摩訶不思議アドベンチャーな世界に転生したかと思ったら一繋ぎの世界にトリップした件について   作:ミカヅキ

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こんばんは。お待たせしました!第15話更新です。今回、ちょっと短めです。もっと書こうかとも思ったんですが、変に長くなりそうだったので、キリの良いところで一旦切らせていただきました!
そしていつの間にかお気に入り登録が300件を超えていて「ウソやろ…。」とガチでプルプルしているミカヅキです。感想もありがとうございます!今後のネタバレになる可能性もある為、思ったような返信が出来ませんが、嬉しくてニヤニヤしながら見ております。
そんな訳で15話へどうぞ!16話は1週間経たないうちに更新出来ると良いな…。←願望


第15話 役者が揃う時

 ヒュオオオォオォオ…

 ビュオオォオォオオォォ…

(風が強くなってきたな…。)

 既に日は暮れ、ガレーラカンパニー本社の周囲は船大工たちが警備を固めている。

 ジャスミンは本社敷地内に植えてある木のうち、1本に完全に気を消して身を隠していた。

 少し離れた所からルフィたちの気も感じる。

 いつ動きがあるか、と少し焦れ始めた頃だった。

 ドォン!!!

(!来た…!)

 本社の入口近くで爆発が起き、その周辺を固めていた船大工が何人かその衝撃で吹っ飛ぶ。

「何だ!!?」

「砲撃か!!?」

 途端に敷地内に詰めていた船大工たちが騒ぎ出す。

 そして間も無く、頭をすっぽりと覆う仮装用の仮面を被った人物が現れる。

「人影が見えた!!!」

「仮装してるぞ!!!捕まえろ!!!」

 入口付近の船大工たちを引き付けるように動き、鞭を操って屋上に飛び移る。

(囮か……。)

「こっちからは2人だ!!!」

「逃がすな!!!」

 そして、最初に現れた人物とは別の、熊の仮面を被った人間と細身の人間が2人、別の方向に走っている。

(たぶん、あっちの細身の人がニコ・ロビンさんかな。)

 シャッ!シャッ!シャッ!

 船大工たちは仮面の人物たちを追うのに気を取られているが、念の為気付かれないように常人の目には捉えられない程度のスピードで移動し、別の木の上に身を隠す。

「追い詰めたぞ海賊共ォ!!!」

「逃げられねェさ!!観念しろォ!!!」

「良くもこの数の護衛の中に堂々と現れやがったもんだ!!」

「素顔を見せろ!!!」

 ジャキキン!!

 各々(おのおの)銃を構え、壁際に追い詰めた船大工たちだったが、客観的に見ていたジャスミンからは、2人が敢えてそこに船大工たちを誘い込んだようにも見えた。

 ス・・・!

 熊の仮面を被った方が懐に手を入れ、船大工たちが殺気立つ。

「何かする気だ!!!」

「撃て!!!」

 ばさっ!!!

 銃撃が始まる一瞬前に、熊の仮面を被った方がマントを(ひるがえ)し、2人の姿を隠す。

 ドドドドドドドォン!!!

 船大工たちが一斉に銃を発射する。

 シュウウウ…

 パサ…

 10数発の弾丸がマントをボロボロにしていくが、後に残ったのはマントの残骸のみだった。

「!!?」

「……消えた…。」

(今、空間に穴が開いた?)

 船大工たちのように正面では無く、少し斜めから見ていたジャスミンには、銃撃が始まる直前に2人が背にした壁の手前に穴のようなものが出来たのが見えていた。

 銃撃とほぼ同時に2人はその穴に飛び込み、すぐに穴が塞がった。船大工たちから見れば2人が突然消えたように見えただろう。

 穴に入った直後は気を感じ取ることが出来なかったが、それからすぐにガレーラカンパニー本社の中に2人の気が現れる。

(悪魔の実かな?)

 恐らく、空間移動系の能力を持つ能力者なのだろう。

 もう1人の“鞭使い”の方は派手に暴れているようで、船大工たちはそっちへの応援と消えた2人組の探索に人数を割いている。

 ただ、問題なのは“鞭使い”があちこち移動しながら暴れているせいで、本社内に侵入するのが難しい、という点である。

 その気になれば気取られない程度のスピードで侵入することも不可能では無いだろうが、入口付近は常に何人かが固めている上に絶えずうろうろと移動している為、下手すればぶつかる可能性もある。

 そんなに間抜けではない、と自分を信じたいところだが、常人よりもかなり大柄な男たちに入口を固められてしまうと通り抜けるスペースが心配なのだ。

 しかも、本社の窓は見える範囲では全て()(ごろ)しになっているようで、外から侵入するには昼間のルフィのように窓をぶち破るしか無い。侵入出来ても注目を集めてしまったら意味が無いのだ。

(この場合仕方無いか…。)

 ブウゥ…ン!

 手のひらを上にして気を集中させ、球体状の気弾を作り出す。

(繰気弾(そうきだん)!)

 ギュンッ!

 船大工たちに見付からないように1度頭上高く打ち上げ、人差し指と中指を立てて気弾を操り、本社の屋上の上空30mくらいのところに移動させた。

(はっ!)

 ドッゴォン…!

 そのまま気弾を一気に下降させ、屋上に着弾させる。

「何だ!?」

「屋上が爆発したぞ!!」

(よし!)

 入口付近に固まっていた船大工たちが屋上を見上げる。

 シュッ!

