摩訶不思議アドベンチャーな世界に転生したかと思ったら一繋ぎの世界にトリップした件について   作:ミカヅキ

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妄想こじらせ過ぎて遂に初投稿してみました。いざ書いてみると切実に文章力がほしいです…。誤字脱字等あったらそっと直すことがあると思います。


プロローグ

 ドラゴンボールという国民的漫画がある。

 幼い頃は年の離れた兄と一緒にかめはめ波を真剣に練習したし、自分はできないだけで舞空術ができる人間はいると思っていた。もちろん小学校に上がる前には現実を知ったのだが。

 成長してなんだかんだと他の漫画にハマるようになっても、ドラゴンボールはずっと好きだったし、社会人になってからもう無いと思っていた2度の映画化にも興奮してきっちり映画館まで見に行ったものである。

 単行本は完全版を集めたし、「神と神」と「復活のF」のDvDは初回限定版を買った。

 ネット小説や夢小説にハマってからは、もしドラゴンボールの世界に行ったら~という妄想も幾度となく脳内で繰り広げたものである。

 だがしかし、

「これはよそうしてなかった……。」

 ベッドの上で目覚め、天井を見上げながら呟く。

 まだ涙でチカチカする視界の中、部屋を見回すと額に置いてあった濡れタオルがズレ落ちた。

 ガチャ…

 まるで図ったようなタイミングでドアが開く。

 寝ている(と思っている)自分を起こさないようにだろう、音を立てないようにそっと入ってきた父親が目を覚ましている自分に気づいて声をかけてきた。

「ジャスミン!目が覚めたのか?」

 洗面器を床に置いてベッドの枕元に座り、額に手を当ててくる。

「まだ熱いな…。何か食べるか?おかゆ作ったぞ。」

「うん…。おなかすいた」

 話しながら父親がズレ落ちたタオルを洗面器の中に入れると、水音と一緒にカラコロという音がする。どうやら氷水で冷やしてくれるらしい。

 タオルを絞ってから額に乗せ直してくれると、冷たくて気持ちが良かった。

「気持ちいいか?」

「うん。」

「お父さん、おかゆあっためてくるからな。ちょっと待っててくれよ。」

 そういって父親が再び部屋を出ていくのを見送りながら、おかゆを待っている間に熱と記憶を取り戻したことで混乱している頭を整理することにした。

 

 さて、思い出したのは私が21世紀の日本でОLをしていた時の記憶である。

 死んだ時の記憶は無いものの、昔の名前や両親や友人の名前も曖昧な上、こちらの世界で幼少を過ごした記憶はばっちり残っている為、憑依ではなく転生で間違いない。

 たぶん、日本から転生してドラゴンボール世界に生まれ、記憶が無いまま今まで過ごしていたのだと思う。

 記憶を取り戻したきっかけは恐らく、今も引かない熱だろう。

 基本的なところは日本とさほど変わらない為、病気などの種類もほぼ一緒である。

 とは言え、別に重篤な病気を発症した訳ではない。学校で流行っているインフルエンザに罷っただけのことである。

 しかし、これまでこれといった病気に罹ったことの無い体には負担が大きかったようで、なかなか熱が下がらず2日程40℃近い高熱に浮かされることになったのだ。

 他に理由も思い当たらないので、発熱がきっかけでいわゆる前世の記憶が戻ったに違いない。

 

 そこまでつらつらと考えていると、再びドアが開いて父親が戻ってきた。

 手には小さい土鍋と小鉢の乗ったお盆がある。

「持ってきたぞ。起き上がれるか?」

「うん…。」

 額のタオルを持ちながらのそのそと起き上がると、洗面器の近くにお盆を置いて小鉢におかゆをよそってくれる。

「ほら。熱いから気をつけてな。」

「いただきます。」

 差し出された小鉢を、同じく渡されたレンゲでかき回し、1口分のおかゆに息を吹きかけつつそっと父親を見た。

「ん?どうしたジャスミン?」

「なんでもない。」

 程良く冷めたおかゆをほうばりつつ答える。

 

 申し遅れた。自分の今の名前はジャスミン(7歳)。ドラゴンボール無印時代からのレギュラーキャラ、ヤムチャの娘として転生した元一般人である。

 


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