摩訶不思議アドベンチャーな世界に転生したかと思ったら一繋ぎの世界にトリップした件について 作:ミカヅキ
次回は1週間経たないうちに更新できると良いな…←願望
換金所を訪ねてからおよそ3時間後。換金所から宿に電伝虫で連絡が入った。
取り次がれた通信を受け、驚愕しつつも窓から確認を取る。
「この展開は予想して無かったな……。」
窓の外に立っていたのは、
「あんたがジャスミン?」
顔を合わせるなりそう聞いてきたのは、麦わらの一味の航海士‐ナミ。
「そうですけど…。」
「あたしはナミ。こっちはルフィとウソップ。換金所であんたがお宝を買ってくれるって聞いてきたんだけど。」
「赤い星の入ったオレンジ色の玉のことですか?」
「ええ、そうよ。換金所の鑑定士に紹介されたの。」
ナミが満面の笑みで頷く。
どうやら鑑定士は仲介のみを行うつもりのようだ。いや、
「紹介されたっつか、紹介させたの間違いだろ…。」
ウソップが小声で突っ込む。
………やっぱり隠し切れなかったらしい。
「なあ、見せてくれよ!お前もおんなじ玉持ってるんだろ?」
ルフィが目を輝かせてジャスミンに話しかけてきた。
「それは構わないんですが、あなたたちの持っている玉を確認させてもらえませんか?」
「そうね。場所を変えましょ?落ち着いて話がしたいもの。」
「じゃあ、この隣のカフェで待っていてください。今部屋から取ってくるので。」
「OK。じゃ、先に行って待ってるわ。行きましょ、2人とも。」
「おう!」
「へいへい。」
ナミが仕切り、ルフィとウソップもそれに続く。仮にも船長を差し置いて仕切って良いのだろうか…。
そんなことをつらつらと考えつつ、ジャスミンも一旦部屋に戻る。ドラゴンボールの入ったカプセルは常に持っているが、何も知らない人間の前でホイポイカプセルを使うことはできないからである。
ホイポイカプセルからアタッシュケースを取り出し、中身を確認する。半年前に集めた5つのドラゴンボールが全て揃っているのを確認してからケースを閉める。
さらに別のカプセルから、この世界に来てから手に入れたベリーを纏めた別のアタッシュケースを取り出し、500万ベリーを取って再びカプセルに戻した。
200万ベリーで話を通していたものの、相手はあの
まあ、地球に戻ったら手に入れたベリーもただの紙屑同然の為、相手が望む金額を出しても構わないのだが。
この半年で食料や日用品など細々したものは手に入れていたものの、賞金稼ぎとして手に入れた金は大部分が手付かずであったし、つい3時間前に1億5,000万ベリーを稼いだばかりである。また、ドラゴンボール探しの最中に海底から引き揚げた財宝もまだ残っている為、金には困っていない。
とは言え、
腐る訳でもないし、あって困る訳でもないのだから。
ただ1つの懸念は、換金所でルフィたちがどこまで聞いてきたか、である。
漫画で読んだのみの印象だが、「願い事が叶う伝説」というのは
一抹の不安を抱えつつ、アタッシュケースを手にジャスミンは待ち合わせ場所のカフェへと向かった…。
~中心街・カフェ~
ルフィたちがどこにいるかは、カフェに入ってすぐに明らかになった。
カフェ中の食料を食い尽くす勢いで食事をする人間がいるテーブルがあったからである。
(場所のチョイス誤ったかな……?)
