃げねェ!!!」

「何なんですか…!!!まるでこいつらが…………!!!あなたの命を狙った犯人みてェに……………!!!お前ら何でそんな恰好してんだ………!!!」

「………。」

「………。」

「おい!!カリファ!!ブルーノ!!カク!!!ルッチ!!!冗談やめろよ、てめェら!!!」

 パウリーの叫びに、CP9は一切答えない。

「……………そうだ!!あいつらお前と一緒にいた船大工だ!!鳩の奴だ!!」

「そういや、あの四角っ(ぱな)知ってるぞ!」

「……まさか、“暗殺犯”が内部にいたってこと!?」

「パウリー……。実は、おれ達は世界政府の諜報部員だ。まァ、謝ったら許してくれるよな……?共に日々…、船造りに明け暮れた仲間だおれたちは…。突然で信じられねェなら、アイスバーグの顔でも……、踏んで見せようか………!!」

「……!!!ふざけんな…、もう充分だ!!!…ハァ…。()()()()()()“牛仮面”の声が…、お前の声と一致するからな!畜生…!!!…てめェ……!!!ちゃんと喋れんじゃねェかよ!!!バカにしやがって!!!」

「やめろパウリー!!!」

 激情のままにルッチに挑もうとしたパウリーをアイスバーグが止めようとするが、遅かった。

「“パイプ・ヒッチ・ナイブス”!!!」

 ドヒュン!!

 ジャラララララ!!!

 懐から取り出した、ナイフが括り付けられたロープがルッチに向かうが、それは空を切った。

 ビュッ!!!

 シャッ!!

指銃(シガン)

 シュンッ!

 ガシッ!!

「危ないな…。」

 ルッチの一撃がパウリーの体を貫く、筈だった…。

 しかし、その一瞬早くジャスミンがルッチの手首を掴んでそれを阻止する。

「何!?」

「一般人相手に手段を選ばないなんて……。世界政府は随分余裕が無いらしいね。…あなたはアイスバーグさんの傍にいてください。」

 後半をパウリーに向かって告げる。

「あ、ああ…!」

 パウリーがアイスバーグの傍に膝を付いたのを確認し、ルッチに向き直る。

 その間も、ルッチを拘束する手は全く緩まない。

「…!」

「ルッチの一撃を…?!」

「ジャスミン!?」

「今、動きが見えなかったぞ!?」

 一瞬でアイスバーグの傍から移動したジャスミンにナミとチョッパーが驚愕し、CP9の警戒が一気に高まるのが分かった。

「貴様……!何者だ……!!!」

「どんな答えを聞けば納得する?」

 ドン!

 唸るようなルッチの問いに、ジャスミンは答えをはぐらかしながらルッチを突き飛ばした。

「ふざけるな!おれ達はCP9。幼少期より人界(じんかい)を超える技を体得している。人体を武器に匹敵させる武術“六式(ろくしき)”、これを極めた1人の強度は百人力に匹敵する!おれの“(ソル)”の速度を上回り、“指銃(シガン)”を止めるなどという芸当が普通の人間、それも貴様のような小娘に出来るものか!!」

「修行が足りないんじゃないの?」

「何だと・・・・!」

 飄々(ひょうひょう)と返すジャスミンに、ルッチを始めとしたCP9の警戒は一層強くなる。

 直接ジャスミンと相対したルッチは何かを感じ取ったのか、わずかにジャスミンから距離を取った。

「お前ら!一緒に船大工やってたんじゃねェのかよ!!!」

「―――――さっきまでな…。もう違う……。」

 ルフィの叫びに頭が冷えたのか、ルッチが先程までの冷徹さを取り戻した。

 それを見て、ジャスミンも評価を改める。

(流石にプロ…。簡単にこっちのペースには持っていけないか…。)

 やはり、一筋縄ではいかない。上手くいけば標的をジャスミン(こちら)に移せるかもしれない、とも考えたが一時の感情に支配される程甘くは無いらしい。

(やっぱり、その辺の海賊と同じようにはいかないみたいだ。)

 原作通り、世界政府相手にケンカを売るのが1番確実な方法の様だ。

 

