今回から永夜抄やっていきます!
安定のオリジナル設定、独自解釈です!
今回も、のんびりしていってね!
第58話 二つの異変
最初に目に写ったのは、見慣れた天井だった。どうやら寝てしまっていたようだ。私はあくびをしながらソファから立ち上がり、部屋の明かりを点けた。
まだ頭がボーッとする。私は確か夜ご飯を作ろうとしたけど眠たくて……。何かまだ眠たいな。
きっと昨日寝るのが遅くなったからだ。
というのも、昨日は博麗神社に宴会に行っていたのだが、萃香とかいう鬼と戦っていたせいで全く寝れなかったのだ。
「とりあえず、夜ご飯にしよう。……いや、もう夜食か」
私は目元を擦りながらキッチンへ向かった。夜食は太るって聞いた事があるが……仕方ない。私は腹ペコなのだから。
さてと、
「魔理沙! いるー?」
そんな声と共に扉をドンドンと叩く音が聞こえた。この声は――
「アリスか?」
私は玄関に行きドアを開けた。案の定、そこにはアリスが何か困ったような顔をして佇んでいた。
「なんだよアリス。こんな夜中に、私に何か用か?」
私が言うと、アリスは溜め息を吐き、今度は呆れたような顔をして言う。
「あなたまだ気付いてないの?」
「え? 何が?」
私の返答に、アリスはまた溜め息を吐いて、私に告げた。
「異変よ」
「んで、何なんだ? 異変って」
「……あなた随分とお気楽ね。異変が起きてるってのに」
「そんな事言ったって、しょうがないだろ。夜ご飯食べてないんだよ」
「……まあ良いわ。で、異変って言うのは――」
茸スープを食べながら、私はアリスの話に耳を傾ける。
「月が変なのよ。本来なら満月の筈の月が少し欠けているみたいなの」
「ふむふむ。それで?」
「いやだから、月がおかしいのよ。偽物の月って言ったところかしら」
「……え? まさかその月がなんちゃらってのが異変なのか!?」
あまりに拍子抜けだったので、つい聞き返してしまった。
「人間にとっては大した事ないかも知れないけど、妖怪にとっては死活問題なのよ」
真剣な顔で迫られ、私は仰け反りながら相槌を打つ事しか出来なかった。
月明かりに照らされた薄暗い森の中を、私はアリスと二人で歩いていた。森の中は静まり返っていて、二人分の足音と話し声がいやに大きく聞こえる。
「それで、異変について心当たりはないのか?」
「ないわ」
即答だった。おいおいアリスさん、そんなんで大丈夫か。頼むぜ全く。
「おかしいわね……」
私の右隣からポツリと、そんな声がした。
「どうしたんだ?」
私が尋ねると、アリスは
「月が動いてないのよ」
「え?」
言われて私は反射的に月に視線を移す。アリスが言った通り少しだけ欠けた大きな月があるが、私には何がおかしいのかさっぱり分からない。
「間違いないわ。月が止まってる……いや、正しくは夜が」
さっきからぶつぶつと呟くアリスに、何が何だかちんぷんかんぷんな私は聞いてみた。
「アリス、要するにどういう事だ?」
するとアリスは立ち止まり、
「要するに、今回の異変は“欠けた月”と“止まった夜”の二つって事よ」
はい、どうもお疲れ様でした。
今回は魔理沙とアリス、もとい「禁呪の詠唱チーム」が主役です。
後、章の名前が中二っぽいのは気にしないで下さい!
それでは次回も、のんびりしていってね!