もしかしてここの食事代も自分が払うのだろうか。……いや、懐には余裕があるのだが、何となく釈然としない。
「………お待たせしました。」
色々な感想を飲み込みつつ、ルフィたちが座るテーブルに近付く。
「ほう!いはいほはあかっかあ!(おう!意外と早かったな!)」
「……飲み込んでから喋ってくれると助かるんですけど…。」
もの凄い勢いでパスタやオムレツ、グラタンやパンを詰め込んでいるルフィに力無く突っ込む。
「ったく、行儀悪いわね!」
その様子を見てナミも突っ込んだ。
「まあ、座れよ。」
ルフィの勢いにやや押されているジャスミンを見かね、ウソップが出した助け船に乗って開いていたナミの隣に座る。向かい側には窓際にウソップ、通路側にルフィが並んでいた。
「じゃ、まどろっこしい話は抜きにして本題に入りましょ。あんた…、ジャスミンで良い?ジャスミンの探していたのって、これで間違い無いかしら?」
そう言ってナミが取り出したのは、間違い無くドラゴンボール‐
「……間違い無いみたいですね。」
高まる気持ちを抑えつつ肯定する。
「じゃ、決まりね。200万ベリーで良いのよね?」
「はい。」
頷き、ウェストポーチからさっき寄り分けておいた200万ベリーの入った封筒を取り出し、ルフィへと差し出す。
「ん?あんあおえ?(ん?なんだそれ?)」
「約束の200万ベリーです。あなたが船長さんでしょう?」
「あたしたちのこと知ってたの?」
ナミが驚いたように声を上げた。
「あなたたち、麦わらの一味でしょう?手配書を見たので。詳しいメンバーの顔までは知りませんでしたが、そちらの船長さん‐麦わらのルフィは
「おれたちもずいぶん有名になったなあ!」
「おう!」
ウソップが嬉しそうにルフィの肩を組み、ルフィもウソップの肩に手を回した。
「それより、約束の200万ベリーです。お譲りいただけますか?」
「おう!良いぞ!それより他のを見せてくれよ!」
「わかりました。」
頷き、アタッシュケースを抱え、胸の前で開いて見せた。本当はテーブルに乗せたかったが、大量の皿で置く場所が無かったのだ。
中には5つのドラゴンボールが納められ、断続的に金色に輝いている。
「おお~!なんかすっっげえぇぇ~~!!!」
「きれーい!」
「すげー!」
その光に呼応し、
「こっちも光ってる!」
それにいち早く反応したのが、流石と言おうかナミだった。
「これは、お互いの存在を感じ取ると光るんです。」
そう言いながら、
「あ――――――!もっと見せてくれよ!」
途端にルフィからブーイングが上がった。
「おい、その辺にしとけよルフィ。そいつ困ってるじゃねぇか。」
「もっと見せてくれって!」
手を伸ばされ(比喩で無く)、アタッシュケースを盗られた。
「やっぱすっげー!」
「返してください!とても大切なものなんです!それが無いと……!」
咄嗟にそこまで叫び、はっとして口を
「ん?無いとどうなるんだ?」
ルフィが真っ直ぐにジャスミンを見詰める。その真っ直ぐ過ぎる視線に、ルフィの黒い瞳の奥に光る強さに、ジャスミンは気圧された。そして、ある程度の事情を打ち明ける覚悟を決める。
「……それが無いと、私は家に帰れないんです。」
「どういう意味だ?」
ルフィだけでなく、ナミやウソップも腑に落ちない顔をしている。
「……ここじゃ人目が多過ぎる。場所を変えましょう。私の部屋にどうぞ。」
立ち上がり、ルフィからアタッシュケースを再度取り返し、先導する。
「おう!」
迷わず着いて行くルフィに、他の2人もそれに従った。
~宿屋・ジャスミンが借りた部屋~
「適当に座ってください。」
シングルが空いていなかった為、ツインを借りていたのが幸いだった。片方のベッドに腰を下ろし、向かい側のベッドを示す。
「それで?何でまた、こんなところまでわざわざ連れて来たのよ?」
「この玉についてと、何故私がこれを集めているのか、全部お話します。初めに言っておきますが、別に信じていただかなくても構いません。ただ、全てお話する代わりに私の邪魔をしないと約束してください。」
「ん!わかった。」
ルフィが頷く。
「ちょっと、ルフィ!どんな話かもまだ聞いて無いのに!」
「別にコイツが何をしようが、おれらには関係ねぇだろ?良いじゃねぇか別に。」
「それはそうだけど…。」
「だろ?あ、でもお前がもしおれらの冒険の邪魔をするってんなら、話は別だぞ。女だろうが関係ねぇ!そん時は全力でぶっ飛ばす!!」
「あなたたちの邪魔をするつもりも、敵になるつもりもありません。……私はただ家に帰りたいだけです。」
「なら良い!」
ルフィが満面の笑みで頷いた。
それを受け、ジャスミンが再度アタッシュケースを開き、ドラゴンボールを見せながら説明する。
「…この玉の名前はドラゴンボール。私の故郷では、別名を願い玉とも言い、7つ集めればどんな願いも叶うと言われています。」
「どんな願いでも?!」
「すっげー!不思議玉か!!」
まずナミが食い付き、ルフィも歓声を上げた。
「おいおいおい。そんなの迷信に決まってるだろ?だいたい、
自身もウソつきと称するだけあって、ウソップは眉唾ものだと思っているようだ。
「私は……、この世界のどこでも無い、別の世界から来ました。」
本来、ドラゴンボールについてルフィたちにぶっちゃける予定はありませんでした。しかし、ルフィは興味を持ったことに関しては引かないだろうな、と思ったのでジャスミンにぶっちゃけてもらいました。
今後どうなるのか、原作には絡むのか、どうかお楽しみに!