「本当に裏切り者か!!!じゃ、良いよ!とにかく、おれはコイツと一緒に!!アイスのおっさんを殺そうとしてる奴らをブチのめそうと約束したんだ!!!」

「…何故、お前がパウリーに味方するんじゃ…。」

「おれもお前らに用があるからだよ!!!おい、ロビン!!!何でお前がこんな奴らと一緒にいるんだ!!!出て行きたきゃちゃんと理由を言え!!!」

「そうよ!!こいつら政府の人間だって言うじゃない!!どうして!!?」

 ルフィの叫びにナミも賛同する。

「……聞き分けが悪いのね。…コックさんとと船医さんにお別れは言った筈よ…。伝えてくれなかったの?」

「……!!伝えたよ!!だけどおれだって納得できねェ!!何でだ!!?ロビン!!!」

「私の願いを叶える為よ!!!あなたたちと一緒にいても決して叶わない願いを!!!……それを()()げる為ならば私は、どんな犠牲も(いと)わない!!!」

「―――――それで…、平気で仲間を暗殺犯に仕立て上げたのか?願いってのは何だ!!」

「話す必要が無いわ。」

 チョッパーの叫びやゾロの問いかけにも、ロビンは冷たく返す。

 ただ、それはこれ以上踏み込んで欲しくない、という懇願のようにも見えた。

「正気の沙汰(さた)じゃねェ…!!その女は……!!気は確かかニコ・ロビン!!!」

「あなたにはもう…、何も言う権利は無い筈よ。」

 ロビンが口を挟んだアイスバーグを睨み付ける。

「黙っていなさい!!!」

 グキッ!!

「ぐあァ!!!」

「アイスバーグさん!!」

 ロビンが能力を使ってアイスバーグの腕を捻り上げた。

「誰にも邪魔はさせない!!!!」

「おいロビン!!何やってんだ!!?お前本気かよ!!!」

「ロビンどうしちゃったんだ!?本当にもう…、敵なのか!!?ロビ――――ン!!!」

 ルフィとチョッパーの悲痛な叫びにも、ロビンは応えない。

「悪いがそこまでにして貰おう…。我々はこれから“重要人物”を探さなきゃならないんだ。急いでいる。この屋敷にも、もう用は無いし……。…君らにももう完全に用が無い。カリファ、後どれくらいだ?」

「……2分よ。」

 ルッチの問いにカリファが答える。

(CP9のリーダーはこの男か…。)

「突然だが…。後2分で、この屋敷は炎に包まれることになっている。」

「何だと!!?」

「色々な証拠を消すのに炎は有効な手段だ。…君たちも焼け死にたくなければ、速やかに屋敷を出ることだ。まァもちろん…、それが()()()()の話だが。」

 ルッチの言葉に応えて、ルッチ以外のCP9の3人が並び立った。

「―――――どうやらおれたちを消す気らしいな。「ニコ・ロビン」も向こうにいたいようだが…。ルフィ、お前ロビンの下船(げせん)にゃ納得出来たのか?」

 刀に手をかけながら、ゾロが船長たるルフィに問いかける。

「出来るかァ!!!!」

 

「1階のいくつかの部屋から、(じき)に火の手が上がる…。まァ、犯人は海賊なんだ……。そんなこともあるだろう。」

 先程ブルーノと呼ばれていた男が口を開く。

「人の仮面を被って好き放題なんて趣味悪いわね!!」

「元々汚れた仮面に不都合も無かろう。」

 ナミが吐き捨てるが、CP9たち(彼ら)は一向に意に介さない。

「さっきから聞いてれば、随分と好き勝手に言ってくれるね。こっちこそ、そう簡単にここから逃がすとでも?」

 ジャスミンが1歩踏み出すと、CP9が全員戦闘態勢に入る。

 さっきルッチの一撃を止めたことで、自分(ジャスミン)の存在を警戒しているらしい。

「ブルーノ!お前はニコ・ロビンを連れて先に行け!」

「!わかった。」

 ルッチに応えてブルーノが瞬時に動き、まるでドアのように空間を開く。

 ガチャ…

「入れ。」

「――――じゃ、私は先に行かせてもらうわ。」

「待て!!!ロビン!!!認めねェぞ!!!」

「さようなら…。」

 パタン…

 ルフィの叫びにも振り返ること無く、ロビンはブルーノと共に空間に出来たドアの中に消えて行った。

「ウソ……!」

「消えたァ?!」

 ナミとチョッパーが驚愕の声を上げる。

「悪魔の実…。空間移動系の能力者みたいだね。」

「その通り。ブルーノは“ドアドアの実”の能力者。その真骨頂(しんこっちょう)空気開扉(エアドア)”によって先にこの場から離脱させてもらった。」

「…真っ先にニコ・ロビンさんを離脱させるなんて……。仲間意識からとは思えないけど。目的は?」

「貴様らに答える義理は無い!!」

「そう。でも、何か目的があってニコ・ロビンさんを連れて行ったのはわかったよ。……意外とウソが吐けないタイプだったりする?」

「貴様……!」

「目的、ですって……?!」

 ジャスミンの挑発に乗ったルッチにナミが反応した。

「そんなもん、どうだって良い!ロビンはどこだァ!!!」

 ガン!!

 言葉と同時にルフィがルッチに殴りかかるが、ルッチの体はビクともしない。

「……!!何でコイツらこんなに体硬ェんだ!!?」

「鍛え上げた我らの肉体は“鉄の甲殻(こうかく)”にまで硬度を高められる。」

「どこだって言ってんだ!!!

