東方転生録   作:のんびり+

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はい、どうものんびり+です。
今回から永夜抄やっていきます!
安定のオリジナル設定、独自解釈です!
今回も、のんびりしていってね!


第10章 永夜抄編~夜明けのこない夜はない~
第58話 二つの異変


 最初に目に写ったのは、見慣れた天井だった。どうやら寝てしまっていたようだ。私はあくびをしながらソファから立ち上がり、部屋の明かりを点けた。

 まだ頭がボーッとする。私は確か夜ご飯を作ろうとしたけど眠たくて……。何かまだ眠たいな。

 きっと昨日寝るのが遅くなったからだ。

 というのも、昨日は博麗神社に宴会に行っていたのだが、萃香とかいう鬼と戦っていたせいで全く寝れなかったのだ。

 

「とりあえず、夜ご飯にしよう。……いや、もう夜食か」

 

 私は目元を擦りながらキッチンへ向かった。夜食は太るって聞いた事があるが……仕方ない。私は腹ペコなのだから。

 さてと、(きのこ)スープで良いか。私が調理に取り掛かろうとした時だ。

 

「魔理沙! いるー?」

 

 そんな声と共に扉をドンドンと叩く音が聞こえた。この声は――

 

「アリスか?」

 

 私は玄関に行きドアを開けた。案の定、そこにはアリスが何か困ったような顔をして佇んでいた。

 

「なんだよアリス。こんな夜中に、私に何か用か?」

 

 私が言うと、アリスは溜め息を吐き、今度は呆れたような顔をして言う。

 

「あなたまだ気付いてないの?」

 

「え? 何が?」

 

 私の返答に、アリスはまた溜め息を吐いて、私に告げた。

 

「異変よ」

 

 

 

 

「んで、何なんだ? 異変って」

 

「……あなた随分とお気楽ね。異変が起きてるってのに」

 

「そんな事言ったって、しょうがないだろ。夜ご飯食べてないんだよ」

 

「……まあ良いわ。で、異変って言うのは――」

 

 茸スープを食べながら、私はアリスの話に耳を傾ける。

 

「月が変なのよ。本来なら満月の筈の月が少し欠けているみたいなの」

 

「ふむふむ。それで?」

 

「いやだから、月がおかしいのよ。偽物の月って言ったところかしら」

 

「……え? まさかその月がなんちゃらってのが異変なのか!?」

 

 あまりに拍子抜けだったので、つい聞き返してしまった。

 

「人間にとっては大した事ないかも知れないけど、妖怪にとっては死活問題なのよ」

 

 真剣な顔で迫られ、私は仰け反りながら相槌を打つ事しか出来なかった。

 

 

 

 

 月明かりに照らされた薄暗い森の中を、私はアリスと二人で歩いていた。森の中は静まり返っていて、二人分の足音と話し声がいやに大きく聞こえる。

 

「それで、異変について心当たりはないのか?」

 

「ないわ」

 

 即答だった。おいおいアリスさん、そんなんで大丈夫か。頼むぜ全く。

 

「おかしいわね……」

 

 私の右隣からポツリと、そんな声がした。

 

「どうしたんだ?」

 

 私が尋ねると、アリスは(いぶか)しげな面持ちで答えた。

 

「月が動いてないのよ」

 

「え?」

 

 言われて私は反射的に月に視線を移す。アリスが言った通り少しだけ欠けた大きな月があるが、私には何がおかしいのかさっぱり分からない。

 

「間違いないわ。月が止まってる……いや、正しくは夜が」

 

 さっきからぶつぶつと呟くアリスに、何が何だかちんぷんかんぷんな私は聞いてみた。

 

「アリス、要するにどういう事だ?」

 

 するとアリスは立ち止まり、

 

「要するに、今回の異変は“欠けた月”と“止まった夜”の二つって事よ」

 




はい、どうもお疲れ様でした。
今回は魔理沙とアリス、もとい「禁呪の詠唱チーム」が主役です。
後、章の名前が中二っぽいのは気にしないで下さい!
それでは次回も、のんびりしていってね!

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