 その隙を見逃さず、一気に加速して本社内に侵入する。そのままスピードを緩めず、気の少ない方へと移動した。

 船大工たちはせいぜい風を感じた程度だっただろうが、今日はアクア・ラグナの接近で絶えず強風が吹き荒れている。気にする者はいなかっただろう。

(さて、さっきの2人組は・・・、と。)

 どうやら既にアイスバーグと接触してしまっているらしい。アイスバーグの気が乱れ始めている。

 それと同時に、3階で次々と船大工たちの気が弱くなっているのが分かった。一定のところから小さくなることは無い為、どうやら気絶しているらしい。

(この気はさっきの熊男?かな。)

 しかも、船大工たちを襲っているのは1人では無い。あと2人、次々と船大工を沈めている者がいる。

(昼間のスパイか…!)

 1番ドックで会った船大工、鳩の男(ルッチ)鼻の長い男(カク)に間違い無い。

 既に2階以上に動いている船大工はいなかった。

(ん?)

「ルフィくん?」

 何故かその2人のスパイがいるところにルフィが外から勢い良く突っ込んでいったのがわかった。

 が、別に交戦している訳では無いようで、2人がすぐに部屋を出て行ったのに対し、ルフィはその場所に留まっている。特に気が弱まっている訳では無く、どうやら足止めされているらしい。

(あれ?もう1人いるな…。)

 よくよく気を探ると、ルフィの他にももう1人いる。

「葉巻の人?」

 昼間1番ドックにいた、葉巻の男(パウリー)に間違い無い。ある程度弱っているが、命に別状は無いようだった。さっきの2人に敗れたのだろう。

 様子を見てから行こうとも思ったが、既にアイスバーグのところにさっきの2人が向かいつつある。

(元気みたいだし、ルフィくんなら大丈夫かな。)

 ここはアイスバーグのところに向かった方が得策だろう。

(確か漫画では殺されなかった筈だけど…。)

 しかし、ここには自分(ジャスミン)がいる。何かがきっかけで原作(本来)とは違う運命を辿ってしまったなら…。

 もし、流れが変わりそうになったなら助けなければいけない。

 ジャスミンはスピードを上げた。

 

(見付けた……!あの部屋!)

 大きな扉の前に5つの椅子が並び、その前の廊下にはそれまでの比ではない数の船大工たちが倒れている。

(全員生きてはいるみたいだけど…。)

 気を消したまま扉の前に張り付き、中の様子を伺う。

『お前ら…、政府の人間だったのか………!!』

『そう…。潜伏することなど我々には造作も無い任務。……しかし、あなたの思慮深さには呆れて物も言えない…!!!古代兵器プルトンの設計図。――――――その在処(ありか)…、多くの犠牲者を出す前にお話しください。』

 恐らくアイスバーグだろう声と、聴いたことの無い男の声が聞こえる。

(古代兵器プルトン?設計図ってことは、世界政府の狙いはそれだったのか…。でも、何でまたニコ・ロビンさんまで一緒に……?)

 聞き耳を立てているジャスミンが色々と推測しているうちに、信じられない情報が耳に飛び込んでくる。

『我々は…、政府に対して非協力な“市民”への“殺し”を許可されている。』

(殺しを許可?!一部の人間の暴走じゃなくて、組織全体でそれを許可するなんて……。そこまで腐ってるとは思わなかったな…。)

 この展開はまずい。設計図の隠し場所がわかったら、すぐにでも彼らはアイスバーグを殺すだろう。

 しかも、中のやり取りを聞く限り彼らは既に設計図の在処(ありか)に見当を付けているらしい。

(まずいな・・・。アイスバーグさんが危ない。踏み込んだ方が良いかな…。)

『トムのもう1人の弟子、「カティ・フラム」は生きている……。今もこの町に…。「フランキー」と名を換えて!!!』

(!フランキーがアイスバーグさんと兄弟弟子?!そうか、だからさっきまであんなに強気だったんだ…。生きていることすら知られていなかった相手に、既に肝心の物は託していたんだから!)

 これ以上はまずい。彼らは何のためらいも無くアイスバーグを殺すだろう。

 ニコ・ロビンが彼らに加担している理由までは探れなかったが、人命には代えられない。

(行こう……!)

 ジャスミンが室内に踏み込もうと拳を構えた時、ダダダダダダ!と廊下を走る音が聞こえて来る。

「この気は…!」

「あそこ!!あの扉で間違い無いわって、ジャスミン!!!」

「ナミちゃん!」

 気が小さ過ぎたのと、話に夢中になっていたのが合わさり、全く気が付かなかった。

「人がいっぱい倒れてるぞ!!」

「アイスバーグさんが危ない!!世界政府の奴ら、完全にアイスバーグさんを殺す気なんだ!」

「ゾロ!扉斬って突進よ!!!」

「おれに命令すんな!!」

 文句を言いながらもゾロが扉を両断した。

 ピキ……!!!ドッカァン!!!

 ゾロが扉を両断したのとほぼ同時に、ルフィが隣の部屋から壁をぶち破って来た。

「ロビンはどこだ~~~~~~!!!!」

「やっぱりルフィくんだったのか…。」

 ガラガラ……

 ズズゥ…ン

 扉や壁の残骸が崩れる中、ドオォ…ン!!!と遂にCP9と主人公(ルフィ)、そして主人公(ジャスミン)が揃う。

 

 本来加わる筈も無かった原作(運命)の流れの中、主人公(ジャスミン)はどんな足跡を残すのか。

 それはまだ、誰も知らない。

 彼女自身でさえも……。

 

 

 

 

 

 




用語解説
・繰気弾…元々はジャスミンの父・ヤムチャの技。気を手のひらで集中させて気弾を作り、それを指で自由自在に操る技。ただの気功波とは異なり、放ってからも自由に軌道を変えることが出来る為、ミカヅキとしては実に汎用性に長ける技だと考える。連載当初から早く使わせたくて仕方なかった技の1つ。

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