 ビュビュビュビュビュビュビュッ!!!

「“紙絵(カミエ)”。――――――しかし、受けるばかりが能じゃなく。」

「うわ!!全然当たらねェ!!」

「まるで紙みたいにヒラヒラと……!!」

「この・・・!!!“ゴムゴムの”…!!“銃弾(ブレット)”!!!」

「“(ソル)”」

 ヒュン!!!

 スカッ!!

「また消えた!!」

 ルフィの目には消えたように見えただろうが、ジャスミンの目にはしっかりとその動きが見えていた。

「後ろだ!」

「―――――消えたように見える程の爆発的な脚力があれば…。」

「にゃろ!!!」

「“月歩(ゲッポウ)”」

 スカッ!!

(くう)を蹴り、浮くことも出来る。」

 ジャスミンの言葉に反応し、すぐに後ろを殴るルフィだったが、それより早くルッチが空中に逃れる。

「飛んでる!!!」

(へぇ。純粋な脚力のみで空気を蹴り付けて反動で跳び上がってる。)

 チョッパーの目が驚きで飛び出そうになっているが、ジャスミンは冷静に分析していた。

「「更に」」

 カリファとカクがルフィの隙をついて背後に迫る。

「「“嵐脚(ランキャク)”!!」」

 ガッ!

 正確にルフィの腹部を狙っていた2人の蹴りを、瞬時に割り込みルフィを突き飛ばしたジャスミンが右脚で受け止め、その勢いで弾き飛ばすと同時に叫ぶ。

「伏せろ!」

 唯一その警告の意味を理解したのはゾロ唯1人だった。

 キィ――――――…ン!!!

 耳鳴りのような甲高い音が響く。

(斬撃か!!?)

「お前ら伏せろ!!!」

 理解すると同時にナミとチョッパーに叫んだ。

「何で!?」

 ズバン!!!

「きゃあ!」

「わー!!!」

 間一髪で身を伏せるが、背後の壁は真一文字に斬り裂かれた。

「うあう!!」

 ドサァ!

 突き飛ばされた勢いでルフィが床に叩き付けられるが、そのお陰で斬撃の軌道からは外れていた。

「ルフィ!!」

「蹴りで壁が斬れたの!?今!」

「“鎌風(かまかぜ)”を呼び起こす速度があれば可能…。それが“嵐脚(ランキャク)”。」

 後方に跳んで勢いを殺し、難無く着地したカリファがナミの疑問に答えた。

「ロロノアさん!ダメだ!」

「……!!」

 ドビュ!!!

 ジャスミンの警告を聞かず、ゾロが間髪入れずにカクに迫る。

「!」

 ギィン!!!

 ゾロの一撃を、カクものこぎりで受け止めた。

「ルフィくんも下がって!」

「このォ!!!」

 ガッ!

 ルフィもルッチに向かって行くが、顔面を掴まれ動けないでいる。

「ルフィが簡単に捕まった…!!」

 ドドドッ!!!

「ゾロ!!!」

「ロロノアさん!」

「“指銃(シガン)”」

 カクの指がゾロの体を撃ち抜き、ゾロが床に倒れ込む。

 ドサッ…!!!

「人体を撃ち抜くのに、弾丸なんぞいらん。」

 ヒュッ!!

 ドゴォン!!!

 ルッチが捕まえていたルフィを壁に叩き付けた。

「ルフィ!!」

「ゾロ!!!」

「………何なの…?あいつらの強さ…!!!」

「何者なんだ。てめぇら…!」

 ナミが呆然と呟き、パウリーもアイスバークの傍らでルッチたちに向かって問いかける。

「……環境が違う……!!我々“CP9”は物心付いた頃より、世界政府の為に命を使う覚悟と、“人体の限界”を超える為の訓練を受けてきた……。そして得た力が6つの超人的体技(たいぎ)六式(ろくしき)”。良く身に染みた筈だ。世界政府の重要任務を任される我々4人と…、たかだか(いち)海賊団のお前たちとの、桁違いの戦闘力の差が…!!!―――――この一件は世界的機密事項。お前たち(ごと)きが手を触れて良いヤマではない!!」

 言い切ったルッチに、実際にルフィやゾロが歯も立たなかったのを目の当たりにしたナミやチョッパーは声も出ない。

 ルフィやゾロも、身を起こしはしたもののダメージは大きかった。

「ルッチ、発火装置も作動の時間よ。私たちも急がなくては…。」

「あァ。」

 カリファの声にルッチが頷く。

 そのまま、(とど)めを刺す必要は無い、と言わんばかりにCP9が立ち去ろうとした時だった。

「超人的体技(たいぎ)、ね……。その程度の()()なら、私にだって出来るよ。」

 場違いな程に(すず)()な声が響いたのは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




戦闘シーンは時間があったら手直しがあるかもしれないです…。

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