明けましておめでとうございます!
今年もよろしくお願いします!
いやぁ、年明けに出したかったのですが、まあ年明けくらいのんびりしても…良いですよ…ね?
それでは今回も、のんびりしていってね!
僕達三人は、本日の教材を抱えて生徒達が待つ教室の前まで来ていた。
「それにしても、良くこんなものがあったわね」
霊夢さんは自分達が持つプリントに目を落として、呆れた様な感心した様な声を発した。
「あぁ、以前の授業の時に琥珀が置いて行ったんだ。次の授業で使えるかもとな」
「まぁ確かに、実際助かってるからムカつくわね」
と、霊夢さんが僕にジト目を向けるので、僕は「あはは……」と
「ルールは既に琥珀から聞いている、安心してくれ。基本的に授業は琥珀に進行して貰うが、もし何か分からない事があったら横にいる私か霊夢に尋ねてくれ」
「分かりました。ありがとうございます」
そして、僕達は気合い十分で教室の中へと足を踏み入れたのだった。
教室に入り
大人数の子達に囲まれると、今更ながら緊張してくるが、もうそんな事を思っても遅いのだ。もうやるしかない。
僕は霊夢さんに言われた通り、メガネを掛けてから話し始める。
「はい、どうも。皆さんお久しぶりです。今日も明るく楽しい授業にしていきましょう!」
「「はぁい!」」
僕の呼び掛けに、生徒達は元気な返事をくれる。
霊夢さんが「琥珀は情緒不安定でキャラもブレブレだから、メガネ掛けて丁寧語で喋ってたら『あ、今日はそういうキャラなのね』みたいな感じで誰も気にしないわよ」って言ってたけど、生徒達は本当に気にしてない様子だ。
助かるけど、これが平常運転の扱いって……。大丈夫か? 記憶を失う前の僕。
僕が自身の人間性について
そうだ、今は授業を進めなきゃ。
「えー、今回は皆さんの発想力や思考力を
「へへん、ゲームならアタイのドクダンジョーだねっ!」
チルノが威勢良くそんな事を言い、「チルノちゃん、まずは説明を聞かないと」と大妖精がたしなめ、「ルーミアも負けないのだー!」と金髪の少女(恐らく自分の名前が一人称なのだろう)が張り合う。他の子達もゲームと聞いてワクワクしているのが伝わってくる。
僕は改めて、ゲームの説明に入った。
「皆さんには、『水平思考クイズ』をやって貰います。ルールは簡単です。僕が出す問題に答える、ただそれだけです」
「先生、それでは普通のクイズと同じなのでは?」
挙手をして、大妖精が尋ねてきた。この子は学級委員長ポジションだよなぁ、と思いつつも大妖精の疑問に答える。
「良い質問ですね。確かに形式は普通のクイズと同じですが、問題がとても難しいのがこのクイズの特徴です。問題を聞いただけで解答できるケースはほぼありません」
難しい問題という所に、「えぇー」と一部の生徒達の表情が曇るが、その子達を安心させる為に「なので」と強調して話を続けた。
「このクイズでは解答者が出題者に質問する事が出来ます。『はい』か『いいえ』で答えられる質問に限りますがね。そうして解答者は情報を集めて、答えを導き出してください」
僕の説明に「なるほど!」「おもしろそー!」と声が上がる。好感触で良かった。
説明が分からなかったのか未だに曇り模様のチルノには、代わりに隣の大妖精が教えてくれている。
「……
──はっ!? 何だ今の、無意識で口に出てた!?
慌てて左右を見渡すも、霊夢さんも慧音さんも気づいていない様だ。……良かった、何か良く分からないけど気をつけよう。
問題が書かれたプリントを霊夢さんと慧音さんに配って貰い、全員に行き渡ったのを確認してから、僕は問題を読み上げた。
「魔理沙が博霊神社に行って、霊夢に『水をくれ』と言うと、霊夢はお札とお祓い棒を魔理沙に突き付けました。すると魔理沙は『ありがとうなんだぜ!』と行って去って行きました。さて、どうしてでしょう?」
「はい、チルノ」
「ふっふーん、そんなん簡単だよ!」
チルノはすっくと立ち上がって答えた。
「霊夢はケチで貧乏だから、例え水の一滴でさえも人にあげたくなかったんだ!」
「落ち着け霊夢、子供の言う事だ」
チルノの解答から瞬き一回後には、スペルカードを取り出す霊夢さんと、霊夢さんを羽交い締めして止める慧音さんの姿があった。
……慧音さんがいてくれて本当に良かった。僕が止めた所で、横たわる被害者が一人増えるだけだっただろう。
「わかったのだー!」
そして今度は、ルーミアが快活に挙手する。
「どうぞ」
「魔理沙は霊夢に冷たくあしらわれる事に快感を覚えたのだー!」
僕が返す言葉もなく突っ立っていると、「……ッフ」と隣から笑いを噛み殺す霊夢さんの声がした。
笑ってる場合じゃないですよ霊夢さん。魔理沙さんに会った事がないから何とも言えないけど、
「先生、質問です」
ここで、我らの救世主にして寺子屋最後の良心、大妖精がおもむろに手を挙げた。
「大妖精、どうぞ」
「魔理沙さんは水を貰っていませんよね?」
「はい、貰ってません」
「喉も
「はい、渇いてません」
大妖精は
「魔理沙さんの目的は、喉を
「……なるほど。つまり?」
「恐らく、魔理沙さんはしゃっくりを止めたかったんです。だから水を飲んでそれを止めようとしたけど、それに気づいた霊夢さんは魔理沙さんを脅したんです。しゃっくりは驚いたら治まる、なんて言いますしね」
「──正解! 百点満点の解答です!」
わぁぁ! と、教室中から歓声が上がる。まさか正解者が出るとは。僕が読んだ時は『こんなん分かる訳ない』と思っていたが、どうやらここの生徒を
「うむ、流石だな大妖精」
慧音さんは得意気に頷いている。自分の生徒が活躍するのを自分の事の様に喜ぶ慧音さんに、思わず目を細める。
「ルーミアの解答、後で魔理沙にチクっとこうかしら」
未だにニヤニヤ顔で、霊夢さんはそんな事を呟いていた。
その後も数問のクイズをして、授業は終了となった。まぁ、皆が楽しんでくれた様で何よりだ。僕の事も怪しむ様子はなかったし。
「皆、琥珀先生にしっかりお礼をするんだぞ」
「「先生、今日は楽しい授業をありがとうございました! また来てください!」」
クラス全体で息ピッタリと言われたお礼の言葉に、つい破顔してしまう。あぁ、教師というのは良いものだなぁ。
と、僕が感慨に
僕の元にやって来たのは、チルノ、大妖精、ルーミア、ミスティア、リグルだった。
授業中にクラス名簿に目を通しておいたお陰で、クラス全員の名前は既に把握済みだ。
「どうしたの?」
僕が尋ねると、チルノが元気いっぱいで答えた。
「いつもみたく、一緒に遊んでよ!」
はい、お疲れ様でした!
寺子屋フェーズが思った以上に長い(笑)
前回、今回とノルマ達成できてなかったので、次回で挽回していきます!
それでは次回も、のんびりしていってね!